2014年4月22日(火) 消費税の話題 1
この4月1日より、消費税の税率が、5%から8%へと、3ポイント高くなってから、3週間程になる。
3月末までは、税率アップを前にした庶民の自衛策として、耐久消費財や生活必需品等のまとめ買いなどの需要増で大変な騒ぎであった。
先日4月17日の、日銀の支店長会議の報道では、4月以降の各地の売上状況は、駆け込み需要の反動減が懸念された所だったが、想定の範囲内で、緩やかな景気の回復傾向は、今後も継続しそう、ということだ。
収入が決まっていて、ベアも定昇もない年金生活者にとっては、消費税率アップは、生活が、より厳しくなるだけで、じっと我慢の、たけのこ生活になるのだろうか?
我が家では、アップ前に繰り上げて買ったのは、1000円前後の、
コーヒー豆、化粧品、調味料
など位だ。 トイレットペーパー等は、生活必需品ではあるが、保存スペースも大変だし、米などは、使いきるまで、時間がかかってしまうので、まとめ買いはしていない。
以下、消費税について、いささか、考察してみたい。今回は、まず、身の廻りの変化について取り上げたい。
◎ 直にUPの公共料金
郵便料金や交通機関の運賃などの公共料金は、4月から、これまでの料金が、3%分、直に値上げされている。
◇郵便料金は、
従来 改訂
はがき 50円 → 52円
封書 80円 → 82円
と、2円づつの値上げである。
やや、細部に亘るが、はがき を例にとって、以下に、本体価格と税額との関連を見てみたい。従来の料金50円には、既に、内税で消費税5%分が含まれている訳だ。
? 単純に、従来料金を、3%アップすると考えた場合
50円の3%アップは、以下のようになる。
50×1.03=51.5円
? 従来料金での、5%の税分を抜いた本体価格Xを求めて、これに8%課税した場合
X=50/1.05≒ 47.62円
Xに、消費税8%を課税すると
X×1.08=50/1.05×1.08≒51.43円
今回の改訂では、はがきでは、やや取り過ぎだろうか。又、封書で、同様の計算をすると、やや、取り不足になっているようだ。
ここでの?、?の差は僅かなのだが、後述の、スーパーなどでの一般商品で示すように、表示法によって、印象は、かなり異なってくる。
次に、来年秋に、10%へアップした場合を計算してみる。
? 今回の改訂料金52円に、更に、2%課税するとした場合
52×1.02=53.04円
?b 3月までの従来料金に、5%(3%+2%)課税するとした場合
50×1.05=52.5円
? 元々の本体価格Xに、10%(5%+3%+2%)課税するとした場合
X×1.1≒52.38円
いずれにしても、来年には、今回分を含めて調整されるだろうが、はがきは1円の値上げになるのだろうか。封書についても、同様の計算をすると、こちらは、2円の値上げになると思われる。
今月に入って、はがきと封書を、それぞれ、10通程づつ、纏めて出す機会があった。
はがきでは、余った年賀はがきを交換して貰った、普通はがきの在庫が沢山あるので、新たに買って来た2円切手を貼って出した。52円の はがきや切手は、指し向きは、買い求める必要はなさそうだ。
又、封書では、年賀はがきの当選で貰った、80円の切手の在庫が多くあるので、こちらでも、2円切手が活躍している。当面、82円切手は不要である。
来年秋には、2円切手とともに、1円切手の出番も増えそうである。
一昨日は、たまたま、62円の切手が見つかり、それと20円切手を組み合わせ、82円にして封書を投函している。この62円の切手は、消費税が、3%→5%になった時に、封書の料金が、60円から、62円に改訂された時のものだろうが、長い歴史の一部が垣間見えたようだ。
◇交通運賃
・バス
交通機関に関しては、日頃最も多く利用する、地域のコミュニティバスは、以下のように、IC運賃と現金運賃の二本建てになった。
従来運賃 新運賃
IC運賃 現金運賃
200円 206円 210円
210 216 220
240 247 250
290 299 300
300 309 310
利用しているICカードは、Pasmo だが、バス料金に、1円単位の料金が導入されたのは、今回が初めてであろう。IC運賃という呼称は、簡明で分りやすいが、高齢者には、カード運賃の方がいいかも(尤も、高齢者は、シルバーパス利用者が多いので、無関係かな?)。
他のバスでも、新運賃は、ほぼ同様の2本建てになっている。
・電車
良く利用する、地下鉄東京メトロは以下である。
従来運賃 新運賃
IC運賃 現金運賃
160 165 170
