2023年11月1日(水) 航空機の話題から
航空機に関する、最近の3つの話題を取り上げたい。
〇飛び恥
スエーデンの女性環境活動家の、グレタ・トウーンベリさんが、 下図に示すように、
“環境のために、私は、飛行機に乗りません”
と宣言し、移動手段としては、専ら、鉄道と船を利用する運動を進めている。
鉄道や船に比べて、ガソリンの使用量の多さから、CO2の排出量がとりわけ大きい航空機(鉄道の約20倍))を利用することは、飛び恥(スエーデン語でflygskam 英語は、flight shame)と言い、恥ずべきこととされた。
この運動は、2018年に、トウーンベリさんの母国、スエーデンで始まり、翌2019年には、ヨーロッパから北米へと広まり、飛行機の利用に反対する、社会運動となっているようだ。
2018年、ポーランドのカトヴィッエで開催された、国連気候変動枠組条約の締約国会議(COP24)で、彼女が演説し、環境活動家として、世界に知られることとなった。
〇SAF
最近は、地球にやさしい航空機燃料として、SAFが注目されている。
SAFとは、
Sustainable 持続可能な
Aviation 航空
Fuel 燃料
の頭文字をとっているが、Sustainableが肝要だ。
Sustainableという言葉は、2015年に国連で採択された、SDGsの最初のSは、この意味である。
これまでの航空機燃料は、化石燃料の石油から作っており、持続性がなく、反語で言えば、unsustainableとなる。
下図は、ネットで見つけたSAFのタンクだが、外壁に、英語で、わざわざ書いてある
のは、普及を図るべき、これからの燃料ということからだろう。
SAFの国産化に向けて、語呂合わせで、この3月2日(サフ)に、下図のように、16社による、企業連合(Act for skys)が発足したようだ。
SAFの使用量は、まだ、極めて少ないが、これを、2030年までに、全体の10%程度に高めていくのが、この団体の当面の目標という。
SAFはバイオ燃料で、トウモロコシなどの、通常の植物の外に、廃油や、古着や家庭ごみからも作れるようで、これ等原料の、激しい争奪戦が行われているようだ。
〇三菱航空機の撤退
三菱重工の子会社である三菱航空機が、2008年にスタートさせた、小型ジェット旅客機(MRJ:Mitsubisi Regional Jet)の、開発プロジェクトだが、今年の2月に、撤退すると発表している。(参照:三菱重工業 国産ジェット機「スペースジェット」事業撤退発表 _ NHK.html)
まぼろしのSPACEJET
開発する事が発表されてから、小型ジェット機に対する期待が膨らみ、可なりの予約注文があったようだが、色々な問題が発生し、納期の延期を、何度も繰り返してきている。
そしてついに、開発を止めることとなったようだ。
最近は」、コロナ禍による航空機需要の低迷もあったという。
戦前は、航空機開発で実績を積んできた日本の航空機業界だが、終戦を機に、開発陣が飛散してしまい、ノウハウの蓄積が行われなかったようだ。
三菱とは別に、ホンダが、小型機分野で、この6月に、2028年の導入に向けて、開発を進めると発表している。果たして、どうなるだろうか? (参照:ホンダ 新型ビジネスジェット機開発へ "2028年ごろ販売を" _ NHK.html)