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事故原発との闘い   3

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2013年10月11日(金) 事故原発との闘い  3

 

 

 東日本大震災と福島第一原発事故から、丁度2年半が経過した先日、当ブログに、

    事故原発との闘い  1 (2013/9/11) 

の記事を投稿し、当面する汚染水問題の処理等について触れたところである。汚染水問題はその後も、一向に改善されていない。

それどころか、高濃度汚染水から塩分を除去する装置周辺の配管取り換え工事で、誤って、対象外の管を外してしまい、汚染水が大量に漏れて、作業員が被曝するという、設備管理上の初歩的なミスの事故が、一昨日、発生している。

 

 引き続く記事

    事故原発との闘い  2 (2013/9/16)

で、廃炉処理の関連で、まず、実際に原子炉の解体作業が行われている、東海村の事例を取り上げた。 前稿で引用した図を、再度、以下に示す。

  

 古くなった日本の東海原発は、廃止措置の作業途上にあるが、国内では、他に、浜岡原発1、2号機も、同じ理由で廃炉にすることが決まっていて準備中ということだ。

上図にある各国の措置数の殆どが、原子炉の耐用年数から、廃炉にするケースである。これらの作業の場合は、計画的に行えるわけだ。

 

 一方、この図には、深刻な原発事故を起こした、

     アメリカ   スリーマイル島原発 

     ウクライナ チェルノブイリ原発

     日本     福島第一原発(1〜3号機・4号機)

も含まれており、こちらは、メルトダウンを起こしているため、比較にならない時間と大変な作業が必要となる。 

 

 本稿では、40年もかかると言われる、福島第一原発の廃炉処理について、ロボット技術を主に、簡単に触れたい。

 

 

  福島第一原発での廃炉工程表(後出のNHK解説記事より)

     

 汚染水を生み出す根本の源を断つには、破損している原子炉周辺を修理し、汚染水が漏れないようにする必要がある。この修理が出来る作業環境にするためには、邪魔な がれきや、破損物を除去しなければならない。そのためその前に、先ず、設備の状況を、正確に把握する必要がある。

 言うまでも無く、メルトダウンしている原子炉周辺は、高い放射線が出ていることから、調査作業自体を安全に行う必要がある。ここで、直接作業員が近づくのは危険なため、人間に代わって、遠隔操作や自力型で作業が出来る、機械やロボット等が極めて重要となる。

 

 日本は、ロボットの先進国、ロボット大国などと言われるが、これは、主に工場等で、生産性を上げるための工業用ロボットの分野での話であろう。 

 今回必要とされる、高放射線量などの危険性が高い環境や、がれきが散乱して足場が不安定な環境で、作業するロボット開発の分野では、諸外国に大きく遅れをとっているようだ。

事故直後、早速活躍したロボット達は、アメリカやフランスで使われているものであった。

 福島第一原発事故後、日本学術会議の提言等もあって、この分野のロボットの研究開発も急ピッチで進められてはいるようだが、状況を調べる調査用ロポットから、修理を行うロボットまで、課題は多いようだ。

 このような機材の研究開発が、どのように組織化されて行われているのか、現状の進捗状況はどうなっているのか、良く見えないのだが、事故後2年を経過したこの3月、NHK番組があり、この関連の解説記事があったのでこれを参照したい。

時論公論 「原発事故2年 廃炉への困難な道のり」 | 時論公論 | 解説委員室:NHK 前出の廃炉工程表も)

 

 この中で、水野解説委員は、以下の様な、幾つかの失敗談に触れている。

   ・バルーンを使った内部の撮影  :バルーンが、がれきの金属片に当たって破れる

   ・クレーンによるがれきの撤去  :鉄骨をつかみ損ねてプールに落下

   ・階段の昇降が出来る4足歩行ロボット :階段の穴に足が嵌って動けず

           4足歩行ロボット 

 前稿で触れた、東海原発の廃炉作業は、遠隔操作が主体のようだが、これらの経験の蓄積も、今後に生かされるだろう。

 欧米の米、仏等では、核兵器の開発・保有という、軍事上の必要性から、この種ロボットを開発する状況がある、とも言える。 我が国は、あくまでも平和利用だが、東日本大震災を経験した今、これらの困難を乗り切る中で、

   ・災害復旧用のロボットや機材、

   ・高放射線環境下で作業できるロボットや機材

の開発・実用化を推進する必要があり、解説記事で指摘しているように、官民挙げた取り組みが必要だ。

廃炉工程を、1年早める等の楽観論もあるようだが果たしてどうだろうか。

 

地道な取り組みだが、じっくり腰を据えて、防災対策や原発の安全管理の面での、技術やノウハウを蓄積する、又とないチャンスと考えたいものだ。

 又、経済原則には乗り難い分野であることでは同様の、介護や福祉ロボットの開発でも、高齢化社会を迎えた今、何らかのインセンティブが持てるような施策が必要だろう。

 

 

 


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