2015年7月6日(月) 年齢上の制限 3
選挙権年齢を引き下げる改正公職選挙法が成立した話題に端を発して、選挙権年齢以外の年齢上の制限として、これまで、当ブログに下記記事、
年齢上の制限 1 (2015/6/27)
年齢上の制限 2 (2015/7/01)
を投稿してきた。
1では 就学年齢、成人年齢、兵役年齢について
2では 結婚年齢について
取りあげた所だ。
本稿は、シリーズの3編目として、嗜好品規制、運転免許規制、ギャンブル規制について話題とし、当面の締めくくりとしたい。
○嗜好品規制―酒とタバコ
若者にとって関心が高い一方で、年齢上の制限がある嗜好品は、酒とタバコだろうか。
*飲酒規制
現在は、未成年者飲酒禁止法で、20歳以上にならないと酒は飲めない、となっている。 酒(アルコール)は、人類の歴史と共に、長い長ーいおつきあいで、神事・祭礼や、お祝い事や集まりには欠かせないものだし、日常でも、百薬の長とも言われる、嗜好品だ。
ほどほどに嗜む分には、素晴らしい自然の贈り物なのだが、でも、この、ほどほどが、人間には難しいのである。
飲酒が、ほどほどを越えると、一時的に、意識がおかしくなったり、狂暴になったりすることがあり、誰しも、失敗談はあるだろうか。
常習的に飲酒を続けると発症するという、「アルコール依存症」(アル中)は、恐ろしい厄介な病気だ。筆者の周囲でも、これまで、アル中で苦労している人を、何人か見ている。
ネットで調べたところ、習慣的な飲酒を始めてから、依存症が発症するまでの期間について、以下のような、興味深い数字が出ている。
中年男性 15~20年
中年女性 5~10年
未成年者 数ケ月~2年
未成年者の飲酒を禁止する理由には、非行の抑制や、自立前での経済的側面等もあろうが、この生理的な理由が、最も大きな根拠だろうか。(人とお酒のイイ関係:危険!問題飲酒 未成年者飲酒の怖さ 未成年者の飲酒はなぜいけない?)
子供の頃、単なるお使いで、親父の酒を買いに、酒店に行かされたことは何度もある。 が、大学生の頃だが、20歳を過ぎて、晴れて、自分で自分の酒を最初に注文した時は、やや、緊張したものだ。
社会人になって就職した会社の寮生活で、一気飲みが流行り、解放感の余り、ごく身近で、急性アル中になって、死にかけた騒動もあった。
禁を破って飲酒した場合、一般には、法的なお咎めは受けないようだが、ただ、高校・中学校では、校則に基づいて、学生本人への、厳しい処分があろう。
一方、販売したり、飲むのを見逃した大人の責任が問われるが、現在、ビール酒造会社5社が、社会的な責任として、未成年者は飲酒しないよう、キャンペーンを行っており、下図は、そのロゴマークだ。(STOP! 未成年者飲酒)
現在は、アルコール類の販売ルートが多様化して、自販機やネット通販などもあり、年齢を確認するのは不可能に近い状況だろう。
最後は、身近な周囲の監督や、教育に基づく、本人の自覚の問題となろうか。
*喫煙規制
現在、未成年者喫煙禁止法で、タバコが吸えるのは、20歳以上となっている。
この理由も、アルコール同様、生理的な理由(肺などの呼吸器系の損傷)が大きいだろうか。
大人の世界でも、喫煙者本人の健康への害が問題になる一方で、最近は、受動喫煙など、周囲への迷惑もあって、世界的に、公共の場は、殆ど禁煙エリアとなって、喫煙者も大幅に少なくなっているだろうか。 外国出張の土産として、洋モクを仕入れて来るのが定番だったのは、今は昔の話である。
飲酒同様、未成年者が喫煙しても、本人は罰せられないが、高校・中学校では、学生の喫煙が判明すれば、校則で、停学・退学等の処分は免れないだろうか。
アルコール同様に、親や販売者の責任が問われる。
売る側が、買い手を識別する方法として、数年前、タバコ自販機での「taspo」カードなるものが用意されたが、あまり普及しなかったが、今はどうなっているだろうか。
