2023年2月23日(木) 同性婚発言で更迭
◇先日の17日、同性婚に関する不適切発言で、首相秘書官が更迭されるハプニングがあった。主人公は、8人いる首相秘書官の内の一人の新井勝喜氏で、氏は、通産省出身の官僚で、岸田内閣発足当時から、この職にあったようだ。
下図は、以下のサイトから引用:(岸田首相 同性婚「見るのも嫌だ」などと発言の荒井秘書官 更迭 _ NHK _ LGBTQ)
マスコミ情報によれば、今月3日夜、青森市での、オフレコを前提とした記者団の取材に対し、氏は、
・同性婚制度を導入すると、社会が変わる、社会に対する影響が大きい、
・マイナスだ。秘書官室もみんな反対する、
・隣に住んでいるのもちょっと嫌だ、
・同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる、
などと、発言したという。
筆者としても、ほぼ、同意見だが、最後にある、国を捨てる人とは、何を言っているのだろうか?
◇建前と本音
建前と本音を使い分けるのは、日本の悪い習慣だが、大人の知恵であり、当然の常識でもある。荒井氏は、本音を言ったと思われるが、筆者も、率直に言って、同性婚は、気持ち悪いと思うことだ。大半の国民は、男と女の組み合わせの「異性婚」で生まれている訳で、「同性婚」では、子供は生まれてこない。
荒井氏は、その後の取材に対し、完全にプライベートの意見、自身は差別的な意識は持っていない、などと、発言を撤回したようだが、一旦、口から出た言葉は回収できなかったようだ。オフレコと言いながら、公然と公開するマスコミの姿勢には大変驚くのだが、荒井氏は、言わば、嵌められたようにも、見えることだ。
公的立場にある人は、たとえ、オフレコと言われたり、プライベートの場でも、発言には注意しなければならない、ということで、失敗した事例は、枚挙に暇がないことだ。
この発言に対して、岸田首相は、
“今の内閣の考え方には全くそぐわない、言語道断の発言だ。「性的指向」や「性自認」を理由とする不当な差別や偏見 は、あってはならない“
と述べたと言う。正に、教科書通りの、建前通りの模範解答と言える。
でも、内閣の方針に反する、言語道断の発言だ、と語気を強めた首相の言い方だが、内閣の方針とは、どんな内容で、いつどこで示されたのかは、知らないことだ。
岸田首相は、国会対策もあり、17日、新しい秘書官を任命するとともに、同性婚やLGBT関連団体の3つの代表団と面内し、心からお詫びする、と謝罪している。
(下図は、ネット記事より)
岸田首相
◇同性婚の世界の状況
現在、世界では、同性婚を法的に認めている国は33に上り、登録パートナーシップ制などを持つ国も、22に上ることが、下記サイトで示されている。
これらの諸国の、世界GDPに占める割合や、世界人口に占める割合を示す、面白いデータのグラフが、同サイトに示されているので、引用する。
(参照サイト:世界の同性婚 _ EMA日本.html)
上図のように、人口比では、17%+1%と少ないものの、GDP比では、52%+3%と、半数を超えているのは驚きだ。
以前の、下記のブログ記事で、
選挙と住民投票 3 (2015/6/2) (W09)
アイルランドで実施された、同性婚に関する憲法改正の国民投票を取り上げている。賛成票が多数派,だったようで、その結果、アイルランドでは、2015年11月、同性婚が法的に認められている。
◇この5月に広島で開催予定のG7サミットだが、日本以外は、同性婚について、法的に認められているか、同等の制度がある(イタリア)ようだ。一方、日本では、同性婚は法的には認められておらず、部分的に保護する制度があるのは、世田谷区、渋谷区など、一部の自治体にとどまっている。先進国を自認する日本として、社会的な仕組みの遅れが、際立っているようだ。
また、G20加盟国まで広げて見ると、同性婚が、社会的に認められず、保護されていないのは、日本、インド、インドネシア、中国、韓国、サウジアラビア、トルコ、ロシアで、アジア地域が極めて多いのだが、宗教や習慣などの文化的要因も関係しているだろうか。。
本稿は、ここで一区切りとしたい。
次稿で、多様性の尊重や、包摂性のある社会の実現、LGBTQなどの性的マイノリティや、SOGIなどについて、取り上げることとしたい。
併せて、夫婦別姓についても触れることとしたい。