2013年6月11日(火) サッカーワールドカップ ブラジル大会へ
2014年の、サッカーワールドカップ ブラジル大会に向けての予選が行われて来て、アジア地域ではダントツの日本だが、先日の6月4日、オーストラリアとの対戦が、埼玉サッカー場で行われた。夕刻からのテレビ朝日の独占中継を見たが、辛うじて、1−1で引き分け、勝ち点1を獲得し、予選を突破して、世界最速で本戦出場を決めた。
予選B組の日本は、勝ち点13で、予選突破は時間の問題ではあったのだが、直前の5月末、強化試合を兼ねたキリンチャレンジカップで、ブルガリアと対戦し、0−2で、いい所なく敗れてしまった。
オーストラリアは、B組で、オマーンと2位を争っており、日本に負ければ、予選通過は非常に厳しくなるだけに、必死の戦いになる。日本にとってオーストラリアは、昨年のアウエーでの対戦では、引き分けている強豪だ。
早いもので、もう、1週間が過ぎたのだが、印象が残っている間に、振り返ってみたい。
日本 1 − 1 オーストラリア
試合の前半は、日本には何度かチャンスはあったが、決定することが出来ず、0−0で折り返した。
後半も、チャンスをものに出来ず、一方、危ないピンチを、キーパー川島の好セーブで防いだりして、引分けの雰囲気が強くなった。日本としては、引き分けでも予選通過となるので、これでもいいか、と思った。
ところが、ドラマはここから始まった。オーストラリアが、後半の残り時間が10分も無い時点で、左サイドを攻め上がって来て、MFが左奥から、ゴ−ルライン一杯に、日本のディフェンスを交わしながらゴールに近づいた。
センターリングかと思ったら、殆ど角度のない位置から、日本ゴールの右上隅に、山なりのボールを、直接入れてしまったのである。キーパーの川島が、ジャンプしてパンチしようとしたが、届かなかった。
残り時間も少ない時点で、先取点を許してしまったショックは大きかったが、この試合は負けでも、次のイラク戦で頑張ればいいや、と思い直して観戦していたのだが、日本チームは諦めずに攻め続けた。
試合時間が無くなり、敗色濃厚となっていた状況下、日本が、敵陣に入り積極的に攻め込んで、ゴール近くで右サイドからボールを蹴った時、突然、ホイッスルが鳴って、日本がPKを得たのである!
よく見えなかったし、咄嗟に、選手同士の小競り合いでのファールかと思ったのだが、スロービデオで見ると、意図的ではないようだが、敵のディフェンスの左手に、ボールが当たって、ハンドの反則になってしまったようだ。
ロスタイムに入るぎりぎりで、降ってわいたような日本のチャンス。PKを蹴ったのは、やはり、久々の日本代表になった本田だった。
試合の途中での、通常のPKはさほどでもないが、このPKは、時間的に、成功して同点になれば、ほぼ確実にワールドカップ行きが決まるという、全国民注目のキックだけに、極度のプレッシャーだろう。
PKでは、色んなドラマを見て来ているが、“あの場面では、メンタルに強い本田しかいないと思った”と、試合後、長友がコメントしたが、選手だけでなく、国内のファンも、そう思っただろう。
PKでは、キーパーは、右にサッと動いたのだが、本田は、何と、キーパーのいた、中央を狙い、見事に決めたのである。ど真ん中を狙ったとは、またまた、中々出来ない決断である。
程なく、長いホイッスルが鳴り響き、試合終了となった。
後半も、何事も無く、0−0で引き分けていても、5大会連続の、ワールドカップへの出場は決まったのだが、これでは、あのようなスリルと感動は無かったであろう。ゲームの女神に感謝したいような、価値ある引き分けであった、と言えようか。
前回の南ア大会後に就任したザック監督だが、いつもは、厳しい表情だが、この夜だけは、心から嬉しかったとみえ、穏やかな表情が印象的で、選手達への思いやりが溢れていた。
でも、ワールドカップへ出場することが目標だった時代は過ぎて、今回は、本大会で、グループリーグは問題なく突破して決勝トーナメントに進出し、そこで勝ち進んで、前回のベスト16を超えることが目標なのだ。
諸外国のチームのメンバーになり、今回も日本代表で活躍した多くの海外組には、世界のレベルが分っているだけに、彼らのインタビューでは、一様に、厳しい決意が語られていた。
日本代表(ネット画像)
この6月15日から、現地ブラジルで、コンフェデ杯があり、そこで、AFCの優勝国として世界の強豪と戦うこととなっており、来年の本戦に向けて、体制を固めてレベルアップを図っていくこととなろう。
今夜は、アジア最終予選で、日本は、イラクと対戦するが、コンフェデ杯や本戦を見据えて、どのようなプレーが見られるか、楽しみである。一方、アジア予選で後が無いオーストラリアは、ヨルダンと対戦するが、どんな戦いになるだろうか。
余談だが、予選当夜の渋谷駅前には、歓喜したサッカーファンが多数集まって来たが、これをユーモラスに、気転を利かして警備誘導したことから、大きな混乱は無かったようだ。これを担当した警察官(愛称 DJポリス)に対して、警視総監賞を授与する予定という。
警備誘導は、警察官としては当然の業務なのだが、一方的に取り締まるのではなく、通行人や群衆に対して、どう訴えて行くかについて、警察部内では、コンクール等も行っている、というのは興味深いことで、警察も変わりつつある、ということだろうか。