Quantcast
Channel: つれづれの記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 864

女人禁制   続

$
0
0

2018年7月4日(水)  女人禁制  続

 

 4月初めの大相撲の地方巡業で、京都府舞鶴市の多々見良三市長が、土俵上で挨拶中に倒れた騒動があり、結構なニュースとなった。この関連で、当ブログに

        女人禁制   (2018/6/18)

を投稿している。 

  今回は、この大相撲の事件の後日談を述べる。さらに、最近のニュースで、サウジアラビアで女性の自動車運転が解禁された話題と、お茶の水女子大でトランスジェンダーの学生をの受け入れることにした事案について取り上げた。

 

 ○ 舞鶴市長 退院し公務に復帰

(以下は、舞鶴市:土俵で倒れた市長、公務に復帰「救命に男女ない」 - 毎日新聞 などを参照)

●4月初めのハプニングでは、土俵に上がった女性達の的確な応急措置があって、救急車で搬送された舞鶴市長は、2カ月以上の入院の後、この6月14日、無事退院できたようだ。倒れた原因は、くも膜下出血だったようだが、手術が成功して、幸い後遺症はないと言う。 

自宅療養中の市長は、救命措置にあたった命の恩人である女性達に対し「集中治療室勤務の経験もある方で、とっさに反応してくださったんでしょう。本当に感謝です」と述べている。

相撲協会の八角理事長から面談したいとの申し入れがあったようだが、「巡業は市制施行75周年の記念でもあり、お願いして来ていただいたのに倒れたことで私の方が迷惑をかけた」と、固辞の考えを示したという。が、これは、暗黙に、協会批判の姿勢を示したのだろうか。

 

●そして、この6月28日、市長は公務に復帰した。

          公務に復帰した市長

 記者会見に臨んだ市長は、大相撲春巡業の挨拶中に倒れた際、救命処置をした女性が日本相撲協会関係者から制止されたことに言及。「命に関わる時に大切なのは男か女かではなく、救命処置ができる人が、助けに行くのが原則だ。」と強調している。「“女人禁制”を貫きたいなら、地方巡業の時は必ず救命処置ができる男性を用意する必要がある」と協会の姿勢を批判した。

 ●自身が医師でもある多々見市長は女性の行動について、しきたりとしての“女人禁制”については「時代とともに変えるべき伝統、習慣もあると思う。相撲という非常に歴史のある伝統文化でも、女人禁制は今の時代は通用しない」と述べている。「協会は今回のことをうやむやにせず、今後どうするか決める必要がある」としたようだ。

 女人禁制に関する相撲協会の改革は果たして進むのだろうか? 舞鶴市長の様な見解には、筆者も含めて賛同者は少なくないだろうが、神事とも繋がる伝統文化である大相撲だけに、今回のハプニング程度では、残念ながら、何も変わらないだろう、と思われることだ。

  

○ サウジで、女性の自動車運転解禁

(以下 サウジアラビア、女性の自動車運転を許可する国王令 サウジアラビアにおける女性の人権 - Wikipedia などを参照)

●世界で唯一、サウジアラビアだけが、これまで、女性の自動車運転は禁止されてきた。正確には、ほぼ同じことだが、運転がエキシプリシットに禁止されているのではなく、女性には運転免許証が交付されない規定のようだ。

 昨年9月に、女性も運転免許証が取得できるようにするという、国王の勅令が出され、これに沿って、この6月初め、国際免許を持つ女性ドライバー10人に国内運転免許証が初めて交付されている。そして、この6月24日から、晴れて、女性も自由に運転が出来るようになったという次第だ。免許証の取得希望者は、増え続けているようだ。

 初めて運転免許証を手にする女性が、下図左では、先進的なスカーフ無しで、下図右では、伝統的なスカーフあり、で写っている。(ネット画像情報より)

    

