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パクチーと香味野菜

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2016年10月27日(木) パクチーと香味野菜 

 

 先日の10月16日(日)の、NHKの朝のTV番組「うまいッ!」で、香味野菜の一つである「パクチー」が紹介された。

筆者が、以前、インドネシアのレストランで魚料理を食べた時、パクチーがたっぷり入った、その強烈な臭い(香りの域を超えて)に往生し、料理を味わう余裕もなく、スッカリ退けて食べたものだ。

ところが、ところが、今回紹介された岡山の篤農家が栽培しているパクチーは、マイルドな香りで、女性レポーターが、生でパクパク食べたり、いろんな料理を楽しんでいるではないか!  

このパクチー、下図のように、一見、セリに似た感じだが、種類は、臭いの強い本場ものと同じで、肥料や土などの栽培法で工夫しているのか、それとも種類が違うのか、は不明だが、こんなパクチーもあるのかと、驚いた。 

    

             パクチー                畑で

岡山市は、黄ニラとともに、これを、地域の特産品の一つにしようと取り組んでいるという。 因みに、黄ニラは、通常のニラを、光を当てずに栽培するもののようだ。 (マイルドな香り ほのかな甘み パクチー | 食材リスト | うまいッ! | NHK

 

  パクチーは、特に、タイ料理など、東南アジアでは欠かせないもののようだが、欧米ではコリアンダー、中国ではシャンツアイ、などとも呼ばれ、重用されているという。 

日本でも、近年のエスニック料理の普及等で、パクチーは、かなり知られるようにはなったようだが、近隣のスーパーなどで、見かけたことはないし、岡山産も、そのうち出回るのだろうか。

 

 わが国では、食材では、香味野菜というカテゴリーがあるようで、

    ・ワサビ ショウガ ミョウガ 

    ・ネギ タマネギ ニンニク ラッキョウ 

    ・セリ ミツバ パセリ オオバ (パクチー)  

などが、主なものだろうか。薬味と呼ばれる事もある。 

 雑煮にはセリ、冷奴にはおろしショウガ、吸い物にはミツバ、などと、組み合わせの定番が決まっているものも多く、季節感もあり、その多様さは、嬉しい限りである。 

  

 これら香味野菜は、料理のアクセントとなり、見た目などの五感も刺激しながら、

      食欲増進、疲労回復、減塩効果、代謝促進(発汗)

などの効果をもたらすだろうか。

 我が家の屋上の家庭菜園では、これらの中で、ミツバ(食べた後の根を植え付け)、オオバ(毎年自生)、ネギ(根付きネギ)、パセリなどが、元気である。  

 

 先日、近くのスーパーに出かけて、いろんな種を仕入れてきたが、興味本位で、本場のパクチーの種も手に入れた。早速、播きつけたが(下図)、秋播きギリギリなので、果たして芽が出てくるだろうか。

      

  パクチーが収穫できれば、早速、チャレンジして、料理を作ってみたいものだが、あの香り(臭い)には、馴染めるものやらーー?

 

 


新東京都知事  続々その後

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2016年11月3日(木) 新東京都知事  続々その後 

 

 このところ、小池都知事の関連では、当ブログの下記記事

    ①新東京都知事      (2016/9/6)

    ②新東京都知事   その後(2016/9/30)

    ③新東京都知事  続その後(2016/10/18) 

で取り上げてきたところだ。 

  その後、オリンピック・パラリンピック関連の競技会場の見直しや、豊洲新市場関連の当時の都幹部の責任等が、大きな話題となっている一方、「希望の塾」の開校等もあり、新都知事は、精力的な活動で良い意味での「時の人」であり続けている。

  今回は、先の都知事選に関連して行われた、衆院東京10区の補選と、区議7人への党籍離脱勧告等について取り上げたい。 

 

○補選の結果

 衆院補選は、先月の10月23日(日)に、東京と福岡で行われた。東京では、10区(豊島区、練馬区部分)選出の小池衆院議員が、都知事に転出したことに伴い、後任を選ぶもので、開票結果は、 

     候補者    支援政党   得票数    得票率

   当 若狭 勝   自・公      75755     60.3%

     鈴木庸介  民・生・社    47171    37.5

     吉井利光  幸         2824       2.2 

で、形の上では、与野党対決の構図となり、東京ブロックの比例から鞍替えした、若狭氏が勝利するという結果に終わった。投票率は34.85%で、前回の衆院選の時より、18ポイント以上も低かったようだ。

 

○若狭候補が自民党公認に!

 若狭氏の、都知事選での公然たる党紀違反の行動に対する処分問題があいまいな中、補選では、若狭氏が公募で自民党の公認候補となるという、びっくりポンであった。(②)

選挙戦では、小池知事も若狭候補を応援している風景も報道された。(下図)

  

             小池知事、若狭候補を応援

  国政レベルでは、小池陣営と自民党本部間の対立は、表向き解消したように見える光景だ。 

 筆者としては、小池知事誕生までの経緯や、その後の自民党都連幹部の交代、自民党本部の動き等からみて、補選での若狭候補に対して、選挙民がどのような判断を下すのか、注目していたところだ。

 結果は前述のようになったのだが、選挙民は、どのような思いで、誰に投票したのだろうか? 今後も、小池陣営の一人としての若狭氏の活躍に期待したのだろうか、自民党に対する批判はなかったのだろうか? 良識ある人は、迷った末に、棄権したのかもしれない。

 当選した若狭議員は、今後、どのような姿勢で国政に当たるのか気になるところだが、 東京都と連携し、防災都市や安全な街づくりを進める、とも言っているようだ。古い政治体質も強く残っている自民党の中で、単なる歯車の一つにはなって欲しくないものである。 

 

○都知事選での党紀違反のしこり

 周知のように、都知事選では、自民党の公認が得られない小池候補は、自民党公認の候補を向こうに回して、無所属で立候補した。 そして、若狭氏は、党方針違反を承知の上で、この小池候補の応援を貫いている。

筆者の理解では、小池候補はともかくとして、少なくとも、自民党現職議員である若狭氏は、処分対象になることは、明白な事実だろう。

しかし、現実は、「お咎めなし」を通り越して、公認候補として支援されたのである。 

 国政レベルでは、小池氏、若狭氏と手を握った自民党本部のスタンスは、清濁併せ飲む度量とも言えるが、党利党略のためには、何でもやるという、節操のないしたたかさとも言え、ドラマ以上の政治の世界の暗部を見た思いで、何を信じていいのやら、である。

 一方、都知事選で、小池候補を公然と応援した、7人の自民党区議(豊島区、練馬区)に対しては、都連から、10月30日までに、離党届を出すようにとの、離党勧告が行われていた。報道によれば、7人は、期日までに離党届を出さなかったようで、そのことに対する処分(除名など)だが、「処分無し」ではなく、なんと、延期となったようだ。

 これは、上位の国政レベルと異なって、都政レベルでは、下っ端をいじめる構図と言えるが、都連としては、来年7月に迫っている都議選が気になるところで、政治塾の大変な人気から、小池新党が生まれるのではとの観測もあって、処分できないのだろうか。

除名処分となれば、小池陣営は勿論、多くの都民が黙ってはいないだろうがーー。 

 

○今後

 小池知事としては、自民党の政治姿勢や体質を容認し、歩み寄った訳ではなく、多くの都民の支持を背景にした、明確な政治理念に立った基本姿勢は崩さずに堅持していると思われる。(③記事)

でも、豊洲や五輪・パラ輪などの、目前の課題が山積している現状では、内心では、言ってみれば、怖いもの無しだが、敢えて波風を立てずに、状況に対処している、ように見える。

 小池新都知事の誕生で、筆者は、心情的には、スッカリ、小池ファンになってしまったようだが、我が国の政治や、活動の在り方での、新たな潮流・ムーブメントが生まれつつある予感がするのである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリ協定が発効

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2016年11月6日(日) パリ協定が発効 

 

 昨年12月、パリで開催された、国連気候変動枠組条約に関する第21回締約国会議(COP21)で、地球温暖化防止に関する歴史的な合意である国際条約、「パリ協定」(Paris  Agreement)が採択された。

この辺の事については、下記ブログ記事

    地球温暖化防止対策―COP21 (2015/12/29)

    パリ協定の署名式        (2016/4/27) 

で詳しく扱っている。

   

○ パリ協定の発効

 上述のCOP21でのロードマップに従って、各国内で批准手続きが進められ、一昨日の11月4日、国連本部のあるニューヨークの現地時間(米EST)の午前零時に、目出度く、パリ協定が発効となった。 

この条約が発効する条件は、以下の2つのANDとなっている。

    ①批准国数が、55ヶ国以上であること

    ②批准国の排出量の、総排出量に対する割合が、55%以上であること 

 下図は、3日までの批准状況だが、①については、93ヶ国(昨朝の報道では、100にも)が批准を完了している。(COP21への参加国数は196である)

一方、②については、66%(昨朝の報道では、70%にも)となり、発効条件がクリアされている。 (図は、パリ協定発効、脱炭素社会へ新ルール 日本出遅れ、国会承認急ぐ:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)  より引用)

    

 地球全体の排出量の38%も占めている、1位中国、2位米国が、早々と批准したことで、国際的な機運を盛り上げたが、今後、両国が、果たしてどれだけ本気で、継続的に取り組むだろうか。京都議定書での前例を見る限り、竜頭蛇尾に終わる可能性も否定できないのだがーー。

 

○ パリ協定の内容

 パリ協定の内容の詳細は、前の記事等にあるので、ここでは、下図を引用させてもらう事に留めたい。(パリ協定発効、脱炭素社会へ新ルール 日本出遅れ、国会承認急ぐ:一面:中日新聞(CHUNICHI Web) より)

       

・これまでの京都議定書では、先進国だけが削減義務を負ったが、パリ協定では、すべての国が、自主目標(絶対数値/GDP当たり数値)を定めて削減を実施する。

・削減目標は、5年ごとに見直すこととし、今回定めた削減目標は、2020に見直して新たな目標を設定する。

日本の目標は、2030年に、26%削減(2013年比)する、としている。

 

 ○ 日本の批准状況

 排出量で、世界第5位を占めている日本が、この条約の批准を済ませていないのは、大きな問題だ。 

 今月の、11/7~11/18に、アフリカ・モロッコの、マラケシュで開催される、国連気候変動枠組条約に関する締約国会議(COP22)への参加は当然だが、この期間中に、それと並行的に開催される、まさに歴史的な、「第1回パリ協定締約国会議」(CMA1)の方は、日本は、未批准のため参加する資格がなく、オブザーバーということで、当然、発言権もないという、みじめな状況になってしまっている。 

 最初の拘束力のある合意である、京都議定書の採択以降、先導的な活動を行ってきた日本は、環境先進国としての実績を積み重ね、技術も磨いてきたところだ。東日本大震災での原発事故で躓いたものの、それを乗り越えようとしてきた。 

 パリ協定の批准書案を閣議決定し、衆院に提出するまでは良かったようだが、TPPの批准等での混乱などのあおりをくらって、国会での批准手続きが遅れてしまい、衆院通過は、週明けの7日以降となるようだ。条約の承認では、衆院優先と言うきまりのようだが、タイミングを失していて、後の祭りである。 

 米国大統領選の両候補が、TPPには否定的な姿勢を見せている中、目前に迫った投票日を前にして、日本が、大慌てで、敢えてTPPでのリーダーシップを発揮しようとしているのは、どういうことだろうか。

パリ条約は、さしたる異論が無い事案だっただけに、その批准が遅れてしまったことは、大きな失政と、敢えて言いたい。

 

 今回の事態が、国際的な日本のステータスや、発言力や活動にとって、かなりのマイナスになるだろうことは明らかだ。

今後、失地を挽回することはできるだろうか。今回だけでなく、1年後のCMA2(COP23)の前の、WPなどへの参画はどうなるのだろうか。 

 

余談:会議の略称

 国連の条約等に関する会議は、例えば、国連気候変動枠組条約に関する締約国会議は、FCCC/COP22などと、略称で呼ばれる事が多く、初めて、COPが出てきた時は、何の略だろうと、あれこれ調べ、

   COP:Conference Of the  Parties

と分かった時は、ナーンだ、と拍子抜けしたものだ。この辺のことを、下記記事で触れている。

   環境保護活動とCOP1(2010/11/8)

 

 今回のCMA1についても、ネットであれこれ調べたが、期待に反して、明快な説明が見つからなかった。

ただ、幸いにも、今回のパリ協定やCOP22についての、ある記事の説明で、下記の英文を見つけた。そこには、京都議定書に関する記述もある。

UNFCCC COP22/CMP12/CMA1 国立環境研究所の取り組み|UNFCCC-COPへの参画|国立環境研究所 参照)

 The 22th session of the Conference of the Parties (COP22) and the 12th session of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol (CMP12) takes place from Monday 7 to Friday 18 November, 2016 in Marrakech, Morocco. With the Paris Agreement entering into force on 4 November, the first session of the Conference of the Parties serving as  the meeting of the Parties to this Agreement (CMA1) will also.

