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日韓首脳会談ー従軍慰安婦の影

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2015年11月11日(水)  日韓首脳会談―従軍慰安婦の影  

 

 先日11月2日に、3年半ぶりに、韓国ソウルで、日韓首脳会談が行われたが、現首脳である、安部総理と朴大統領にとっては、初会談である。この会談は、先行した、日中韓三カ国首脳会談に引き続いて開催されたものだ。  

1時間程は、両首脳だけの少人数での話し合いだったようで、後半40分程は、関係者も交えたものだったという。 終了後、公式の声明や記者会見はなかったようだ。

 首脳会談では、韓国側は、従軍慰安婦問題の、年内解決を要求したようだが、日本としては、「解決済み」との従来の基本スタンスは保持しつつも、できるだけ早い時期の決着を目標に、交渉に応じることとし、今後、局長級の事務レベルで具体策をつめることとなった、という。

日本にとっては、韓国・朝鮮は、最も近い隣国で、プラス、マイナス両面で、長い歴史を通じて結びつきは深いが、両国間の当面の最大の懸案は、従軍慰安婦問題と言われた。日本政府は、既に解決済みとしてきたが、韓国政府は、この問題の解決が首脳会談の前提だと、強硬な姿勢を続けて来たものだ。 

 今回、形だけでも首脳会談が開けたことは前進、といういい方が出来るが、具体的な成果が無かったことで、韓国国内の評価は、厳しいものがあるようだ。

伝えられる所では、安部総理に対する韓国側の扱いは、食事も用意しない冷たいものだったようで、総理は、「カノッサの屈辱」を味わわされた、とも評された。御蔭で筆者は、この言葉を覚えた次第。(カノッサの屈辱)  

 

 従軍慰安婦問題については、当ブログでも、下記記事で取り上げているところだが、

      今年の終戦記念日  1 (2015/8/28)

果たして、この問題は、今後どの様に展開していくのだろうか。 

 今回、これまでの経過等について、重複は避けながら、改めて、要点を整理し、今後について、自分なりに考えてみた。 

 

◎経過 

①日韓基本条約

 日本と韓国の間で、両国間の平和条約締結交渉が行われ、1965年の日韓基本条約の締結と関連協定の成立によって、多額の経済協力金を支払う等をしている。 日本政府としては、これにより、戦争に関わる請求権の問題は、形の上では、従軍慰安婦の問題も含めて、全て解決済みとなっている、としている。 

 所が、先稿で触れたが、交渉の段階では、韓国側からは、従軍慰安婦については何の問題提起も無かった、という。しかし、条約等の成立後になって、何度か、問題提起がなされてきたようで、日本側から見れば、「蒸し返し」であり、「後の祭り」でもある。 これはどういうことだろうか。

 ネットで見つかった、2014年1月の記事を、以下に引用したい。 (日本の賠償金(経済協力金)はなぜ従軍慰安婦に使われなかったのか(辺真一) - 個人 - Yahoo!ニュース

 “韓国側の交渉責任者であった李東元外相(故人)は今から19年前、国交樹立30年目の年にあたる1995年、慰安婦問題が交渉時にどのように処理されたかについて次のように証言していた。

 「記憶がはっきりしないが、当時の協定条項には従軍慰安婦の問題と被爆者、徴用者に対する賠償はどこにも含まれなかった。誰の口からも持ち出されなかった。理由は、従軍慰安婦の問題は被害者である韓国にとっても、加害者である日本にとっても恥ずべき歴史の痛みであるからだ。この問題を持ち出せば、国民感情を損なうだけで、外交的に得るものがないからだ。それで、この問題は将来の両国の関係に委ねることにした」

被害者国の韓国側からの提起もなく、討議の対象になっていなかったことからみても第一次的な責任は韓国側にある。” 

 赤字にしたのは、筆者だ。この証言を、額面通りに理解すれば、韓国側は、従軍慰安婦問題を忘れていた、のではなく、持ちだしにくく、躊躇した、という事だろう。

あるいは、交渉当時は、取り上げる程の大きな問題とは思っていなかった、のだろうか。

 一方、加害者側となる日本は、交渉当時は、どの様な認識だったのだろうか。

この習慣は、何処の戦場でも行われていることだ、と、大した問題ではないと軽く見ていたかもしれない。戦前の朝鮮・台湾は、やや地位の低い、手に入れた領土であり、旧憲法下では、女性の人権を含め、基本的人権は、可なり低く見られていただろうし、新憲法になっても、それ程の認識は無かったようにも思える。 

 上記の、交渉時の元外相の証言は、後になってからの、言い訳にも聞こえるのだが、一歩譲って、交渉当事者達は問題の所在を認識していた、としよう。 証言にある、将来の両国の関係に委ねるべき課題(所謂、FS:Further Study)であったならば、その旨を明記しておくこともできただろう。が、それもなかったようだ。 

 

 ② 河野談話

 慰安婦問題で、軍の強制の有無を調査し、その結果を公表した、1993年の「河野談話」がある。前稿にもあるので、詳細は省略するが、談話では、軍の関与や強制は無かった、とはしておらず、何らかの関与があったと認めているようだ。

