2015年10月30日(金) ラグビーワールドカップ 準決勝戦
ラグビーワールドカップイングランド大会も、大詰めを迎えていて、決勝戦と3位決定戦を残すだけとなっている。
今回のワールドカップに関して、これまで、当ブログの以下の記事で話題にしてきた。
ラグビーワールドカップー日本の奇跡 (2015/10/9)
ラグビー競技のルール (2015/10/11)
ラグビー日本代表の活躍 (2015/10/21)
先日行われた準決勝戦について、日本時間(JST)の
25日早朝 ニュージーランド――南アフリカ戦、
26日早朝 オーストラリア―――アルゼンチン戦
が、TVでLIVE中継され、2日連続で、眠いのを我慢しながら、初めから終わりまで、観戦することとなった。
本記事は、シリーズの続編として、その時の印象等を纏めたものである。
◎ニュージーランド――南アフリカ戦 10月24日 ロンドン(トゥイッケナム)
20 18
の大接戦で、ニュージランドが制した。
(図は、試合結果|ラグビーワールドカップ2015|日本テレビ より)
○ チーム概況
◇ニュージーランドチーム(ラグビーニュージーランド代表 - Wikipedia、等)
・All Blacks と呼ばれ、黒装束にやや気味悪さがあるが、世界最強のチームで、勿論、ランキングは、NO.1である。どの国のチームにも勝ち越しているという。
以前日本と対戦した時があり、その時は、なんと
145-17
と、最大差勝利試合の記録となっているようだ。
・左胸に付いている白銀色のエンブレムは、鳥の羽かと思ったら、固有種のシダの一種の「シルバー・ファーン」(ギンシダ)を、デザイン化したもののようで、ユニフォームの黒色と、いいコントラストをなしている。
・試合開始前に、恒例のパフォーマンスが披露された。原住民であるマオリ族の、「ハカ」という伝統舞踊といわれ、掛け声に合わせた、リズミカルで揃った動きは見事だった。
・本稿での略称 NZ(New Zealand)
◇南アフリカチーム(ラグビー南アフリカ共和国代表 - Wikipedia 等)
・予選プールBのリーグ戦で、日本と対戦し、歴史的に敗北した。が、その後立て直し、予選1位で決勝トーンナメントに進出し、準々決勝戦で、ウエールズを破っているのは、流石。 これまでの大会で2度優勝していて、ランキングNO.3のチームである。
・エンブレムは、自国に生息している、スプリングボックという、角の長いウシ科の動物をデザイン化したと言う。このため、チームの愛称は、スプリングボクス
・本稿での略称 南ア(南アフリカ)
*ニュージーランドは、南アフリカとは、過去に90回対戦して、52勝35敗3分の成績で、勝率が最も低い、手ごわい相手という。
世界最強と言われるニュージーランドの試合ぶりをじっくり見るとともに、日本と戦った南アフリカがどの様なプレーを見せるかも、興味深いところ。フィジカルの南アフリカ、技術のニュージーランドとも言われた。日本が関係しない試合を、じっくり見たのは、初めてかもしれない。
○試合経過 (NZがライバルとの死闘制し連覇に王手! 南アは堅守で奮闘するも2点差敗退 (ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)) 等を参照)
前半 NZ 南ア
開始早々、南アがPGを決める。 0-3
すぐ後に、山なりのパスを片手で受けた、NZのカノイが、右隅にトライし、
ゴールも決まる。 7-3
その後、NZに、2回の反則があり、南アが確実にゴールを決め、逆転した。 7-9
さらに、前半終了間際に、南アがPGを決めて、点差を、引き離した。 7-12
南アのプレッシャーと堅守がNZを苦しめて反則を呼び、NZがイエローカ
ードで、シンビン退場する場面もあった。
後半
後半間もなく、一人少ない中で、NZのカーターが、珍しいドロップゴール
(DG)を決めて、点差を、2点差とした効果は大きかったようだ。試合の流
れの中で、DGを見たのは初めてである。 10-12
そして、連続攻撃から左に大きく展開し、トライを決め、タッチライン付近
からのPGも成功して逆転 17-12
その後は、南アにもシンビン退場が出るなど、熱戦が続く。
南アが、PGを決める。 17―15
NZも南アの反則でPG。 20-15
後半の中盤頃、審判の判定が変更されたハプニングは、大きかった。詳細
は良く分らなかったのだが、密集の中で、最初は、NZの反則で南アのPGの
判定。が、ビデオで、南アの反則が判明し、NZボールの判定に変更となった。
そして、68分、南アがモールからPGを得て、2点差まで迫った。 20-18
その後、雨の中での熾烈な戦いが続いたが、得点に繋がらず、ノーサイド
となった。
NZは、2トライ+2G、1PG、1DG、南アは、NOトライで、6PGである。
○この試合を見た印象:
・ボールを左右に大きく展開したり、巧みなステップで相手を交わし、相手ゴールに向かうケースは意外に少なく、ボールを受けると、頭を下げて、正面から突っ込んで行く攻撃が多い。パスを回すと、一旦下がってしまう事のマイナスがあろうか。
・タックルで倒された場合、集団の団子が大きくならず、素早くボールが出て来るのは、レベルの高さだろうか。