  英文記事の中で、筆者が下線を付した部分から推測すると、CMA1は以下の頭文字を取った略語と思われる。

  C:Conference

  M:Meeting

  A:(Paris)Agreement

  1:第1回 

 従来、COPに対して、英文中にもある、MOP(Meeting Of theParties)という略称も使われていて、CMAでは、CとMの意味が重複している印象だが、両者の使い分けについては、筆者には、よくわかっていない。

 

アメリカ合衆国  1

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2016年11月29(火)  アメリカ合衆国 1 

 

 アメリカ合衆国(USA:United States of America 以下では、原則 アメリカと略)の大統領選挙の本選挙の投票が、現地時間の11月8日に行われ、日本時間の9日になって、開票速報がTV等で報道された。 開票結果は、事前の予想に反して、トランプ候補が、クリントン候補を破って、選挙人の過半を獲得する結果となり、次期大統領に選出される事となった。

形の上では、12月19日(月)に開催される、選挙人集会で、正式に選ばれることとなり、来年1月の就任式で、現オバマ大統領の後を受け、第45代として、トランプ大統領が誕生することとなる。

今日のニュースでは、一般投票では、クリントン候補の総得票数が、トランプ候補よりも200万票も多かったことから、不満がくすぶっていて、集計法にミスがあったのではと、数え直しの話が出たり、イリノイ州の投票結果が、今日になって確定したなど、いまだに、余韻が残っている。

 

トランプ氏が、次期大統領になると決まった事で、選挙期間中の数々の過激な言動や、その後の、主要閣僚の人選等の話題が、世界中の注目を集めている。

日本との関係でも、安全保障と防衛問題、TPP等の経済問題など、目が離せない。

 

先日の11月23日、NHKの番組、解説スタジアムで

     「グローバル化の功罪 これからの日本と世界」

と題して、解説委員諸氏による、アメリカを軸にした活発な議論が行われ、その様子を視聴した。

 筆者にとっても、今回の大統領選挙がきっかけとなって、超大国アメリカへの関心が膨らんだところだが、政治・経済関連等の話題については、折を見て、今後取り上げることとしたい。 

本稿では、やや視点を変えて、アメリカの地理的な側面に着目して、触れることとしたい。

 

○ アメリカの国土 

 面積が比較的正確に表示されると言われる、ミラー図法による、国境入りの世界地図が下図である。 (ネット画像より)

 

 アメリカの国土の広さは、以下のように、世界全体で第3位となっているが、面積当たりの人口(人口密度)で見ると、かなり低くなっている。(データは、2012国連統計 等より)

  国名    順位 国土面積       人口     人口密度

ロシア    ① 1709.8 万km2     1.43億人  8 人/km2

カナダ    ②  998.5         0.34     3

アメリカ   ③  962.9         3.13    33

中国     ④  959.8        13.81   144

ブラジル   ⑤  851.5         1.93    23

オーストラリア⑥ 769.2          0.22      3 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本       ○   37.8           1.27   337

 

 ロシア、カナダは、極北地域の不毛地帯も多いのだが、アメリカは、広大な北米大陸の主要部である温帯地域を、いいとこ取りしていて、世界で最も恵まれた、肥沃な国土を有している、と言えよう。

 

 

◇ 世界の時間帯

地球は、自転運動により、24時間で1回転(360度)することから、

           360度/24時=15度/時

となり、経度差15度毎に1時間の時差がある訳だ。

下図は、世界各地の時間を表している。 図下部の数字が、協定世界時 (UTC:Universal Time Coordinated)で、図上部の数字が、日本標準時(JST:Japan Standard Time)である。JSTは、UTCより、9時間進んでいる。

UTCは、現在は、高精度の原子時計(セシウム原子の振動数)が標準時計として使われている。

  世界の時間の基準として、従来は、ロンドンのグリニッジ天文台での天体観測から得た、グリニッジ標準時(GMT:Greenwich Mean Time)が使われてきた。GMTは、UTCと殆ど同じと言ってかまわないが、厳密には、UTCに比べて、100年間で約18秒のずれが生じるという。(UTC協定世界時とGMTグリニッジ標準時の違い | LOCALTIME.JP)                      

             

世界の大半の国々では、日本のように、標準時間は一つだが、国土が東西に長い以下の国々では、国内で、複数の標準時間が使われている。

 ロシア      11標準時(飛地 カリーニングラード州にも)

  カナダ      6

 アメリカ       6(本土4 アラスカ、ハワイ)

オーストラリア  3

インドネシア   3

ブラジル      2

 

ここで、中国には、標準時が一つしかないことに、改めて驚かされた事だ。中国は、国土の東西への広がりからみて、標準時は、4位が妥当と思われるのだが、何ゆえ、1なのだろうか。

少し調べたところでは、中国の巨大な人口(13億)の大半が、国土の東半分(経度差 30度程度内)に集中していて、西方面(西域)は、砂漠地帯で、人口が極めて希薄ということで、大方の国民は、2時間程度の時差内で生活しているということが、理由のようだ。独裁的な社会主義国家と言うことで、一元化しやすいという事もあるだろうか。(中国はなぜ1つの標準時時間しかないのか? - 地理学 解決済 | 教えて!goo

  又、北米地域(カナダ、アメリカ、メキシコ)や北欧など、高緯度地域を抱える国々では、日照時間を有効利用するために、夏時間(サマータイム)を導入している国も多いが、複数の標準時間がある国々での夏時間の導入は、社会生活が煩雑にならないだろうかと、気になるところだ。

又、ロシアでは、2014年に、一部地域の標準時の変更を行った際に、1981年から全国的に導入していたサマータイムを廃止し、冬時間に戻して、現行の標準時制にしたようだ。 サマータイムを廃止した理由については、未調査であるが、標準時が11もあることから、煩雑さを避けたのかもしれない。

 

 

◇ アメリカの時間帯

  アメリカの標準時間を、州単位に表示したのが下図だ。 図のように、アメリカでは、本土で4種の、それに、アラスカとハワイを加えて、全体で6種の標準時間が使われている。

                                                        (ST:Standard Time)

    東部時間:Eastern ST (EST)  UTC-5

    中部時間:Central ST (CST)  UTV-6

    山岳部時間:Moutain ST(MST)  UTC-7

    太平洋時間:Pacific ST(PST)  UTC-8

   アラスカ時間:Alaska ST(AKST) UTC-9

   ハワイン時間:Hawaii ST (HST)  UTC-10

 

  ESTは、UTCより5時間遅れで、西に行くに従って、それぞれ、1時間ずつ遅くなるので、アメリカ全体では、5時間の時差がある。

 

上図をみると、本土の時間帯の境界は、ほとんどが、州境と一致しているが、一部、SD(サウスダコタ)、NE(ネブラスカ)、TN(ネネシー)、ID(インディアナ)、KY(ケンタッキー)、FL(フロリダ)州などでは、州内に、時間帯の境界があるケースもあるようで、今回、新たに知ったことである。

このように、時間帯の境が、行政単位と異なることに加えて、アメリカでは、殆どの州で、前項で述べた、サマータイム(Daylight Time)も行われており、時間制がより複雑になっているようだ。

 

  アメリカの大統領選挙は、投票は、6種の標準時間に従って、東部地域から順に、現地の時間に合わせて、実施された。

開票は、当然のことだが、最後の時間帯(ハワイ)での投票が締め切られて後、一斉に行われた。 開票作業は、現地時間の昼夜にかかわらず、夜を徹して行われた。

 

◇時間の中での生活

  アメリカでは、本土だけで、4つの時間帯が有るわけで、アメリカの人たちは、日常生活からビジネス、旅行、スポーツ、放送などなど、常に時間差を意識しながら、複数の時間の中で生きている事を、改めて知ったことだ。

台風シーズンでの気象情報では、現地の上陸時間等が、重要な情報となるだろうか。

アメリカでの、4年に一度の大統領選挙と国会議員選挙は、投票時間、開票時間で、国内の時間差を意識する、最大のイベントかも知れない。

 

  いまや、地球上には、海底ケーブルや通信・放送衛星等が整備され、インターネット網などが張り巡らされて、世界の出来事の情報が、現地からの生放送(Live)や録画放送などで、身近に、居ながらにして手に入る時代だ。

その最たるものが、先だってのリオ・オリンピックや、アメリカ大統領選挙のニュースだろうか。

 

  旅行等を行う場合、実際の移動時間に加えて、時差の有無が問題となる。この場合、複数の時間の中で生活する状況下で4時間程度以内の時差を伴う移動であれば、移動する交通機関の時刻表、訪問先との約束時刻等に、注意を払えばよく、人体上は、それほどの負担ではない。

でも、時差もあって昼夜が逆転するような長時間の移動になると、筆者の経験からは、時差ボケが身体的に大変な負担となる。これについては、次稿で触れることとしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ合衆国  2  真珠湾

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2016/12/12 (月) アメリカ合衆国 2 真珠湾 

 

○ 12月8日

 昭和16年(1941年)の12月8日、ハワイオアフ島で、日本軍による真珠湾攻撃(Attack on Pearl Harbor)が決行され、太平洋戦争が開始された。日本時間では、8日未明とされているが、現地時間では、7日になる。筆者が生まれた2年程後の出来事で、記憶は無い。

先日、現地の7日当日には、米軍関係者等による記念の式典が行われたニュースが流れてきた。 

 今月末の26~27日に、日本の安部総理が、慰霊のために、アメリカのオバマ大統領とともに、この真珠湾を訪れることとなっているために、現地でも、とりわけ関心が高まっているようだ。

今回、安部総理が訪れるのは、真珠湾にあるアリゾナ記念館という。

日本軍の真珠湾攻撃で、沈没した戦艦の中の一隻が戦艦アリゾナで、今も沈んだままのようで、記念館は、その真上に、浮上式で作られているという。

下図で、浅い海中にぼんやり見えるのが、沈んだアリゾナの船影で、赤茶色に錆びた丸い砲塔基部が水面上に出ている。(戦艦「アリゾナ」記念館(USS Arizona Memorial)

 

                        湾上のアリゾナ記念館

この5月の日本でのG7サミットの折に、オバマ大統領が、広島の原爆被爆地を訪れたことと合わせて、戦後71年目にして実現する、日本とアメリカの、戦争と平和の歴史に残るイベントとなろう。

 

○ 戦艦の名称

 日本軍の真珠湾攻撃で、沈没した戦艦は5隻とも言われ、その中の一隻が戦艦アリゾナである。

言うまでもなく、アリゾナは、アメリカ合衆国の州名の一つだが、調べたところ、撃沈された戦艦には、以下のように州名が付いている。

   アリゾナ

   カルフォルニア

   オクラホマ

   ネバダ

   ウエストバージニア

他にも、湾内にいた、戦艦テネシーとメリーランドも、大きな被害を被ったというが、これ等も、州名を冠している。(参照 真珠湾攻撃 - Wikipedia 他)

  一方、アリゾナ記念館からごく近い位置に、戦艦の雄姿が展示されている。(下図 ネット画像 より)

調べたら、この船は、往時活躍した、戦艦ミズーリ号という。日本の重光外相が、東京湾内の洋上で、昭和20年(1945年)9月、降伏文書に調印した時の船で、引退後、この船体を、記念艦として真珠湾に展示しているようだ。言うまでもなく、ミズーリも州名のひとつである。

    

           戦艦ミズーリ                    アリゾナ記念館

 ○ アメリカの州

 今回の大統領選が契機となり、筆者のアメリカへの関心がやや高まっていて、先日

     アメリカ合衆国 1 (2016/11/29)

を投稿したところで、主に、標準時間について取り上げている。

前稿にもあるように、TV放映された開票速報等から、各州(States)が気になっているところで、全米50州に関して、

   ◇名称・略称、位置と形状、主要都市と州都

   ◇西域拡大の歴史、さまざまな話題

等を、日本の47都道府県並みに、出来れば覚えたいと思っているところなのである。

 今回は、ハワイ州の真珠湾の関連から、戦艦名になっている、いくつかの州名が出てきた、ということだが、全50州について、上述の夢が実現するのは、果たして、何時になるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二刀流  大谷翔平選手

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2016年12月16日(金)  二刀流 大谷翔平選手 

 

  当ブログでは、北海道ニッポンハムファイターズ大谷翔平選手の大活躍を受けて、野球での二刀流について、下記のように取り上げて来たところだ。 

   野球での二刀流 1~3、補足(2016/6/10、6/15、6/23、7/4) 

パ・リーグ後半戦でのファイターズの躍進は奇跡的であった。 連覇確実と言われていた、首位ソフトバンクとの最大11.5ゲーム差を逆転してレギュラーシーズン(RS)でのリーグ公式戦で優勝。

  ポストシーズンでのクライマックスシリーズ(CS)では、ソフトバンクを撃破し、日本シリーズでは、セ・リーグ優勝の広島東洋カープと対戦し、当初の2連敗をひっくり返し、7年ぶりの日本一の王座を獲得したのである。

  この栄誉は、言うまでもなく、栗山監督以下、全所属選手の力の結集によるものだが、筆者が注目してきた、入団4年目の大谷選手の投打の活躍も極めて大きく、パのシーズンMVPに選ばれている。更に、大谷選手は、パ・ベストナイン(投手、DHの2部門)と、パ・ゴールデングラブ賞にも選ばれている。  

         パ 大谷選手                  MVP           セ 新井選手    (ネット画像より)

  先だってのニュースでは、大谷選手は、来シーズンの契約更改で、高卒5年目としては、チーム最高額を得たようで、夢であるMLBへの移籍の話題も出たようだ。

彼にとって、今年は、最高の年だっただろうか。 

○ 年間通算成績 

ここで、大谷選手の、RSでの年間通算の成績をみると、以下である。(CS、日本シリーズは除く)

   投手  勝敗   10勝4敗

         防御率  1.86(自責点29 投球回数 140)

                 規定投球回は、チーム試合数×1.0=143×1.0=143

                 以上必要のため未達成 

         奪三振  174

         最高球速 164km/s (CSでは、165km/s NPB記録) 

   打者  本塁打 22本

         打率  .322(打数323 安打104)

             チーム試合数143 出場試合数104 打席数382だが、規定打席数は、143×3.1=443となり、未達成

       例外規定による首位打者の可能性も取りざたされたほどだが、千葉ロッテの角中選手が、文句なしの打率.339で獲得している。

 

 大谷選手の出場試合の公式データでは、投手としての登板回数は21試合、打者としての出場回数は104試合だが、この内訳として、

  ・DHを解除して最初から二刀流で出た試合

   ・DHだけで出た試合

   ・DHを置いて投手で出た試合

   ・DHを置いて投手で出たが、途中で、DHを解除して、打者でも出た試合

   ・投手以外の野手で出た試合

など、様々だが、正確なデータは見つからなかった。

 

○ 二刀流の今後と評価尺度

◇続く選手

これまでの記事で取り上げた、野球での二刀流は、今後どうなるだろうか。

二刀流については、関係者の、賛否様々な意見がある。(大谷翔平 - Wikipedia など)

以前、「プロ野球をなめるな!」と強く批判していた彼の野村克也氏が、謝罪して、前言を撤回した、とのオマケの記事もあった。(大谷翔平に野村克也が謝罪 「二刀流無理」撤回の理由 (J-CASTニュース)  

二刀流で活躍するには、個人的な能力が極めて大きいものがあろう。一方、今季の大谷選手の場合は、途中で右手の指のマメが破れ、かなりの間、投げられなかった時期に、DHとして活躍できた運もあったようだ。

優勝を祝って、チームでハワイ旅行中の栗山監督は、現地でのインタビューで、大谷選手に続く、第2、第3の二刀流選手を育成する構想を語ったという。

具体的に、育成する候補として、3年前に入団した白村投手や、昨年入団した上原投手の名前も挙げたようだ。

果たして、他の球団にも広がるだろうか?

