2024年10月19日(土) ノーベル平和賞
つい先日、今年のノーベル平和賞を、日本の被爆者団体が受賞することとなった。
ノーベル平和賞は、その時々の世界の状況に応じて授与されるが、日本では2例目となる。
日本での、最初の受賞は、1974年(S49年)の、佐藤栄作氏である。
受賞理由は、時の総理大臣として、
非核三原則(持たず、作らず、持ち込ませず)
を提唱し、実行したこととされている。
しかし、受賞にあたっては、後になって、多くの疑問が明らかになっているが、本稿ではこれ以上は触れない。詳細は下記サイトに記載されている。
(佐藤栄作 - Wikipedia.html)
世界での核兵器関連の受賞は、2017年のICAN*である。
*International Campaign to Abolish
Nuclear Weapons
受賞理由は、国連での核兵器禁止条約(TPNW**)の、2017年の国連総会での採択に、大きく貢献したことだ。
**Treaty on the Prphibition of Nuclear Weapons
受賞に当っては、広島で被爆体験がある、サーロー・節子氏が、国連で演説するなど、活躍されている。
この条約は、2021年に発効しており、下記のように、締約国会議も行われている。
2023年12月 第1回 締約国会議
2025年3月 第2回 締約国会議(予定)
今回は、世界各地で戦争が絶ええず、核兵器使用のリスクが高まっていることから、ノルウエー政府の選考委員会は、日本の被爆者団体を選んでいる。
選考委員会の選考理由は、以下のサイトに、全文が公開されている。
(参照:【全文】日本被団協がノーベル平和賞受賞「核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきた」受賞理由全文|FNNプライムオンライン.html)
受賞の背景なども理解するのには、下記の、NHKの解説記事がわかりやすい。
記事では、以下のように、Q&Aの質疑応答形式になっている。
(ノーベル平和賞 日本被団協 受賞の理由と背景は【解説】 _ NHK )
Q1 被団協のどんな点が評価されたとみられるか
A1
核兵器廃絶を願う被爆者の声を、世界に発信続けてきたこと。
「ヒバクシャハ」世界に通じる言葉となっている。
前述の核兵器禁止条約を巡っては、ヒバクシャ国際署名を集めた。
Q2 受賞の背景に何があるのか
A2
核兵器が実際に使われる懸念がかってないほどたかまっていること。(ウクライナ、北朝鮮)
核軍縮に向けた機運を高めていきたいというメッセージ。
Q3 今回の被団協の受賞で、核廃絶の動きはどうなる
A3
核軍縮に向けた見通しは現状では暗く、行き詰まりを見せている。
Q4 唯一の戦争被爆国として日本に求められる役割は大きいのでは
A4
唯一の戦争被爆国の日本が、「核の傘」に頼るという、ジレンマを抱えている。
核兵器反対を唱える一方で、核の傘に頼るというのは自己矛盾で、
筆者は、堂々と、反対姿勢を貫くべき という、率直な思いだ。
2009年12月に、現職のアメリカのオバマ大統領が、“核なき世界を目指して世界に働きかけたこ
と”で、ノーベル平和賞を受賞したのは、ジレンマがあったかも知れない。
被団協の今回の受賞に、オバマ氏は、祝意を伝えているようだ。
被爆者の平均年齢は、85歳を超え、高齢化し、解散したり、活動を休止した団体もあるという。
今後にむけて、日本政府に求められる役割も大きいようだ。
下図はネットにあるメダル。
核兵器の関連で、本ブログに、下記記事を投稿している。
アカデミー賞 (2024/4/24) (P99) (映画 オッペンハイマー)
原爆投下の是非 (2024/4/27) (Q00)
核兵器禁止条約 (2024/4/28) (Q01)
核兵器廃絶に向けての、世界の足並みは揃いそうにない、現実がある。