  この談話が、その後の、政府や民間レベルでの、韓国側からの賠償請求等を後押ししたようだ。韓国の裁判所では、民間から、従軍慰安婦関連の賠償の訴えも出ているようだ。     

  又、国際の場でも、韓国は、重大な人権問題としてアピールを行ったようで、クマラスワミ報告などでも採りあげられている。(慰安婦 - Wikipedia  等) 

③アジア女性基金事業

 ②との関係等の詳細は未調査だが、1995年に、従軍慰安婦へのお詫びと補償を支援する、「女性のためのアジア国民平和基金」(通称 アジア女性基金)が設立され、韓国、台湾等の従軍慰安婦(300人弱)に対し、お詫びの手紙と、一人当たり200万円が支給される等が行われたようだ。事業の終了に伴い、2007年に、組織は解散している。(女性のためのアジア平和国民基金 - Wikipedia

④70年談話 

 戦後70年となる、今年の終戦記念日に際して、安部総理から、「70年談話」を発表したが、その中に、

   「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」

と言う下りがある。(http://matome.naver.jp/odai/

 ここでは、慰安婦という言葉は使わず間接的に触れている。でも、この表現は、相手に謝罪しているのではなく、事実があったことを忘れないよう、日本国民へ呼びかけている、というものだ。

   韓国国花 ムクゲ

◎ 今後に向けて

 先日11/8の、NHK-TVの日曜討論で、日中韓三ケ国首脳会談がテーマとなり、その中の一つとして、日韓の、従軍慰安婦問題が取り上げられた。出席した、岸田外相、3人の専門家、NHK解説委員からは、この問題の解決方向や、具体性のある解決策は、何ら示されず、やや期待外れに終わった。 

 以上の様な、これまでの経過等を踏まえ、筆者としては、以下の様な状況認識に立って、具体的な解決策を探ることとした。

 ○状況認識

A 従軍慰安婦問題のデリケートさ

  当事者本人からは、言い出しにくく、名乗り出るには、人生を賭けた大変な勇気が要る。この問題には、レイプ、セクハラ等の性犯罪の立証、究明などと共通する側面がある。又、証拠となる情報は少なく、事実を確認することも容易では無い。

 このような認識のもと、両国とも、人道的見地に立って、解決を図る必要がある。

B 時間の経過との戦い

  戦争当時の事は、70年以上にもなる遠い昔のことで、どんどん、良く分らなくなってきており、生存している数少ない当事者も、高齢化している。

また、条約交渉当時のことを調べようにも、もう、50年も経過している事だ。

  時は待ってはくれず、急がなければならない。

C 大局的見地からの活発な交流を 

 国交樹立50周年、戦後70年の節目の年に、この辺で、今後を見据えた、前向きの思考に切り変えて、長い付き合いのある隣国同志の、経済、文化、技術等の活発な交流を図る時だろう。

韓国国内の世論の動向に注目しながら、日本も、建前へのこだわりから抜けだして、実効案での解決をはかることだ。

 

 そうした中、ネットの以下のサイトで、情報の信憑性は不明だが、次の様な、有力な情報が見つかったのである! (安倍外交に死角なし! 日韓首脳会談、朴大統領も驚いた安倍首相の「切り札」とは?  | 歳川隆雄「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]

 “その切り札となったのが安倍首相の「お詫び」の気持ちを手紙にして、存命する元従軍慰安婦のもとに届けるというものだ。
 その時期は、帰国後の4日に会談した谷垣禎一自民党幹事長に「越年」を示唆したように年明けの1月初旬になると見られる。そしてその手紙を持参するのは、河村建夫・日韓議連事務局長(元官房長官)になると思われる。”

 ○具体案

今後、両国の事務レベルで、詰めることとなろうが、前出の記事をベースとして、具体案を想定してみた。

・個人レベル

  総理名の親書を、特命使者(河村元官房長官)が、当事者本人に手渡す。

  時期は、来年の年初頃。日本が議長国となる、来年の三ケ国首脳会談、日韓首脳会談等へ向けての、地ならしになる。  

  親書の中身には

     ・戦時の日本の反省と謝罪  (前述のように、70年談話では、謝罪はしていない!)

   に加えて、以下も入れたら?

     ・交渉時の日本の姿勢の反省  (日本からは、何も言わなかったことの、人道上の反省) 

  金一封の見舞金を付けたら?

     手ぶらは無いだろう。 同時に、韓国へ支払った賠償金の配分もあるかも?

  個人レベルで謝罪したことを、公表する(勿論、個人名は出さずに)。   

 ・公的レベル

   公的レベルでの反省と謝罪も行って、内外に分るようにする必要があろうか。   

   以下の、①~③等の各案があろうが、①が妥当だろうか。   

    ①共同声明/覚書等を作成・公表(両首脳名) 

       ・戦時の反省と謝罪(日)

       ・条約交渉時の反省(日・韓とも)

       ・今後は問題にしないこと(主に韓)

       ・事実があったことを忘れないこと(主に日)

    ②日本国内 総理が国会で発言 等

    ③国際の場で(国連等で)

  時期は、個人レベルと同時期に行う。 

 

 今回の、従軍慰安婦問題は、戦争が絡んだ歴史認識での、外交上や人道上の特異な問題だが、今後の成り行きがどうなるか、注目していくこととし、悪戦苦闘した話題の記事を締めくくることとしたい。


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