 

◇いろいろなタイトル

  現在は、野球の二刀流に対する評価尺度やタイトルはないが、作れないものだろうか。

この関連で先ず思いつくのは、トリプルスリーで、打率3割、本塁打30本、盗塁30の達成である。

昨年、ヤクルトの山田選手と、ソフトバンクの柳田選手の二人がトリプルスリーを達成する快挙を成し遂げ、流行語にもなったが、その山田選手が、今季も、連続して、偉業を達成している。

打撃部門では、三拍子そろったとして、

   打率 本塁打 打点

の三部門の三冠王が有名で、これまで、何人かが達成している。 

また、投手三冠王として、勝利数 奪三振数 防御率 もある。

 

  トリプルスリーには、通常の打撃三冠とは異なって、攻守がバランスした選手という意味がある訳だ。

トリプルスリーが達成されたのは、日本では1950年のようだが、大リーグでは、かなり前の、1922年に達成されているようで、このような評価尺度を発明したMLBは流石である。(トリプルスリー - Wikipedia) 

 

  先日、BS―TV放送で、何気なくNBAのバスケの試合を観ていて、トリブル・ダブルという尺度があることを知った。 言葉が面白いので調べてみると、トリプル・ダブル(triple-double)は、バスケットボールの用語。 ある試合で1人の選手が、得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックショットの5つの項目の中で3つ、2桁を記録すると、その選手はトリプル・ダブルを達成したことになる。通常は、最初の3項目が多いようだ。

トリプル・ダブルは、記録としては、それほど珍しくはないようだが、1人の選手の年間の達成回数や、これまでの生涯通算回数などが、話題となるようだ。試合を面白くする工夫のひとつだろうか。(トリプル・ダブル - Wikipedia

 

  ところで、日本では、剣の流儀として、古来、二刀流は有名だが、英語ではどのように言うのか調べたところでは、two―sword fencing となるようだ。

 野球での二刀流選手の事を、アメリカでは、

   two―way player 

とでている。(大谷翔平選手の「二刀流」は英語ではどのように表現されてい... - Yahoo!知恵袋

 

◇具体的な提案

 本稿冒頭で述べた投稿記事の中の、「野球での二刀流 その3」で、二刀流の評価尺度とタイトルについて、提案をしているが、それを含めて、以下に見直して再提案してみた。数字は、年間通算である。

①10勝 10本塁打 (呼称 ダブル10)

②15勝 15本塁打 (呼称 ダブル15) 

大谷選手は、2015年は、15勝はすでに達成しているが、本塁打数は5で、2016年は、本塁打数は22本でOKだが、勝ち数は10と、①、②とも、未達である。

2016年は、10勝、22本塁打で、①は達成である。

③10勝 15本塁打 (呼称 テン・フィフティーン/ワン・ワンハーフ)

2016年は、10勝、22本塁打で達成である。

④10勝 10本塁打 打率2割5分(呼称 1・1・Q )

 Q:Quarter 1/4

トリプルスリーに倣って、打率を加えてみた。打席数がどうしても不足しがちなので、二刀流向けの規定打席数を新設。試合数を、チーム全体の試合数の1/2とし、それに3.1をかけて規定打席とする。 年間試合数143×1/2×3.1=222 が規定打席数となる。

 大谷選手の2016年の実績では、打席数は382でクリアしていて、打率は、.322なので、このタイトルは楽に達成している。

 

いずれにしても、二刀流についても、新たな尺度を作って、試合を面白くしてほしいものである。

 

 

 

時差ボケと生物時計

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2016年12月19日(月) 時差ぼけと生物時計 

 

 先だって、当ブログの、アメリカ合衆国に関する下記記事、 

   アメリカ合衆国  1 (2016/11/29) 

で、世界やアメリカの時間帯について触れたところだ。

本稿は、その延長上の余談であるが、時間帯をまたがって移動した場合の、「時差ぼけ」と「生物時計」について取り上げている。

 

○ 時差ボケ

 時差ぼけは、英語では、jet lag と言うようだ。まさに、ジェット旅客機に乗って、短時間内に時間帯をまたがって移動すると、 体内の生物時計との間で時間ずれ(lag)が生じ、時差ボケの症状が出ることとなる。 

 時差ぼけは、これまで、筆者も、何度か体験している。数日から3週間くらいの間、スイスやドイツに滞在する出張旅行等が多かったのだが、症状としては

  ・目まいがし、吐きたいような気分になる

  ・夜中に突然目が覚めたり、日中に睡魔に襲われる

  ・ボーっとして頭が重い

  ・胃が重く食欲がない

などで、立派な疾患(時差症候群、非同期症候群)と言われている。(一刻も早く治したい!時差ぼけに効果的な5つの解消方法

 特に旅行初期の頃は、現地到着後、1週間ほどは不快で、やむを得ず、ホテルに着いてから、しばらく寝たこともある。モスクワ経由で、現地の夕刻に到着する便の場合はまだいいのだが、アンカレッジ経由で、現地の午前に到着する場合は、かなり辛い思いをした。徹夜で麻雀をやった時とは異なる辛さだろうか。

 そして、漸く現地に慣れて体調が戻ったと思った頃に、帰国となり、またまた、時差ボケである。でも、アウェイの往路に比べて、日本に帰る復路の方が、症状が軽かったのは、勝手の知ったホームで、家族等が待っているせいだろうか。

 又、1人旅の時に比べて、グループとして大勢で欧米を回った時や、夫婦で北米を旅行した時は、余り時差ぼけを感じなかったのは、納得がいくところで、精神的な要因も関係するように思われる。

殆ど時差のないオーストラリアに行った時は、身体的な疲れはあるものの、時差ボケの無い快適な旅であった。

 

○ 生物時計 

 人体の頭部には、生物時計(biological clock 体内時計とも)と呼ぶ部位があるようだ。下図のように、視交叉上核という場所に、その中核があるという。(図はネット画像)  

生物時計は、人間だけでなく、通常の動植物一般に備わっているようだ。

 

 身体のリズムは、日照に反応するのが基本と言われ、日が昇って明るくなると活動的になり、日が沈んで暗くなると、休息・睡眠となる。

光を感知する目の網膜からの信号で、生物時計が調整され、ほぼ24時間周期の、概日リズム(circadian rhythm)が保たれているようだ。

不規則な生活や不眠症などから、このリズムが崩れると、下図のように体内の各部が不具合となり疾患につながるという。(不眠と生活習慣病 | 体内時計.jp

   

 現代社会では、照明で夜も明るく、コンビニなど、24時間営業等もあり、深夜放送も多く、生活のリズムは乱れがちだ。日勤と夜勤を逆転して勤務する職業等もある。

  最近では、生物時計の仕組みについての研究が進められているようで、先だってのニュースでは、24時間周期の変化の要因が、遺伝子レベルで、解明されたという。 人体の基本にかかわる先端分野であろうか(体内時計が生理機能リズムを生み出すにはRNA編集酵素ADAR2が必要)。

 

 

 

アメリカ合衆国  3

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2016年12月22日 (木) アメリカ合衆国  3 

 

  先日の12月19日は、アメリカ大統領選挙での、選挙人集会日で、選挙人による投票で、トランプ氏が正式に選出されるのだが、全くニュースにはならなかった。 

  スペイン女王の援助を受けて、コロンブスが、西周り航路で、1492年にアメリカ大陸(バハマ諸島)を「発見」して以降、新大陸への入植等が進められ、独立戦争を経て、1776年に独立宣言を発し、アメリカ合衆国が誕生するが、この経過は、どの歴史教科書にも載っている、あまりにも有名な事柄だ。

本稿では、先ず、下図に示す13のイギリス植民地が、建設されまでの話題を取り上げたい。(図は、ネット画像より)    

その後、アメリカでは、南北戦争があり、列強等の力関係の中で、西へ向かっての、領土の拡張が進められていくこととなる。

一方、国旗を通して、初期アメリカの歴史を観てみたい。

 

◇植民地建設

  アメリカ新大陸への、欧州各国の植民地建設が、どのように進められたのかは、詳しくは調査していないが、イギリスとの関係が深く、1584年には、処女王エリザベスⅠ世に因んで、バージニア(Virginia)植民地が建設されているようだ。

1620年、イギリスから、信仰の自由を求め、敬虔なピューリタン達(ピルグリムファーザーズ: 最初の白人系アメリカ人)が、メイフラワー号に乗って、北米新大陸のマサチューセッツのプリマス港に到着して、新たな歴史が始まった訳だ。

そして、ただちに1620年にプリマス植民地を、10年後の1630年にマサチューセッツ植民地を建設し、一帯を、本国に因んだ新天地として、ニューイングランドと呼んでいる。植民地建設では、イギリス王室の特許状があったようだ。

 その後、植民地建設がすすめられ、1681にはペンシルバニア植民地、1732にジョージア植民地が建設される等、前図のように、新大陸東海岸に13の植民地が建設されている。

  イギリス本国で、産業革命を起こした諸工業技術が、植民地に持ち込まれ、新大陸での、漁業、農業や、造船、紡績、鉄鋼等の諸産業が発展した。

又、プランテーションという大農場を支える労働力として、アフリカから、大量の黒人奴隷が、連れてこられている。

 

◇植民地旗

 下図は、独立前の13のイギリス植民地時代の旗である。紅白の横縞(ストライプ)の数は、植民地の数の13本であり、カントン(canton)と呼ぶ左上の四角の位置に、本国イギリスの国旗ユニオンフラッグが表示されている。

    イギリス北米植民地の旗 

  数多くの大英帝国の植民地が独立していく中で、宗主国イギリスとの関係を保ちながら、立派な独立国である現在も、国旗のカントン部に、イギリスのユニオンフラッグを表示している、下記の国々があるのは、やや、驚きである。(ネット画像)          オーストラリア       ニュージーランド   ツバル         フィジー         クック諸島 

付記:歴史を書く場合、征服者の立場か、被征服者の立場かによって、大きく異なってくるのは、世の常だ。

北アメリカ大陸や周辺の海域の島には、コロンブス一行が「発見」する以前から、現地人が居住していた訳で、欧州からやって来た連中は、勝手に上陸して侵略・征服した人種と言える。

アメリカ原住民を「インディアン」と呼ぶのは、最初に、インドと勘違いしたためだが、この言い方を改めて、現在は、「ネイティブアメリカン」と言うようだ。

 

 

 

 

 

 


アメリカ合衆国  4

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2016年12月29日(木) アメリカ合衆国  4 

 

  アメリカ大統領選挙に関連して、これまで、当ブログに

    アメリカ合衆国  1      (2016/11/29)

    アメリカ合衆国  2 真珠湾(2016/12/12)

    アメリカ合衆国  3      (2016/12/22)

を投稿してきた。

  本稿は、アメリカ合衆国シリーズとして続くもので、アメリカ独立戦争とその後の建国までについて話題としたい。 

 先日、日本を出てアメリカに向かった安部総理が、日本時間の昨朝6時頃(現地では、27日午前11時頃)、オバマ大統領と、上記のその2で取り上げた、ハワイ州オアフ島の真珠湾にあるアリゾナ記念館を訪れ、戦没者の慰霊を行い、和解と不戦の誓いを世界に表明した様子が、TV中継された。今後機会があれば、改めて取り上げることとしたい。

 

  前稿では、下図に示す13のイギリス植民地が、建設されるまでの話題を取り上げたが、最南・最後のジョージア植民地は、1732年になって出揃ったようだ(図は、ネット画像より)

    

 ◇ フレンチ・インディアン戦争

  欧州では、1756年から、プロイセン・イギリス陣営と、オーストリア・フランス・スペイン・ロシア陣営間で、七年戦争が起こっているが、この一環として、新大陸でも、イギリスとフランスとの間で、フレンチ・インディアン戦争(1756~63年)が引き起こされた。

  新大陸では、イギリスとともに、フランスもカナダからミシシッピ川流域にかけて植民地を建設していたので、両国が敵対する争いが繰り広げられたが、イギリス軍と対抗するフランス軍が、現地人(インディアン)と連携したことから、フレンチ・インディアン戦争と呼ばれているようだ。

この戦争では、イギリスが圧勝し、北米での支配権を獲得したようだ。この戦争が終結する時のパリ条約(1783年)で、イギリスは、フランスから、カナダと、ミシシッピ川以東の広大な土地を獲得(割譲)している。世界有数の大河ミシシッピ川が、重要な境界線となっているのは面白い。

