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イギリスの新首相誕生

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2022年9月7日(水)  イギリスの新首相誕生

 

つい先日、イギリスの、新しい顔が決定したようだ。

 

政権を担当しているのは保守党だが、党首であるジョンソン首相に不手際があり、辞任せざるを得なくなり、政権は変わらずにそのままで、党首が交代する選挙が、行われることとなった。

庶民院(下院)の議員の投票で、候補者を、7/20に、2人に絞ったあと、引き続いて、17万いる党員の郵便投票が実施された。2人の候補者は、自らの主張を伝える地方遊説等を行ったが、9/2に投票が締め切られ、9/5日に結果が公表され、新党首が決定した。

トラス新党首は、エリザベス女王から、組閣を要請され、首相に就任した。(日本のような、議会での首班指名はない。)

党首選までの経過については、当ブログの、下記記事に述べている。

イギリス保守党党首選  (2022/2/26)  (O 15)

 

〇議員票

 下院に所属する国会議員の投票によって、自動的に最下位者が除外される仕組みになっている。自主的な辞退者が出る場合もある。

 

上図の表には、第1回の8人の候補者の中から、最終的に二人に絞り込まれていく経過が示されている。

この過程では、スナック氏が、常に全体のトップにあり、後塵を拝したトラス氏は、最後に、滑り込みで2人の中に残って、党員投票に臨んだのである。

そして、党員投票により、新党首が決まったという訳だ。

 

〇議員票と地方票

筆者は、議員票と同じように、スナック氏優位のまま、党員票も固まるものと思っていたが、大きく、外れてしまったのだ。

何があったのだろうか? 議員よりも、国民に近い位置にいる、党員たちの選択の方が、正しかったのだろうか?

 

党員・党友の位置づけが、イギリスと日本では、全く異なっているようだ。

単純な比較をすれば、イギリスでは、国会議員がお膳立てし、決めるのは、全国の党員である。

日本の場合は、議員票の位置づけが大きく、相対的に、地方票の比重は小さい、と言うのが、特徴だろうか。

 

〇自民党党首選の場合

ここで、イギリスと日本の仕組みの異動を知るために、2021年9月に行われた、自民党総裁選を調べてみた。

下図のように、4人が立候補し、最後に2人による決選投票が行われて、決着した。

第1回投票での、全国の党員・党友(表にあるように約76万人)による投票だが、得票数の約5%が、党員票となる仕組みの様だ。言い換えれば、党員票20が議員票1に相当する比重だ。

この辺りは、よく分からないので、推測だが、議員票と地方票は同数とする、ということから、スタートして、按分しているのかも知れない。

決選投票になると、地方票は、都道府県に1票だけ、とかなり比重は小さくなる。

 

〇トラス新首相への期待

イギリスの党首選では、身近な経済問題(減税など)が最大の課題で、コロナやウクライナ情勢への対処も、大きなテーマだったようだ。今後も、これらが重要になるだろうが、トラス新首相の、手腕が問われるところで、活躍に期待したいところだ。

    トラス新首相

 

来年、日本で開催されるG7サミットには、イギリス、ドイツなど、新たな顔ぶれが揃うこととなる。

 

トラス首相の登場で、イギリスでは、歴史上、3人目の女性宰相が生れたことなった。

2人の先輩達とは、鉄の女と言われたサッチャー首相と、EU離脱(Brexit)で苦戦したメイ首相であることは、言うまでもない。

伝統を重んじる国ながら、新しさにも取り組むイギリスで、エリザベス女王の健在ぶりと、女性が主役の保守党政権が、今後、どう表に出てくるのか、楽しみにしたいものだ。


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