c 2024年11月26日(火) COP29 終了
今年のCOP29が、APECやG20などの重要会議と平行してすすめられ、結構、長く開催されたが、先日、終了した。
〇言うまでもなく、この会議は、国連の「地球環境枠組み条約」(*)に加盟する主管庁の会議で、長い歴史があり、毎年開催され、今回は29回目である。2015年のCOP21では、有名な「パリ協定」が採択されている。
*UNFCC:United Nations Framework Convention
on Climate Change
開催地は、コーカサス地方のカスピ海に面した、アゼルバイジャンの首都バクーである。
下図に、アゼルバイジャンとその周辺国と、カスピ海を示す。
○会議ロゴ(下図)
〇会議の状況
会議の主要論点は、途上国に対する資金援助で、会期を、2日間も延長するなどして、なんとか、合意に漕ぎつけ、成果文書を採択したが、不満の残る幕切れだったようだ。
下図は、奮闘する、アゼルバイジャンのババエフ議長。
・温暖化対策で、先進国から途上国向けに拠出する資金(気候資金)は、2025年までは年1000億ドルとなっている。今回のCOP29で、2025年以降の枠組みを決めることになっていたようだ。
そして今回、2035年までに、少なくとも、3倍の年3000億ドル(日本円で約46兆4000億円)に増やすことで、合意できたようだ。
更に成果文書では、2035年までに、世界全体で、官民合わせて「年Ⅰ兆3千億ドル」の拠出を達成すべきだ、とも記載されているという。
(参照:COP29が閉幕、「気候資金」目標額を2035年までに3倍で合意…民間投資の算入可能に _ 読売新聞.html 他)
・国際的な炭素クレジットの売買に関する市場創設のルールについても合意している。
このクレジットは、再生可能エネルギーの導入などによる温暖化ガスの排出量削減効果を、削減目標の達成に向けて、政府や企業間で、取引できる形にしたものだ。
・国連のグテーレス事務総長は、なんとか合意にこぎつけたことを評価しつつ、C0P30に向けて各国の協力をよびかけている。(下図)
・来年のCOP30は、ブラジルが開催国で、アマゾン河口のマナオスで、11月に開催予定となっている。
(参照;COP30開催国ブラジルの気候変動対策を探る _ 新たなステージに入った世界のカーボンプライシング - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ.html)
・アメリカの、トランプ時期大統領は、前大統領時、パリ協定から脱退した前科があり、選挙中は、再度離脱もあると発言している。新大統領の、COP30に向けての動きが注目される。
○削減目標、
パリ協定に掲げる、地球の温度上昇を1.5度以内に抑える目標を実現するため、各国は、2035年までを見据えた新たな削減目標を、2025年2月までに、国連に提出する義務がある。
これに向けて、政府内で具体的な検討を開始したようだ。
現在の目標:2030年度に、2013年度比で46%減
新たな目標:2035年度に、2013年度比で60%減
と、目標を引き上げている。
また、今回の会議では、イギリスが、以下を公表したようだ。
イギリスの目標:2035年までに、1990年と比べて81%削減
イギリスの目標だが、1 9 9 0年は、2013年と比べるとやや早く、温暖化が余り進んでいないので、単純な比較はできないと思われる。