この戦争の終結が、欧州での七年戦争を終結させるきっかけになったようだ。

 

◇ボストン茶会事件 

  イギリス本国は、フレンチ・インディアン戦争で、フランスには勝利したものの、国の経済が大きく疲弊した。 この為に新大陸の植民地に対して重税を課すため、各種税法(砂糖法、通貨法、宿営法、印紙法 等)を定めて取り立てる、重商主義政策を一層強化した。

課税をめぐる、本国と植民地側との激しい争いの中で、輸入茶葉に課税する茶法を不満として、1773年、ボストン茶会事件が起こった。

  茶法に反対した市民たちが、夜陰の中、ボストン港に停泊していた東インド会社の船を襲い、大量の茶葉の積み荷(342箱!)を海に投棄し、逃走したようで犯人は分からなかったという。

この時、行動した市民たちは、なぜか、インディアンに変装して襲撃したと言われ、又、問い詰められても、“茶会(tee party ティーパーティー)に行っていたのさ”、としらを切ったことから、茶会事件というあたりが、いまいち、分からないのだがーー。

茶の不買運動も起こって、以降、アメリカ人たちは、茶を止めてコーヒーを飲むようになったとかーー。

  この事件が、その後の、アメリカ独立戦争につながるきっかけとなったと言われる。(以上 ボストン茶会事件 など)

 

◇独立戦争を経て建国へ

  その後の経過については、以下に要約して示す。(第44回 アメリカ独立戦争 など)

1775年4月 ボストン近郊のレキシントンで、イギリス軍と植民地軍との武力衝突が起き、独立戦 争が始まる。

1776年7月4日 合衆国独立宣言採択(第2回大陸会議 フィラデルフィア)

1781年 バージニア州のヨークタウンの戦いでアメリカ軍が勝利し、独立戦争が事実上終結

1783年 パリ条約締結 イギリスはアメリカの独立を承認

                    イギリスがミシシッピ以東のルイジアナ獲得

1788年 合衆国憲法制定

1789年 初代合衆国大統領にJ・ワシントン就任 

  この流れの中で、イギリス本国とアメリカ植民地間の争いに加え、フランスやスペイン等も関与し、勿論、先住民もいて、勢力争いは、極めて複雑な様相である。

下図は、1789年当時の状況を示した地図で、図中の凡例にあるように、以下のようだ。(アメリカ合衆国領土の変遷 - Wikipedia より)

上記の図と比べると、南の州(バージニア、ノースカロライナ、ジョージア)は、西方のミシシッピ川まで、州域を大きく広げている様子が分かる。

 

◇合衆国国旗

  アメリカ合衆国国旗は、幾多の変遷を経ている。(アメリカ合衆国の国旗 - Wikipedia

建国時の国旗は、下図のようで、考案者の名をとり、Betsy―Ross Flag(ベッツイ・ロス旗)と呼ばれるようだ。

   

横縞の数は、13本であり、カントン部に、13の星が円形に並べられている。 

建国時の13州に、1791年にバーモント、1792年にケンタッキーの2州が加わって15州になったが、カントン部の星の配置法を変更したようだ。(下図) 

 

  以降、領土を拡大し、正式に州として編入される毎に、国旗の星の数を増やしてきた訳で、これまでで、数十種類の国旗があるようだ。

独立13州と各縞との対応や、各星と州との対応まで決められているか否かは、未調査である。

現在の、全米50州の国旗は下図だが、横縞の数が、現在も、建国当時の国旗と同じく13なのは驚くばかりである。

初心を忘れまいとする精神と、オリジナリティを尊重する姿勢が伝わってくる。 

 

アメリカ合衆国  5

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2017年1月5日(木) アメリカ合衆国  5 

 

 2017年が始まったが、今年は、内外の色んな話題が想定される中で、この1月20日に、トランプ大統領の就任式があり、良い意味でも悪い意味でも、この人物が率いるアメリカが、大きな話題の一つになりそうだ。

 アメリカ大統領選挙に関連して、これまで、当ブログに、合衆国シリーズとして 

    アメリカ合衆国  1      (2016/11/29)

    アメリカ合衆国  2 真珠湾(2016/12/12)

    アメリカ合衆国  3      (2016/12/22)

    アメリカ合衆国  4      (2016/12/29) 

を投稿してきた。 

  本稿は、これらに続くもので、アメリカ合衆国建国後の、領土の拡大について取り上げている。時代的には、日本の江戸末期から明治初期にかけての頃である。

 

 アメリカ建国時の独立戦争の終結となる、1783年のイギリスとのパリ条約で、イギリス本国に、13植民地の独立を認めさせてアメリカ合衆国となった。

世界初のブルジョア革命による政治体制と言われ、この独立国では、君主でなく、選挙で選ばれる大統領が最高位となる体制(共和制)で、これが、現在まで続いている。

この独立の出来事が、その後、フランス革命等の動きに、大きな影響を与えている。 

 

  パリ条約では、ミシシッピ川以東の広大な土地を、イギリスに割譲させ、領土(territories)とした状況は、前稿のその4で述べたところだ。

この地域は、その後、現在の、

   ウイスコンシン、ミシガン、イリノイ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキー、テネシー、

   ミズーリ、アラバマ

の各州になっている。

 

  新大陸をめぐる熾烈な争いの中で、飛ぶ鳥を落とすが如き凄さまじい勢いで、合衆国は、膨張主義で北米大陸の領土を拡大していった。 これを下図に示す。(改訂版デキシーランドジャズ物語「Vol3.フォスター物語」より) 

図では、ミシシッピ川以東は「買収」となっているが、「割譲」であろう。

                                    (現在の州境も表示)

  以下、領土拡大の主なイベントについて取り上げる。獲得した地域は、順次、準州から、正式な州として合衆国に加盟している。

 

◇ 1803年 ルイジアナ購入 

  財政的に困窮していたフランスは、自国の植民地だった、ミシシッピ川以西に広がる広大な地域であるルイジアナ(現アメリカの23%)を、破格の価格で、アメリカに売り渡したようだ。(フランス王 ルイ14世に因んだネーミングとか)(下図)

 

    ルイジアナ購入(緑部分)(ルイジアナ買収 - Wikipedia より)   

その後この地域は、上図にあるように、現在の、サウスダコタ、ネブラスカ、カンサス、オクラホマ、アイオワ、ミズーリ、アーカンサス、の各州となり、他の州の一部も含まれている。 

 

◇1819年 フロリダ割譲 

  イギリスとアメリカ間で、フロリダに関するアダムス・オンス条約が締結され(1819年)、1921年に発効している。この地域は、以前、イギリスが、スペインから手に入れたようだ。

領土が、スペイン→イギリス→アメリカと動いたが、その過程が、割譲か購入か、微妙な状況だろうか。

 

◇1846年 オレゴン併合

  領土が、西へ拡大し、ついに、オレゴン地域を手に入れて、北米大陸を横断し太平洋の海岸まで達したのは、1818年のようだ。でもこの時は、オレゴン・カントリーとして、アメリカとイギリスの共同領有としている。

1846年、合衆国とイギリスとの間で、イギリス植民地であるカナダとの国境協定が行われ、合衆国は、北緯49度以南を併合し、以北をイギリスに譲渡している。 共同領有も解消している。(オレゴン条約 - Wikipedia )

  余談だが、日露戦争の結果、樺太(サハリン)の北緯50度線以南が、日本に割譲されたのは、50年程後である。

  その後、この地域は、現在の、ワシントン、オレゴンの2州と、アイダホ州の一部となっている。 

 

◇1845年 テキサス併合

◇1848年 カリフォルニア割譲 

 メキシコ領の地域にアメリカから勝手に入植して、1836年に独立してメキシコ共和国となっていたテキサスを、1845年アメリカが併合した。これに反発したメキシコとの間で、1846年、米墨戦争が起ったが、メキシコが破れて、カリフォルニアを割譲せざるを得なくなった。(メキシコ割譲地 - Wikipedia

その後、テキサス併合地域は、現在の、テキサス州などとなる。また、割譲されたカリフォルニアは、現在のカリフォルニア州、ネヴァダ州と、他の州の一部となる。 

 

◇隣接国 カナダとメキシコ

  アメリカ合衆国の北の隣接国カナダは、イギリスの植民地から自治を認められて、1867年、4州連合の形態をとってスタートしたが、その後加盟する州は増えたものの、主権を認められたのは、なんと、1931年という。

  一方、南の隣接国メキシコは、1820年に、スペインの植民地から独立したが、米墨戦争で、アメリカに敗れ、かなりの国土を奪われる経験などをしている。

メキシコとアメリカの関係では、トランプ新政権下でも、移民の流入や工場の移転などをめぐって、トラブルが起こりそうだ。 

 

  両国の歴史は、植民地の宗主国(イギリス、スペイン)に支配され、隣のアメリカに振り回される歴史だろうか。

筆者には、アメリカが親分で、カナダが子分、メキシコが孫分のように見え、それを地で行っているのが、NAFTA(北米自由貿易協定)のようにも思えるーー。

アメリカ合衆国   6

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2017年1月10日(火) アメリカ合衆国  6  

 

 アメリカ大統領選挙に関連して、これまで、当ブログに、合衆国シリーズとして 

  アメリカ合衆国  1       (2016/11/29)

  アメリカ合衆国  2 真珠湾(2016/12/12)

  アメリカ合衆国  3       (2016/12/22)

    アメリカ合衆国  4       (2016/12/29)

    アメリカ合衆国  5       (2017/ 1/ 5) 

を投稿してきた。 

本稿は、これらの続編で、アメリカ国内で戦われた内戦である、南北戦争について取り上げている。 

  アメリカの南北戦争(American Civil War)に関しては膨大な情報があるが、その中から、関心の赴くままに、自分なりに把握できた事項を中心に、纏めてみた。

歴史的な事項に関しては、今回で一区切りとしたい。 

 

◇三角貿易と奴隷の売買

  南北戦争については、合衆国の北部と南部間での、奴隷制をめぐる対立が主な原因とされるが、背景として、産業構造など地域的性格の違い、連邦制に対する考えの相違などがあると言われる。 

  欧州強国が、カリブ海沿岸を含むアメリカ大陸へ進出・入植するのは、16世紀頃からだが、砂糖、タバコ、綿花などの、プランテーション(大規模農業)がすすめられ、これらの生産物が、欧州に運ばれ、イギリス等での経済活動の活性化や社会の発展につながり、欧州に富が蓄積され、それが、産業革命の基ともなったようだ。

広大な農地を使った、プランテーションでは、その労働力として、アフリカ大陸から、累計1500万人ともいわれる大量の黒人労働者が、奴隷商品として輸出・輸入されるシステムが出来上がっていて、まさに、人身売買が、公然と行われた。

  奴隷(slave)は、人類の歴史上、古代から存在したようで、征服者が、被征服者を奴隷とするのが通例で、個別的で、ローカルなものが多かったようだ。

これに対し、北米大陸を中心に行われた組織的な奴隷の貿易と、自由の無い強制的な使役のシステムである奴隷制(slavery)は、類例が無いという。

  これ等の物と人とのやり取りの構図は、下図のように、大西洋三角貿易と呼ばれている。

  

   三角貿易で、ヨーロッパはどんどん富み、北米の奴隷労働者は強制的に働かされ、奴隷の供給元のアフリカは、少しも、豊かにはならず、列強の植民地として長い間支配された。 

◇ 合衆国内での奴隷制度をめぐる扱い

  このような状況の中で、前稿のその4にあるように、宗主国イギリスと、アメリカ植民地連合との間で、独立戦争がおこり、最終的に、1783年のパリ条約で、13州からなる、アメリカ合衆国が成立している訳だ。

独立後は、政治体制などの多くの重要事項が決められたが、その中の一つに、奴隷制(slavery)の扱いがある。

植民地時代は、奴隷制は当たり前だったようだが、次第に、奴隷制を悪とする意見も出てきて、独立当初は、奴隷制を容認するか廃止するかは、各州の判断に委ねられ、以下のようになっている。 

・奴隷制を廃止した州  自由州(free state) 7

    マサチューセッツ ニューハンプシャー ニューヨーク 

       ペンシルヴェニア コネティカット ロードアイランド ニュージャージー 

         (合衆国発足時に制度を廃止した州が多い)

・合衆国発足後も奴隷制を維持した州  奴隷州(slave state) 6 

       メリーランド ヴァージニア デラウエア ノースカロライナ

       サウスカロライナ ジョージア

        (最後の2州は、奴隷制を維持することを条件に合衆国に加盟)     

  独立後は、イギリスから割譲したミシシッピ川以東地域や、フランスから購入したミシシッピ川以西のルイジアナ地域等へ、領土が拡大し、開発がすすめられた。

ここで、領土を、準州から州へと昇格させていく過程で、合衆国に新たに加わる州の奴隷制度を、どうするかが、大きな問題となったようで、詳細は略すが、13州の後に、1819年までに合衆国に加盟した各州の内訳は、結局、以下のようだ。 

  自由州 4 ヴァーモント(1791) オハイオ(1803) インディアナ(1816) イリノイ(1818)

  奴隷州 5 ケンタッキー(1792) テネシー(1796) ルイジアナ(1812)  

                   ミシシッピー(1817) アラバマ(1819) 

この数字を、当初の13州の数字に加えると

    自由州 7+4=11

    奴隷州 6+5=11

と同数となり均衡している!

