2014年10月13日(月) 御嶽山の噴火 2
先日、下記記事を投稿したところだが、
御嶽山の噴火 1 (2014/10/9)
台風19号の来襲の前にと、1昨日も、行方不明者の捜索活動が行われ、新たに、2人が見つかったようだ。
本稿は、続編として、火山活動全般について、触れることとしたい。
○活火山の定義
昔習った知識では、火山には
活火山、休火山、死火山
があり、今現在で噴煙や水蒸気が噴出している山を活火山と呼ぶ、と漠然と思っていて、大半の火山は、休火山か、死火山で、これらは、ほぼ安全、と、つい最近まで、思って来た。
ところが、1979年(昭54年)の、御嶽山での水蒸気噴火がきっかけとなって、火山の定義が見直されたようで、2003年に、火山噴火予知連絡会と気象庁から発表された資料では、活火山とは、
概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山
となり、死火山、休火山の呼称が使われなくなっている、という。
過去、1万年以内とは、人類の有史以来ということで、それ以降に噴火があった山は、全て活火山と言われるようだ。
(御嶽山 (長野県) - Wikipedia、活火山の定義と数の変遷 を参照)
○日本の山と火山
日本は山国で、あるネット情報に拠れば、縮尺1/25000の地図レベルで、1万6千以上もの山があるという。 これらの中で、今回噴火した御嶽山や富士山など、前述の定義で、活火山と呼ばれる山は、下図にある、たった、110座だけである。(図は、ネット画像より)
でも、日本の火山数は、世界全体の7%も占めると言われ、火山大国と言えるようだ。
国内の火山でない山には、南アルプス、四国山地など、数多くの山があるが、著名な山には火山が多いようだ。 これは、姿形のユニークさや、噴火口や噴煙への興味、温泉の惠、など、観光資源としての人気もあるだろうか。
これらの110の活火山について、火山活動の活動度(100年活動度/10000年活動度)に応じて、現在は、
Aランク(13)
Bランク(36)
Cランク(38)
対象外 (23)(北方領土等)
にランク分けされている。(活火山 - Wikipedia)
○ 常時監視・観測
一方、これら110の活火山について、災害の危険度と防災の観点から、下の、4グループに分けた47座を、常時監視・観測の対象としているようだ。
これらは、下に示すように、ほぼ、上述のAランク、Bランクの火山だが、C、Dランク(無印)の火山も含まれている。
「常時監視・観測の対象の活火山」
1 近年、噴火活動を繰り返している火山(23)
雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、
焼 岳、御嶽山、伊豆大島、三宅島、硫黄島、阿蘇山、霧島山、桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島
2 過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められている火山(18)
アトサヌプリ、大雪山、恵山、岩手山、栗駒山、蔵王山、安達太良山、磐梯山、日光白根山、乗鞍岳、白山、箱根山、
伊豆東部火山群、新島、神津島、八丈島、鶴見岳・伽藍岳、九重山
3 現在異常は認められないが過去の噴火履歴等からみて噴火の可能性が考えられる火山(4)
4 予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口付近で被害が生じる可能性が考えられる火山(2)
(活火山の活動度評価の変遷 より)
これらの監視・観測は、気象庁を中心として、無人の機器観測による観測網が整備され、4か所(札幌、仙台、東京、福岡)にある、火山監視・情報センターで統括しているが、浅間山、伊豆大島、霧島山、桜島、阿蘇山などには、大学等の、有人の地震火山センターなどの研究施設もあるようだ。
今回の御嶽山の噴火災害を契機に、先日、検討会が設置され、11月末目途に緊急の提言を取りまとめると言う。
検討会では、水蒸気爆発の前兆を捉え、噴火を事前に把握できる技術の開発の他、現在24時間体制で監視を行っている全国の活火山の数を見直すこと、それに登山者や地元の自治体にどのように噴火の情報を伝えるか、などを協議するという。
昨年、富士山の世界文化遺産登録と同時に、イタリア シシリー島のエトナ火山が、世界自然遺産に登録された。この火山、現在も、かなり大きな噴火を繰り返す、世界有数の活火山で、溶岩流が流れ出る事もあるようだ。 先日の、TV報道によれば、沢山訪れる観光客の安全確保のために、有人の監視・観測体制が敷かれ、必要な規制と情報提供を行っており、我が国としても、見習うべき点は多いようだ。