2022年12月9日(金) 選挙のやり直し
最近、内外で選挙のやり直しがあったので、取り上げることとした。
〇品川区長選での再選挙
この10月2日に行われた、品川区長選挙で、当選者がおらず、先日の11月4日に再選挙が行われ、目出度く、当選者が出て、選挙は終了している。
公職選挙法では、法定得票数が定められており、有効投票数の4分の1以上の得票が必要という規定があるようで、この規定に達しなかったことから、再選挙が行われたようだ。首長の再選挙は、全国で7例目という。
品川区長選挙の1回目と再選挙の状況は、以下である。
(以下はネット情報による。候補者は、すべて新人)
投票率は、1回目は、35.22%で、再選挙では、32.44%である。
1位の得票率を計算してみると、以下のようだ。
1回目 投票総数 113,395(A) 1位の得票率 27759/A=0.2449
再選挙 投票総数 105,498(B) 1位の得票率 40695/B=0.3857
1回目での1位の得票率は、4分の1の0.25に僅かに届かず、票数で590票ほど、足りなかったようだが、再選挙では、12分にクリアしている。
再選挙の結果、深沢候補が、現職を破り、当選し、品川区初の、女性区長が誕生している。
下図は、新区長の登庁風景。(ネットより)
再選挙の投票率が、少し低下している状況下で、1位候補者の得票数が大幅に増えたのは、再々選挙になる事態を避けたいという、有権者の思いが現れ、1位候補者に集まったのでは、と言われている。
公職選挙法では、各レベルの選挙について、投票結果を有効とする基準が決められている。
衆議院議員の選挙では、有効投票総数を、議員定数で割って得た数の、4分に1以上の場合を、選挙結果は有効としている。また、地方公共団体の議員選挙については、有効投票総数の4分の1以上としている。
このような基準があるのは、得票が少なく、代表たるに相応しくない当選人が出てしまう不合理を、避けるためという。
この4月に行われたフランスの大統領選では、「1位の得票数が過半数に達しない場合は、上位2者による決選投票を行う」というルールに則り、いつもの様に、決選投票が行われたようだ。
多くの立候補者が出て票が分散し決選投票が恒例となるのは、自由を重んずる、フランスの国民性だろうか?
今回の品川区長選でも、このような、決選投票の規定があれば、結果は、変わっていたかも知れない。
〇米国中間選挙で決戦投票
米国で、この11月8日、連邦議会の中間選挙が行われた。ジョージア州の上院議員選挙では、上院議員の1名が今回改選されるのに対し、3名が立候補したが、得票率は以下だ。
民主党 ラファエル・ワーノック候補 49.4%
共和党 ハーシェル・ウオーカー候補 48.5%
他の候補 9.1%
この結果、過半数を超えた候補者がいなかったので、規定により、12月6日、上位2名による決選投票が行われた。
昨日のニュースでは、開票作業がほぼ終了したようで、民主のワーノック候補の当選確実が伝えられている。当選者は、今後、6年間の任期となる。
ワーノック候補 ウオーカー候補
これで、米国中間選挙が、無事、終了し、議会風景が更新された。
選挙後の議会構成は下図のようだ。
上院では、民主党は、副大統領の1票を含めて漸く、民主50―50共和となり、民主党のバイデン大統領としては、造反者を出せない、人厳しい議会運営を要求される。
下院では、共和党が、主導権を握っており、上院、下院がねじれ状態にあるため、法案を通すには、難しい議会対応が必要となる。
上院議員選挙で、民主党の現職議員が、1人も議席を失わなかったのは、90年振りと報道されている。
2年後には、大統領選挙が行われるが、共和党の元大統領トランプ氏の動向が注目されている。立候補への意欲を見せていたトランプ氏だが、今回の中間選挙では、氏が支援した、多くの候補が落選している。
今後、氏への期待が薄れ、求心力が低下して、立候補も危うくなるのでは、とも言われているようだ。