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御嶽山の噴火  1

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2014年10月9日(木)  御嶽山の噴火  1 

 

 

○ 惨状

 「木曽のおんたけさん」として親しまれて来た、御嶽山が、9月27日(土)昼前に、突然噴火したというニュースが流れてから、10日以上が過ぎた。

御嶽山は、信仰の山でもあり、比較的登りやすいとも言われる。 3000mを越す山頂近くは、丁度紅葉のシーズンで、それに、好天と週末が重なって、登山客で賑わう絶好のタイミングであったようだ。その時を狙った様な、恐ろしい自然の災害である。 

   噴煙が迫る(ネット画像より) 

 連日のように、噴火に伴う人的被害状況について報道され、心肺停止状態で発見され、山麓に搬送して死亡が確認されるなど、犠牲者は増えて行った。

折からの台風18号の接近・上陸で中断していた捜索活動は、天候が回復した一作日から再開された。

 捜索範囲を、これまでの登山道周辺から広げ、山頂一帯を方眼に区切って、火山灰で覆われた地域を細かく調べた結果、新たに4人が見つかり、今朝迄の情報では、死亡は55名となっていて、未だに、行方不明者が8名もいる状況だ。 

 悪条件が重なる中、懸命の捜索活動に当たる、警察・消防・自衛隊のみなさんと、地元自治体等の関係者の御苦労が思いやられるとともに、家族を待ちわびる皆さんのご心労の程が察せられる。

 

 筆者としては、何も出来ずに、テレビで、様子を見守るしかないのだが、今後、何回かに分けて、火山噴火について、感じた印象等を述べることとしたい。

 

○ 死因と損傷死

 今回亡くなった方の死因だが、ある時点のデータでは、48名中、47名が「損傷死」というのは、やや、驚きであった。

 損傷死とは、噴火で飛んできた岩石が、頭等にあたってしまい死亡に繋がった事故で、火山弾の大きさは、大小様々だが、大きいものでは、10cm位から、軽トラックくらいまであったともいう。

残る1人は、熱傷死のようで、今回の噴煙は、比較的低温だったようだ。他に予想していた有毒ガスによる死亡は、無かったという。

 

 阿蘇山山頂などにある避難壕(シェルター)は、御嶽山では、予想される噴火の頻度が低く、経費もかかる等から無かったようで、突然の噴火から身を守る方法は、基本は、避難小屋等に逃げるしか無かったという。

山頂付近には、避難小屋等が数棟あったが、そこに辿りつけた人はラッキーだったと言え、登山道の途中で落命した人も多いようだ。

 

 噴煙で太陽光が遮られ薄暗く、目も良く見えず、粉塵で呼吸が苦しくなった人も多いだろうか。

 噴煙や噴石は、かなりの速度で迫ってきたようで、間に合わずに、避難途中でも、自衛する必要があったという。頭を守るために、背負っているザックを頭上に載せたり、粉塵や有毒ガスを押さえるために手拭やネックウオーマーなどで口を覆ったり、杖でつついて足場を確保するなども有効、と専門家は言う。

警戒情報が出ていなかったので、突然の出来事だったとは言え、今回の教訓の一つとして、火山に登る場合は、身を守る基本的な装備は、今後は必須となることだろうか。

    

    一面の火山灰で覆われ、雪のように白い山頂付近(ネット画像より)

 

 

○ 最近の噴火災害

 日本では、火山の噴火は、珍しくない事象で、最近の噴火では、人的被害が無かったと言われるものは、

     1986年11月  三原山の噴火 全島民が避難  

     2000年 3月  有珠山噴火 洞爺湖温泉

     2000年 6月  三宅島の噴火 有毒ガスで規制

     2011年 1月  霧島山新燃岳噴火 降灰被害

     2013年11月  西之島(小笠原 無人島)で噴火し島が拡大

などがあるが、事前の適切な避難計画等が良かったようだ。

 一方、23年前の

     1991年 6月  雲仙普賢岳の噴火 大火砕流

では、報道関係者など43名が、目の前で亡くなり、大変なニュースとなったのが忘れられないが、今回の御嶽山噴火の人的被害は、それをかなり上回って、戦後最大の災害となっている。

 御嶽山では、1978年10月にも、それまでの活火山の定義を見直すきっかけともなった、歴史的な大きな水蒸気噴火があったようだ。この時の噴出規模は、今回よりは、かなり小さかったものの、死者が1人もいなかった、というのはどんな理由だろうか。  (御嶽山 (長野県) – Wikipedia 等)

 

○ 今回の噴火の種別と予知

 今回の噴火は、水蒸気噴火と言われ、地下の水蒸気の力で、火口を塞いでいた岩石や粉塵などが飛散したようだ。マグマ噴火でないため、温度は低く、火砕流は部分的だったという。

 水蒸気噴火は、予知が難しいと言われる。今回の噴火に先だって、下図のように、9/10、9/11に、火山性地震がかなり多かったようだが、その後、やや治まったので、9/27の噴火当日まで、警報、注意報は出されず、警戒レベルも、レベル1(平常)のままだったようだ。(図は、2014年の御嶽山噴火 - Wikipedia 参照)

   

                  御嶽山 2014/9/1~10/5の火山性地震回数の推移 (9/27は483回) 

 

 火山噴火での、「噴火警戒レベル」は

       1平常(規制なし)、2火口周辺規制 、3入山規制、4避難準備、5避難

の、5段階となっているようだが、レベル4、5は周辺住民に対するもので、登山者に対しては、レベル1~3までである。(噴火警戒レベル - Wikipedia 参照)

 噴火当日は、前述のように、警戒レベルは1(平常)だったのだが、結果論で言えば、若し、火口周辺への規制が行われていれば(レベル2)、人的被害は、大幅に減っていただろうか。

 

 次稿で述べる予定だが、富士山など、この100年間程、異常が観測されていない活火山と、御嶽山のように、35年前はかなり大きな、7年前には小規模な噴火があり、最近、火山性地震が観測されている活火山とは、明らかに異なると言える。

このことから、例えば、警戒レベル1のままでも、登山道入り口に、最近、火山性地震が多いことで注意を呼び掛ける掲示をするなど、が出来たようにも思える。

 更に、レベル1、2は従来どおりとし、注意喚起レベルとして、中間に、レベル1.5を新設する事なども考えられる。

 

 いつものことだが、一旦、自然災害が起こると、防ぎようはなかったか、被害を減らせなかったか、人災の要素は無かったのか、などが問題となる。

記者会見では、今回の水蒸気爆発は、予知が難しく、想定外の事態だったと、苦しい表情の中で、気象庁担当者や専門家は、述べている。

 でも、識者の中には、今回も、事前の注意喚起や、規制は可能だったのではないか、と言う意見もあるようだ。 専門家と地域とが連携した、日頃のきめ細かな対応が、やはり、ものを言うのだろうか。(御嶽山と大違い 犠牲者ゼロだった有珠山噴火の「対応」 (日刊ゲンダイ) ) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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