2022年1月22日(土) 大相撲のこと その1
2022年の大相撲初場所は、早くも、もう大詰めで明日が千秋楽。今回は、観客数を制限して、蔵前国技館で開催されている。八角理事長は、下図のように、上位力士7人を従えながら、伝統文化を通して世界中に感動を届けたいと挨拶した。(下図は、ネットより)
明生 御嶽海 大栄翔
貴景勝 照の富士 正代 隆の勝
八角
以下は、多少長くなるが、理事長挨拶の全文である。
(八角理事長 協会あいさつで謝罪「場所前、複数の感染者が判明しご心配をより引用」)
筆者の関心のある、大相撲に関係する幾つかの話題を、取り上げたい。
〇四股名(しこな)
*国語辞典(広辞苑 7版)には、見出しが「醜名」で載っていて、以下の意とある。
①自身の謙称 ②あだな(渾名) ③力士の名(四股名は当て字)
③の力士名は、力士にとって極めて大事なもので、観客も、関係者も、この名前を通して、力士を区別している。醜名では、印象が悪いので、相撲の基本動作である、下図の、四股を踏む(足を上げる準備運動)の、四股を当てたと思われる。
*言いにくい四股名
殆どの四股名は言いやすいが、言いにくい四股名の代表格が以下。
若隆景 WA―KA―TA―KA―KA―GE わかたかかげ
わかたかかげの、たかかげ、だけでも言いにくいが、その前にくる、か、が邪魔だ。
たいていの四股名は、5,4音節だが、これは6音節で長い.。
Aが4回、Kが3回出てくるのは、アナウンサー泣かせだろう。 わか、で一息入れてから、たかかげ、と続ける場合が多い。
*おおげさ・やや誇大、と思われる四股名
・天空海(あくあ) 天と、空と、海と、壮大で、やや欲張り過ぎ!
極めて難読で、誰も読めない!! (次項)
aqua(水) 閼伽(あか)(水入れ)が連想されるが、関連はないだろう。
・御嶽海(みたけうみ) 山と海が一体となった、大げさな言い方だ!
霧馬山、隠岐の海、などは、自然だ。
*難読な四股名
・翔猿(とびざる) 翔をとびと読ませる難しさ、訓読みでもある。
・阿炎(あび) 炎を、び、と読ませる強引さ、阿鼻叫喚地獄が連想される。
・阿武咲(おうのしょう)阿武で、おうの、と読ませる押しの強さ、阿武松部屋所属
・美らの海(ちゅらのうみ) 沖縄出身の十両の四股名だが、沖縄の美しい海を、美の海、というようだ。沖縄出身 者以外は、美は、ちゅら、とは読めない。
*1文字・短音節の四股名
・一文字 現役では、頂 輝 魁など、OBでは、勢 曙 など
・短音節 2音節の、阿炎(あび)、宇良(うら)、矢後(やご)は呼び出し泣かせ?
*改名
大相撲界に入門する時は本名だが、しばらくすると、親方から仮の名前をもらい、そして、昇進時などに、立派な四股名に変えるのが普通だ。
例えば、名前の変遷は以下だ。頭に、所属している佐渡が嶽部屋の、「琴」を貰っている。
本名 佐藤 ⇒ 仮名前 琴佐藤 ⇒ 四股名 琴の藤
前田 ⇒ 琴前田 ⇒ 琴紀峰
一方、入門時の本名を四股名としたままで、幕内で活躍しているのが、遠藤関だ。入門してから入幕まで、たった3年というスピード出世だったため、チャンスを失してしまった様だ。
大関の正代や、大関経験者の高安も、本名の様だ。過去には、学生横綱から、大相撲の横綱に昇進した輪島なども本名という。
〇外国籍力士
大相撲に、外国籍力士が登場するようになったのは戦後だが、ひと頃は、ハワイ出身の横綱の、曙や、武蔵丸がいたが、昨今は、モンゴル勢が圧倒していて、非モンゴル勢は、少数派だ。
最近、モンゴル出身の、横綱白鵬、横綱鶴竜が引退したが、朝青龍なども含め、モンゴル勢が、これまで、大相撲界を支えてくれた功績には、測り知れないものがある。
宝富士と玉鷲(モンゴル)は、筆者には、印象が似ているのか、紛らわしい二人である。
栃の心(ジョージア)(元大関)は、左上手の強さが印象的。碧山(ブルガリア)と魁聖(ブラジル)は、筆者には、区別が難しく、いつも混同する。
日本の伝統的な武道の一つである、柔道が、Judoとして、今や、国際的なスポーツになっているが、大相撲は、果たして、将来どのような方向をたどるのだろうか?
〇 各相撲部屋に所属する上位力士等
・本稿冒頭に出てきた、現役上位力士等が所属する相撲部屋は、以下である。
相撲部屋 現役・年寄力士
出羽海部屋(出羽海一門) 関脇御嶽海
立浪部屋(出羽海一門) 小結明生
常盤山部屋(二所ノ関一門) 大関貴景勝
関脇隆の勝
時津風部屋 (時津風一門) 大関正代
追手風部屋 (時津風一門) 小結大栄翔
陸奥 部屋(時津風一門) 鶴竜親方(横綱鶴竜)
高砂部屋 (高砂一門) 元大関 朝の山(現前4)
伊勢が浜部屋(伊勢ケ浜一門) 横綱照の富士
宮城野部屋(伊勢ケ浜一門) 間垣親方(横綱白鵬)
・大相撲を支えてきた伝統ある部屋の出羽海部屋だが、長らく大関が出ておらず、関脇御嶽海の大関昇進への期待は大きいようだ。
・休場中の元大関朝の山は、現在の初場所では、前頭4に落ちていて、1年の謹慎期間中に、三段目くらいまで陥落すると言われている。3段目から復活した、横綱照ノ富士が連想される。
・元横綱鶴竜は、5年間は現役時の四股名のままで、その後、年寄株を取得すればいいようだ。
・元横綱白鵬は、間垣親方になったが、日本国籍の取得にあたって、現役中の言動から、批判も強かった上、間垣株の襲名でも、色んな障害があったと言われる。でも、親方は、場所中の警備や、NHKへの出演など、地道にこなしている。
・モンゴル出身の両横綱は、長い在任中には、1人横綱の時期もあった中で、日本の大相撲を支え、人気を維持してくれたことに深く感謝し、今後の活躍に期待したい。