2024年2月24日(土) 世界の運河1
世界の海上輸送を支えている、スエズ運河、パナマ運河の2大運河が、現在、ピンチ状態にあるという。
本稿は、その1で、スエズ運河を取り上げることとした。
◎スエズ運河の開通
スエズ運河は、下図にあるように、ジブラルタル海峡・地中海を経て、紅海に抜ける、欧州とアジアを結ぶルートを可能にしたものだ。
スエズ運河が開通したのは1867年で、日本が明治になる1868年の直前のことだ。
運河の建設には、10年を要したようだが、フランス人の実業家、F.レセップスが尽力したようだ。
スエズ運河が開通する以前は、アフリカ大陸の南端の喜望峰をまわっていたものだ。
開通前と開通後の、ルートの距離は、下図のようになるようだ。
図にあるように、イギリスのロンドンと、シンガポール間の航行距離は、
開通前:約24500km
開通後:約15020km
で、15020/24500=約61%と、大幅に短縮されている。所要日数も、ほぼ同じ程度に短縮され、経済効果は大きい訳だ。
◎現在のピンチ
スエズ運河に繋がる紅海から、アラビア半島の踵(かかと)に当たる部分の海峡を通って、アデン湾からインド洋に出る位置に、イエメンがある(下図)。
イエメンには、反政府武装組織であるフーシ派があり、イランの支援を受けながら、イエメンの北西部と首都サヌアを支配しているという。
フーシ派は、パレスチナを支援する立場から、紅海を通る、イスラエルに物資を運ぶ貨物船を、無人機やミサイルで攻撃しているようだ。
下図は、状況を発表するフーシ派軍関係者。
アメリカ軍も、船舶の安全を守るため、活動しているが、なかなか、成果が上がらないようだ。
このため、船舶は、先述の地図にあるように、やむを得ず、スエズ運河を通らずに、以前の喜望峰まわりで迂回しているという。
海運業界にとっては、極めて損失が大きい事態になっている。