2018年4月25日(水) 大相撲の椿事 5
大相撲では、昨年秋の横綱日馬富士による貴ノ岩への暴力事件が、大きな話題になってきたが、そんな中、1月14日から初場所が開催された。初場所が終了した所で、定例理事会で、暴力再発防止検討体制が発足するとともに、2月早々、日本相撲協会の理事の改選が行われ、新理事が選ばれた。その後、3/11~3/25に大阪で春場所が行われ、その場所中に、何と、貴乃花部屋の関取が暴力事件を起こし、またまた、騒動である。
更に、大阪場所後の地方巡業の、舞鶴場所と、宝塚場所で、地域の責任者である市長の挨拶を巡って、女人禁制問題が明るみに出たのである。
当ブログではこれまで、以下の記事を投稿してきたところだ。
大相撲の椿事 1 (2017/12/17)
大相撲の椿事 2 (2017/12/25)
大相撲の椿事 3 (2018/01/13)
大相撲の椿事 4 (2018/01/25)
本稿は、この所の概略の動きを、取り急ぎ整理することとし、次稿で、協会の今後に対する、筆者なりのコメントと提言を纏めることとしたい。 いやはや、時間は待ってくれず、いつも追い掛けられているのがつらいところ。
◇初場所 1/14~1/28
事件後に、初めて開催される場所だが、横綱の白鵬、稀勢の里の途中休場や、元気だった阿武笑も途中休場とあって、やや、期待が薄れたが、結果は、平幕の栃ノ心(ジョージア出身)が優勝する展開となった。そして、三賞の中で、栃ノ心が、殊勲賞 技能賞をダブル受賞している。
栃の心は、前に関脇だった実力者で、場所後の大阪場所の新番付で、関脇に返り咲くという嬉しいニュースとなった。
前場所、1人横綱で土俵を守った鶴竜も善戦し、休場した稀勢の里と同部屋の大関高安も善戦して、今後に期待を繋いでくれた。 事件の当事者で、十両に落ちた貴ノ岩は全休場。
◇暴力再発防止検討委員会
2/1の理事会で暴力再発防止検討委員会が発足し、以下の4名の外部の委員が委嘱された。
委員長 但木敬一氏 元検事総長
委員 宇津木妙子氏 元ソフトボール監督
委員 近石康宏氏 柔道連盟副会長
委員 中田琇士氏 剣道範士
これに、協会の親方等の相撲関係者9名が、協力委員として参加するようで、このトップは、鏡山危機管理部長という。この10月に報告書を取りまとめる予定となっている。
◇理事選挙
初場所終了後、2年ごとに行われる理事(候補)選挙が実施された。理事定員は10名で、この理事選では、協会所属の親方(年寄)に選挙権がある。
定員一杯の立候補であれば無投票、定員以上の立候補があれば選挙となるが、2010年以降は、毎回、選挙が行われてきている。
2月1日、立候補受け付けが行われたが、立候補状況は、理事は定員10名に対し、11名が立候補した。
注目された貴乃花一門では、阿武松親方に一本化し、貴乃花親方自身は、他一門からの票を期待しながら、無投票を避けるために敢えて立候補したという。
有権者101名の親方による選挙結果は、下図のようだ。
当選者数は、出羽海一門は4人、二所ノ関一門は2人で、他の4つの一門は1人づつである。貴乃花一門では、 阿武松は8票で当選、貴乃花は2票で、落選した。
選挙前は、いろんな情報が交錯したが、貴乃花自身は、他部門の支持が得られず惨敗した。これを機に、グループでは、貴乃花一門という名称を変更するようだ。
(ネット画像より)
副理事は定員3名に対し、4名が立候補したため選挙となり、貴乃花一門に近いとされた、錣山親方が落選した。
理事選、副理事選とも、事件後の貴乃花親方の、非常識な行動に対する、協会全体としての見識を示したと言えるだろうか。
選挙の結果、10名の理事(候補)が決まり、正式には、3月の大阪場所後に開催される評議委員会で正式に承認され理事となる。(後述)
◇大阪場所 3/11~3/25
この場所は、オリンピック・パラリンピックが近かったこともあり、人気が半減しているが、結果は以下である。
優勝 鶴竜
三賞 殊勲賞 栃ノ心
敢闘賞 魁聖
技能賞 遠藤
暴力事件の当事者の貴ノ岩は、辛うじて勝ち越して、十両に留まった。
又、場所を前に、貴乃花部屋から、珍しい双子力士が登場したと話題になった。 弟に続いて、兄も、今場所から十両に昇進したのである。
双子の弟 貴源治(たかげんじ) 昨年の名古屋場所から関取
双子の兄 貴公俊(たかよしとし) 今年の大阪場所から関取
ここまでは、明るいニュースで良かったのだが、兄の貴公俊が、場所途中で、付け人に暴力を振るったことが明るみに出たのである。
これまでは、暴力事件の被害者側にいた貴乃花部屋だったのだが、あろうことか、足下の部屋内で、加害者を出したのである。
貴乃花親方は本人を休場させたが、親方自身が、協会から監督責任を問われることとなった。
これまでの貴乃花親方の、暴力事件の処理を巡る協会批判の強気の姿勢が、一瞬にして瓦解した事件だろう。理事落選とのダブルパンチである。
◇ 協会の新体制がスタート
大阪場所後の評議員会(3/26)で、理事候補が、正式に理事として承認された。 これを受けた理事会(3/27)で、新理事による互選で、八角親方が、3期目の理事長に再選され、各理事、副理事の役割分担が、以下のように決められた。
理事会の外部理事や、評議委員会のメンバーにも、変更があったが、詳細については省略。
日本相撲協会役員の主な担務 (ネット情報より)役職 職務 年寄名 現役のしこ名 理事 役職
理事長 八角 横綱・北勝海 再 再
理事 事業部長 尾車 大関・琴風 再 再
指導普及部長 鏡山 関脇・多賀竜 再 再
生活指導部長 〃 〃
危機管理部長 〃 〃
九州場所担当 境川 小結・両国 再 再
巡業部長 春日野 関脇・栃乃和歌 再 貴乃花前理事から
監察委員長 〃 〃
名古屋場所担当 出羽海 前頭・小城ノ花 再 再
教習所長 山響 前頭・巌雄 再 再
広報部長 芝田山 横綱・大乃国 新 春日野前理事から
総合企画部長 〃 〃
審判部長 阿武松 関脇・益荒雄 新 二所の関前理事から
大阪場所担当 高島 関脇・高望山 新 伊勢が濱前理事から
副理事 事業部副部長 藤島 大関・武双山 再
審判部副部長 〃 〃
巡業部副部長 花籠 関脇・太寿山 新
巡業部副部長 井筒 関脇・逆鉾 新
昭和の大横綱と言われ、名誉ある一代年寄になった貴乃花親方だが、落選の結果、平の年寄に降格となり、審判部所属となったようだ。
◇ 地方巡業場所
大阪場所後、恒例の地方巡業が行われたが、地域の責任者である市長の挨拶を巡って、舞鶴場所(4/4)と、宝塚場所(4/6)で、大相撲の女人禁制問題が明るみに出たのである。
本件については、次稿の話題の中で取り上げることとしたい。