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指文字の文化   その2

2013年11月18日(月)  指文字の文化  その2  

 

 市場の競りでの手やりや、日常生活で使われる指文字について、先日、当ブログに 

     指文字の文化  その1 (2013/11/14) 

を投稿したところだが、本稿はその続編である。 

 今回は、前稿にあった「袋競り」での袋内部の手の形等について述べている。

  

○ 袋競りの袋の内部では?

 前稿で触れた、下関南風泊(はえどまり)市場で行われているフグの袋競りだが、ネットで色々探した結果、袋の中での数字の表し方・伝え方などの具体的な方法が、漸く見つかった。下図のようである。(袋の中を覗いてみよう! から引用) 

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  図のように、右側の競り人の手を、左側の買い手が握って金額の数字を伝える。数字としては、1〜5までが示されている。

上図にあるように、競り人の右手の指を、買い手が、小田原型の手やりと同じに、順次、1、2、3、4、5本の指を、纏めて握るようになっている。 

 袋競りは、視覚を使わず、触覚だけの世界なので、曖昧さをなくした、単純明快な方法でなければならないだろうから、3の時は、築地型の指文字は使わないようだ。

競り人、買い手の双方とも、右手表示になっているが、左手の場合もあるかは不明。

   

 上図には、6以降は示されておらず、他にも見つからなかったので、筆者が、勝手に作ってみたのが以下である。

下図では、図には出ていない左側になる買い手が、競り人の右手の白く○印を付けた指を、右手で押さえるパターンを示したものだ。(ネット画像にある、手の写真を加工)

 1〜5迄は、上述の図と同じ形である。 

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        1              2               3               4               5  

 以下の6〜10の形は、手やりからや類推したもので、親指で5を表し、以降、握る指を順次増やしていくものだ。9も、その延長として、手やりよりも単純化してある。 

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        6               7               8              9              10

 

○ 秘密裏に行う袋競りの理由は?

 市場などで、一般的に行われている競り(競売、オークション)は、公開が基本である。秘密形式で行われる「袋競り」は、他には例がなく、極めて特異な慣習と言えるようだが、何故こうなったのだろうか。理由は明確ではないようだが、

    ・寒い冬場で手が冷たいので着衣の袖口に手を入れてやった、

    ・フグは高価なため公開したら大喧嘩になったので秘密にした、

といった説があるようだ。

 非公開となると、当然のことながら、競り人には、公正性が求められ、その責任は極めて重い訳で、恣意的に操作することは許されない。後になって、嘘がばれて仕舞っては、競りが成り立たなくなる。

 

 通常の競りでは、最後の一人になるまで、だんだん、値が上がって行く訳だが、袋競りでは、競り上げが無く、入札希望者の一回勝負なのだろうか。公共工事等の競争入札でも、1回勝負で、最高額等の入札者が、落札するのだが、袋競りは、この競争入札と同じものと言えるだろうか。

フグのトロ箱1箱が、数十秒でセリ落とされるというスピードぶりという。

 

 

○ この冬のフグは?

 冬の味覚の代表であるフグの袋競りが、今年の冬も、この9月下旬から始まったようで、今年の落札値は、キロ当たり1万5千円と、久しぶりに前年を上回ったという。 

 下の写真だが、袋の中での微妙なやりとりをする、競り人と、買い手の立場が、両者の表情によく表れている、プロらしい上手い写真と言えようか。勿論、右が競り人、左が買い手と思われる。(冬の味覚、フグ初競り 下関・南風泊市場 - MSN産経ニュース  から引用)

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 今季のフグ初競り風景

  庶民には、やや縁遠いフグでも、関西に住んでいた頃は、結構、食べたのだが、関東暮らしの今は、その機会はごく少なくなっている。


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