一頃は、タバコを吸う格好は、憧れの的の一つで、高校のトイレ等で、隠れて喫煙したりする事件が多かったが、最近はどうか調べてみた。
最近の、飲酒・喫煙少年の補導人員について、ネットに出ている、下図を見つけた。(未成年者の飲酒・喫煙の現状|酒とたばこの話 弁護士小森榮の薬物問題)
この図は、警察庁生活安全局少年課編「少年非行等の概要(平成20年1~12月)」(2009)の全国データに基づいて作成されたようで、「不良行為少年」として補導された件数が、今も多いことを示しており、しかも、補導全体のなんと1/3近くが、喫煙と言う。
タバコの利用が、減少しつつある最近の傾向から見て、図では、飲酒の件数がかなり少なく、喫煙が極めて多いのは、やや、不思議だが、飲酒の取り締りが、やや難しい一方で、若い彼らにとっては、ステータスとして魅力を感じる喫煙が、多いのかもしれない。
酒とタバコの年齢上の規制に関しては、結局のところ、学校や家庭での教育・監督と、本人の自覚を促すしかないだろうか。
タバコについて、数年前だが、当ブログの下記記事
タバコ その1~その3 (2010/3/20~5/03)
で、かなり詳しく話題にしたことがある。繰り返しになるので、ここでは省略する。
○運転免許規制
運転免許は、道交法で、成人年齢でなく18歳以上(小型は16歳以上)とされている。 学生の自動車通学などの必要性から、16歳以上となっているのだろうか。
運転免許は、取得手続きが厳格なことから、年齢を偽ったり、潜りで取得することは、ほぼ不可能だろう。しかし、運転技能さえ磨けば、無免許運転は可能だろうか。
下記サイトには、無免許運転について、いろいろ出ている。 正規に取得した後の免停等ではなく、免許を取った事が無いケース(狭義の無免許)では、事故率が高いというデータが出ている。(http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info99.pdf)
一方、運転上の安全性から、高齢者の運転が問題になり、ブレーキとアクセルを踏み間違える事故などは、高齢者に多いようだ。でも、個人差が大きいだけに、機械的に、高齢域で年齢に上限を設けることは難しいだろう。
現在、70歳以上の免許更新では、高齢者講習が義務づけられており、筆者も、数年前、これを受講して更新している。
そして、75歳以上からは、高齢者講習の受講に加えて、「講習予備検査」なる、認知症のチェックが必要となっているようだ。(講習予備検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新) :警視庁)
筆者の場合、数年前から、自動車の運転回数が減ったことで、経済性の面から、自家用車を手放し、カーシェアリグにして来た。
そして、最近は、変速自転車での遠出が多くなった事で、免許証の必要性も少なくなっていて、昨年、75歳の誕生日の有効期限前に、免許証を返納し、運転経歴証明書にしてもらった事だ。
○ギャンブル規制
*公営ギャンブル
我が国には、公営ギャンブル(賭博)として、競技系では
競馬、競輪、競艇、オート
があり、見学する分には制限は無いが、金を賭ける(投票券:馬券、車券、舟券を買う)ことについては、20歳以上という年齢の制限がある。
一方、公営ギャブルの、くじ系では
宝くじ、スポーツ振興くじ(toto)
があり、年齢制限は、前者にはなく、後者では、19歳以上となっているようだ。
以前、仕事上で、JRA(日本競馬会)に関係していたこともあり、府中競馬場と、後楽園の場外馬券売り場(WING)で、何度か、馬券を、自分で買った経験がある。でも、その時、どの様な年齢確認が行われたかは記憶には無い。年齢の規制の確認は、現在、どの様に行われているのだろうか。
ギャンブル(賭博)の定義では、金銭や物品を賭けて、偶然性の要素が含まれる勝負(ゲーム)を行う事、とある。
