2022年3月6日(日) IPCC報告書
〇先月末の28日、下図に示す、色鮮やかなIPCC報告書が公開された。今回の報告は、後述するように、副題にあるWG2の活動関連である。
報告書は、霞が関にある政府刊行物サービスセンターで、入手できるだろうか?
〇IPCCとは
IPCCについての情報は、気象庁の下記サイトを参照している。
(気象庁 Japan Meteorological Agency.html )
IPCCは、1988年、国連の世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された機関で、日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と呼ぶが、以下の頭文字をとっている。
Itergovernmental Panel on Climate Change
現在、195の国と地域が参加しているようだ。
IPCCの組織図は以下だ。
上図にある、3つの作業部会(Working Group WG)と、インベントリタスクフォース(TFI)が活動の中心で、総会や、事務局や、TSU(秘術支援ユニット)などもある。
全体では、大変な数の専門家や支援者が、無償のボランティア活動で参加しているようだ。
今回のWG2の場合は、たまたま、数字が見つかったが、6か国、270人が関係しているという。
3つのWGとTFIの役割は以下のようだ。
上述の図では、赤字のように簡潔に表示されている。。
WG1: 気候システムおよび気候変動の、自然科学的根拠についての評価
WG2: 気候変動に対する、社会経済および自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価
WG3; 温室効果ガスの排出削減など、気候変動の緩和のオプションについての評価
TFI: 温室効果ガスの国別排出目録作成手法の、策定、普及および改定
ここでは、国別排出目録をインベントリと呼んでいるが、通常、inven
toryは、財産・資産目録のこと。
地球環境問題の各要因と、各作業部会およびTFIの位置づけとの関連を説明した図が、下記サイトに示されているので引用した。(https://www.sbbit.jp/article/contl/563b4 を参照)
〇 活動報告の経過
現在は、第6次の活動サイクルにあり、2021年以降、2022年9月までとなっている。これ迄と今後の、活動の経過は、以下だ。
2021年8月 第54回総会で、WG1の報告を承認し、公表
総会は、21.7.26~8,6 オンラインで実施
2022年2月 第55回総会で、WG2の報告を承認し、公表。
総会は、2,14~2,27 オンラインで実施
2022年4月(予定) 発表直前の総会で、WG3の報告を承認・公表予定
2022年9月(予定) 発表直前の総会で、統合報告書を承認・公表予定
報告は、政策決定者向けの要約版(SPM)を発行・公表していて、分かりやすくなって
いる。SPMは、Summary for Policymakersの略。
〇地球環境問題へのIPCCの貢献
IPCCは、これまで、数年おきに、5回にわたって評価報告者を作成してきている。
その報告書が、国連活動に、極めて大きな貢献をしているようだ。
以下は、前述のサイトを参照している。
◇1990年 第1次報告書
人間の活動によって、将来、地球の表面温度が上昇することを確認
⇒ 地球温暖化対策の必要性を共有
⇒ 1992年 気候変動に関する国際連合枠組条約(*UNFCCC)の成立に大きく貢献
*UNFCCC: UN Faramework Convention
on Climate Change
◇1995年 第2次報告書
先進国に排出量削減目標を義務づける、京都議定書の合意に影響を与えた。
◇2013~15 第5次評価報告書
2015年に採択された、画期的な、パリ協定(Paris Agreement)の合意に大きな影響を与えた。