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ウクライナのこと  その1

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  2022年3月16日(水)  ウクライナのこと  その1

 

 

ロシアとベラルーシによる、ウクライナ軍事進攻が行われたのは、2月24日とされるが、ウクライナ側の応戦や、隣国への多数の難民など、緊迫した状況が続いており、この所、ウクライナの関連のトップニュースが続いている。

これまでの経緯等について、その1として、自分なりに整理してみた。

 

〇停戦協議 続く 

報道によれば、ロシアとウクライナの代表団が、3月14日、オンライン形式で、4回目の停戦協議を行ったようだ。協議を一時中断し、15日に再開する見通しという。

これまで、ロシアの姿勢に、軟化の兆しが見えた時もあったが、それも薄れたようだ。ウクライナ側からの、攻撃の中止と、即時撤退と、首脳会談の設定という要求に対し、ロシア側からは、非武装化と、中立化と、更には、ウクライナの全面降伏ということも言っているようで、決着の見通しは見えないと言う。(読売新聞 3月15日 朝刊による)

 

〇トルコの仲介

トルコが中に入って、当事国の外相会談(ウクライナ:クレバ外相、ロシア:ラブロフ外相)が、3月10日に、トルコの南西部のアンタルヤで、開催されたようだが、ロシアの主張が一方的で変化がなく、成果は全く無かったようだ。トルコは、NATOの加盟国である。

   

(ロシア ウクライナ 外相会談も隔たり埋まらず “進展なし” _ ウクライナ情勢 _ NHKニュース.html 等参照)

その後行われた、フランス:マクロン大統領、ドイツ:ショルツ首相とのオンライン会談でも、プーチン大統領の姿勢は変わらず、成果はなかったようだ。

 

〇米国下院での証言

先日8日の米国下院情報特別委員会の公聴会で、下図にあるように、CIAバーンズ長官が証言したようだ。

(「プーチン氏はウクライナ支配を決意」 CIA長官が米議会証言 _ 毎日新聞.html を参照)

バーンズ長官は、以前、駐ロシア大使を務めた経験があり、記事によれば、下記のように、可なり掘り下げた見方が披露されている。

・プーチンのウクライナへの長年の苛立ちがある。

・プーチンは、当初、近代化したロシア軍が、2日程で制圧できると想定していた。(思わぬ抵抗で長期化)

・対ロ制裁にロシア経済が耐えられると想定していた(だが、現在はきわめて苦しい状況)。

・意見を聞く取り巻きの輪を、だんだん、小さくしていった(裸の王様の状況)

・反対意見を抑え込むため、異議を唱えると昇進出来ないシステムを作った(ラブロフ外相は、小間使い風)

・民間人の犠牲を無視して今後の攻撃は激化すると予想。

・核抑止部隊に特別態勢を命じたことは、米欧のウクライナへの支援を抑止する狙いだろう。

・ロシア軍の死者数は、2000~4000人

 最近の、3月11日の報道では、ウクライナの民間人の死者数は、ウクライナ兵の死者数を上回っているといい、ウクライナ都市部での、無差別的な攻撃が行われているようだ。

(ウクライナ国防相「民間人の死者数が兵士の死者数を上回る」(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース.html から引用)

 

〇原発施設の占拠

 バーンズ長官の証言にあった、核抑止部隊の特別態勢の一環と思われるが、3月上旬、欧州最大規模と言われる、ザポリージャ原発を占拠するとともに、チェルノブイリ事故原発も占拠し、威嚇しているという。チェルノブイリでは、一時、商用電源断となり、事故炉の冷却ができなくなったようだが、無事、回復したという。周知のように、この事故原発は、ベラルーシとウクライナの境界に立地している。 両原発の位置は、下図。

  

 

〇企業活動でのロシア離れ

 ロシア国内が緊迫化する一方で、ウクライナ侵攻に対する抗議の意思表示として、進出している多くの企業が、活動を停止している様だ。以下に、幾つかを例示。

   ・シェル石油(イギリス) サハリンでの石油・天然ガス開発(サハリン2)

                日本政府と、日本の2商社(三井物産 三菱商事)が参画 

   ・エクソンモービル(アメリカ)サハリンでの石油開発(サハリン1)  

                日本の2商社(伊藤忠商事 丸紅)が参画 

   ・イケア(スエーデン) 家具量販

        ・マクドナルド(アメリカ)食品

   ・自動車各社(日本) トヨタ    マツダ スズキ ホンダ等

       ・建設関係 (日本) コマツ 日立建機

   ・ユニクロ(日本) 衣料品

プーチン大統領は、撤退した企業については、資産を接収し、転売するとの、強気の方針を示しているようだ。

(日本企業も「脱ロシア」鮮明に プーチン氏の資産接収方針を注視 _ 毎日新聞.htm )l

 

〇ロシア国内の状況

 ロシア国内の世論は、よく分からないが、3月14日、衝撃的なハプニングがあった。

ロシアの公共放送の放送中に、プラカードを持った女性が、突如でてきて、下図のように、誰にも分る言葉で、戦争の中止を訴えたのである。

 放送中のアナウンサーの落ち着き払った様子は、事前に、プラカードが出てくるのを、知っていたと推測される。プラカードの女性は、放送局のディレクターで、その後、警察に引き渡されたが、日本円で、3万円ほどの罰金を払って、釈放されたようだ。

 

プラカードには、次のように書かれているという。

 

1行目、3行目は英語で分かりやすい。「戦争反対」、「ロシア人は戦争に反対」(ロシア人は、戦争に反対を!)

2行目は、ロシア語で、意味は、以下のようだ。

 「プロパガンダ(政治宣伝)を信じるな、 (この番組は)あなた方を騙そうとしている」

 

都合のいい情報しか伝えないのは、専制国家の常套手段だが、ロシア国内にも、まともな人たちも多くいるようで、反戦デモ等で拘束された人間は、可なりの数に上る様だ。

独裁者プーチンを、最後に辞めさせられるのは、外ならぬ、良識ある国民だけで、3行目にあるように、ロシア国民は、戦争に反対して、現体制を変える必要があろう。

 

次稿では、その2として、ウクライナ国自体について、取り上げる予定である。


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