2018年7月1日(日) いろはかるた
今年は、関東地方は、ほぼ平年並みの6月6日に、梅雨入りが宣言されたが、その頃、NHK-TVの天気予報を視ていたら、梅雨の話に関し
「栗花落」
という言葉が紹介された。
強い臭いを出す房状の栗の雄花が、梅雨入りの頃になると地面に落ちてくることが由来で、この字は、
ツユイリ→ツユリ
と読むようだ。
TVを視た時は、俳句の季語の一つと思ったのだが、改めてネットで調べてみると、極めて珍しい、苗字(名字)の一つという事だ。(「薬袋」「小鳥遊」「栗花落」「月見里」? 読めたらスゴイ難読名字10選 )
栗の雄花
一方、今年は、梅雨に入っても雨が少なく、6月29日(金)に、早々と、関東地方の梅雨明けが宣言された。 昨年よりは、22日も早く、6月の梅雨明けは、初めてのことと言う。これから、真夏の猛暑と、深刻な水不足になりそうな予感がある。
所で、上述のネットのサイトには、珍しい苗字として、幾つか紹介されているが、その中に、
「京」
があった。 この漢字は、時々、耳にする苗字で、通常は、キョウと読み、著名人もいる。でもこの字は、苗字として、
「カナドメ」
と読むようだ。一瞬、驚いたことだが、いろはかな文字の最後の止めとして、京(きょう)とあることから、カナの最後の止め、と言う意味のようだ。
関西等では、苗字として、こう呼ぶ地域があるようだが、詳細は未調査である。
このことが切っ掛けとなって、「いろはかるた」や、「いろは歌」について調べてみた。更には、万葉仮名と仮名文字、五十音表、旧仮名文字等、日本語の歴史について、改めて関心が深まり、シリーズものとして、少しく、取り上げることとした。
今回は、馴染みの深い、「いろはかるた」の話題である。
○ いろはかるた
古来、平易なかな文字を覚える手習いの教材や、遊びの道具として、いろはかな47文字が使われてきた。
そして、各文字を頭にした、諺や格言、処世訓等を集めたものが「いろはかるた」で、京都、大阪、江戸、名古屋等と各種ある。この中で、東北出身の筆者にとっては、「江戸いろはかるた」が馴染み深いので、本稿では、主に、これを取り上げる。幼少時は、絵札を見ながら、かるたで良く遊んだものだ。
有名な「いろは歌」の作者については、はっきりしないようだが、弘法大師作などという、説もるようだ。仏教思想を反映した七五調の短歌だが、筆者がこの歌の存在を知ったのは、高校に進んでからである。 小さい頃には良く口にした、いろはかるたは、ゐ、ゑは、旧仮名の文字で入っていた。
区切り方については、七五調ではなく、以下の左欄のように、我流で区切って覚えていたように思う。
いろはにほへと 7 (いろはにほへと 7)
ちりぬるをわか 7 (ちりぬるをわか 7)
よたれそつね 6 (よたれそつねな 7)
ならむうゐの 6 (らむういのおく 7)
おくやまけふこえて 9 (やまけふこえて 7)
あさきゆめみし 7 (あさきゆめみし 7)
ゑひもせす 5 (ゑひもせす 5)
京 1
一方、47文字を上の右欄のように、7文字ごとに区切って並べて、末尾だけをみると、
とかなくてしす (咎なくて死す)
となる、という穿った見解もあるようだ。(いろは歌 - Wikipedia から)
○ 幾つ覚えているだろうか。
後期高齢者であるこの年になって、「いろはかるた」を幾つ覚えているか、前項の区切りに従って、答えを見ずに、記憶を辿って、思いつくままに、関連する諺なども挙げて見たのが、以下である。“犬も歩けば棒に当たる”から始まる、別称 犬棒かるたで、最後は、48文字目の、京の夢大阪の夢で終わる。
△▲は、諺等がなかなか思い浮かばなかった項で、下線は、調べたら、「江戸かるた」では無かったものである。
いぬもあるけば ぼうにあたる 京のゆめ 大さかのゆめ
い:犬も歩けば棒にあたる 一寸先は闇 石の上にも三年
ろ:論より証拠
は:花より団子 早起きは三文の得
に:憎まれっ子世にはばかる(憚る)
ほ:△仏作って魂入れず 骨折り損のくたびれ儲け
へ:屁をひって尻つぼめ
と:年寄りの冷や水
ち:ちりも積もれば山となる
り:律儀者の子沢山
ぬ:盗人の昼寝
る:瑠璃も針も磨けば光る
を:老いては子に従え 負うた子に教えられ
わ:割れ鍋に閉じ蓋
か:かったいのかさ羨み 勝って兜の緒を締めよ
よ:よしのずいから天井のぞく 夜目遠目笠の内
た:旅は道づれ世は情け 蓼食う虫も好き好き
れ:れう(良)薬は口に苦し
そ:総領の甚六
つ:月夜に竈をぬく
ね:念には念を入れ
な:泣きっ面に蜂 長いものには巻かれろ
ら:楽あれば苦あり
む:無理が通れば道理引っこむ
う:△馬の耳に念仏 嘘から出たまこと
ゐ:ゐ(井)の中の蛙大海を知らず ゐも(芋)の煮えたもご存知ない
の:のど元過ぎれば熱さ忘れる
お:鬼に金棒 終わり良ければ全て良し
く:▲薬九層倍 腐っても鯛 口八丁手八丁 苦しい時の神頼み 君子危うきに近寄らず 臭いものに蓋
や:安物買いの銭失い
ま:負けるが勝ち
け:▲下すの勘ぐり 芸は身を助ける
ふ:△ふぐは食いたし命は惜しい 文はやりたし書く手は持たぬ
こ:△紺屋の白袴 後悔先に立たず 子は三界の首かせ
え:得手に帆を揚げる
て:▲鉄は熱いうちに打て 亭主の好きな赤烏帽子
あ:悪事千里を走る 秋茄子は嫁に食わすな 頭隠して尻隠さず
さ:三べん廻って煙草にせう 猿も木から落ちる
き:△聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥 極楽見て地獄
ゆ:油断大敵
め:目の上のたんこぶ
み:身から出た錆
し:知らぬが仏
ゑ:ゑん(縁)は異なもの味なもの
ひ:日暮れて道遠し 火の無い所に煙は立たぬ 人の噂も七十五日 火の用心 貧乏暇なし
も:餅は餅屋 門前の小僧習わぬ経を読む
せ:急いては事をし損じる 背に腹は代えられぬ
す:△住めば都 雀百まで踊り忘れず 粋は身を食う
京:京の夢大阪の夢