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きのこ アラカルト

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2013年12月13日(金) きのこ アラカルト 

 

 我が家の台所には、常時、何らかの きのこがある、と言ってもよい位、きのこは馴染みの食材の一つで、炒め物や、煮物、汁等に手軽に使えて、重宝している。 

 最近は、きのこの人工栽培が盛んなことから、何時でも、ス―パ−で、きのこが安く手に入ることで、珍しさや季節感は、かなり薄れてしまっている。きのこ狩りなどという言葉もあまり聞かなくなったが(たまに、毒きのこ中毒のニュース)、強いて言えば、秋の味覚の一つではあろうか。

 

○我が国では、きのこの王様と言われる松茸は、人工栽培が難しいことから、旬があり、国産はおろか、韓国産やカナダ産でも、結構良い値段で、なかなか手が届かない代物だ。

 一方、通常使うしめじは、1パック80〜100円前後なのだが、先日、「大黒本しめじ」と称し、別格の300円近くする値段でスーパーに出ているのを見つけ、大変気になった。 この大黒本しめじ、ずんぐりむっくりの愛らしい形で、見た目にも美味しそうだ。 

 品名の表示書きに、

     「香り松茸、味本しめじ」

と、昔から言われる諺が書いてある。(本来は、「香り松茸、味しめじ」)  どんなものか、ものは試しと手に入れた。 

 この本しめじと、通常のシメジ(ブナシメジ)を対比して下に示す。

      

       大黒本しめじ     ブナシメジ                       表示(拡大) 

 早速、吸い物にして味わってみることとした。 鰹節を入れない、醤油味の豆腐汁に、このしめじを、縦に薄く切って入れた。 さぞや良い味だろうと期待したのだが、とりたてて旨み等は感じられなかった。

    吸い物                  

 表示には、

     パスタ、バターソテー、酒蒸し、てんぷら なども美味しい

とも書いてあるので、名誉挽回にと、次は、バターソテーにして見た。

 こちらは、炒める時に、いい香りがしたが、特別な味は感じなかった。味と言うよりも、エリンギに似た食感が楽しめるようだ。もう少し厚目に切った方が良かったかもしれない。

    バターソテー

 このきのこの、三重県の製造元では、人工栽培を本格的に行っているようだが、酒造会社の経営多角化の一環なのだろうか。

 この本しめじに、ケチを付ける積りは毛頭ないが、今回の、自分の小さな体験の範囲では、残念ながら、通常の3倍もの対価を払ってまで食べる程の魅力は感じなかった、という事である。

 

○小さい頃に育った山形の田舎では、近くの桑畑などで、ムラサキシメジが採れ、味噌汁に入れて食べたりした。シャキシャキした歯触りが面白く、ほのかな、土のにおいがしただろうか。雨上がりなどに、よく生えて来たものだ。

  ムラサキシメジ(ネット画像より)

 

 又、子供の頃だが、秋に、母の実家の山里に、泊まりがけで遊びに行った時には、近くの山で採れた、きのこをご馳走になった。その中には、しめじもあり、結構良い味がしたようだが、どんな形状だったかは明確な記憶は無く、下図の様な、天然のしめじだったのだろうか。

天然のほんしめじは、松茸同様、今も、人工栽培は難しいようだ。

  ほんしめじ(ネット画像より)

 

 ややこしく紛らわしい、しめじの品種名や商品名、天然物と栽培物との違い、等について、これ以上調べ、詮索するのは、ここでは止めにしたい。

 

 

○きのこで思い出すことの一つは、「ファーブル昆虫記」だ。通勤電車の途中で、この本全20巻を読んだのは、数十年前のことで、好奇心の固まりのような筆者ファーブルが、毒きのこを食べても平気な昆虫への関心から、毒きのこを食べてみたというくだりがあったのを、はっきりと記憶している。

何度も煮沸することで、きのこの毒を抜いて、人体実験さながら、自分で食べたという、その熱意に驚かされたことだ。

 膨大な本の中の何処の記述だったかは定かではないし、何と言う毒きのこだったのか、改めて調べる事も止めよう。 

 

○又、松茸に因んだ話だが、韓国旅行でのハプニングが思い出される。

 少し以前のことだが、ソウルだったと思う。夕食を摂ろうと、とあるレストランに入って示されたメニューを見たら、松茸料理が、リーゾナブルな値段(3千円位?)で食べられるとあるではないか!

 韓国産の松茸はよく見ていたので、早速注文した。出て来たのは、皿いっぱいに盛られた、松茸の炒め煮だったように記憶している。普段、縁が無かった松茸を、腹一杯に食べて、上機嫌でレジに行ったのだが、予想外の金額を請求されたのである!

 詳細は忘れたが、注文を取る時、ウエイトレスが間違えて、昼食用のほぼ半額で表示されている安い方のメユー表を出してしまったようだ。そうとは知らず、こちらは、それを見て注文し、すっかり食べてしまっては後の祭りである。

 

 現れた店の責任者に、係員が間違って申し訳ないと謝られたのだが、請求額はそのままだ。 こちらとしても、最初に値段が分っていれば注文もしなかったことで、簡単に了解する訳にはいかない。 仕事上の旅の途中でもあり、嫌な印象も残したくなかったので、直談判で、中を取って、不足分の半分だけ負担する、ということで一件落着となった。

 彼女はその後、不足分の残りの半分を、給料から天引きされなかっただろうか?

 

○また、田舎では、真っ黒なススタケの入った、いい香りのする、ススタケご飯を食べた記憶があるが、今も、山形の郷土料理になっているようだ。

  干したススタケ(ネット画像より)

 

○ きのこ については、往時、「香り松茸、味しめじ」と言われたのだが、本物のきのこの香りや味を楽しむことは、特に庶民には、縁遠くなっている昨今だろう。

通常利用している きのこ類を、特徴別に分けて見ると、以下のようになるだろうか。

     香り      -------

     味       シイタケ(生、干し) マイタケ 

     とろみ    ナメコ

     歯ごたえ  エリンギ ブラウンナメコ (今回のしめじ)

     形      シメジ ブナシメジ エノキ マッシュルーム 

 普段使う、大抵のきのこには、香りはなく、シメジは、味というよりも、エノキなどと同じく、料理の中では、形が面白く、何とでも相性が良く、賑やかなアクセントにもなっている、といえよう。

 今や、何時でも、安く手に入る きのこ類を、手軽に使って、形や食感等を楽しめる時代になっている、と言う事であろうか。

 


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