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高浜原発の再稼働

2016年1月31日(日)  高浜原発の再稼働

  

  再稼働を進めて来た、福井県の関電高浜原発3号機が、1/30日早朝、臨界状態に達し、2/1から発送電を開始し、2月下旬には営業運転に入るという。

東日本大震災で、全国の全原発が運転を停止したが、その後、新規制基準に基づく適合審査に合格して再稼働するのは、昨年の、川内原発1、2号機に続いて、これが3基目になる。

 

 高浜原発については、既に、昨年3月に、規制委員会での規制基準の適合審査に合格しているのだが、昨年4月に、福井地裁で、運転差し止めの仮処分が出ていたものだ。

この辺の状況については、本ブログの下記記事

    原発再稼働の司法判断  (2015/5/13) 

で取り上げている。

 

 仮処分に対する、事業者(関電)の不服申し立てで、この仮処分が、昨年12月に、俄に解除されることとなった。同一案件に対する同一地裁での司法判断が異なったわけだ。これを受けて関電は、間髪を入れず、再稼働のスケジュールを発表し、検査を受けて、1/29に制御棒の引き抜きを開始し、再稼働が始まった。再稼働については、関連する自治体の了解は、既に、とりつけているようだ。 

 停止原発の再稼働については、川内原発に続いて、四国電力の伊方原発が、2か所目になると想定していたところだが、高浜原発の再稼働差し止めの仮処分が早期に解除され、事業者の準備の手回しの良さもあり、再稼働が行われたことには、聊か、驚かされたところである。 

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 (図はネット画像)

高浜原発 (奥)↑2号機、↑1号機

                 (手前)↑4号機、↑3号機

 

○司法判断

 原発の再稼働については、世論も賛否分れているのは周知の事だが、筆者としては、やや現実離れした反対意見も多いのも、気になる所だ。

特に、先の福井地裁での、“安全性に疑問があるので再稼働を差し止める”、という仮処分の判決内容は頂けない。上述の記事でも述べているので、詳細は略すが、この判決では、規制委員会での適合審査の状況を正確に理解せず、半ば素人の裁判官が、感覚的に判断しているという構図に見える。裁判官の属人的な要素による偏った判決、とも言われた。

 今回は、裁判官も代わったことで、常識的で、妥当な判断になった、と言えようか。公正であるべき司法判断の裏で、どの様なやり取りや駆け引きがあるのかは知る由もない。原発の再稼働は、突き詰めれば、所詮、人間が関係することで、利害が絡むことでもあり、考えたくはないが、金銭的なやり取りや、便宜供与等も、あるのだろうか。

  

○安全性とリスク

 筆者が、何度も言っている事だが、原発だけでなく、交通機関や建造物などを含め、100%の安全性は、本来、科学的にはありえないことだ。想定する自然現象の確率と対策の確かさ、品質の劣化、人間の行動のミスなど、何らかのリスクは必ず伴うもので、0にはならないのだ。

時代と共に変わって行く、

  ・必要性・利便性、

  ・想定されるリスク、

それぞれを、両天秤にかけて、その時に得られる、しかるべき措置を講じながら、社会は動いていると言える。 

 そして、原発については、少なくとも、新たに設置された規制委員会に関する限りでの安全性については、公正に、客観的に、科学的に、調査や審議・審査が行われている、と確信しているところだ。

 

 高浜原発の再稼働に当たっては、稼働後に出てくる、使用済み核燃料の処理の仕方について、破綻状態にある日本の核燃料サイクルを取り上げて、“トイレの無い住宅をつくるようなもの”、などと批判する論調もあった。

これの関連では、原子力規制委員会が先だって、原発「もんじゅ」の事業主体を見直すように、と勧告しているところだ。

これらは、国の骨格に関わる課題であり、稿を改めて取り上げる予定である。

 

 

○事業者側の経営状況

 どの事業者も、原発の全面停止に伴い、火力発電を大幅に増やしているが、そのコスト増は相当なものだろう。この事もあって、関電は、3年前に続いて、昨年6月に、再び電気料金の値上げを行ったようだ。経営的にどの様な状況なのだろうか。

 関電としては、今回の再稼働に続いて、2月下旬には、高浜4号機も再稼働し、軌道に乗れば、1ヶ月で120億円もの収支改善が見込まれるとしている。他社に比較して、原発依存率が高かった関電としては、再稼働に賭ける期待は極めて高いようだ。

一方、4月からの電力の自由化への対応も待ったなしである。原発の再稼働を予定通りに進めることで、4月には、電気料金の値下げを申請するという。

 

 


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