2016年3月26日(土) 今年のe-Taxでの確定申告
例年、年度末は所得税の確定申告の時期で、平成27年度分については、1月4日から3月15日の期間に行われた。
筆者の場合は、申告内容は、この所は年金関連が主で、それに、所有している株式の配当金等が多少ある程度で、例年、殆ど変わらない。事前に郵送されてくる、年金や配当金の源泉徴収票を基にして、自分で税額の計算が容易に出来ている。
数年前から、自宅からPCを使って申告する、e―Taxを利用していて、このために必要となる、電子証明書が組み込まれた住基カードと、カードリーダライタも手持ちで、識別番号や暗証番号も保存してある。
こんなことから、悠々と構えて、3月に入ってからe―Taxのサイトにアクセスし、申告書作成作業を開始した。
ところが、手持ちのPCの情報環境が、e―Taxの推奨環境に適合しておらず問題があるという、想定外のハプニングに見舞われ、入り口で躓いたのである。
でも、結果として、今年も、3月9日に、e―Taxでの確定申告を完了でき、国民の義務の一端を果たすことが出来て、ほっとしたところだ。
以下に、今回のハプニングについての体験談を記すこととしたい。
● 想定外のアラーム
e―Taxのサイトにアクセスし、作成作業の準備段階の所で、肝心要の、現用PC自体の環境(OS/ブラウザ)が、e―Taxの推奨する情報環境に適合していないという、下図の様な注意アラームが出る事態が生起した。
図の上段のアラーム!では、自PCの情報環境が推奨環境外のため、適合するように修正してe―Taxを利用するか、以前のような、書面提出を選択せよ、とある。
昨年までは、この情報環境に関しては、何の問題も無かったのに、今年から、どうして不適合になったというのだろうか。
提出期限が迫っていることから、ネットでの申告書の作成・提出ができないのでは、と慌てたのである。
一方、図の下段には、推奨環境として、以下のように示されている。
・OS:推奨環境は、Windowsの場合
Windows 7
Windows 8.1
Windows 10
・ブラウザ:推奨環境は
Internet Explorer 11.0 (略表記 IE)
・PDF閲覧ソフト:推奨環境は、
Adobe Reader XⅠ (略表記 AR)
Adobe Reader DC
● 筆者の情報環境
筆者のPCの情報環境については、センタへアクセスした時に、センタで機械的に判別したようだが、以下のようになっているので、いずれも、推奨環境外となる。
・OS:Windows Vista
・ブラウザ:Internet Explorer 8.0
・PDF閲覧ソフト: Adobe Reader 9.0
筆者のPCは、2009年に購入した、F社のノートパソコンで、上記ソフト類は、購入時にプレインストールされていたものだ。PC購入時、丁度、Windows7が出た頃で、研究のためにと、Vistaから7へアップグレードするソフトキットを、併せて購入している。
でも、その後は、特別な不都合もなかったし、興味も薄れたことから、OSのアップグレードは実行していないし、ブラウザやPDF閲覧ソフトのメンテも行わずに来ているのは、今となっては、反省点である。
● Vistaの注書き
PCの基本的なソフト類が全て推奨環境外、という想定外の宣告は、かなりのショックだったが、上述の、OSの推奨環境の項の最後に、注書きで、Windows Vistaの方はこちら、とあり、一縷の望みをもって開いて見ると、以下のような記述があった。
即ち、このサイトによれば、
Windows Vista
+Internet Explorer9.0
+Adobe Reader X
で、正常に動作することを確認していて、引き続き利用できる、とある。
これは、かなり有望な情報で、IEや、ARを、適合するように更新すればいいようだ。
● 対処策
推奨環境外との警告に対して、大変なものから容易な順に、以下のような幾つかの対処策を考えた。
A:PCを、最新式のソフトが使える、新たな機種に買い替える。
でも、慌ただしくPCを買い求め、立ち上げ、e―Taxを使える環境を確立するまでの時間が余りに少なすぎるし、結構な費用も掛かる。