 

◇ミズーリ準州の昇格とその後

  ミズーリ準州を、州に昇格させる事案が出された連邦議会では、奴隷州とすることを要求する奴隷州支持勢力と、バランスが崩れることを恐れてそれに反対する自由州支持勢力間の争いとなったようだ。

  ここで、ミズーリ州を奴隷州として認める一方で、マサチューセッツ州を分割して、自由州のメイン州を新たに作り、両勢力を、同数の12とするという、苦肉の妥協が成立したようだ(1820年 ミズーリ協定(ミズーリ妥協とも))。 

この際、その後の州昇格では、緯度(北緯36度30分)の以北では、奴隷州を禁止するということも決めたようだ。 

  その後、奴隷制の衰退をおそれた勢力(後の民主党)が、1854年に、カンザス・ネブラスカ法を成立(ミズーリ協定は破棄)させ、どちらの制度を取るかは、連邦議会ではなく、州の住民が決定できるとした。

一方、奴隷州勢力に対抗して、自由州勢力では、共和党が結成されている。 

  メキシコに、カリフォルニアを割譲させるなど、領土の拡大は続く一方、中部、西部、南部での州への昇格が続く中で、自由州が増え、対立は激しくなっていった。

  1852年、ストウ夫人の著作、アンクル・トムの小屋(Unkle Tom’s Cabin 舞台はケンタッキー州)で、奴隷労働者達の、悲惨な実態が紹介されるなどして、奴隷制は害悪で廃止すべきだ、という世論が高まったようだ。

 

◇ 南北戦争

*南北戦争が勃発する1861年までの、奴隷制に関する各州の状況は以下である。

自由州  12+6

         ミシガン(1837) アイオワ(1846) ウイスコンシン(1848) 

         カリフォルニア(1850) ミネソタ(1858) オレゴン(1859) 

奴隷州  12+3

             アカンサス(1836)  フロリダ(1845)  テキサス(1845) 

 

*南北戦争の時期での各州の動きは、複雑でよくわからないが、おおよそ、以下である。

北軍側 

  以下の19州

       メイン ニューハンプシャー ヴァーモント マサチューセッツ

       ロードアイランド コネティカット ニューヨーク

       ニュージャージー ペンシルヴェニア

 

       オハイオ ミシガン インディアナ イリノイ ウイスコンシン

       アイオワ ミネソタ カンザス オレゴン カリフォルニア 

 内戦中に、昇格して自由州になった州

         1963 ウエストバージニア  CSAのバージニアから分離離脱

            1964 ネバダ州

南軍側

  以下の11州

         サウスカロライナ ミシシッピー フロリダ アラバマ ジョージア

         ルイジアナ テキサス ヴァージニア ノースカロライナ テネシー

           アカンサス

  以下の4州は、奴隷州だが、北部との結びつきから中立策をとった。

        デラウエア メリーランド ケンタッキー ミズーリ  

*1860年の大統領選挙で、共和党のリンカーンが当選し、翌1861年に、リンカーンが大統領に就任すると、対抗する南部諸州は、アメリカ連合国(CSA Confederate States of America)を成立させ(首都 リッチモンド(VA))、対立が決定的となり、内戦が始まった。

南北戦争開始当時(1861年)の、アメリカ各州の状況は下図である。

 図の凡例は:

        グリーンの州 Confederacy:CSA(南軍側)

        薄ピンクの州 States:合衆国(北軍側)

        赤紫の州は  Disputed areas 紛争地域 

                     (ケンタッキー ミズーリ インディアン地域) 

である。(図は アメリカ合衆国領土の変遷 - Wikipediaより)

  

  戦闘の実際については省略するが、1965年、ゲティスバーグ(PE)の戦いで北軍が大勝し、CSAの首都リッチモンドが陥落して、4年に及ぶ内戦は終了した。

ゲティスバーグの戦場跡でリンカーン大統領が行った演説は、あまりにも有名である。

  なお、 カンザスは、1861年に州に昇格し、北軍に入ったが、ネブラスカが昇格したのは、戦争後の、1867年である。

 

◇ 再統一された合衆国

   南北戦争が終了し、破れた南軍のCSAが解体し、この11州や中立州などが、北軍の勝利で存続した合衆国に戻った。この結果、下図のように、36州からなる国家としての統一が保たれ、その後、アメリカでの産業革命が、大きく進展することとなった。 

 

 

  この過程で、南部諸州で解放される黒人労働者(アフリカ系アメリカ人)たちの、政治的、経済的、社会的なシステムでの、恒久的な平等の実現には失敗したようだ。(レコンストラクション - Wikipedia )

黒人問題は、その後のアメリカ社会に、大きな影を落としていて、現代まで続いている。

 

 

 

 

州を覚える  1 MLB-AL

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2017年1月14日(土)  州を覚える 1  MLB―AL 

 

 この所、アメリカ合衆国についての話題が続いたが、筆者は、今年は、日本の47都道府県とおなじように、米国50州の州名を覚えるのを目標としている。 

手始めに、TVの放送等で馴染みがある、北米プロ野球(MLB)の球団が所在する州の名前から取り組むこととしたが、中でも、日本人で活躍した選手も多く、最も知っている American League(AL)から、取り上げることとした。

 下図は、MLB-ALの14チームと、その所在地を示した地図だ。図には、所在する都市名も表示されている。残念ながら、図では、州名が、アルファベット2文字の略号で、ぼんやり表示されていて、凡例でもよく読めない。 参考のため、英語の州名入りの図も示してある。(以上 ネット画像より)

  

  ALが関係する米国の州は、図の12州(他に、カナダ1州)であり、これらから覚えることとなる。上の地図では、これ等を赤枠で示している。 

 ALには、州名を冠したチームと、都市名を冠したチームがありこれらを、West、Central、Eastの地区別に以下に示す。州名、都市名には、下線を付し、州の略号も示している。州名を覚える時は、チーム名、主要都市名もセットにすると、忘れにくいようだ。

 West地区  

州名を冠したチーム 

  Texas Rangers(TX:Texas州   Arlington)

都市名を冠したチーム (都市名は、州内の主要都市が多い)

  Anaheim Angels(CA:California州)

  Oakland Athletics(CA:California州)

  Seattle Mariners(WA:Washington州)

 

Central地区 

州名を冠したチーム

  Minnesota Twins(MN:Minnesota州 Minneapolis)

都市名を冠したチーム (都市名は、州内の主要都市が多い)

  Chicago White Sox(IL:Illinois州)

  Detroit Tigers(MI:Michigan州)

  Kansas City Royals(MO:Missouri州)

  Cleveland Indians(OH:Ohio州)

 

East地区

都市名を冠したチーム (都市名は、州内の主要都市が多い)

  Baltimore Orioles(MD:Meryland州)

  Boston Red Sox(MA:Massachusetts州)

  New York Yankees(NY:New York州)

  Tampa Bay Rays(FL:Florida州)

  Toronto Blue Jays(カナダ Ontario州) 

 

 ALのチームに所属する日本人選手は、この所は、かなり少なくなったが、以前は、右側に示すように、活躍した選手が多い。(日本人のメジャーリーグベースボール選手一覧 - Wikipedia

   Orioles オリオールス    :                      :上原浩治

  Mariners マリナーズ    :岩隈久志 青木宣親はNLへ移籍 :イチロー 長谷川滋利

  Rangers レンジャーズ  :ダルビッシュ有              :

  Red Sox レッドソックス:上原浩治はNLへ移籍             :松阪大輔 岡島秀樹  

  Yankees ヤンキース  :田中将大                     :松井秀樹 イチロー

 

 

 

 

 

 

州を覚える   2  MLB-NL

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2017年1月17日(火)  州を覚える 2 MLB―NL 

 

 当ブログの下記の記事で、北米プロ野球(MLB)のALについて、取り上げたが、続編として、今回は、National League(NL)について、話題としたい。 

   州を覚える 1 MLB-AL (2018/1/14)

 下図は、MLB-NLの16チームと、その所在地を示した地図だ。図の形式は、ALと同様で、所在する都市名も表示されていて、州名は略号である。

参考のため、英語の州名入りの図も示してある。(以上 ネット画像より)

 

 

 

  NLが関係する米国の州は、上図の赤枠(筆者が付加)で示した13州で、これらを覚えることとなる。 

NLにも、州名を冠したチームと、都市名を冠したチームとがあり、これらを、West、Central、Eastの地区別に以下に示す。州名、都市名には、下線を付し、州の略号も示している。 

West地区  

州名を冠したチーム 

 Arizona Diamondbacks(AZ:Arizona州 Phoenix)

 Colorado Rockies (CO:Colorado州 Denver)

都市名を冠したチーム (都市名は、州内の主要都市が多い)

 Los Angeles Dodgers (CA:California州)  

 San Diego Padres (CA:California州)  

 San Francisco Giants (CA:California州)

  

Central地区 

都市名を冠したチーム 

 Chicago Cubs(IL:Illiois州 )

 Cincinnati Reds(OH:Ohio州)

 Houston Astros(TX:Texas州)

 →2013年より、ALのWestに移動したようだ。 図は、古いまま。

 Milwaukee Brewers(WI:Wisconsin州)

 Pittsburgh Pirates (PA:Pennsylvania州)

 St. Louis Cardinals (MO:Missouri州) 

 

East地区

都市名を冠したチーム 

 Atlanta Braves (GA:Georgia州)

 Miami Marins (FL:Florida州)

 New York Mets (NY:New York州)

 Philadelphia Phillies (PA:Pennsylvania州)

 Washington Nationals (MD:Meryland州 

   Washington D.C.(District of Columbia)) 

 

 NLのチームに所属する日本人選手は、この所は、かなり少なくなったが、以前は、右側に示すように、活躍した選手が多い。(日本人のメジャーリーグベースボール選手一覧 - Wikipedia) 

 Dogers   ドジャース    :前田健太   :野茂英雄 斉藤隆 石井一久 黒田博樹 

 Cardinals カーディナルス            :田口 壮

 Cubs    カブス                 :福留孝介

 Marins   マーリンズ    :イチロー   :

 Mets    メッツ                 :松井稼頭央

 

州を覚える  3  4大プロスポーツ

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2017年1月21日(土) 州を覚える 3  4大プロスポーツ 

 

 アメリカ合衆国の現地時間(EST)の20日、第45代となるトランプ新大統領の就任式が、首都ワシントンで行われ、日本での今朝のニュースは、この話題で持ちきりだ。 この件に関しては改めて取り上げることとしたい。 

 アメリカの全50州を覚えるべく、スポーツチームの所在地などから、これまで、筆者には馴染みの深い、ベースボールのMLBの所在地を見てきた。

北米には、4大プロスポーツがあると言われ、MLBの他は、NFL、NBA、NHLである。筆者としては、TV放送で見るのは、MLBが殆どで、偶に、NBAや、NFLの試合も視るが、NHLは全く馴染みが無い。

これ等の概要は以下である。(北米4大プロスポーツリーグ - Wikipedia より) 

MLB:Major Leage Baseball ベースボール(野球)

     チーム数30  アメリカ29  カナダ1 

American Leage 15チーム

 以下の各地区(Division)に5チームづつ

  West、Central、East 

National Leage  15チーム

 以下の各地区に5チームづつ

  West、Central、East 

 

NFL:National Footbal Leage アメフト

    チーム数 32  アメリカのみ カナダ 0 

AMERICAN FOOTBALL CONFERENCE

 以下の各地区に4チームづつ 

  WEST NORTH SOUTH EAST 

NATIONAL FOOTOBALL CONFERENCE

 以下の各地区に4チームづつ 

  WEST NORTH SOUTH EAST  

 

NBA:National Basketball Association  バスケ

     チーム数30 アメリカ29  カナダ 1

  EAST CONFERENCE  15チーム 

    以下の3地区に、5チームづつ 

      ATLANTIC CENTRAL SOUTUEAST

  WEST CONFERENCE

    以下の3地区に、5チームづつ 

   NORTHWEST PACIFIC SOUTHWEST 

 

NHL:National Hockey Leage アイスホッケー

       チーム数30   アメリカ 23 カナダ 7 

WESTERN CONFERENCE  14

  以下の各地区に7チームづつ

    PACIFIC CENTRAL

EASTERN CONFERENCE  16 

  以下の各地区に8チームづつ 

  ATLANTIC METROPOLITAN

 

  プロチームの総数は、2013年のデータで、122に上っている。多くのチームはアメリカだが、中には、アイスホッケーなど、カナダに本拠地があるチームもいくつかある。

TVなどで視ると、地域のスポーツチームの活躍に熱中するファンが多いのは驚くばかりだが、本稿では、州の名前を覚える という観点から、各スポーツチームが所在する本拠地(フランチャイズ)の分布を見ることとする。

上記サイトには、アメリカ(一部カナダ)の47にわけられた都市圏毎に、北米4大スポーツチームの所在地を一覧にした表が出ている。(北米4大プロスポーツリーグ - Wikipedia

州ごとでみると、4つのリーグの全てのチームがあるのは、以下の都市圏である。

  都市圏         チーム数   州

  ニューヨーク        9   ユーヨーク州

  ロサンンゼルスアナハイム     7   カリフォルニア州

  ワシントンボルティモア       6      メリーランド州 (ワシントンDC)

  サンフランシスコオークランドサンノゼ 6   カリフォルニア州

  シカゴ             5   イリノイ州

  フェニックス         4   アリゾナ州

  ボストン           4   マサチューセッツ州

  フィラデルフィア      4   ペンシルべニア州

  ミネアポリスセントポール  4   ウイスコンシン州

  デトロイト          4   ミシガン州

  デンバー          4   コロラド州

  ダラスフォートワース   4   テキサス州

  マイアミ           4   フロリダ州  

 一方、1チームしかない都市圏も多く、カナダを除いたアメリカだけでは、州全体で1チームしかないのは、以下だ。

  ポートランド      1 (NHLのみ) オレゴン州

  ソルトレークシテティ 1 (NBAのみ) ユタ州

  オクラホマ       1 (NBAのみ) オクラホマ州

 

