2013年10月16日(水) 2020年オリンピック その3
2020年夏に、東京で開催する事が決定したオリンピック・パラリンピックについて、先日、当ブログで、
2020年オリンピック その1 (2013/9/27)
2020年オリンピック その2 (2013/10/4)
として取り上げている。
その1では、最終プレゼンテーションや、投票結果等について、その2では、施設の整備や、オリンピック人気、地球規模での開催地の広がり等について、触れてきた所だ。
今回は、オリンピックの競技種目に関して、夏季オリンピックについて、概略、見てみたい。
◎競技種目の現況
オリンピックの競技や種目について、改めて調べてみた。オリンピック憲章に拠れば、オリンピックでは、大きな分類として、先ず競技がある。(オリンピックの競技、種別、種目の違い)
「競技」は、英語では「sports」といい、最も記憶に新しい、昨年のロンドン夏季オリンピックでは、26競技、となっている。具体的な競技名は、後出するので、ここでは省略する。
競技を、やや細分したものが、種別「disciplines」で、以下のように、7競技で、20種別に分けられている。
競技 種別
水泳 4種別(競泳 飛び込み 水球 シンクロナイズドスイミング)
レスリング 2種別(フリースタイル グレコローマン)
体操 3種別(体操 新体操 トランポリン)
バレー 2種別(バレーボール ビーチバレー)
自転車 4種別(略)
カヌー 2種別(略)
馬術 3種別(略)
この種別の分類は、現在は、必要性は薄いようだ。
そして、実際に競技が行われるのが、種目「events」で、ロンドンオリンピックでは、以下のように、302種目あり、これには男女別も含まれている。この数だけ、金メダルがある訳だ。
ロンドンオリンピックの競技ごとの種目数競技名
種目数
(男)
(女)
(混合・共通)
1
陸上
47
24
23
-
2
水泳
46
22
24
-
3
2
1
1
-
4
テニス
5
2
2
1
5
ボート
14
8
6
-
6
2
1
1
-
7
ボクシング
13
10
3
-
8
4
2
2
-
9
体操
18
9
9
-
10
2
1
1
-
11
レスリング
18
14
4
-
12
10
6
4
-
13
ウェイトリフティング
15
8
7
-
14
2
1
1
-
15
18
9
9
-
16
4
2
2
-
17
6
-
-
6
18
10
5
5
-
19
14
7
7
-
20
射撃
15
9
6
-
21
2
1
1
-
22
カヌー
16
11
5
-
23
4
2
2
-
24
5
2
2
1
25
8
4
4
-
26
2
1
1
-
総種目数
302
162
132
8
上表にあるように、26の競技間には、種目数の多少に、かなりのばらつきがある。
最も種目数が多いのは陸上競技で、オリンピックの原型とも言え、花形でもある陸上競技だが、競技としては、なんと1だが、 含まれる種目数は、47にもなっている。でも、トラック、フィールド、マラソンなどという、種別分けは無いようだ。
一方、種目数が10未満の競技が、23もあり、しかも、その中で、たった2種目しかない競技が、14もある。
◎ 競技種目の変遷
近代オリンピックが始まって以来、競技や種目で、幾多の変遷を経てきている。
主なオリンピックでの、これらの状況を見てみよう。(オリンピック競技 - Wikipedia)
第1回 1896年 アテネ 10競技 43種目
以来、現在まで中断無しに続いている競技は、
陸上、競泳、体操、フェンシング
の4競技だけという。
第18回 1964年 東京 22競技 161種目
1964年の東京オリンピックについては、稿を改めて触れる予定たが、競技としては、新たに柔道とバレーボールが加わっており、以降、現在まで続いている。
第30回 2012年 ロンドン 26競技 302種目
これについては、前述のとおりである。
前回の北京から見ると、競技には変更がなく、種目で、+1、−1のわずかな増減があったようだ。
今後に予定されているオリンピックの方向は、以下である。
第31回 2016年 リオ 28競技 300種目?
リオオリンピックでは、ロンドンオリンピックの競技を継承した上で、2競技が加わっている。
一つは、ゴルフで、2020東京でも継承される。でも、ゴルフは100年以上前に、たった2回だが行われた事があり、その復活となるようだ。
今や、ゴルフは、プロ・アマを問わず、世界的に盛んだが、オリンピックでの復活の考え方は何だろうか。
一方、7人制ラグビーが新たに加わるようだ。一般に行われるラグビーは、15人制だが、7人制は、殆ど同じようなルールとフィールドで行われるようで、人数が半分と少なくなる分だけ、選手の負担が大きいので、試合時間が、40分→15分に短縮されるという。この競技も、2020東京でも継承される。
初期のオリンピックでも、通常のラグビーが数回、行われたが、1924年を最後に行われなくなったようだ。7人制ラグビーは、その延長上にある、ラグビー競技の復活とも言えるだろうか。
第32回 2020年 東京 28競技 300種目?