現PCは、操作KBに不具合があり、画面のサイズが小さく、インストールされている、OS等ソフトバージョンが旧式になっているなど、買 い換えたいという潜在的な欲求は大きいのだがーー。
B:OSを、上述のように、手持ちのキットで、Windows 7に、アップグレードする。
これも、短期間に上手く出来るか、やや、不安がある。
一方、ブラウザ、PDF閲覧ソフトは、それぞれ、ネットのサイトで、推奨ソフトを探してダウンロードし、更新することは、左程問題は無い。
C:OSは現PCのVistaのまま。
注書きにあるように、OSのVistaも使えるようだ。
ブラウザ、PDF閲覧ソフトは、それぞれ、ネットのサイトで、推奨ソフトを探してダウンロードし、推奨環境に更新する。
D:現状のまま、何も変えずに進めてみる
OSはWindows Vistaで、ブラウザは、InternetExplorer 8.0、PDF閲覧ソフトは、Adobe Reader 9.0のままで進める。
◇ 対処策Dの実行
駄目元で、最も楽な方法である、対処策Dからやってみることとし、Dが駄目なら、C、Bと進み、最悪の場合は、以前の郵送を利用すればよいと、腹を括った。
そこで、サイトにアクセスし、上述の準備段階で出て来る警告を無視して、利用パソコンが、推奨環境を満たしているとの偽のチェックを入れて、次に進めて見た。
すると、なんと、そのまま進んでOKとなった、のである! やはりNGが返ってくるだろう、と想定したのだがーー。
ラッキーな結果となって、あれこれ思い巡らせたことが取り越し苦労にも思え、拍子抜けしたが、ともかく、作成作業が進められるようになった。
その結果、以降の作業は、特段の問題もなく進行でき、短期間で完了できた次第である。
◇推奨環境の間隙
推奨されているソフトを使えば、システムが正常に動作することは、実際に確認している訳だ。一方、推奨環境外のソフトバージョンの組み合わせでは、
・正常な動作をしない恐れがある、
・ウイルス等に対するセキュリティ上の脆弱性が増す、
などとあるものの、でも、使用不可能とは書いていないし、使用禁止にもしていない。
今回の対処策Dでは、前述のように、偽のチェックで、この間隙を擦り抜けて、申告作業が実行出来た、と言える。
公的に提供するサービスであるe-Taxとしては、間隙のない、安全で確実なケースのみを推奨している訳で、石橋を叩いて渡ると言う事だろう。
●サポート停止
今回のe―Taxの体験で、ソフト類のバージョンとサポート停止について、状況認識を新たにさせられたことだ。
一旦リリースされたソフト類は、バージョンアップが行われ、新バージョンに替わるのが通例で、旧バージョンは、ユーザーが少なくなって、メーカのサポートも無くなるので、姿を消すこととなる。
Windows OSに関しては、
Windows 98→XP→Vista→7→8.1→10
と来ている。 そして、旧版に対するメーカのサポートも、順次停止される。
以前、Windows98から自分で入れ替えたりしたWindowsXPだが、一世を風靡したこのOSが、2014/4/19にサポート停止となった時には、大きな話題となった。
今後については、Microsoft社から、以下のサポート終了計画が、発表されているようだ。(Windows 7 メインストリーム サポート終了のお知らせ - Microsoft)
2017/4/11 Vista
2020/1/14 7
2023/1/10 8.1
Adobe Readerに関しては、前記にあるように、平成27/11/27からVistaへのサポートを終了したことで、e―Taxの環境外としているようだ。
一方、Internet EXplorer(IE)のサポート方針が変更された様で、昨年夏に公表され、この1月12日から実施されていると言う。
詳細は把握していないが、今後は、各WindowsOSでサポートされるIEは、最新版だけになるようだ。(Internet Explorerのサポートが変わる2016年1月12日 アップデートが必要に - ライブドアニュース)
メーカがサポートを提供するのは、機能の不具合への対応等は勿論だが、セキュリティ上の強化も重要な目的と言われる。
利用者としては、面倒がらずに、メーカ情報を入手して、メンテしていくことも必要ということのようだ。