Quantcast
Channel: つれづれの記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 859

生物多様性条約とCOP15

$
0
0

  2022年12月22日(木)  生物多様性条約とCOP15

 

 

〇生物多様性条約

カナダのモントリオールで、国連の生物多様性条約に関する条約*の15回目の締約国会議(COP15)が、今月の7日~19日にわたって、開催され、閉幕したところだ。

 *Convention on Biological Diversity

:略称CBD ここでは、Conventionは、条約の意味。今回の会議は、厳密には、CBG/COP15となる。

この会議は、当初、中国の昆明で開催される予定だったが、コロナの影響で、オンライン開催となり、中国の議長のまま、CBD事務局所在地のカナダのモントリオールでの開催となったようだ。

14日からは、閣僚級会議になり、日本からは、西村環境大臣が出席している。

   

             会議風景                       西村環境大臣

 

下図は、今回の、昆明・モントリオール会議のロゴマークである。

少女の周りに、鳥や花や蝶や魚が居り、中国の象徴である、可愛いパンダも居る。

 

      

この、CBD条約は、生物多様性を、「種」、「遺伝子」、「生態系」の3つのレベルで捉え、その保全などを目指す国際条約で、1992年5月、ケニアのナイロビで開催された会議で採択されている。翌1993年に発効しており、現在、196の国・団体等が加盟していて、日本も、1993年に加盟している。

 

このCBDと親戚関係にあるのが、以下の条約だ。

 ◇ワシントン条約   CITES*:希少な種を保護するため、野生動植物の国際取引を規制している条約。

                   正式名称は、以下のように長いので、1973年に、米国ワシントンで

                   採択されたことから、通称をワシントン条約としている。

                   *Covention on International 

                    Trade in Endangered Species of 

                    Wild Fauna and Flora

             

 ◇ラムサール条約  湿地の生態系の保全に関して規定している条約。1971年イランのラムサールで採択

           され、通称も、これに依っている。

           正式名称は、Importance Especially as Waterfowl 

           Habitat (水鳥生息地としての特別な重要性)

 ◇気候変動枠組み条約 地球上での気候変動について、枠組みを規定している条約(UNFCCC*)。199

            2年採択。2015年の「パリ協定」が極めて重要。この11月には、エジプトで、こ  

            の条約の、「COP27」が開催されている。

            *United Nations Faramework Conventio on 

             Climate Change

 

CBD条約が発効して以降から始まった締約国会議(COP)は、当初は、毎年開催されたが、暫くして、200

2年のCOP6頃から、ほぼ、隔年開催となっているようだ。

これまで開催された、締約国会議で、拘束力のある重要な以下の議定書が採択されている。

  ・カルタヘナ議定書  1999年2月 コロンビアのカルタヘナで開催された、特別締約国会議で採択。遺

             伝子組換え生物の扱い等に関する取り決めなどを行った。

              

  ・名古屋議定書    2010年10月 名古屋で開催された、COP10で採択。

             2020年までの、20項目の愛知目標と、遺伝資源の利用から生ずる利益の配分法

             等を決めている。その中で、地球上の生態系の保全のため、2020年までに、陸地

             の17%、海面の10%以上を保全する、としている。

             愛知目標は、達成できたものは皆無で、6目標は、部分的に達成した、と評価されて

             いる。

 

名古屋のCOP10に関して、当ブログでは、以下の記事を投稿している。

  環境保護活動とCOP10  (2010/11/8) (X42)

記事の詳細については省略するが、いまだに記憶している個所が以下だ。

アメリカの著名な映画俳優である、ハリソン・フォード氏が、ふと漏らしたとされる、次の言葉だ。

   「地球上で、最も必要でないのは、人間だ」

人間の存在こそが、地球上での生き物に重大な脅威となっていること、に対する強烈な批判であるが、急テンポで進んでいる地球温暖化や、生物多様性が失われている現状を見るとき、氏の警告を、改めて噛みしめる必要があるだろう。

 

今回のCBD会議は、19日で閉幕したが、「昆明・モントリオール地球生物多様性フレームワーク」(GBF*)を採用している。

*Global Biodiversity Framework

 

詳細は省略するが、主な事項を如何に記す。

◇種の保全:絶滅危惧種の回復や野生生物の効果的な管理などを行うこと。 

 外来種が侵入し、定着する率を、50%以下に抑えること、など。 

◇30by30:今回のCOP15では、愛知ターゲットを拡大更新し、2030年迄に、地球上の陸地、海面そ れぞれの30%を保全地域とすることを目標(30by30)とすることとしている。

(下図は、環境省のサイト:30by30|環境省.htmlより)

  

 

 ◇資金援助:途上国での活動を支援するため、先進国が資金を拠出すること。

 ・2025年までに年間200億ドル、2030年までに、年間300億ドルとすること。

 ・国連の中に、生物多様性専用の、新たな基金(GBF基金)を創設する、としているようだ

  西村環境大臣は、閣僚級会合で、日本として、23~25年に、新たに、1170億円の資金を拠出する用意 

       があると表明したようだ。

 

次回のCOP16は、時期は未定だが、トルコで開催する予定という。

国連の生物多様性条約は、これまでは、余り注目されなかったのだが、今回のCOP15で、GBFが採択されたことで、気候変動に関する、パリ協定にも匹敵する、重要な合意となったと言えるだろうか。

今会議の開催と合意にこぎつけた、中国やカナダや各国の関係者に、敬意を表したい。

人類は、地球の生態系の一部であり、地球を守っていく必要があるとの認識から出発する必要があり、これからは、自然との共生や、持続可能な仕組み作りが大切となるだろう。

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 859

Trending Articles