  サウジでは、女性の運転に関しては、これまでは、首都等では厳しいものの、地方では、取り締まりはあまり厳しくなく、黙認されるケースもあったようだ。

 一方、女性一般に車の運転が解禁されることと裏腹に、ここ数週間の動きでは、運転解禁だけでなく女性の権利を広く認めるよう求めてきた男女17人が身柄を拘束されたという。 この動きは、女性の車の運転は、シャリーア(イスラム法)に反する-といった聖職者らの批判を和らげる狙いがあるようだが、社会における諸改革が今後、停滞するとの見方も出ている。

●サウジアラビアは、中東の巨大な産油国だが、専制的な絶対王制の国である。(ヨーロッパの英、オランダ等は形式上の王制の国家)

マホメット教の聖典コーランと、イスラム法典(シャリーア)に基づき、宗教的な強い規制の下に、国家や社会が成り立っている。

国政レベルでは、国会に当たる評議員会があるが、150名の評議員は、選挙ではなく、国王が全て任命するようで、女性は30名居るようだ。内閣に相当する閣僚評議会もあるが、首相は国王が兼任するという。地方レベルでは、2011年から、初めて地方議員の選挙が行われ、婦人議員も誕生したようだ。

 女性の地位に関しては、一夫多妻制が許容されていることもあり、日常生活では、女性の外出時は、夫などの男性の許可が要り、目しか出さない黒いビジャブ(スカーフ)の着用が義務付けられているなど、厳しい戒律があるようだ。

教員等の女性の職業選択に関する状況は不明であるが、少なくとも、これからは、女性が運転するタクシーは出現する、と言えるだろうか!

 

○ 女子大でトランスジェンダーの学生受け入れへ

●国立の名門、お茶の水女子大は、2020年度から、性的少数派のトランスジェンダー(LGBTのT)の学生を受け入れる方針を、7月2日に明らかにしたようだ。これまでは、戸籍上の女性しか入学を認めていなかったが、戸籍上の性別は男性でも、性自認(心の性)が女性なら受け入れると言う。国内の他の女子大(日本女子大、津田塾大等)でも、こうした学生の受け入れを検討しているという。アメリカの女子大では、トランスジェンダーの入学を認めているようだ。 (お茶の水女子大「性自認が女性なら」男性受け入れ :日本経済新聞

 女子大の中に、性自認は女性でも、生理的には男性が混じると、学内の風紀が乱れる心配は無いのだろうか。

又、今回認められるTは、性自認が揺れ動くと言われ、入学後、心の性が男性になったら、退学になるのかな?

一方、戸籍上は女性だが、性自認が男性の人は、これまでも、これからも、入学できないと思われる。

 

●LGBTの関連で、この春、岩波書店が満を持して出版した広辞苑第7版で、項目の説明文の誤りが指摘され、訂正を余儀なくされる事態が起こっている。

  この辺の状況については、当ブログの

      LGBTと広辞苑  (2018/1/20)

で詳しく触れているので、ここでは省略する。

 当該書店のHPに掲載されている訂正文は、以下のようになっている。

エル‐ジー‐ビー‐ティー【LGBT】
①レズビアン・ゲイ・バイセクシャルおよびトランスジェンダーを指す語。GLBT
②広く、性的指向が異性愛でない人々や、性自認が誕生時に付与された性別と異なる人々。

  

●以前は、高校は、女子高、男子校に分かれていることも多かったが、戦後の改革で、現在は、男女共学が普通になっていて、女子大も共学になった所が多い。

今回の御茶大の方向は、国内的には、自治体等で、LGBTの権利保護が進みつつある状況に対応した動きと言える。

学生は女子のみ、ということは、換言すれば、男子禁制と言えるが、これは、教育の機会均等に反する人権問題だ、と言う主張は言い過ぎだろうか。

いっそのこと、原則、男女共学とする方が、すっきりするようにも思える。が、女子大の開学の精神や伝統に鑑み、男子禁制を維持する、と言う事だろうか。

伝統芸能の歌舞伎での女人禁制や、宝塚劇場の男子禁制などは、人権の問題ではなく、芸術文化活動として受け入れられている、と言えるだろうか。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 864

Trending Articles