2015年7月18日(土) ギリシャの国民投票 2
ギリシャを巡る情勢については、当ブログでも、
ギリシャの国民投票 1 (2015/7/12)
で取りあげた所だ。
その後も、世界が注目する中、ユーロ圏の徹夜の会議で、何とか、ギリシャを支援する事が決まったようだ。
ギリシャは、構造改革案を確実に実行することを、国会で約束させられたが、いよいよ、国民は、更なる我慢が求められる、追い詰められた状況である。 緊縮策だけでは持たないのでは、と債務削減(借金棒引き)の話が、IMF等から出ているとも伝えられるーーーー。
また、先日の14日は、ギリシャ政府の円建てサムライ債(20年もの)の償還期限だったようで、元本117億円と利息が、幹事銀行に返還されたと言う。極めて苦しい中で、実行された理由は、この国債を購入した投資家が、政府等の公的機関で無く民間ということで、デフォルトには出来なかったようだ。
今回のギリシャ問題を、どの様に収束させられるかは、ギリシャ1国だけでなく、今後のEU全体の結束や通貨ユーロにとって、極めて重大な試金石となるであろうか。
本稿は、前稿の続編となるもので、EUや通貨ユーロの状況と、ギリシャ人の気質について見て見たい。
○EUとユーロ
EUが、6ヶ国からスタートしたのは1952年で、以来、可なりの年月になるが、加盟国の、これまでの経過は下図のようだ。(外務省: わかる!国際情勢 EU(欧州連合)~多様性における統合)
そして、図では加盟候補国として出ている、クロアチアが、最も新しく、2013年に加盟して、EUは、現在、28ヶ国となっている。
一方、共通の通貨であるユーロだが、初めて現金として、2002年 年頭から、域内の11ヶ国で流通し、現在、導入している国(ユーロ圏)は、下図のようだ。(ユーロ圏 - Wikipedia)
図にあるように、EU加盟28ヶ国の中で、現在、ユーロを導入している国は、19ヶ国という。ほかの9カ国は、ユーロでなく、自国の通貨を流通させている。
これらの、ユーロ未導入国で、次の2ヶ国
イギリス、デンマーク
は、古いEU加盟国だが、ユーロ導入義務がなく、導入する気もないようだ。
また、次の7ヶ国
スウェーデン、ポーランド、ブルガリア、ハンガリア、ルーマニア、チェコ、クロアチア
は、ユーロ導入義務があるが、適用基準を満たすまで待っている加盟国という。
バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、EU加盟が比較的新しく、ユーロの適用基準との関係で、2011、2014、2015と、最近になって、ユーロに移行している。
ほかに、EU非加盟国で、ユーロを導入している国が、数ヶ国あるようだ。
○ギリシャ人気質
ギリシャは、輝かしい西洋文明の原点であり、近代オリンピックが始められた由緒ある国でもある。 早い時期からのEU加盟国で、国の規模は、そう大きくは無い。(国土:約13万km2 、人口:約1100万人)
米国の有名な調査会社が、EU加盟の8カ国を対象に、2012年と2013年に、意識調査を実施したようだ。国民相互が、お互いをどう見ているか、という、面白い調査である。その中で、EUで、最も勤勉、あるいは最も怠惰な国はどこか、最も信頼できる、あるいは最も信頼できない国はどこか、という質問がなされたようで、その結果が下表である。(5 facts about Greece and the EU | Pew Research Center より)
ここで、表中の英語の意味だが、本稿では、以下としている。
Most Hardworking 最も勤勉な
Most Trustworthy 最も信頼できる
Least Hardworking 最も怠惰な
Least Trustworthy 最も信頼できない
設問に対し、ギリシャ以外は、最も勤勉な国はドイツ、と答えたようだ。
一方、反対に、最も怠惰な国はギリシャ、との答えが最も多く、5ヶ国だったという。
又、最も信頼できる国も、ギリシャ以外は、ドイツと答えたようだ。
そして、最も信頼できない国は、ばらつきがあり、ギリシャとするのが多かった他、イタリア、フランス、ドイツもあったようだ。
ギリシャ自身は、他国から、怠け者等のレッテルを貼られているようだが、表にあるごとく、当のギリシャは、最も勤勉な国は、ギリシャ、最も信頼できる国も、ギリシャと回答していると言う。
勿論、この調査は、国民性の一面を示しているに過ぎないものだ。
上表にも現れているが、一般に、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャなど、南欧のラテン系民族は、働くより遊びが優先で、やや信頼度は低く、一方、ドイツやベネルックス、北欧等の民族は、勤勉で信頼できる、とされる。 筆者の、ささやかな旅行体験でも、その印象はあるが、これは、歴史・風土の違いによるもの、であろう。 周知のように、ラテン系諸国には、芸術面、文化面などで、際立った活躍をしている巨人も多い。
今回のギリシャ問題でも、真面目に働くドツ国民を代弁するかのように、メルケル首相は、怠け者の(?)ギリシャ国民とチプラス首相のために、自分達の税金を使うのは納得できない、という感覚のようで、EU内での、南北対立(?)になるだろうか。
次稿では、ギリシャを他山の石として、国の財政赤字等に関して、EUや世界の状況と我が国の現状について取り上げる予定である。