2023年10月3日(火) 昨今のウクライナ情勢
◎ウクライナでの戦況
・昨年2月のウクライナ侵攻以来、ほぼロシア側の支配下にある東南部4州周辺が主な戦闘地域だが、ウクライナの戦戦は、ほとんど変化がなく、膠着状態にあるようだ。
・アメリカのバイデン大統領は、これまでは、射程距離の長い武器の提供を控えてきたのだが、ここに来て提供すると決断したようだ。
また、提供する米軍の主力戦車「エイブラムス」(下図)について、ウクライナ軍の訓練を始めたようだ。
・無人機を使った攻撃が盛んに行われて、モスクワ市内の建物が襲われたり、クリミアのセバストポリにあるロシア黒海艦隊の司令部の建物が襲われ、ソコロフ司令官が死亡したとの情報もある。(下図)
この事件では、ウクライナ、ロシア双方が、司令官の生死を巡って、異なる情報戦を展開していて、真相は不明である。
・クリミアは、1914年に、一方的に占領され、ロシア領土に組み込まれているのだが、
ドンバス地域への重要な補給路となっている。
クリミアへの攻撃は、領土を奪還するため、ウクライナは決して諦めてはいないとの、意思表示だろう。
・ロシアは、既成事実化のため、子供らを対象とした洗脳教育や選挙もすすめられているという。
・ロシアは、2022年2月のウクライナ侵攻で占領し、2022年9月30日から、ウクライナ東南部の4州(ルハンシク州 ドネツク州 ザポリージャ州 ヘルソン州)の併合を一方的に宣言したが、先日で、丁度、1年が経過している。
下図は、4州の位置で、本ブログの下記記事で引用したものだ。
ウクライナで再併合へ (2022/10/3) (O32)
東部4州の支配を強化する一環として、来月から、この地域の住民も対象にした、徴兵を行うこととしたと発表している。
(参照:ロシア 新たに13万人徴兵の大統領令署名 一方的併合4州の住民も対象 _ NHK _ ロシア.html)
また、学校では、ウクライナの子供達に、ロシア語教育も行っているという情報もある。
・ワグネルのブリゴジン司令官の反乱行動が一時、話題となり、ブリゴジンは飛行機事故で死亡したが、ワグネルの元司令官トロシェフに、先日、プーチン大統領が面会し、ワグネルをロシア軍の再編を指示した、との情報もある。
(参照:プーチン氏、雇い兵部隊の再編指示 ワグネル元幹部に - 日本経済新聞.html)
現下の情勢では、ウクライナ問題の収束は、ますます、見通せない状況だが、ここまで来た以上、ロシアは後へは引かないだろうと、イギリスの専門家は見ているようだ。
◎国連総会
今年の国連総会で、9月19日から9月26日の日程で、加盟各国の首脳級による一般討論演説が行われたようだ。
具体的な状況は、以下に出ている。 第78回国際連合総会 - Wikipedia.html
19日は、グテーレス事務総長に始まり、アメリカのバイデン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領などが演壇に立ち、日本の岸田首相も演説したようだ。
・ゼレンスキー大統領
・岸田首相
演説内容については、全文など、いくつかの記事があるが、ここでは、詳細は省略する。
ただ、一点だけ、国連の安保理改革について触れたい。
機能不全に陥っている、安保理改革については、これまで、数多くの案が出されている。
常任理事国の数と、拒否権の扱いがポイントだ。
・常任理事国の数については、現行の5カ国から、増やす方向がある。
現行 米 露 中 英 仏
拡大 日 独 ブラジル インド を加える
・拒否権の扱い
行使を制限する各種案がある
安保理の改革については、稿を改めて取り上げることとしたい。