◇決勝トーナメント
予選リーグの1―2位間と、3―4位間で、それぞれプレーオフを行い、対戦する組み合わせを決める。
▼プレーオフの結果
第1試合(予選1―2位)
日本 4-8 スイス
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
合計
スイス
1
1
0
1
0
0
3
0
2
×
8
日本
0
0
1
0
1
1
0
1
0
×
4
日本代表は2度目の対戦も惜しくも敗れ準決勝へ。
第2試合(予選 3―4位)
ロシア 7-4 カナダ
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
合計
ロシア
0
2
2
0
1
0
0
2
0
×
7
カナダ
0
0
0
1
0
0
2
0
1
×
4
ロシアが準決勝へ
▼準決勝
日本 7-5 ロシア
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
EE
合計
ロシア
0
0
0
0
1
0
2
0
0
2
0
5
日本
0
0
0
1
0
2
0
1
1
0
2
7
日本―ロシアは、予選を含め、2度目の対戦
延長戦を制し、日本チームが決勝進出!!
(ネット画像より)
▼3位決定戦
カナダ 8-9 ロシア
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
合計
ロシア
2
0
1
1
1
0
0
3
0
1
9
カナダ
0
2
0
0
0
2
2
0
2
0
8
▼決勝
スイス 9-6 日本
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
合計
スイス
0
1
0
0
1
0
3
0
2
2
9
日本
0
0
0
1
0
2
0
3
0
0
6
日本代表はスイスとの今大会3度目の対決で、悲願の初Vへ挑んだ!!
残念ながらスイスに9-6で惜敗。しかし銀メダル獲得という過去最高の成績を残し大会を終了。
■日本有利な後攻め。10エンドは、7-6とリードされていて、最後に追いつき、EEへ持って行くチャンス。
スキップ藤沢の最終ショットは、手前の石達が可なり邪魔したとはいえ、ハウスの中心の近くに持って行ってNO・1を狙う(ドロー)のは、これまでの彼女の腕前からして、そんなに難しいショットには見えなかったのだが、どうしたことか、投げた石は、中心部を通りすぎてハウスの外に出て仕舞った! この結果、スイスのストーンがNO.1、2と残って、試合は終わった。
これを見た時、多くの日本フアンも唖然とし、何とも悔しい思いを味わった。
終了後のインタビューでは、藤沢当人やチームメンバー達は、銀メダル獲得という、初の快挙を成し遂げた嬉しさよりも、金メダルを逃がした悔しさが大きく、これまでの幾多の苦労も思い浮かんで、涙が止まらなかったのだろうか。 次のステップで飛躍するための、得難い経験となるだろう。
▼世界女子カーリング選手権2016 最終順位
金メダル:スイス
銀メダル:日本
銅メダル:ロシア
4位:カナダ
近年の優勝国
世界選手権 冬季オリンピック
2015年 スイス
2014年 スイス 2014 カナダ
2013年 スコットランド
▼通算では、ダントツの優勝回数を誇るカナダだが、近年は優勝しておらず、今回、地元開催でのこの成績で、その悔しさはいかばかりだろうか! 王座の地位が揺らぎ始めているとはいえ、でも、世界ランキングは1位だ。
日本としては、予選リーグで、カナダに信じられない大勝をしたこともあり、スイスには、3回とも勝てなかったのだが、カーリングの頂上が、少し見えてきた、といえるだろうか。
◇今後に向けて
今大会での日本チームの大活躍で、今後、我が国でのカーリング熱が高まるだろう。
カーリングは、スキーやスケートなどの通常のウインタースポーツと異なる、ユニークな競技で、
氷上のチェス、氷上のビリヤード
などとも呼ばれるように、可なり、メンタル的で、静的な室内競技の要素が強い。ルール自体は、比較的単純で、覚えるのはそう難しくは無い。
▼本稿冒頭に示した、カーリング 2の記事で、物理的な側面から
・石の直線運動:初速度と到達距離
・石の回転運動:氷面との摩擦 曲がり具合 スイープの利き方
・石同士の衝突:石間距離 接触面 飛び方 方向
等について考察したことがある。
でも、氷や石という自然を相手にすることなので、理想的な物理現象とはならない訳で、スキップの藤沢が言っていたように、氷のコンディションを如何に読むか、がポイントで、それをチーム内で共有するコミュニケーション能力も重要という。
氷の状況を読んだ上で、投げた石、当てられた石をどうするかが、技術的に重要で、
テークアウトショット(相手石を弾き出す)(ダブル/トリプルテークアウト)
ドローショット(ハウス内の望む位置に自石を置く)
自石を横並行に並べる/縦方向に並べる(相手のテークアウト防止)
相手石の進路を妨害する/自石を相手から守る(ガード)
自石/相手石に接触させて守る(フリーズ)
等がある。
▼今大会での日本チームの対戦状況を、TV中継で何度も観戦したが、競技として勝負に勝つための、戦略・戦術の難しさを、痛感させられたことだ。自分がスキップだったら、投げる側だったら、どうするだろうか、と考えると分らなくなる。
TV画面では、天井のカメラで全体を写せるので鳥瞰出来るが、選手達には、目の高さで見えるだけだ。投げる側から見れば、平面上に石が見え、直線的な目線の先の石の重なりは分るが、相互の距離や位置関係を把握するのは難しい。 この事から、石の初速や回転をどうするか、スイープをどうするかが問題となる。
エラーやミスは付き物だが、味方ではこれらを如何に少なくし、その確率を少なくすることだ。逆に、相手のミスをどう誘い出し、それを利用するかだろうか。
▼競技のルールでは、後攻めが圧倒的に有利となるのだが、これを巡って、熾烈な駆け引きが行われる。 先攻め後攻めの関係を、次のエンドに引き継ぐために、敢えて、ブランクエンドにする作戦も、よく出て来る。試合の終盤では、味方が、特に最終10エンドで有利な後攻めを如何に獲得するか、が重要なポイントとなる。
通常のセオリーでは、
・後攻めでは、0点(1点も取れず)か、1点取る(取らされる)のは失敗で、2点以上を取れるように持って行く。
・先攻めでは、相手が1点取らざるを得ない状況を作る(相手が失敗すると、こちらが2点以上得点できる等)
と言われる。
このため、全体としては、
・リードしている時は、ミスするリスクを小さくするため、ハウス内を出来るだけ綺麗に、が原則(テイクアウト作戦)
・リードされている時は、ハウス内に味方の石をできるだけ多く残し、相手のミスを誘う、のが原則(ドロー作戦)
となるようだ。
観客席(TV観客席)から、評論家然と言うのは簡単だが、実際に競技会場で氷上に立って、戦う選手となると、大きなプレッシャーがあり、並大抵の精神力では勤まらないことだろう。
通常は、カーリングのTV中継等も少ないのだが、さしむきは、近く開催される男子世界選手権(4/2~4/10)に出場する、日本男子チームの活躍を期待したい。
そして、来年の世界選手権や、再来年のピョンチャン冬季オリンピックを楽しみにしたい。 日本女子は、今大会でオリンピックポイントを、12ポイント獲得し、冬季五輪の出場を、ほぼ確実にしている。