190 195 200
230 237 240
270 278 280
300 308 310
JR関連もほぼ同様と思っていたが、地域ごとに、少し様相は違うようだ。
バス・鉄道とも、これまでは、現金とICカードの料金の違いは無かったのだが、ICカ−ド化率が高い東日本関連は、今回の改訂で、バスと同様に、おおむね、現金運賃と、IC運賃の二本立てで、現金は10円単位、ICカードは1円単位となったようだ。
これに対して、ICカード化率がやや低く、回数券も含めた、切符利用が根強く残っている西日本方面は、ICカード利用でも、1円単位ではなく、10円単位のままという。 関西人には、一銭も儲からないのに、予めカードにチャージして、金を眠らせるのが、モッタイナイようだ。(だから鉄道「1円刻み」運賃の対応は分かれた ICカード普及率だけではない、鉄道各社の事情 )
東日本方面では、現金運賃に比べて、IC運賃の場合が、1円〜数円安いので、ICカード化を更に加速する要因になると思われるが、果たして、どうなるだろうか。
現金とICカードで、料金が違うのは不公平、との意見もある訳で、来年秋、西日本を含めて、全国的にどの様になるのか、注目されるところだ。
電気・ガス・水道料、NHK放送受信料、電話通信料なども、勿論値上げされている訳で、詳細は調べていないが、月末での、口座振替ではっきりするだろう。
知人に、個人タクシーをやっている運転手がいるが、メーターの表示を変更するのに、2万円ほど掛かったと聞いた。
◎日用一般商品では
◇外税表示になった スーパー
スーパーなどの大型小売りでの価格表示は、これまでは、殆ど内税表示一本になっていたと言える。
今回、勿論、従来通りの内税表示の店もあるものの、外税表示に変更し、本体価格と消費税の2本建てになった所が多く、値上がり分がピントこない(ようになっている)。
ここで、前述の はがきの例で行った計算を、10倍の価格の、従来500円だった商品を例に、行ってみると、
?従来料金の3%アップ
500×1.03=515円
?本体価格Xを求め、それに、8%課税
X=500/1.05≒476.2円 ⇒476円
X×1.08≒514.3円 ⇒514円
?、?で、税込の売り値は殆ど違わない。でも、?で、本体価格 476円と、消費税分 38円(24+14)を外税で、二本建て表示にすると、?の内税表示に比べて、不思議に、何となく、高くないように感じられるのだ。
税率アップ分を、そのまま価格に転嫁するのは建前だが、厳しい競争裡にある小売業の商売では、簡単ではない。前述の公共料金のように、ストレートに3%分だけ値上げした表示にしている所は、極めて少ない。
又、見た目には、値上げせず従来通り(と宣言している店)であっても、微妙に量を減らしたり、成分を変えている(と思われる)例もあるようだ。以前によく話題となった、便乗値上げは、今回はどうだろうか。
最後の最後は、消費者自身で、量目や値段や品質を見極め、自衛するしかない、ようだ。
◇小規模事業者の免税
小売り事業者は、消費者が払う消費税を受け取って、それを国等に納入する訳だが、事業規模が小さい場合は、納税義務が免除されるようになっている。
当初は、課税売上高(仕入れ額と売り上げ額の差額)が年間3000万円未満の事業者が免除だったのが、平成15(2003)年以降は、1000万円になったようだ。 免税の対象となるのは、近隣の八百屋などだろうが、事業者には、より厳しくなっている。 (No.6501 納税義務の免除|消費税|国税庁)(消費税 - Wikipedia)
以前は、客からは消費税をとっているのに、納税しないという悪質な事例や、仕入れ額を誤魔化して、納税額を少なくするなどが多かったようだが、今回の税率アップで、免税限度額は変わらないようだが、新たな商売上の工夫(悪知恵?)が出て来るのだろうか。
でも、消費税分を、すんなり価格に転嫁しても、変わらずに、物やサービスを買ってくれる、と言うほど、消費者はお人良しではない。
消費税分を転嫁しているか否かに関わらず、1000万円の免税限度額を超える場合は、消費税分を納税しなければならない訳だ。
大手スーパーなどとも競合しながら、賢い消費者の目も見ながら、国に代わって、面倒な徴収・納付作業を引き受けさせられている、小規模事業者の苦闘は続くようだ。
一方、免税限度額をはるかに超える規模の中・小企業が、大手企業の下請け企業だったり、取引先になる場合、転嫁Gメンなどもいるのだが、消費税アップ分を取引価格にすんなり転嫁することを許容されない事例は、枚挙に暇がないようだ。