Quantcast
Channel: つれづれの記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 855

年齢上の制限   2

$
0
0

2015年7月1日(水)  年齢上の制限   2  

 

 選挙権年齢を引き下げる改正公職選挙法が成立した話題が切っ掛けで、先日、当ブログの下記記事、

       年齢上の制限  1 (2015/6/27)

で、選挙権年齢以外の年齢上の制限として、就学年齢、成人年齢、兵役年齢について、取りあげた所だ。

 

本稿は、その続編として、結婚年齢について話題としている。

 

 

◎日本の現状

○結婚出来る年齢

  人生での重要事項の一つである結婚(婚姻)が可能な年齢について、現在の日本の状況を改めて確認すると、民法(731条)では、婚姻適齢として、

  男性 満18歳以上

  女性 満16歳以上

となっているが、自分の意思で、結婚を決められるのは、男女とも、20歳以上である。 

 目出度く結婚して婚姻届を提出し受理されれば(下図は、札幌市の様式例)、法的に夫婦と認められる。20歳未満の未成年者の結婚では、両親の同意が必要となっており、同意の形式等は自治体により異なるようだ。     婚姻届様式

○用語―結婚と婚姻

  ここで、用語について触れたい。我が国では、   

     結婚  :marriage、wedding

     結婚する:marry、wed

は、両性が夫婦になること自体を言い、

     婚姻  :matrimony、wedlock

は、継続的に夫婦関係にある状態を言うようだ。

 

 両者の違いは、やや、曖昧だが、最近では、大抵の場合は、解りやすい前者が使われ、表現が固い後者は、限られた場合に使われるようだ。

通常、結婚式、結婚生活などと言い、婚姻式、婚姻生活とは言わない一方、法律や手続きなどの専門用語として、婚姻関係、婚姻届などと使われている感じだ。これらも、今後は、結婚関係、結婚届などと呼ばれるようになるかも知れない。

 本稿では、誤解のない限り、「結婚」を使う事としたい。

 

○結婚適齢の考え方

 ここで、結婚適齢の年齢について、考えて見たい。

 結婚の適齢は、常識的には、一人前と認められる、成人(満20歳)以降が望ましいと思われる。でも、未成年でも、前述のように、親の同意を条件に認めているのは何故なのだろうか。また、男女間で、差があるのは何故だろうか。 

*結婚の大きな目的の一つが、子供を設けることだが、人体が生理的に成熟し、子孫を残せるようになる年齢(成熟年齢?)は、いくつ位だろうか。

20歳よりは若い年齢で可能となり、男女の差もあると思われるが、このことが、上記の年齢の大きな理由の一つだろう。 ここでは、詳細には触れないがーーー。

この所、卵子の老化が言われており(最近は精子も)、子作りは、年齢が若い内程望ましいことは言う迄もない。

 古来からの、“娘十八番茶も出端”という俗諺は、色気が出る年頃を言っている。

 

*一方、社会人として仕事を得て生活費を稼ぎ、結婚して子供をもうけ育てていく訳だが、これらが可能となる年齢(自活・自立年齢?)は、男女では、状況はやや異なるが、

   ・一方が仕事で働き、一方が家庭を預かる場合(通常は、夫が仕事、妻が家庭)

   ・双方が共働きする場合(妻がパートのケースを含む)

等、多様な形態があるが、いずれにしても、現在の社会状況では、20歳ではまだ不十分である、と言わざるを得ないだろうか。 

 

*歴史を見ると、男女の役割や、家と個人との関係についての、家父長制的価値観が支配していて、結婚では、個人の意思や年齢よりも、家や家業のため、といった点が優先されるケースもある。 

 武家等では、特に女性の場合は、本人の意思とは無関係に、さらに、幼少なのに、政治上の道具として、政略結婚的に行われる例は数多く、大河ドラマ等でもお馴染みだ。 

戦前まで色濃くあったこのような慣習が、現在の民法にも残っているかもしれない。

 

 我が国では、特に戦後になって、一般市民の結婚では、個人としての両性の意思が尊重されるようになったのは、大きな進歩と言えるであろう。 

 

 

◎世界の結婚可能年齢

 我が国について考察するに当たって、ここで翻って、世界各国での、結婚可能年齢を見て見たい。

下図は、世界各国で、女性が結婚できる最低の年齢を示したものだ。 男性の年齢は未調査だが、ほぼ同じだろうか。

図で明らかなように、世界の大勢は、黄色で示されている17~18歳と、可なり若くなっているようで、アフリカや中東や中南米などには、それ以下の国もあるようだ。

一方、赤色の19~20歳としている国は、日本など、限られている。日本では、女性は、16歳以上から結婚できることになっているものの、親の承諾という条件が付いており、国際標準である本人の意思で決められる年齢としては、20歳ということになる。

日本以外は、中国とリビアのようだ。

南アジアには、更に、濃茶色の21歳以上の国(マレーシア、パプアニューギニア)もあるようだ。(図は Minimum Age of Marriage in Women » We Make Data Visualization Simple and Affordable) 

