2022年10月4日(火) ウクライナで再併合へ
この2月のロシア侵攻以来、ウクライナ情勢は目まぐるしく変化したが、遂に、ロシアの
思惑通りに、併合に踏み切ったようだ。
9月30日、4州のロシア寄りの現地政権の幹部を集めて、「条約」と称する文書が署名さ
れた。
4地域の代表とプーチン大統領
ウクライナ東部・南部の地域には、詳細は分からないのだが、親露派政権である、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、等が作られている。ウクライナの行政組織と併存している訳で、地域住民にとっては、ややこしいことこの上無い状況、といえる。
この地域の併合を正当化するため、9月23日~27日の間、住民投票が行われたようだ。ロシアへの編入に賛成か反対か、を問うもので、投票所の様子だが、ロシア兵士が同行して監視したり、管理者の目の前で書かされたり、質問に答えるだけだったりしたようだ。当局は、80%を超える投票率だった、としている。
投票結果は圧倒的な賛成であった、とされているが、投票の自由や公正さが全く保証されていない、インチキの選挙と言え、茶番もいいところだ。
4州を、戦況地図と重ねて、黄色で示したのが下図である。
9月30日午後、国連の安保理で、ウクライナ東部・南部の4州で、親ロシア派勢力が、ロシアへの併合に向けて実施した、「住民投票」を、「違法」とする決議案が提出され、結果は以下だったようだ。安保理の理事国は15で、常任5、非常任10である。
賛成 10か国
アメリカ、イギリス、フランス、アルバニア、ガーナ、ケニア、メキシコ、アイルランド、アラブ首長国連邦
反対 ロシアが拒否権行使し反対
棄権 中国、ブラジル、インド、ガボン
4州のロシアへの編入に関し、条約の批准や具体的な手続きなどが、ロシア国会で進められているようだ。
4州を新たに併合すれば、2014年に軍事力を背景に、強引にロシアに編入した、クリミア半島と同様となり、ロシア本土から、クリミア半島まで、陸続きで、他国の領土を、土足で闊歩できる様になる。
4州の中のザポリージャ州にある原発の管理は、現在も、ロシア軍の管理下にあるようで、敷地内に砲弾が着弾するなど、際どい攻撃を受けている。
核の保有国を自負するロシアは、必要な場合は、原発だけでなく、核兵器の使用もあると威嚇することで、欧米に対して強気に出ているだろうか。
ロシアの国内状況は、いまいち、よく分からないが、戦争に駆り出される兵役を拒否するために、国外脱出者が、急激に増えているようで、コーカサス地方のグルジアなどの隣国への人の流れが多い、という。
国外脱出という消極的方法ではなく、積極的に批判して、政権の方向を変える勢力が現れてこないものだろうか?
ウクライナのNATO加盟申請
ウクライナ侵攻後、ロシアの隣国である、スエーデンとフィンランドが、長年の中立をやめて、NATOへの加盟を申請しており、具体的な手続きに入っているようだ。NATO加盟国は、現在、29か国だが、両国の加入が認められれば、31か国となる。両国の加盟に難色を示していたトルコも、賛成に変わっていると言う。
ウクライナのNATO加盟を阻止するのが、元々のロシアの思惑だが、何たることか、思惑とは裏腹に、ウクライナを、NATO加盟に押しやってしまったようだ。ゼレンスキー大統領は、NATO加盟申請の準備を進める、と公言している。
ウクライナが、NATOのメンバーになれば、ロシアがウクライナを攻撃すれば、NATO軍が対抗する事態となる。これは、世界を巻き込んだ戦争の様相となるだろう。
このウクライナの戦闘は、今後、どのような形に進むのだろうか。全く分からない。
考えられる幾つかのシナリオは以下だ。
・ウクライナが降参し、4州を割譲する。⇒一時的な停戦にはなるが、ウクライナは、簡単には収まらず、ベトナム戦争の様に長期のゲリラ戦になるだろうか。
・ロシアが内部崩壊する。⇒国内の厭戦気分と経済苦境、等から、批判勢力が増加し、プーチン政権が退く。身辺をKGB流に固めているプーチン氏は、容易には退かないがー-。
・ロシアとNATO(欧米)間の新たな戦争に発展する。核による際どい威嚇合戦や、部分的な核戦争になる?