2014年1月15日(水) くさやー4 天然の良いにおい
このところ、当ブログに、くさや から始まって、においに関連する記事
くさやー1 臭い珍味 (2013/11/30)
くさやー2 においの感覚 (2013/12/18)
くさやー3 五感と嗅覚 (2014/1/12)
を、シリーズ的に掲載して来た。
新年でもあり、良いにおい(匂い)について、触れる事としたいが、良いにおいに関しては、天然・合成の各種香料をベースとして、香水や化粧品、食料品、生活用品の製造販売や、アロマセラピーの提供など、広大なビジネス分野がある訳だ。これらの良いにおいは多種多様で、文化的な背景や個人の嗜好も深く関わっている。
今回は、その中での、天然に得られる良いにおいについての話題である。
○以下は、あるサイトからの引用である。(香りの提案 » Archive » バラ)
“もしバラの花に香りがなかったとしたら、私たちは長い歴史をバラとともに歩み、これほどバラの花を愛でることができたでしょうか。「香りのないバラは笑わぬ美人に同じ」とも言われるように、バラの花は姿かたちよりもその香りゆえに美や愛の象徴として、あるいは「花の女王」、そして「香りの女王」と呼ばれるようになったと思われます。バラの香りは近年の研究により、人の生理、心理に良い影響をもたらすことが分かってきました。”
これを自分流に理解すれば、“バラは、視覚よりも、嗅覚に訴える面が強い”、と言う事で、やや偏った、我田引水にも聞こえるが、それだけ、バラのにおいの良さ讃えている、と解したい。
古代エジプトの伝説の美女、クレオパトラ女王は、バラの姿・形だけでなく、その香りもこよなく愛したと言われる。
○良いにおいや香りは、元々は、天然にあるものだ。 天然の植物から香料成分として抽出したものを、「精油」(エッセンシャルオイル)と言うようだ。
ネットの下記サイトによれば、精油としては、現在、250〜300種類があるようで、植物の種類や抽出部位により、精油は、以下の7つのグループに分けられるという。(精油 - Wikipedia)
?ハーブ系(ハーブの花や葉から抽出)
:クラリセージ、月桃、バジル、ペパーミント、マジョラム 等
?柑橘系(柑橘系の果物から抽出 等)
:オレンジスイート、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、レモングラス
レモンバーベナ 等
?フローラル系(主に花から抽出)
:ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ラベンダー、ローズオットー 等
?オリエンタル系(異国情緒が漂うエキゾチックな香り)
:イランイラン、サンダルウッド、パチュリ、ベチパー 等
?樹脂系(天然樹脂系)
:エレミ、フランキンセンス、ベンゾイン、ミルラ 等
?スパイス系(料理用スパイスである香辛料から抽出)
:カルダモン、グローブ、シナモンリーフ、ジンジャー、ブラックペッパー 等
?樹木系(樹木の樹皮や枝、実などから抽出)
:サイプレス、シダーウッド、ジュイパーベリー、ティトリー、パイン、プチグレイン、ユーカリ 等
植物の名称が、カタカナの洋名の他に、漢字の日本名で呼ばれることもある。
サンダルウッド 白檀(ビャクダン)・栴檀(センダン)
ゲットウ 月桃(ゲットウ)
グローブ 丁子(チョウジ)
スターアニス 八角(ハッカク)
シナモン 桂皮(ケイヒ)・肉桂(ニッキ)
上記のサイトには、主な精油として、100種程が、リストアップされている。このリストの中には、上に例示された植物の他、身近なものでは、
キンモクセイ、ローズマリー、ユズ、ミモザ、ゲッケイジュ、カモミール
なども挙げられている。
又、日本に多い以下の樹木の精油も、英名/和名でリストに出ている。
サイプレス 桧(ヒノキ)
パイン 松(マツ)
シダー 杉(スギ)
他に、リストには無いが、日頃よく接する香りとしては
ユリ、ジンチョウゲ、ストック、ギンモクセイ
などもあるだろうか。
○リストにある、ダマスクローズというバラの花から抽出した、甘い香りの精油は、「精油の女王」とも呼ばれるようだ。
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Clik here to view. ダマスクローズ(ネット画像)
昨年6月、都内北区の旧古河庭園を、園芸仲間と訪れ、バラ園を観賞した。 各種バラの品種名の表示と共に、アルファベットの記号が書いてあり、何だろうと思ったものだ。
今回、ネットの中のサイトで謎が解けたが、各アルファベットは、以下のように、7種の香りのタイプを表しているようだ。 ここのダマスクとは、勿論、ダマスクローズの香りのことである。(冒頭の香りの提案 » Archive » バラ より引用)
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同じサイトに、国内市場で流通している芳香バラの香りタイプの割合が、下図のようにグラフ表示されているが、約80%と大部分が、T(Tea ティ)タイプとあり、驚いた。
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Tタイプについての説明では、
“現代バラの多くが持っている香りで、ソフトで上品な紅茶の葉に似た香りがする。香りの強さは中程度だが、リラックス(鎮静)効果をもた らすティーローズエレメントを多く含み、香りによる効果は最も高い。”
とある。
香りのタイプの区分は、国際的なものと思われるが、このグラフには、日本人の嗜好が色濃く表れているのだろうか。
○やや余談になるが、少し以前のことだが、某メーカー主催の海外見学ツアーで、フランスの或る香料会社の工場を見学させてもらった事がある。そこには、香水などの原料となる香料が、世界各国から集められていた。
詳細は忘れてしまったが、工場内に掲げられている、各種香料を示した世界地図の中に、ある香料の生産国として、Japonもあったのである! その香料は、キンモクセイであった。
キンモクセイは、晩秋の季節、開花すると、いい香りが辺り一面に広がる香木で、香料として異論は無かったのだが、日本の特産品のように扱われていたのが驚きだったのである。
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Clik here to view. キンモクセイの花(ネット画像)
因みに、キンモクセイは中国原産で、日本と比べて、彼の地では、どの程度、生育しているかは定かではないが、現地では、十里香(十里先まで香りが届く!という意)とも言われるようだ。 同様の意味で、ギンモクセイ、ジンチョウゲは、どちらも、七里香とも呼ばれるという。
中国の里程では、一里=約500mと言われるが、いずれにしても、数km先まで香りが届く、と言うのは、如何にも中国らしい、大げさな表現だ。
でも、良い香りが遠くまで届く事を強調しながら、十に対して、片や、七とやや少なくしているなど、感覚的には分りやすい、素晴らしいネーミングと言えよう。
我が家の屋上庭園にも、だいぶ前から、ささやかだが、鉢植えのキンモクセイがある。