 

                         世界の結婚可能年齢(女性)

 

  世界の一部地域では、生理的には未熟な女の子が、経済的理由などから、結婚と言うより、人身売買的に、無理やり一緒にさせられる「若年結婚」が、現在もあるようで、人権上、大きな問題となっているようだ。

 

 

◎実際に結婚する年齢

 一方、実際に結婚する平均年齢は、どうだろうか。 下図は、やや分り難いが、実際に結婚する年齢の、世界の状況を示したものだ。前図と比較して見ると、可なり若い年齢で結婚出来るのに、実際の結婚では、晩婚化の傾向が読み取れるようだ。(「世界の結婚年齢」がわかる地図 より)

 

 ↑20.2                ↑34.5                世界の実結婚年齢

 

 日本での最近の状況を見ると、内閣府の調査では、平均結婚年齢は、以下のようで、

    調査年     男      女   

   1975年  27.0歳  24.7歳

   2011年  30.7歳  29・0歳

     (差)    3.7歳   4.3歳

ここ40年間程で、男女とも、約3~4歳上がっていて、晩婚化が進んでいるようだ。(いつするの?結婚の平均年齢! - NAVER まとめ

 晩婚化の傾向には、幾つかの理由があるだろうが、早く結婚して子供が欲しいのに、子育てや経済的に不安がある、といったケースも考えられ、少子化とも深く関係するだけに、ゆゆしき問題と言える。

 

◎我が国の今後

○年齢制限

 日本では、できる限り生理的な適齢期に合わせて、結婚する年齢を自分で選べることを理想として、自立できる経済的・社会的な環境を整備していくことが、今後の大きな課題であろう。

  我が国では、前述のように、結婚年齢を、親の承諾という条件付きだが、成人の20歳よりも引き下げている訳だが、世界の趨勢に倣って、今後、親の承諾の条件を無くしていく事になるだろうか。

  又、男女間で、2歳の差があるのは、男女平等の視点からは、やや気になるところだが、平均寿命や生理の違い等、合理的な理由はどうなるだろうか(女性16歳、男性18歳というように結婚出来る年齢が違う理由は?

自民党の女性活躍推進本部(本部長・稲田朋美政調会長)は先月の6月9日、党本部で会合を開き、女性が結婚を認められる年齢について、現在の16歳から男性と同じ18歳に引き上げ、男女差を解消することなどを盛り込んだ提言をまとめたようだ。(女性の結婚年齢を16歳から18歳へと引き上げる『全ての女性が輝く社会』実現に向け自民党が提言

 

○結婚のステータス

  以前は、一般人の場合、結婚しているか否かは、社会的な信用等で、実質的に、相当大きな比重を占めていたと思われる。でも、昨今では、当人が結婚しているか否かが云々されることは少なく、信用の要件となる事も少なくなったのではないか。

それどころか、結婚している場合でも、相手が異性か同性か、初婚か離婚歴はあるか、などが云々され事は少ないようだ。

   あくまでも、本人主体ということだろうか。

 

  以前の当ブログの記事

        選挙と住民投票  3 (2015/6/2)

で触れたが、国連職員の処遇で、同性婚と異性婚の扱いを平等にすると言うニュースがあった。(【朝日新聞】国連、同性婚者への待遇を異性婚者と平等に ) 

  又、以前は、家同士、会社同志といった、盛大な結婚式が多かったが、昨今は、本人中心になってきているだろうか?

 

 

○結婚関係の多様化

  日本では、比較的古い価値観・道徳観がいまでも根強く残っていて、法的な面でも、古い条文が生きているだろうか。

でも、今や、結婚した後に不満がある場合は、家庭内別居でじっと我慢するのでなく、離婚するのも当たり前となって来ていて、シングルマザー等も多い。

 事実婚も含め、結婚後に生また子供については、以前は、親の婚姻関係に基づいて、嫡子、庶子等と区別されたが、次第にこの違いが無くなって、子供の権利が認められつつある方向だろうか。親は、もうけた子供に責任があるが、子供は親を選べず、出生について子供に責任は無い、と言えるだろうか。

 

 婚姻届で選択することとなっている夫婦の姓だが、これに関しても、今後、夫婦別姓が認められるようになるだろうか。

以前、韓国旅行のツアーで、そこで知り合った現地の親子の姓が違っていたので、連れ子? と早とちりした事がある。恐る恐る聞いたら、韓国では、夫婦別姓と分って安心したことだ。

 

 根幹にある、一夫一婦制の基本原則まで、見直されることは考えられないものの、世界的に、結婚に関連する多様な形態が社会的に容認され、少しづつ制約が無くなる方向に動いていくのだろうか。

 わが国でも、最もデリケートと言える、男女関係、家族関係の面で、伝統的な価値観が、少しづつ変わって行き、それによって社会の仕組みも、徐々に変化していく、と言う事になるのだろうか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 855

Trending Articles