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Channel: つれづれの記
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パリ協定が発効

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2016年11月6日(日) パリ協定が発効 

 

 昨年12月、パリで開催された、国連気候変動枠組条約に関する第21回締約国会議(COP21)で、地球温暖化防止に関する歴史的な合意である国際条約、「パリ協定」(Paris  Agreement)が採択された。

この辺の事については、下記ブログ記事

    地球温暖化防止対策―COP21 (2015/12/29)

    パリ協定の署名式        (2016/4/27) 

で詳しく扱っている。

   

○ パリ協定の発効

 上述のCOP21でのロードマップに従って、各国内で批准手続きが進められ、一昨日の11月4日、国連本部のあるニューヨークの現地時間(米EST)の午前零時に、目出度く、パリ協定が発効となった。 

この条約が発効する条件は、以下の2つのANDとなっている。

    ①批准国数が、55ヶ国以上であること

    ②批准国の排出量の、総排出量に対する割合が、55%以上であること 

 下図は、3日までの批准状況だが、①については、93ヶ国(昨朝の報道では、100にも)が批准を完了している。(COP21への参加国数は196である)

一方、②については、66%(昨朝の報道では、70%にも)となり、発効条件がクリアされている。 (図は、パリ協定発効、脱炭素社会へ新ルール 日本出遅れ、国会承認急ぐ:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)  より引用)

    

 地球全体の排出量の38%も占めている、1位中国、2位米国が、早々と批准したことで、国際的な機運を盛り上げたが、今後、両国が、果たしてどれだけ本気で、継続的に取り組むだろうか。京都議定書での前例を見る限り、竜頭蛇尾に終わる可能性も否定できないのだがーー。

 

○ パリ協定の内容

 パリ協定の内容の詳細は、前の記事等にあるので、ここでは、下図を引用させてもらう事に留めたい。(パリ協定発効、脱炭素社会へ新ルール 日本出遅れ、国会承認急ぐ:一面:中日新聞(CHUNICHI Web) より)

       

・これまでの京都議定書では、先進国だけが削減義務を負ったが、パリ協定では、すべての国が、自主目標(絶対数値/GDP当たり数値)を定めて削減を実施する。

・削減目標は、5年ごとに見直すこととし、今回定めた削減目標は、2020に見直して新たな目標を設定する。

日本の目標は、2030年に、26%削減(2013年比)する、としている。

 

 ○ 日本の批准状況

 排出量で、世界第5位を占めている日本が、この条約の批准を済ませていないのは、大きな問題だ。 

 今月の、11/7~11/18に、アフリカ・モロッコの、マラケシュで開催される、国連気候変動枠組条約に関する締約国会議(COP22)への参加は当然だが、この期間中に、それと並行的に開催される、まさに歴史的な、「第1回パリ協定締約国会議」(CMA1)の方は、日本は、未批准のため参加する資格がなく、オブザーバーということで、当然、発言権もないという、みじめな状況になってしまっている。 

 最初の拘束力のある合意である、京都議定書の採択以降、先導的な活動を行ってきた日本は、環境先進国としての実績を積み重ね、技術も磨いてきたところだ。東日本大震災での原発事故で躓いたものの、それを乗り越えようとしてきた。 

 パリ協定の批准書案を閣議決定し、衆院に提出するまでは良かったようだが、TPPの批准等での混乱などのあおりをくらって、国会での批准手続きが遅れてしまい、衆院通過は、週明けの7日以降となるようだ。条約の承認では、衆院優先と言うきまりのようだが、タイミングを失していて、後の祭りである。 

 米国大統領選の両候補が、TPPには否定的な姿勢を見せている中、目前に迫った投票日を前にして、日本が、大慌てで、敢えてTPPでのリーダーシップを発揮しようとしているのは、どういうことだろうか。

パリ条約は、さしたる異論が無い事案だっただけに、その批准が遅れてしまったことは、大きな失政と、敢えて言いたい。

 

 今回の事態が、国際的な日本のステータスや、発言力や活動にとって、かなりのマイナスになるだろうことは明らかだ。

今後、失地を挽回することはできるだろうか。今回だけでなく、1年後のCMA2(COP23)の前の、WPなどへの参画はどうなるのだろうか。 

 

余談:会議の略称

 国連の条約等に関する会議は、例えば、国連気候変動枠組条約に関する締約国会議は、FCCC/COP22などと、略称で呼ばれる事が多く、初めて、COPが出てきた時は、何の略だろうと、あれこれ調べ、

   COP:Conference Of the  Parties

と分かった時は、ナーンだ、と拍子抜けしたものだ。この辺のことを、下記記事で触れている。

   環境保護活動とCOP1(2010/11/8)

 

 今回のCMA1についても、ネットであれこれ調べたが、期待に反して、明快な説明が見つからなかった。

ただ、幸いにも、今回のパリ協定やCOP22についての、ある記事の説明で、下記の英文を見つけた。そこには、京都議定書に関する記述もある。

UNFCCC COP22/CMP12/CMA1 国立環境研究所の取り組み|UNFCCC-COPへの参画|国立環境研究所 参照)

 The 22th session of the Conference of the Parties (COP22) and the 12th session of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol (CMP12) takes place from Monday 7 to Friday 18 November, 2016 in Marrakech, Morocco. With the Paris Agreement entering into force on 4 November, the first session of the Conference of the Parties serving as  the meeting of the Parties to this Agreement (CMA1) will also.

  英文記事の中で、筆者が下線を付した部分から推測すると、CMA1は以下の頭文字を取った略語と思われる。

  C:Conference

  M:Meeting

  A:(Paris)Agreement

  1:第1回 

 従来、COPに対して、英文中にもある、MOP(Meeting Of theParties)という略称も使われていて、CMAでは、CとMの意味が重複している印象だが、両者の使い分けについては、筆者には、よくわかっていない。

 


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