2022年9月22日(木) 最近のウクライナ情勢
最近のウクライナ情勢は、膠着状態で、動きがよく見えなくなってきているが、最新の戦況地図は、下図のようだ。
こんな中で、以下のような動きが伝えられている。
〇原発を盾に
ウクライナには、下図に示すように、ヨーロッパ最大規模のザポロージェ(ザポリージャ)原発(6基)が稼働中で、ロシア軍が管理していると言われ、砲弾が落下するなどの不安にさらされている。南ウクライナ原発(3基)も稼働中で、こちらも、安全が懸念されている状況という。
地図に示されているように、他にも、稼働中や、建設中の原発もあるようだ。
地図の上部の、ロシアとの国境近くに、大事故を起こし、いまだに閉鎖されていて撤去されていない、チェルノブイリ原発という、お荷物もある。
ロシアは、稼働中の原発を盾にする、際どいやり方で、ウクライナを脅しているようだ。
少し前、IAEAが専門家を原発に常駐させる話があり、IAEAの専門家が、ロシア側の危険な行為を止めるよう、警告しているようだ。
〇住民投票の実施
ロシアが掌握している東部・南部のドンバス地域の帰結がどうなるかが、今後のポイントと思われる。“土地や建物は取られても、心の自由はウクライナのものだ”という、以前聞いた、ゼレンスキー大統領の言葉だが、クリミアも奪還して、元のウクライナに戻す、と言うのは、遠い、遠い夢物語だろう。
そこへ、9月20日、親ロシア勢力が掌握している、ウクライナ東部、南部の、ドンバス地域の4州で、住民投票を行うとのニュースが出てきたのは驚きだ。既成事実の固定化を急ぐ、ロシアの意図が具体化したと言える。
4州は、ルガンスク州、ドネツク州、ザポロージェ州、ヘルソン州で、冒頭の戦況地図に重ねて、4州を示したのが下図である。
親ロシア派勢力は、9月20日に、ウクライナ東部、南部の4州の支配地域で、9月23日から27にかけて、ロシアへの編入に向けた、住民投票を実施することを決めた、と表明したようだ。これを、ロシアのラブロフ外相が支持している。
会見するロシアラブロフ外相
メドベージェフ安保会議副議長も、ロシアに編入すれば、ロシアは、すべての防衛力を使える、と威嚇しているようだ。
4州で、通貨のルーブルへの切り替えも進められている、という。
ルガンスク州、ドネツク州を支配している、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国だが、ロシアは、傀儡政権の両共和国を、国家として承認している!
2014年に、クリミアで住民投票を実施し、力ずくで、クリミアをロシアに併合した、同じ手口である。
〇予備役の部分的動員
ロシアのプーチン大統領が、9月21日、国民向けのテレビ演説で、予備役の部分的動員を決めたと表明している。今回は、退役した軍人が対象で、30万人規模といわれ、ウクライナとの国境警備などに充てるようだ。
ロシアは、ウクライナ側の激しい抵抗で、苦戦しているようで、今後、総動員に発展する可能性もある。
大統領は、演説の中で、核戦力の使用も辞さないと、西側を威嚇したようだ。