2020年のオリンピックが東京開催になったが、一方、周知のように、競技に関しては、やきもきさせられた。
2020年のオリンピックでは、ロンドンオリンピックの26競技の中で、レスリング以外の25競技は残すが、あと1競技の枠を巡って争われた。
最終的に、この1枠の候補に残ったのは、以下の3競技であった。
・レスリング
・野球・ソフトボール
・スカッシュ
先ず、レスリングだが、国技であるイランやロシアなど、参加者は多く、日本も、お家芸とも言え、オリンピックでは数多くのメダルを獲得しているだけに、2020年の競技から外れる候補に挙げられたことは、関係者には予想外の事態だったろう。
ロンドンオリンピックの時、レスリングについては、自分は、かなり、テレビ観戦したのだが、IOCから指摘されたように、観ていて分り難く、場外すれすればかりでイライラが多く、判定も曖昧だ。鮮やかなフォール勝ちが殆ど無く、小手先のポイント稼ぎが多いのもすっきりしなかった。
種目での男女の差が大きい事も問題になったが、日本のレスリングは、皮肉にも、種目の少ない女子が世界を圧倒している。
世界中の関係者の、生き残りをかけた必死の努力で、レスリングが競技として残ることとなった。奢ることなく、原点に返って、ルールの改善や、種目での男女差の是正などを行い、レスリングが、分りやすい、面白く楽しめるスポーツに生まれ変われるなら、今回の騒動が、結果として、良い薬になったといえるだろうか。
今回のレスリングに突き付けられた課題は、格闘技全般に共通するものでもあり、日本伝統の柔道競技についても、見直して欲しい点は幾つかある。
分りやすく誰でも楽しめる方向にするという、謂わば、大衆化路線には、レスリングにしろ、柔道にしろ、イランや日本での、本来の伝統的な競技や武芸の立場から見ると、不本意な意見も多いだろうか。
二つ目の野球・ソフトボールは、08年の北京オリンピックでの、とくに、女子ソフトボールの金メダル獲得の印象が強いのだが、その後、ロンドン、リオと出番が無く、2020年に復活と言う可能性もあった。日本としては、レスリングも、野球・ソフトも、との思いはあったが、大山鳴動したが、予想通り、レスリングに落ち着いたということだ。
野球については、この所、人気が高まっているWBCで、日本が活躍できそうで、オリンピック種目にはなくとも、そちらに期待するとしようか。
三つ目のスカッシュだが、ヨーロッパで盛んなようだが、マイナーな競技ながら、注目された。壁に向かっての選手同士のめまぐるしい動きは、疲れも大きく、若者向きだろうか。
ガラスの檻の中での様子を、見世物のように外から眺めているのは、余り好きにはなれなかった。立体的なビリヤードとも言えようか。
オリンピックの競技や種目を増やしたいという要求と、肥大化を押さえる必要性とのせめぎ合いが、今後も続けられる事であろう。
◎サッカーの特異性
手を使わず、足だけでやる球技は、文字通り、フットボールと呼ばれ、イギリスが発祥で、それから、ラグビー(フットボール)や、アメリカンフットボールが派生している。
アメリカでは、サッカーと呼ばれ、日本でも、サッカーと呼ばれるのが普通で、オリンピックでも、サッカーだろうか。フットボールとサッカーとの呼称の差異については、ここでは触れない。
単一の種目で、全地球的に、これ程人気のあるスポーツは、他には無いと思われるが、その盛んな理由は、何だろうか。
極論だが、サッカーは、ボール1個さえあれば、場所は、どこでも出来、他に道具や設備は無くても楽しめるのだ。 その手軽さや、金が掛からず、屋外で遊べる所が、先ず、魅力だろうか。
発展途上国など、経済的には恵まれていない地域でも出来るスポーツ、と言うと語弊があるが、同じ球技でも、野球、バスケ、バレー、テニスなどと比較すると良く分る。
一方、サッカーでの基本ルールは、手を使ってはいけない、と言うことで、厳禁である手を使うとハンドの反則となる。
自由に手を使えるものの、ルールやフィールドが難解な、ラグビーや、アメフトなどと比較すると、サッカーは極めてシンプルであるところも、大きな魅力だろう。
サッカーでも、身体が触れ会う事が多いだけに、着衣を引っ張ったり、相手に足を掛ける等の、ファウルの反則も結構あり、やや、分り難いところだ。そして、サッカーで、極めて微妙で難解なのが、オフサイドの反則だ。
でも、これらについては、ここでは省略したい。
サッカーには、オリンピックに比肩でき、それを凌ぐとも言われるビッグイベントである、4年毎に開催されるワールドカップがあり、夏季オリンピックとは逆になる、冬期オリンピックの年に開催されるが、来年の2014年が、その年に当たる。
オリンピックでのサッカーは、1900年の第2回大会以降、オリンピック競技になっているようだ(以降、2度の休みがあるが)。 一方、サッカーワールドカップの第1回大会が南米で行われたのは、1930年のようで、オリンピックの方が、かなりの先輩となる。
その後の経過については把握していないが、サッカーに関して、オリンピックとワールドカップの間で、現在は、棲み分けがなされており、オリンピックでは、年齢制限を設けて、若年層を主体としており、ワールドカップは年齢制限が無い、成人層を主体とした大会になっている。後発のワールドカップの方が、先発のオリンピックよりも格は上になるだろうか。
いずれにしても、往年のイギリス人は、遊びの達人として、サッカー(フットボール)という、大変な文化遺産を残してくれたものだ、と思う。