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都々逸のこと

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2024年1月6日(土)  都々逸のこと

 

 

きっかけは不明だが、昨年暮れあたりから、都々逸(どどいつ)が気になっていて、いろいろ、調べてみた。

 

都々逸は、定型詞の一種で、詞数が

  7775

である。

 

色んな定型詩について、都々逸にした、以下のⅠ首をネットで見つけた。 

 和歌はみやび(雅)よ 俳句は味よ わけて都々逸 心意気

 (参照:空前の都都逸(どどいつ)ブーム到来!ツイッターでドドツイも _ 鈴の宿 登府屋旅館.html

 サイトの筆者と、この都々逸の作者名の関係は不明だが」、わけて都々逸 心意気、という下りが素晴らしい。

 

我が国の定型詩には、5と7の詞数を組み合わせた、

   俳句   575     17文字

   和歌   57577   31文字(みそひともじ)

 

があるが、都々逸は、この両者の中間に入り、

   都々逸  7775    26文字

である。

 

歴史的には、都々逸は、江戸末期に、都々逸坊扇歌が始めたと言われる。

 

都々逸の作品は、数多いが、筆者の気に入っているものを、いくつか挙げてみたい。

 ・信州信濃の新そばよりも、わたしゃあなたの側がいい

  食べる「そば」と、あなたの「側」の、語呂合わせである。

  「しん」が3度も出てきて忙しい

 ・可愛がられて撫でさすられて、見捨てられたよ夏火鉢

  可愛がられたのは人と思ったら、火鉢だった

 ・都々逸(は)下手でもやりくりゃ上手、今朝も七つ屋で褒められた

  七つ屋(質屋)通いが板についた世話女房風景 

 ・恋に焦がれて啼く蝉よりも、啼かぬ蛍が身を焦がす

  声に出して啼く蝉よりも、黙って身を焦がす蛍の方が、つらそう

・かわいそなのはズボンのおなら、右と左に泣き別れ

  男女の泣き別れを、ズボンの左右に喩える面白さ 明治以降の作品だろうか

 

 

ネットには、数多くの作品が出ているが、以下は聞いた覚えがある作品だ。

・三千世界の烏を殺し、主と朝まで寝てみたい 

  三千世界とは、仏教用語で、この世全体という意味のようだ。

  朝方、烏が煩くて眠れない心を歌っている。

  桂小五郎の作とも。

・恋という字を分析すれば、愛し愛しという心

  恋という字の旧字体は、下のように、糸言糸の下に、したごころ(心)が付いていた。

              (ネットの、漢和辞典オンラインを参照)

             戀 

 ・散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする

  明治初期の空気が伝わってくる。

 

前述で、都々逸は心意気とあったが、ここで示した多くの事例で、そうだと思えることだ。

 

筆者が都々逸を初めて聴いたのは、東京の大学生だった兄が、友人二人を連れて、山形に帰省した時で、まだ、高校生の頃だ。上述した都々逸のいくつかを聴いたことを、記憶しているが、心意気までは、理解できていなかったと思われる。

その後、色んな場で聞く内に、いつしか、都々逸をうなるのが得意になり、上述の歌を、三曲(お琴と三味線と尺八)の発表会が終わった後の反省会では、よく歌わされたものだ。

 

 


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