 このサイトに、これらを、北米地図上で、都市圏のチーム数を円の大きさで表わしたユニークな地図が出ており、下図に引用した。 

 

上図と、これまでのMLBの記事で出てきた地図(AL+NL)を対比してみる。 

 

 

MLBで出てきた州の数は、上図の17(DCは含めない)だが、新たに出てきたのは以下の6州である。

州          都市圏            スポーツチーム    

Oregon州    Portland             NBA

Utah州      Salt Lake City        NBA

Oklahoma州  Oklahoma City       NBA

Louisiana州   New Orleans    NFL  NBA

Indiana州     Indianapolis      NFL        NHL

North Carolina州 Charlotte       NFL  NBA

                         Raleigh                  NHL 

  MLBは、大都市向きで、MLBだけの都市圏は無い。一方、NBA、NFL、NHLは、中小都市向きのようで、これらの1チームだけの都市圏も多い。 

  これらを、MLBの地図に追加して緑の枠で示し、4大スポーツ全体を表したのが下図で、州の総数は23(DCは含めない)となる。   

 

  アメリカ・カナダには、4大スポーツのチームが122もあり、そのフランチャイズがかなりの地域に広がっていると思っていたが、上図で分かるように、1つも無い州が、以下の27州(DCは含めない)と、アメリカ全50州の約半数もあるのは、驚きである。

超広大なアメリカでは、都市圏への集中度が高い一方で、人口が希薄な、田舎も多いという事だろう。

山岳平原地帯

  Nevada、Idaho、Montana、Wyoming、New Mexico、North Dakota、South Dakota、

  Nebraska、Kansas (9)

中央平原地帯

  Arkansas、Mississippi、Tennessee、Iowa、Alabama、Verginia、West Virginia、

  Kentucky  (8)

東部海岸地帯

  Maine、New Hampshire、Vermont、Rhode Island、Connecticut、New Jersey、

  Delaware、South Carolina  (8)

その他

 Hawaii、Alaska (2)

 

これ等の州を、何を手掛かりに、どのように覚えるのがいいだろうか、工夫が必要だ。

アメリカの自然   1

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2017年1月26日(木)  アメリカの自然 1 

 

 先週末、アメリカのトランプ大統領が就任したが、その後、アメリカの国内が揺れている中で、新たな布陣でスタートしたが、経済関連では、NAFTAの再交渉を行うと言い、TPPから離脱する大統領令や、メキシコ国境に壁を作る大統領令に署名したようだ。

 いまだに選挙期間中の演説が続いているようで、大国の大統領としては程遠い、かなり、一面的な見方にみえ、口先達者なワンマンさが目立つ。副大統領以下、任命された閣僚達が、どうしているのかは、まだよく見えてこない。

 筆者には、新大統領の、この所の一言一句に対して、素人ながら、真面目にコメントする気が薄れてしまっており、アメリカとして、実際にどんな行動となるのか、しばらく様子見を決めている。 

安部総理の訪米頃になれば、少しは、アメリカの実際の方向が見えてくるだろうか。 

 さて、当ブログのアメリカシリーズの中で、州を覚える一環として、これまで、4大スポーツチームの所在地を見てきたが、今回は、アメリカの自然の視点から取り上げることとした。

 

 下図は、中学生向けの、アメリカの自然の概要図だが、山脈、平原、川、湖のいずれも、誰でも知っている固有名詞だろう。(【中学・地理】ここだけおさえる!アメリカの地形と農業・産業 | nanapi [ナナピ]) )

以下、それぞれについて、州域を意識しながら、先ず、山脈から簡単に触れてみたい。 

○ ロッキー山脈

下図は、アメリカの地形図( 州域も表示されている)で、上記4項目が、大まかに示されている。

MAP_STUDY3 より) 

 

  このアメリカの地形図で、西部にかけて赤茶色に示された山岳地域の山々は、

      Rockey Mountains(ロッキー山脈)

と呼ばれており、下図のように、国境を越えて、北のカナダまで続いていて、環太平洋火山帯の一環を構成している。  最高峰は、コロラド州の、エルバート山(4398m)のようだ。 

 ロッキー山脈の位置 

このロッキー山脈に関連する州は、明確な定義はないが、以下の6州(仮に、ロッキー6州)と言われているが、これらの州が、アメリカ合州国に加入したのは、以下のように、アメリカ本土で最も遅い部類になる。

    Colorado    (1876年 38番目)

    ontana      (1889年 41番目)

    Idaho       (1890年 43番目)

    Wyoming    (1890年 44番目)

    Utah       (1896年 45番目)

    New Mexico (1912年 47番目)

そして、ほぼ同時期に、山岳地帯が近接する

    Arizona     (1912年 48番目)

州が加入して、本土48州が出揃っている。(以上 ロッキー山脈 - Wikipedia より) 

アメリカ本土から遠く離れた、Alaska、Hwaiiの2州が、終戦後の1959年に、アメリカ合衆国に、49番目、50番目に加入し、現在に至っている。 

 ロッキー山脈関連の7州を、下図で、茶色枠で示しているが、比較的覚えやすいだろうか。これらの州境は、大半が緯度、経度による直線で区切られ、中でも、

    Wyoming、Utah、Colorado、New Mexico

の4州の州境は、天然の河川などが関係しない直線のみで、まるで豆腐を切ったようでもあり、全米でもここだけで、本稿での呼称を、「おとうふ州」としたい。 

 ロッキー山脈は、アメリカ東部から大陸を横断して西部へと開拓していく場合の、極めて大きな障壁となったようで、関連する地域が合衆国へ加入するのが遅れた最大の理由だろう。交通手段も、馬車用の道路から、山脈越えの蒸気機関車による、大陸横断鉄道などが、徐々に整備されている。主な鉄道が開通したのは以下のようだ。

    ユニオンパシフィック鉄道  1869年開通 

    セントラルパシフィック鉄道 1869年開通 

    サンタフェ鉄道         1880年開通

    ノーザンパシフィック鉄道  1883年開通

    サザンパシフィック鉄道   1883年開通

    グレートノーザン鉄道    1893年開通 

 この中で、ユニオンパシフィック鉄道の、ネブラスカ州オマハからの西進線と、セントラルパシフィック鉄道のカリフォルニア州サクラメントからの東進線が、1883年にユタ州オグデン近郊で接続され、北米初の大陸横断鉄道が開通している。これを遂行したのは、南北戦争を戦う、当時のリンカーン大統領の悲願を実現する国策会社だったという。 

 詳細は未調査だが、上述の鉄道各社は、その後、幾多の変遷を経て、モータリゼーションや航空機輸送の時代の潮流にも伍しながら、貨物輸送を主体として、現在に生き残っているようだ。現在、米国No.1の地位にあるのは、ユニオンパシフィック(UP)という民営会社のグループで、もう一方のNo.2は、BNSFというグループのようである。 

 

○ アパラチア山脈

 先の地形図で、大陸東部で南北に連なる山塊はアパラチア山脈で、最高峰が、ミッチェル山2097m(ノースカロライナ州)と比較的低く、火山は無い。

 広義には、この山脈は、下図のように、南部の諸州(アラバマ、サウスカロライナ)から、中部の諸州(メリーランド、ペンシルバニア、ニューヨーク)を経て、北のニューイングランド諸州(コネティカット、マサチューセッツ、ヴァーモント、ニューハンプシャー、メーン)にまで及ぶようだ。

 

 狭義には、この山脈に関係するのは、ノースカロライナ、テネシー、ケンタッキー、ウエストヴァージニア、ヴァージニアの5州(仮に、アパラチア5州)と言われる。(以上 アパラチア山脈 - Wikipediaより)

アパラチア山脈が関係するこれらの5州を、下図に、茶色枠で示す。

 

 

 山脈東側の大西洋に面した平野部は、アメリカ最初の入植地であり、13州が独立している。開拓当初は、この山脈に阻まれたが、次第にこれを越えて、原住民とも争いながら、西進して行った。

言うまでもなく、現在は、東側には世界屈指の大都市が広がっており、又、西側では、現在は、石炭、石油、各種鉱物資源が豊富だ。

 

 

 

 


アメリカの自然   2   河川

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2017年1月31日(火) アメリカの自然  2  河川 

 

 当ブログの下記記事で取り上げた山脈に続いて、今回は、河川を取り上げる。

     アメリカの自然   1  (1017/1/26)

 

 下図は、アメリカの主要な河川を表した地図だ。(アメリカ合衆国の河川・湖・運河・水路水上交通より) 図では、太い青線で、軍などが管理している流域も示している。

 

下図は、川と国境、州境との関係を示している。(ネット画像 より)

 

 

○ミシシッピ川水系

 アメリカの河川と言えば、なんといっても、ミシシッピ(Mississippi)川である。長さでも、流域面積でも、世界有数の大河である。

   長さ       5969km  世界4位(支流ミズーリ川を含む)   

   流域面積  32500km2  世界4位

 

 ミシシッピ川は、メキシコ湾の河口から上流に遡るに従って、ア-カンソー川、オハイオ川(更に、テネシー川)、ミズーリ川、イリノイ川等に分かれる。

上図にあるように、ミシシッピ川本流の源流はミネソタ州の、イタスカ湖のようだ。ここから河口までの距離は、3779kmという。

 一方、ミズーリ州のセントルイスで、ミシシッピ川と分かれるミズーリ川の源流は、モンタナ州南西部のロッキー山脈中と言い、ミシシッピ川本流も含めると、5969kmと、こちらの方が遥かに長いようだ。(ミシシッピ川 - Wikipedia

 

河川が、領土や州の境界線となることは多く、ミシシッピ川が、アメリカの西の領土の境界となった時代もある。

上述の図にもあるように、現在も、ミシシッピ川とその支流が、以下の州境の一部/全部となっているようだ。 

    ミシシッピ川     ルイジアナ  - ミシシッピ

                アーカンソー - ミシシッピ

                 ミズーリ    - イリノイ

                アイオワ   - イリノイ

                アイオワ   - ウイスコンシン

                ミネソタ    - ウイスコシン

    オハイオ川   ケンタッキー - イリノイ

               ケンタッキー - オハイオ 

               ケンタッキー - インディアナ 

                オハイオ   - ウエストヴァージニア

    ミズーリ川   カンザス   - ミズーリ

              ネブラスカ   - ミズーリ

              ネブラスカ   - アイオワ

              ネブラスカ   - サウスダコタ

 

  ミシシッピ川水系では、水上交通の要衝として、河口のニューオーリンズ(LA)に始まり、途中には、バトンルージュ(LA)、メンフィス(TN)、セントルイス(MO)、ミネアポリス(MN)、カンザスシティ(KS)、オマハ(NE)、ルイヴィル(KY)、シンシナティ(OH)などの諸都市が発展してきている。(  )は州名略号。

中には、下線を付した州内の最大都市もあり、以前の、4大スポーツの所在都市の記事でも触れた都市圏も含まれている。この水系は、往時だけでなく、現代も、船舶による輸送手段として、水上交通で利用されているようだ。

 

 支流のオハイオ川の、更に支流となるテネシー川には、F.ルーズベルト大統領時代、世界恐慌後の1933年に、地域開発をすすめるニューディール政策として、TVA(Tennessee Valley Authority)が設立され、多数の多目的ダムがつくられており、現在も、電力供給などが行われているようだ。(テネシー川流域開発公社 - Wikipedia

  又、支流のミズーリ川には、F.ルーズベルト大統領時代の1944年以降、洪水防止、灌漑、発電用の数多くのダムが造られ、北アメリカ最大の貯水システムと言われている。(ミズーリ川 - Wikipedia

 

○ その他の河川

・リオグランデ川

  コロラド州のロッキー山脈の山中を源流とし、ニューメキシコ州を経て、メキシコ湾へ流れている、3000km以上もある立派な大河だ。

  トランプ新大統領が、メキシコとの国境線(全長約3200km)に壁を作ると息巻いているところだが、テキサス州エルパソから南東のリオグランデ川の下流の河口までの約2000kmの河川域が、アメリカとメキシコとの、国境線となっている。 一方、エルパソから西方向の、アリゾナ州・カリフォルニア州とメキシコとの間の、太平洋岸までの約1000kmは、地続きの国境線である。

  地図で見ると、国境のこの川の両側には、アメリカ側とメキシコ側で、以下のように、都市が対向していて、米墨双子都市と言うようだが、双方の地域格差は大きいようだ。(以上 リオ・グランデ川 - Wikipedia

  (アメリカ側)       (メキシコ側)

   エルパソ     ―  シウダーファレス

   ラレド       ―  ヌエボラレド

   マクアレン    ―  レイノサ

   ブランズヴィル ―  マタモロス 

  

・コロラド川

 コロラド州のロッキー山脈中が源流のコロラド川は、ユタ州、アリゾナ州を経て、メキシコ国境を越えて、カリフォルニア湾へ注ぐ。

以下の、州境の一部にもなっている。

   カリフォルニア ー アリゾナ 

   ネバダ      ー アリゾナ

 コロラド高原を流れるこの川の流域には、多数の国立公園があり、グランドキャニオンなど、世界的に著名な景勝地が多い。下図は、ネットにある、大自然巡りの旅行記から引用している。(アメリカ国立公園旅行記 01 〜渡航〜より)

 

  

 ・コロンビア川

  カナダ ブリティシュコロンビア州の、カナディアンロッキー山脈中が源流で、ワシントン州に入り太平洋に注ぐ。途中の流域には、オレゴン州最大都市のポートランドがある。

コロンビア川の豊富な水量で、多数のダムが造られ、水力発電等がおこなわれているようだ。

 この川が、オレゴン州とワシントン州の州境の大半となっている。また、支流のスネーク川が、オレゴン州とアイダホ州の州境の一部となっていて、この流域に、アイダホ州都のボイジーがある。

