2017年6月15日(木) アフリカの諸国 6
当ブログでは、これまで、アフリカシリーズとして、下記記事
アフリカの諸国 1~5 (2017/5/6 ~ 6/5)
で、アフリカの地理や、開発段階、植民地分割、利他主義、産業(農業・鉱業)、国連の取り組みのMDGsまでを取り上げてきた。
本稿は、シリーズの続編で、その後の国連の取り組みの、SDGsを中心とした話題を扱っている。
前稿以降は、国連中心の話題のため、アフリカからは、一時、やや遠くなるがーー。
◇ MDGからSDGへ
前稿で取り上げた、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成状況や新たな課題も包含して、2016年9月に開催された国連サミットで、次の2030年を目標とした、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、英文原文で、35ページに及ぶ文書に纏められている。
2030アジェンダの取りまとめや採択に当たっては、国際協調主義を国是の一つとしている日本としては、積極的に関与し貢献したようだが、細部についてはここでは省略する。
2030アジェンダ文書全体の構成は、以下の様になっている。
●「前文」 Preamble
新たな目標に向かって船出するにあたって、
誰一人として置き去りにしない
no one will be left behind
という、高い理想を掲げている。
また、開発を進める重要分野として、以下の 5Pを提示している。(ネット画像より)
●宣言 Declaration (本稿では、Dec.と略)
文書では、全体で、91の宣言に纏めている。
・導入 Introduction Dec.1~6
・ビジョン Our vision Dec.7~9
・原則と関与 Our shared prinsiples and comitments Dec.10~13
・今日の世界 Our world today Dec.14~17
・新アジェンダ The new Agenda Dec.18~38
・実現手段 Means of Implementation Dec.39~46
・フォローアップと評価 Folloe-up and review Dec.47~48
・行動の要請 A call for action to change our world Dec.49~53
◇Sustainable Development Goals and targets
Dec.54~59
Goal 1~17 一覧表
これら17の目標を、英語と絵文字で表示したものが下図である。やや、聞き慣れない表現もある。(ネット画像より)
下図は、日本語に直したものだが、分かりやすくする工夫がみられる。((ODA)持続可能な開発のための2030アジェンダ | 外務省)
((ODA)持続可能な開発のための2030アジェンダ | 外務省)
THE GROBAL GOALSとして、17の目標(SDGs)と169のターゲット(到達指標)にまとめられているが、各々の詳細については省略。
◇実現手段とグローバル連携 Dec・60~71
(詳細は略)
◇フォローアップと評価 Dec.72~91
・国内レベル
・地域レベル
・グローバルレベル
(詳細は略)
◎ 用語について
採択された文書には、余り聞き慣れない英語表現が良く出てくる。これらを以下にまとめた。
( n 名詞 a 形容詞 v 動詞 )
*agenda n アジェンダ
もともとは、会議等での事務的な協議事項、議題等の意味。
目標年を入れ、全体を、言いやすい、「2030アジェンダ」としたセンスは見事だ。
*sustainable a サスティナブル
2030アジェンダでは、
Sustainable Development Goals;SDGs持続可能な目標
と呼ばれ、開発を進める上で、“sustainable”という言葉が多用されている。
この言葉は、
持続可能な、継続性のある、
ということで、継続できる仕組みをもっていて一時限りでない、という意味で、
sustain v 維持する 支える
からきている。名詞は、
sustenance n 継続
である。
*regilient a レジリエント
これも、アジェンダに良く出てくる言葉で、元の意味は、弾力ある、柔軟な と言う事だが、
逆境に強い、災害に強い、強靭な
と言った意味が含まれているようだ。 関連語は、
resilience n 弾力 回復力 復元力 強靭さ
resile v はね返る
である。
*inclusive a インクルーシブ
これも多用されていて、“包摂的な”、と訳されているが、社会的に切り捨てないで包含している、と言う事のようだ。
関連語は、動詞は、
include v
である。また、反義語は、
exclusive a 排除された 排他的な
exclude v 排除する
である。
*gender n ジェンダー
生理的な性sexに対して、社会的な性をgenderというようだ。
feminine gender 女性
masculine gender 男性
性的マイノリティーを表すLGBTも、この社会的な性に含まれる。
つい先日のTVニュースでは、X ジェンダー(男でもない、女でもない)の集まりのニュースがあった。
◎ MDGsは、途上国支援が主体だったが、SDGsは、先進国にも等しく適用される、ユニバーサルな性格を持っている。
開発のために不可欠な、資金的な側面については、アディスアベバ行動目標(開発資金国際会議(2015.7 アディスアベバ)で採択)で、示されている。
言うまでもなく、目標として掲げている17SDGsを、どのように実現するかがポイントとなる。
このアジェンダ2030で示されている約束事は、国際条約になるのかどうかは良く知らないが、実施手段とフォローアップレビューについて、各国政府(先進国、途上国)や、各国際組織等の、役割分担や義務事項がどのように明確にされていて、どのように評価されるのか、気になるところである。
SDG13では、地球を守るために、気候変動対策の具体的なアクションが掲げられていて、パリ協定が引用されている。このパリ協定は、昨年採択され、条約として各国で批准されているのだが、アメリカのトランプ政権が、これからの脱退を決めたことで、先日のG7の環境相会議が、ガタガタになってしまっている。条約ですら、簡単に反故にされるのだ!
余談だが、原文は、高い理想を含む格調高い文章であり、英文の教材テキストとしても興味深く、時間があれば、よく読んでみたいものだ。
次稿では、日本のアフリカ支援に関するTICAD等について取り上げることとしたい。