2021年4月20日(火) 原発事故汚染水の処理 続き
当ブログでは、10年前の原発事故に関し、最近話題になっている、汚染水の処理について、先日、以下の記事を投稿した。
原発事故汚染水の処理 2021年4月16日
本件は、その続編であり、主に、トリチウムのことを取り上げている。
〇ALPS処理システム
事故原発から現在も出て来る汚染水の処理は、極めて重要な課題である。汚染水の中に含まれている、放射性物質を除去しなければならない。
このために、下図に示すように、処理システムが、二段構成となっている。
一段目は、下図左側のセシウム吸着装置で、セシウム、ストロンチウムを除去し、これを、図にあるストロンチウム処理水として、一時的に、タンクに貯蔵している。
二段目は、下図右側の、多核種除去装置(ALPS*)で、トリチウム以外の放射性物質をほぼ除去していて、これによる処理水を、多核種除去設備による処理水として、異なるタンクに貯蔵している。 このタンクが膨大な量になっているといわれる。 この処理水には、除去できないトリチウムが残っている。 ALPSは、2011年の原発事故後の、2013年3月以降、稼働している。
*Advanced Liquid Processing System
出典:汚染水の浄化処理 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス
〇トリチウム
トリチウムという言葉は、すっかり身近になったが、内容は、筆者には、よくわかっていない。長い間気になっていたことで、改めて、調べてみた。
ネットには、下図が出ている。(トリチウムなど含む処理水 薄めて海洋放出の方針決定 政府 _ 福島第一原発 _ NHKニュース_files から引用)
*トリチウムの構成
トリチウムの構成について、以下のサイトから、下図を引用 。
「トリチウム水」って何?汚染水対策の最新状況と今後の課題 _ 三菱総合研究所(MRI).
◇原子レベルでは、以下のようになる。
・水素原子Hydrogenは、通常の水素で、軽水素と呼ばれる。
・これに、中性1個が加わった水素の同位体が、Deuteriumで、重水素(Deは2の意)と呼ばれる。今回、初めて知った呼称だ。
・更に、中性子1個が加わった同位体が、Toritiumで、三重水素(トリは、3の意)と呼ばれる。
ネットからの関連情報を含めて、改めて、整理すると次のようになる。
水素原子 (Hydrogen 通常の水素 軽水素)
陽子1+電子
デュートリウム (Deuterium 重水素) 化学的性質は水素原子と同じ
陽子1・中性子1+ 電子1
トリチウム (Tritium 三重水素) 化学的性質は水素原子と同じ
陽子1・中性子1・中性子1+電子
これら3種の水素の中で、軽水素、重水素は、安定して存在している。一方、三重水素は、不安定で、半減期が12.3年で、β崩壊し、ヘリウム4になるようだ。(ヘリウム4は通常のヘリウム)
◇分子レベルでみると、以下のようになる。
普通の水 H水素1+H水素1+O酸素1
トリチウム水 H水素1+Tトリチウム1+O酸素1