2022年10月25日(火) 「麦畑」の3曲
〇先日、テレビで、「麦畑」の歌を、久しぶりで聞いた。
現代の超売れっ子歌手で、筆者の大好きな、福田こうへい、と、市川由紀乃、が、田舎者夫婦の衣装で、片手に、鍬と鎌を持ち、片手にマイクを持ち、舞台を駆け回りながら、愉快に歌うものだった。
この曲は、少し前(平成1年)に発表され、大変な人気を博した歌で、よく覚えている。
作詞・作曲は、榎戸若子で、オヨネーズが歌っている。
歌詞は、以下の様だ。
歌詞は、東北の福島弁と言われる。訥々とした言葉で、互いに、相手を思う、純朴な夫婦愛を歌っていて、現在も、心に響く歌だろうか?
作詞・作曲の、榎戸若子氏は、福島県の出身といい、この歌詞のずーずー弁の、言わば、プロと言えよう。
本番前の練習風景の映像などを含め、福田こうへい、市川由紀乃の歌をよく聞いてみると、一番では、以下の文言がズーズー弁だ。
ずっと前(めえ)がら決めてえだ(いた)
好ぎだと思ってだ
鍬を持つ手が震えでる
鎌を持つ手も震えでる
真赤っ赤にそめられで
愛の花咲ぐ麦畑(ばたげ)
二番、三番でも、類似の個所に、東北弁があるが省略する。
なお、二番にある、1人で死んだべな、は、作詞者が歌っているサイトでは、1人で住んだべな、となっている。
東北弁では、「し」と「す」が混同されやすいのだが、多分、生きる希望もないまま、1人で住み続ける、の意で、後者だろうと思われる。
でも、死ぬほど愛した故、嫌いと言われたら、本当に、死んでしまったかも知れない!
〇「麦畑」で思い浮かぶのは、2曲目の、スコットランド民謡の、「Comin‘ Thro’ theRye」である。
これは、スコットランドのバーンズが、古い民謡のメロディに作詞したもの。ライ麦畑での、若い男女の愛情を表している歌である。
歌詞は以下だ。(一番のみ)
If a body meet a body,
Comin’ thro’ the rye.
(Coming through) (rye:ライ麦畑)
If a body kiss a body,
Need a body cry ?
E’vry lassie has her laddie;
(Every) (lassie:小娘 laddie: 若者)
Nane,they say,ha’e I;
Nane: 意味不明 ha’e I:意味不明
Yet a’ the lads they smile on me,
Yet a’:意味不明 lad 若者
When comin’ thro’ the rye.
手持ちの歌集では、If⇒Gin、E’very⇒Ilkaとあり、時代が古い上、方言(?)なども
あり、解明は、難しそうだ。
ネットで見つかった、楽譜の前半は、以下。
ネットにある、原歌の日本語訳の楽譜が、以下である。
また、ドリフターズが歌っていた、「麦畑」があり、以下の歌詞である。
著名な、なかにし礼の作詞で、ほぼ、原詩に沿っている。
〇「麦畑」の3曲目は、「故郷の空」である。
この曲は、明治3年刊の、「明治唱歌」に初めて載ったもの。作詞者は、大和田建樹という、国文学者で、日本の美しい自然と、故郷の父母や同胞への望郷の思いを歌っている。
学校などで習って、よく覚えている。
♪夕空晴れて秋風吹き、月影落ちて鈴虫鳴く
思えば遠し故郷の空、ああ我が父母、如何におわす
♪澄みゆく水に秋萩たれ、玉なす露はすすきに水
思えば似たり故郷の野辺、ああ我がはらから誰と遊ぶ
原歌は、前述の2つの楽譜にあるように、リズムに特徴があり、躍るような楽しい歌であるが、以下のタターンの部分‘が、日本人には、やや、馴染みにくいところがある。
タンタ・タターン タンタ・タターン
これを、明治唱歌集への掲載に当たり、大和田建樹とともに、編集者の一人である音楽家の奥好義が、元歌のリズムを少し直して、以下の様に、
⇒タンタ・タンタ・タンタ・タンタ
と、日本人には、歌いやすく親しみやすい、リズムに修正したようだ。
このリズムの、下記の楽譜が、ネット(故郷の空 - Wikipedia.html)で見つかった。
学校などで習った、このリズムの「故郷の空」は、よく覚えている。
若い男女が遊ぶ様子を歌った原曲は、教育上望ましくないとして、全く異なる「替え歌」になっている。
故郷の空の楽譜として、ネットに出ているのは、原曲のリズムの下図である。
大和田建樹作詞として出ているのが、やや、解せないのだが、発表痔の楽譜のリズムをが知りたいところだ。
「麦畑」という歌を通して、3つの曲に親しめるのは、嬉しい限りである。