アメリカの自然  3  湖と水系

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2017年2月3日(金) アメリカの自然  3 湖と水系 

 

 アメリカトランプ大統領の言動のニュースが世界を駆け巡っており、日本国内では、今日は、マティス新防衛長官が来日している。

政治の話題は、この10日と決まった、安部総理の訪米・首脳会談の時に、取り上げることとし、それまでは、しばらく様子見としたい。

 

 当ブログではこれまで、アメリカに関して、シリーズもので、いくつかの記事を投稿してきた。

     アメリカ合衆国  1~5 (2016/11/29~2017/1/6)

 

では、建国から独立戦争までを扱い、一区切りとしている。

 続いて、州を覚えるチャレンジとして、

     州を覚える 1~3  (2017/1/13~1/21)

 

で、MLBと4大プロスポーツを話題とし、その延長で

     アメリカの自然 1~2 (2017/1/26~1/31)

 

で、山脈と河川を取り上げている。

 引き続いて、今回は、湖と水系をとりあげる。

 

○ 五大湖

 アメリカの湖と言えば、5大湖(Great Lakes)で、どの教科書にも出てくる、基本事項だ。

5大湖は、世界最大の淡水水系で、氷河湖が起源と言われ、相互が水系として繋がっている。下図は、五大湖に関するあるサイトから引用した観光用の図だが、五大湖水系内での船舶の航行から、各々の繋がりがよく分かる。 ヒューロン湖とエリー湖の中間にあるセントクレア湖が水系の繋がりでは重要だ(アメリカ・五大湖クルーズ | ワールド航空サービス

  

  各湖の前後関係と水位を示したのが下図である。(五大湖 - Wikipedia より) 

 

          ↑            ↑

       スペリオル湖  ↑  セントクレア湖  ↑  

              ヒューロン湖     ↑  ナイアガラの滝

              ミシガン湖      エリー湖     ↑               

                               オンタリオ湖 

 水の流れは、スペリオル湖が最上流にあり、ヒューロン湖を経て、エリー湖につながっている。途中に、セントクレア湖という小さな湖があり、こことヒューロン湖、エリー湖との間は、運河(上図の、セントクレア川、デトロイト川)が出来ている。

上図では分かりにくいが、ミシガン湖は、ヒューロン湖と水位は同じになっているようで、五大湖の水系としては、盲腸のようになっている。

 エリー湖とオンタリオ湖の水位差は80mと大きく、著名なナイアガラの滝がある。

この滝を避けて通行する船舶のために、ウエラント運河(ナイアガラ川)が作られている。

 オンタリオ湖から先は、セントローレンス川を使った、セントローレンス海路(いくつかの閘門あり)が、大西洋まで通じており、五大湖周辺と大西洋を結ぶ、太い輸送水路となっている。

 一方、ミシガン湖から、ミシシッピ川水系に通じる水路(イリノイ・ミシガン運河とイリノイ川)もできているようで、こちらは、往時に活躍したようだ。 

 各湖の大きさを下記に示すが、右欄の日本列島と比べると、その巨大さがわかる。

   湖名          面積       日本との比較 

スペリオル湖      8.2万km2   北海道よりやや大 

ヒューロン湖      5.9        九州の約1.6倍

ミシガン湖       5.8         九州の約1.5倍

セントクレア湖     0.1        琵琶湖の約1.6倍

エリー湖        2.5         四国の約1.4倍

オンタリオ湖      1.9        四国よりやや大

琵琶湖         0.067  

 

 ○ アメリカ・カナダ国境線

 北米大陸のアメリカとカナダの国境線は、アラスカを除いても、極めて長いもので、2国間の国境線としては、世界最長という。

 国境の西半分は、陸続きで、1846年のオレゴン条約の成立以降、現在まで、北緯49度線が国境線(アメリカとイギリス領カナダ→アメリカとカナダ)で、国境に接している双方の現在の州は、以下である。 

  (アメリカ側)    (カナダ側)

  ワシントン州   ブリティッシュコロンビア州

  アイダホ州    〃

  モンタナ州    〃

             アルバータ州

             サスカチュワン州

  ノースダコタ州  〃    

             マニトバ州

  ミシガン州    〃

             オンタリオ州 

 国境線は、途中から、陸上の湖沼地帯となり、更に、以下の図のように、五大湖が国境線になっている。(五大湖の地図 — ストックベクター

図では、残念ながら、国境線の赤色が薄い。又、州名の、MICHIGANが抜けていたので、筆者が記入し、主要都市には、筆者が、赤枠を付してある。

 

  五大湖を国境線とした、両国の州の対応は以下で、カナダ側は、オンタリオ州が一元的に管理しているようだ。

    アメリカ側       五大湖       カナダ側

     ミネソタ州       -スペリオル湖 - オンタリオ州  

    ウイスコンシン州  -〃        - 〃

    ミシガン州      -ヒューロン湖   - 〃

    ミシガン州      -セントクレア湖  - 〃

    オハイオ州     -エリー湖        - 〃

    ペンシルバニア州 -〃           - 〃

    ニューヨク州     -〃           -〃

                 -オンタリオ湖  -〃 

ミシガン湖は、国境線が無く、アメリカ国内湖となっている。 

 オンタリオ湖からセントローレンス川が流れ出るが、しばらく、この川が国境線となり、最後は、陸続きの国境線となっている。

(アメリカ側)        (カナダ側)

ニューヨーク州       ケベック州

ヴァーモント州       〃

ニューハンプシャー州  〃

メイン州           〃  

○五大湖周辺の都市と産業

 五大湖周辺は、北米の経済・産業の一大中心地として繁栄し、多くの都市が形成されていて、先の図にも示されているが、湖によって、大きな差があるようだ。

・最北に位置するスペリオル湖周辺は、西端のダルース周辺(ミネソタ州)以外は、余り発展せず、自然が多いようだ。

・ミシガン湖周辺では、西湖岸の南部には、全米第3位で、五大湖周辺では最大のシカゴ(イリノイ州)があり、人口250万を超える都市圏となっている。特に食品産業の中心のようだ。

ミシガン湖の西岸添いに都市が並び、醸造業の中心地、ミルウォーキー(ウイスコンシン州)がある。一頃、TVコマーシャルで、北緯43度線の近くにある、世界的にビールが美味い地域として、下記のように

      “ミュンヘン---サッポロ---ミルウォーキー”

とPRされたものだ。 

・ヒューロン湖周辺は、めぼしい都市がなく、レクリエーション地域が多いようだ。

・そして、エリー湖周辺には、自動車産業のデトロイト(ミシガン州)、鉄鋼業のクリ―ブランド(ペンシルバニア州)、ナイヤガラ観光のバッファロー(ニューヨーク州)などが集積している。

・さらに、オンタリオ湖周辺では、南のアメリカ側は、ロチェスター(ニューヨーク州)程度だが、北のガナダ側には、カナダ最大都市のトロントやハミルトン、オシャワ、キングストン(以上 オンタリオ州)などがある。

・オンタリオ湖から流れ出るセントローレンス川の、河口までの流域のカナダ側には、首都オタワ(オンタリオ州)、モントリオール、ケベック(以上 ケベック州)などがある。五大湖周辺とセトローレンス川流域には、なんと、カナダ全人口(約3400万)の半分以上が集中しているという、信じられないような数字である。

・エリー湖、オンタリオ湖岸の100万都市圏である、デトロイト、トロントを中心として、アメリカ、カナダ両国にまたがる地域全体を包括して、五大湖メガロポリスというようだ。

 

○ グレートソルト湖

 ユタ州北部に、グレートソルト湖(Great Salt Lake)がある。  

大きさは、琵琶湖の約7倍もあり、呼称の通り、塩湖である(五大湖は淡水湖)。

海水の何倍もある塩分濃度のため、人間も浮くようで、生物は棲めないようだ。

 下図に示すように、大古には、コロンビア川支流のスネーク川 につながる広大な淡水湖(ボンネビル湖)があったようだ。 地殻変動で川が堰き止められ、一部残ったのが、現在のグレートソルト湖という。

 往時のボンネビル湖 (ネット画像より)

ボンネビル湖が干上がって、現在、グレートソルト湖の西方、ネヴァダ州の州境まで広がる、広大な砂漠地帯になっているようだ。

その中に、塩でできた平坦な、ボンネビルソルトフラッツ(塩原)があるようで、ここを利用した、車のスピードレースが行われているという。 

 湖の近くにある、州都のソルトレイクシティ一帯に、州の全人口の約8割もが、集中しているという。市内観光の他、州内にあるコロラド川の多くの国立公園観光の、基地になっているようだ。グレートソルト湖やボンネビル塩原自体は、観光地としては、殆ど、知られていないようだ。

 以前、オレゴン州のポートランドから、テキサス州のダラスへ飛んだ時、上空から、この周辺を俯瞰した事があり、赤茶色の岩山群と、大きな白い広がりと、湖が見えたのを記憶しており、アメリカの広大さ、多様さに驚かされたことだ。白い広がりは今にして思えば、ボンネビル塩原だったのだろうか。 

 世界には、中央アジアなどに、塩湖は多いようだが、著名なのは、中東の死海、ボリビア アンデス山中のウユニ塩湖、トルコのトゥズ湖などだろうか。

 

次回は、平原の話題を取り上げ、アメリカの自然について、一区切りとしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

アメリカの自然   4  平原

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2017年2月6日(月) アメリカの自然  4 平原 

 

 アメリカの自然シリーズの最後は、平原である。 

 手持ちの地図帳(帝国書院 地歴高等地図 H27.10)で、アメリカの地図を見ると、山脈や、川や、湖の他に、平原を表すものとして、ロッキー山脈の東側と、東海岸のパラチア山脈との間に、

   グレートプレーンズ   プレーリー   中央平原

と、下図にもあるように、南北方向に、縦に並んで表示されており、ミシシッピ川あたりが、中央平原である。(図は、ネット画像)

  

 これ等が、地理用語として、どういう違いがあるのか、以前から、やや曖昧だった。今般、ネットなどで、改めて調べていくと、かえって混乱したのだが、筆者なりに、一定の整理が出来たようなので、以下に示すこととした。

 

◇中央平原(中央大平原) Interior Plains

中央平原は、原語の英語では、

     Interior Plains

と言うようで、「中央」がついていないが、意味としては、内部平原、内陸平原ということだ。日本では、これだけが、英語でなく漢字表現になっている理由も不明である。 

ともあれ、この中央平原は、学術的な平原の分類では、「構造平野」(Structural Plain)になるようだ。

構造平野には、以下の種類があり、アメリカの中央平原は、浸食平野になるという。

  ○浸食平野 浸食(雨、風、氷河)や風化によって作られた平野 大規模平野

          :シベリア平原、華北地方、アメリカ中央平原、ヨーロッパ平原、

           アマゾン低地の中央部 等。                               

    準平原 より浸食がすすんだ山地  

  ○堆積平野 川の運んだ土砂によって作られた平野 小規模  沖積平野とも

         :日本の平野、ロンバルディア平野 アマゾン低地の河口部分 等。

                (以上 構造平野 - Wikipedia 等より)

 下図は、アメリカの中央平原を示したもので、カナダを含む、北米大陸内部全体に広がる広大な地域だ。ここから、Interior Plainsと呼ばれるのかも知れない。(図は、村すずめの稀に絵日記 中央平原って何だ~Interior Plains - Wikipediaより)

      中央平原

 

◇グレートプレーンズ Great Plains

 グレートプレーンズは、上述の北米大陸に広域にひろがる中央平原の上に、下図左の、ロッキー山系から流れ出る川の土砂が堆積してできた、堆積平野といわれ、下図右のように、ロッキー山脈の東側に広がっている。 

 

        ロッキー山脈                            グレートプレーンズ  

ロッキー山脈が走っているアメリカの州は、北から、以下である。

   モンタナ、アイダホ、ワイオミング、ユタ、コロラド、ニューメキシコ

一方、グレートプレーンズに含まれる州は、北から、以下のようだ。

   モンタナ、 ノースダコタ、サウスダコタ、ワイオミング、ネブラスカ、

   コロラド、カンザス、ニューメキシコ、オクラホマ、テキサス 

(下線は、双方に含まれる州)   (以上 グレートプレーンズ - Wikipedia) 

 植生としては、グレートプレーンズの西側は、丈の短い草が生え、東側は、草原地帯である、次項のプレーリーと重なっている。

  

◇プレーリー  Prairie

  プレーリーは、草原や、低灌木の植生の平原を意味しており、カナダからメキシコまで及ぶ草原である。

下図は、アメリカでのプレーリーの様子だが、凡例にあるように、草丈の短、中、長により、3つのタイプに分けられるようだ。(以上 プレーリー - Wikipedia より)

  

  それぞれのタイプの地域を、図から大雑把に推定すると、以下のようになる。

    短草:モンタナ ワイオミング コロラド ニューメキシコ

    混合:ノースダコタ サウスダコタ ネブラスカ カンザス オクラホマ テキサス

    長草:ミネソタ ウイスコンシン アイオワ イリノイ インディアナ ミズーリ  

 プレーリーという呼称は、主に、カナダで使われるようで、アメリカでは、前項のグレートプレーンズと併用されているようで、グレートプレーンズの東部や、前項の、中央平原の西部を指す事もあるようだ。

プレーリーは、アルゼンチンのパンパや、中央アジアのステップ等と、ほぼ同意であるが、気候によって、草原の草の種類や丈は異なり、乾燥地域の草丈は低いようだ。 

 以下のサイト、

 ○ラシュモア山とスー族の聖地 北部大平原と北部山岳部の観光 (アメリカ生活・e-ニュース第95号)