・ラインアウト時の、ボールの奪い合いが激しい。
ラインアウトでは、通常は、ボールを入れる側が、サインプレーが出来るので有利なのだが、本対戦では、相手側に奪われるケースも多かった。 かといって、ノットストレート
の反則はなかった。
・GやPGのキックでは、弾道が低く、ライナー性のボールが、正確に飛んでいく。
日本戦では、FB五郎丸の、素晴らしいキックを何度も見たが、世界は広いと感じた。南アの6回のPGは、全て成功している。
◎オーストラリア――アルゼンチン戦 10月25日 ロンドン(トゥイッケナム)
29 15
で、オーストラリアが強さを示した。
○チーム概況
◇オーストラリアチーム(ラグビーオーストラリア代表 - Wikipedia、)
・ランキングNO.2の強豪である。
・エンブレムはワラビー(アッカワラビー)⇒チーム愛称 ワラビーズ
ワラビーは大陸固有種の有袋類。 大型のねずみ風で、表情が可愛いいようだ。
一見、カンガルーと思ったのだが、良く調べたら、ワラビーだった。
・準々決勝では、僅か一点差でスコットランドを破ったが、後日、誤審があった事が判明した、曰くつきの試合。でも、結果は変わらず。(前稿 ラグビー日本代表の活躍 (2015/10/21)で、触れている)
・本稿での略称 AUS (AUStralia)
◇アルゼンチンチーム(ラグビーアルゼンチン代表 - Wikipedia より)
・近年、ワールドカップで台頭し、ランキングはNO.4である。南半球強豪4チームで構成する、ザ・ラグビー・チャンピオンシップで、昨年優勝。サッカーも強い。
・準々決勝ではアイルランドを破った。
・アルゼンチンのオーストラリアとの対戦成績:5勝18敗1分で、大幅負け越し
・エンブレムはプーマ。ネコ科の動物 ⇒チーム愛称 ロス・プーマス
・本稿での略称 ARG (ARGentine)
○試合経過 (ラグビーワールドカップ2015 イングランド - アルゼンチンvsオーストラリア - LEGENDSRUGBY 等を参照)
前半
2分 ARGのパスをAUSのシモンズがインターセプトし、可なりの AUS ARG
距離を走り切ってトライ。Gも決める。大会最短の58秒トライとか。 7-0 7分 ARGがPGを得る 7-3
次にAUSクパーの綺麗な右トライ Gも決める 14-3
AUSの反則でARGがPKを得る 14-6
ARGにシンビン退場者が出て、AUSのチャンス AUSクーパーが
左隅にトライ Gは失敗 19-6
その後、ARGがPGで加点 19-9
後半
AUSのスクラム反則で、ARGがPG獲得 19-12
AUSがPGを決める 22-12
ARGがPGで加点 22-15
後半30分過ぎ、AUSミッチェルが、敵陣左から間を縫って前右へ大きく
走り、右へパス。転がったボールを、クーパーが拾い、右隅に決定的トライ
クーパーのハットトリック Gも決める。 29-15
14点差(2トライ2G)のまま、ノーサイドとなった。
AUSの4トライ(クーパーがハットトリックの3トライ)と3G、1PGは、流石だが、自陣で攻められながらも、ARGにトライを許さなかった、AUSのディフェンスが光る。ARGは、ギリギリまで攻め込むが、トライを奪えず、5PGだけに終わった。
開始早々のシモンズの独走後のトライと、4トライ目に繋がった、ミッチェルの走りは見応えがあった。
また、どの試合でもそうだが、出血等での、負傷交代もあり、競技の激しさが窺える。
又、外からは良く分らないのだが、スクラムでの反則(コラプシング)などが多かっただろうか。
◎先先稿でも触れたが、ラグビーのルールが難解なのには、定評がある。
・審判が、アドバンテージを認めた場合、次の状況変化があると、元の位置に戻って再開されることがあるが、このあたりが、良く分らない。
・ラックやモールやスクラムでは、後方に出されたボールを、通常は、味方のSO等が、周囲を見回して、慌てることなく拾って、パスに出す。相手チームがこれを拾うと反則になる。相手との揉み合いで、ボールを奪っていい場合もあるのだろうか。
・ノッコンは良くある反則だが、ほんの僅か、前にこぼしただけでも、審判は、目ざとく反則を宣告する。
・ボールの所有が反転することが、ターンオーバーだ。AUS-ARG戦での、開始早々のパスのインターセプト等は、良く見えて分り易いのだが、ターンオーバーには、他に、どの様な原因があるのだろうか。集団の中で、ターンオーバーとなることもある。
◎2015ラグビーワールドカップイングランド大会も大詰めである。
準決勝に残った4チームは、南半球の、ザ・ラグビー・チャンピオンシップのメンバーでもある。 これまでの、7回のワールドカップで、NZ、AUS、南アは、それぞれ、2回づつ優勝しており(1回はイングランド)、3回目は何処になるのだろうか。又、NZには、大会史上初の、2連覇も掛かっているようだ。
JST31日の
3位決定戦 南ア―――ARG
と、同1日の
決勝戦 NZ―――AUS
は、果たして、どの様なハイレベルの試合になるのだろうか、楽しみである。
本大会のこれまでの状況から、2019の日本大会に向けての、国内各方面での今後の盛り上がりを、期待したいものだ。