国内では、公的に認められた、上記の公営ギャンブル以外、私設ギャンブルは、禁止されている。
一般的に、殆ど100%、偶然性だけで決まると見られるギャンブルは、
ルーレット、バカラ、ポーカー、宝くじ、サイコロ、くじ引き、ジャンケン
などだ。
一方、競技者(人、馬等)や天候等が関係するので、その状況・成績(当日や過去)が加味され、それに偶然性も少なからずあるのが、
競馬、競輪、競艇、オート、スポーツ(toto)、
マージャン、パチンコ
などだ。
これらでの、イカサマ賭博や八百長は、ここでは論外である。
又、国内には、闘犬、闘牛、闘鶏などもあるが、ギャンブル性については未調査である。
*カジノ解禁
経済活性化の成長戦略の一つとして、公営賭博場(カジノ)の建設が話題になっている。 統合型リゾート(IR:Integrated Resort)という立派な名前だ。全国各地で、誘致に名乗りを上げたようだが、 どうやら、横浜と大阪に絞られたようだ。竜頭蛇尾に終わった、いつぞやの、全国各地でのリゾート開発ブームが連想される。東京オリピック迄に開業する事を目標とするようで、今国会で関連法案の成立を期すと言う。(カジノ法案、今国会成立方針を再確認 超党派議連が総会 - 産経ニュース)
外国では、カジノは、欧米だけでなく、近隣の、韓国、マカオにもあるようだ。
カジノと言えば、自分の経験では、メーカーのツアーで、確か、モナコだったと思うが、案内されて、カジノの中に入ったことがある。 ルーレットなどの賭けには参加しなかったのだが、入り口で手荷物を預けるだけで、結構手間取ったことなど、如何にも、上流階層の遊び場だナ、といった印象だった。
日本人が旅行先で、現地のカジノを楽しむのは、現在も、何ら問題は無い。一方、ネットを利用して、外国のギャンブルを行う場合は、問題になるようだ。
*ブックメーカー
イギリスには、ブックメーカー(Bookmaker)と呼ばれる、国家公認の賭け屋があり、街角のあちこちに、市民(年齢制限は無い?)が賭けに参加するスタンドがあるという。この業務は、公営だと思っていたが、立派な私企業のようで、やや、驚きである。
ブックメーカーでは、殆ど何でも賭けの対象となり、スポーツイベントなどだけでなく、著名人の恋の行方や、選挙の結果なども、含まれる。
今朝方行われた、FIFAワールドカップ女子の決勝戦の、有名ブックメーカー3社のオッズは
W社 C社 L社
アメリカ優勝 1.8 1.8 1.4 倍
日本優勝 4.5 4.5 2.875 倍
だったようだ。
アメリカが優勝して、日本国では、大きな失望が走った敗戦だったが、イギリスの市民は、冷静にリスクの低い方に投票した、ということだろうか。(ブックメーカーもアメリカ有利を予想…)
*パチンコ
日本で、今も盛んなパチンコは、それ自体は、ギャンブルではなく、健全なゲーム・遊戯で、風営法で規制され、高校生は駄目で、18歳以上となっているようだ。
遊戯終了後、出玉を景品に交換して貰うが、この景品の扱い方が、ギャンブルか否かの微妙な境界となる。店内では、景品として、現金を渡すことは禁止されている。
そこで、店毎に、 特別な景品を決めて、それをやり取りして、換金する仕組み(三店方式と言うそうな)があり、これがあることで、グレイゾーンとなるよだ。 一頃は筆者も、店外の景品交換所を良く利用したものだが、現在も、警察はこれを取り締まらず、黙認しているという。(どこまでが合法でどこからが違法? 日本における賭博の位置づけを整理してみる (1/4):)
やりとりされる金額も大きくないことだし、庶民のささやかな娯楽を、このままにしておいて欲しいものだ。
本稿では、年齢上の制限のある話題について取り上げたが、ここで一区切りとし、今後、機会があれば、これらの延長線上にある、
・飲酒と運転
・麻薬の広がり
・ポルノの誘惑と規制
などについて、取り上げたいと思っている。