には、ロッキー山脈と、グレートプレーンズ、プレーリー(草原)を示した、下図が出ている。

  

 このサイトには、グレートプレーンズは、植生的には、短草の草原(ショートグラスプレーリー)であるとある。グレートプレーンズは、地形・気候的には、1500フィート(457m)以上の高地で、年間降雨量が20インチ(510mm)以下となっているという。

 そして、プレーリーは、狭義で、トールグラス(長草)プレーリとして使われることもあるという。 

 さらに、このサイトでは、西経100度線辺りを境として、植生によって地域が分かれているとあり、図には、西経100度経線も示されている。

そしてサイトでは、経線付近の

   西側が 大平原:グレートプレーンズ(Great Plains 短草)

   東側が 大草原:プレーリー(Tallgrass Prairie 長草)

としている。

  

 プレーリーの3つのタイプが示されている先の図と、上図とを比較すると、

    先図  短草・混合ゾーン ⇒、上図右 グレートプレーンズ

    先図  長草ゾーン     ⇒ 上図右 プレーリー(草原)

と、おおよそ、同じような形になっている、と言えるようだ。

このことから、筆者も、このサイトの、単純明快な呼称を、使わせて貰うこととした。

 

 以前、アメリカのTVドラマで、NHKでも日本語吹き替え版で放送された、

   大草原の小さな家:Little House on the Prairie

というのがあり、筆者も、なんども見ている。 そういえば、アメリカの、草ぶかい田舎が舞台だった! この原作者(ローラ・インガルス)は、ウイスコンシン、カンザス、アイオワ、ミネソタ、サウスダコタ、ミズーリと転々とした実経験をもとに作品を書いたようだ。これ等の州は、上図では、長草のプレーリー地帯になっていて、お陰で、ドラマの風景が確かめられたようだ。 

 アメリカのプレーリーと言えば、周知のことだが、下図のように、愛らしいプレーリードッグ達の、棲み家にもなっている。(図は、ネットより)  

  平原や草原と言うと、日本では、すぐ、周りに、山々を想像するのだが、アメリカでは、大袈裟に言えば、地平の彼方まで、

  平原はどこまでも赤茶けた大平原 

  草原はどこまでも緑の大草原

が続いているようだ。ただ、現在は、農業、畜産業等での土地利用が進んで、大方が、畑や牧場になっている、ということのようだ。

 

アメリカの産業  - 農業

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2017年2月11日(土) アメリカの産業 -農業  

 

 安部総理とトランプ大統領の、注目の日米首脳会談が、現地の10日(JSTの今日の早朝)に行われ、共同声明も発表された。この件については、改めて取り上げる予定である。 

アメリカを知り、特に州を知る目的で、これまで、各方面からアプローチしてきたが、今回は、アメリカの産業の面から迫ることとし、農業の話題である。 

 

○ アメリカの農業の耕地面積

  産業の中で、地理的条件と密接に関係するのが農業だ。

世界の国々の中で、耕地面積の大きさと、国土全体の中に占める耕地面積の比率を見ると、主な国では、以下のようになっている。

対比するため、世界平均と、日本、G7メンバーのデータも示している。 

国名                耕地面積    耕地面積比率

中国          514万km2 54.8%

アメリカ        408       44.6

オーストラリア    405       52.7

ブラジル        275          32.9

ロシア         214       12.7 

カナダ          65         7.1

---------------------------------------------------------------------

世界平均        23.9      38.1

---------------------------------------------------------------------

フランス        28.8      52.6

イギリス        17.1      71.0

ドイツ          16.6      47.8

イタリア        13.7      46.6

日本            4.6     12.4     

 

 上表をみると、アメリカは、アラスカ以外は、殆どが温帯に属し、高地や砂漠や荒地も少なく、別格といえるだろうか。

中国も、温帯地域が多いが、西域の砂漠地帯や、チベットなど高山地帯もある。オーストラリアは、中央部は、荒れ地や砂漠の印象が強い。ブラジルは、熱帯雨林や湿地帯が多いだろうか。

 又、ロシア、カナダは、国土は広大だが、寒帯地域がかなりの部分を占めている。 

 アメリカとカナダは別として、G7メンバーの欧州諸国や世界平均と比較してみると、日本の、耕地面積の狭さと、国土に占める比率の低さに、改めて驚かされたことだ。

  

○ アメリカの農産物

 アメリカは、世界に冠たる農業国である。アメリカの農産物生産量が世界に占める比率は、以下のようだ。(2014/2013年統計)(中学地理・世界の農作物・統計資料 : なるほどの素 など)

 農産物       世界順位  世界のシェア 他国

 小麦       世界4位   7.6%      1位中国 2位インド 3位ロシア

 トウモロコシ 世界1位   35.3%      2位中国 3位ブラジル  

 大豆       世界1位  35.0%      2位ブラジル 3位アルゼンチン

 綿花       世界3位  11.6%      1位中国 2位インド 

 下図は、上記のアメリカの主要農産物等の、地域分布を示している。図中の、Xは、年間降水量が1000mm、Yは500mmを表している。又、Zは、西経100度の経線であるが、年間降雨量500mmの線Yと、おおよそ、一致している。

  

  前稿でも触れたように、アメリカの地理的な平原の構成(グレートプレーンズ、プレーリー、中央平原)と年間降水量などから、図にあるように、おおよそ、この経線Zを境に、利用形態が変わるようだ。(地理B より引用)  

 Zの西側は牧畜地帯で、山岳地帯の高地や平原では、牧畜がおこなわれているようだ。一方、小麦の栽培は、主に、このゾーンでおこなわれている。

Zの東側は、畑作地帯で、グレートプレーンズから、プレーリーや中央平原まで、次項のように、各種農作物が生産されている。 

 

○ 農作物の国内生産地の分布

●小麦

 カナダからアメリカにかけて、生産されている小麦(春小麦、冬小麦)である。北部は、気候が厳しいため、暖かくなった春に播きつけ、南部は、気候が温暖なため、秋播きして越冬させるようだ。収穫量は、秋播きが多く、日本では、秋播きが普通である。

州で言えば、

  春/春・冬小麦:ノースダコタ サウスダコタ モンタナ ワシントン オレゴン

  冬小麦    :オクラホマ コロラド カンザス ニューメキシコ テキサス

下図は、アメリカの機械化農業を示す風景で、信じられないスケールの大きさだ。何の作業をしているところかは定かではないが、小麦収穫後の、整地作業だろうか。

―自然農法に想う!― - 新プランター野菜栽培への誘い より) 

   

●トウモロコシ

 東のプレーリーから中央平原にかけてはトウモロコシで、コーンベルト(CornBelt)と言われる。 用途は、家畜用飼料が約40%、燃料用エタノールが約30%で、食用は多くないようだ。 

州では、

   アイオワ イリノイ ネブラスカ ミネソタ 

で全米の41%、他に、ミズーリ インディアナ オハイオ などだ。 

 トウモロコシが、人間の食用ではなく、燃料用エタノールの原料になっているというのは、かなりの驚きだが、少し以前だが、世界的に食糧不足になった時、“人間と車と、どちが大事か”、と大きな話題になったことがある。

 

● 綿花

 南部は、綿花栽培が盛んで、コットンベルト(Cotton Belt)と言われる。図の州では、

     テキサス ルイジアナ ミシシッピ アラバマ ジョージア

だが、テキサス カリフォルニア ジョージアが、主要3州と言われる。図では、カリフォルニアは入っていない。

 独立戦争当時の綿花栽培は、奴隷を使った手作業だったが、現在は、多くの作業が機械化されている。(下図左)機械で綿の実を収穫するのは結構面倒だろうか。(タオルリポート より)

上述のように、綿花生産量では、アメリカよりも、中国、インドが多いが、これ等の国々では、現在でも、人手による作業が多いように思われる。(下図右 ネット画像より)

   

         綿花収穫(アメリカ)                綿花収穫(インド)

●先の図には、入っていないが、大豆も、アメリカの主要農産物の一つだ。州別では、下図のような状況だ。数字は、国全体に占める比率である。

 州では、主要な所は、

   アイオワ イリノイ ミネソタ インディアナ ミズーリ オハイオア 

で、上位4州で全米の44%、上記6州で58%を占めている。

● 酪農

 図にあるように、五大湖周辺からニューイングランドにかけては酪農が盛んである。家畜として、牛、豚、鶏などを育成し、ミルクや肉を生産している。

州では、

   ミネソタ ウイスコンシン ミシガン オハイオ ペンシルバニア ニューヨーク 

などだ。

 一頃、BSE問題で、日米間の大きな争点となった、米国産牛肉の生産・加工も、この地域だろうか。

 

●その他

 図にあるように、以下のような農業も行われているようだ。

    東海岸     園芸農業  :  花卉

    フロリダ    亜熱帯作物 :  パイナップル バナナ

    カリフォルニア 地中海式農業:  オレンジ ぶどう オレンジ 米

 カリフォルニアでは、海岸線と並行しているシエラネヴァダ山脈の関係で、雨の少ない地中海性気候の地域があり、砂漠もある。

 

 ○ 農作物の集散や加工工場

 農作物の集散地や食品加工工場などは、産地の近さと輸送の利便性等が重要な立地条件だが、適当なデータは見つからなかった。

ただ、イリノイ州のシカゴには、食品関連工場が多く立地していると言われており、大豆やトウモロコシなどを扱う商品先物取引所がある。

又、ミシシッピ川の沿岸に発展した、ミズーリ州 セントルイス周辺も、農産物の集積地になっているようだ。

 

 

アメリカの産業  -サンベルト

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2017年2月19日(日) アメリカの産業 -サンベルト  

 

  安部総理とトランプ大統領との、注目の日米首脳会談が行われ、共同声明も発表されて無事終了したが、その後も、連日、めまぐるしい経過である。

これらについては、改めて取り上げる予定である。

 

 アメリカを知り、特に州を覚える目的で、これまで、各方面からアプローチしてきた所だ。前回は、アメリカの産業の面から、農業の話題を取り上げたが、今回は、工業やハイテク産業等を話題としたい。

 

 下図は、アメリカの主な産業立地を示したものだ。(ネット画像より)

   

◇サンベルト

 アメリカでの産業の立地は、歴史の経過とともに変化してきたが、ここ数十年、地理的には、北緯37度線から以南の地域で、大きく発展した産業群がある。この地域全体を、上図にあるように、サンベルト(sun belt)と呼称していて、文字通り日照時間も長く気候温暖で、土地が安く、労働力が豊富で低賃金ということが、発展した背景と言われる。 北緯37度線は、日本では、福島県のいわき市近辺になる。

図にあるように、この地域には、以下のような産業が集積している。

テキサス州    ヒューストン周辺      石油・化学工業 航空宇宙産業

           ダラス・フォートワース地区 航空宇宙産業 

カリフォルニア州 ロサンゼルス周辺      航空機 石油化学

            サフランシスコ周辺     ハイテク産業 

              (シリコンバレー)     情報技術産業(IT)

                              電子・コンピュータ 情報通信

フロリダ州                       航空宇宙関連 

カナダ国境に近い、ワシントン州 シアトルでも、航空機産業等が集積している。

 

◇スノーベルト

 歴史が古い五大湖周辺は、周辺で資源が豊富で、農産物が集積し、水運が便利だ、等から、以下のような、産業が立地している。

 鉄鋼業     :ピッツバーグ(鉄鉱石・石炭産出、水運)

 自動車産業  :デトロイト (材料の鉄鋼)

 食品・機械   :シカゴ   (農産物の集積、食品加工、農業機械) 

上述のサンベルトと対比しこれらの地域を、スノーベルト(snow belt フロスト(frost)ベルトとも)と呼ぶこともあるようだ。 

これらの地域では、従来型の重厚長大型の産業等が発展したが、後発国の追い上げや、時代の変化等から、主要産業が衰退するなど、苦闘している。ネーミングは、寒冷で、陰のイメージが強いのだが、時代に合わせて、変わりつつあるようだ。(サンベルト - Wikipedia ) 

 

◇宇宙から見たアメリカ夜景

 下図は、ある不動産ビジネス企業が、アメリカ南部への不動産投資を勧めているサイトに出ている、2011年当時の、衛星から見たアメリカの夜景という。(これからはじめるランドバンキング ~アメリカ・カナダ海外不動産投資の魅力~

 

 お勧めの地域として、赤い○印で囲って、以下の

  ・アリゾナ州 フェニックス

  ・テキサス大都市圏 (下ヒューストン、上ダラス・フォートワース)

  ・ジョージア州 アトランタ大都市圏

  ・ワシントン首都圏 (左から、ワシントン フィラデルフィア ニューヨーク)

4地域を示している。

 

 図の中で、明るく光っている、他の地域は、推定だが、

(西海岸)

  カリフォルニア州 下ロスアンゼルス周辺 上サンフランシスコ周辺

  ワシントン州 下シアトルと上バンクーバー

(五大湖周辺)

  イリノイ州    ミシガン湖南東部シカゴ周辺

  ミシガン州   エリー湖周辺デトロイト

  ミネソタ州   ミネアポリス

  オハイオ州  エリー湖周辺クリーブランド

  カナダ オンタリオ湖周辺トロント セントローレンス川畔モントリオール

(東海岸)

  マサチューセッツ州 ボストン周辺

等だ。

 

 アメリカ本土全体が、影絵のように浮かび上がる光景は、新旧産業が、バランスしているようにも見え、なんと壮大な景観だろうか!

トランプ新大統領は、このような鳥瞰のイメージを持ちながら、アメリカの将来を慮って、「雇用」、「雇用」と叫んでいるのかも知れない。

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