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ウイルスの時代ー感染症との闘い

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2014年9月28日(日)  ウイルスの時代―感染症との闘い

 

 

当ブログでは、これまで、

  ウイルスの時代―デング熱    (2014/9/8)

  ウイルスの時代―エボラ出血熱  (2014/9/16)

を投稿してきた。国内のデング熱、アフリカのエボラ出血熱とも、未だ鎮静化したとは言えない状況で、関係者の御苦労が続いている。

 今回は、人類と感染症との闘いの歴史や、わが身辺の話題について、簡単に触れて、締めくくりとしたい。

 

 

○感染症とは

 人間の病気(疾患)には各種あるが、その中で、感染症は、以下のように定義されるようだ。

『感染症(かんせんしょう、英語:infectious disease)とは、寄生虫細菌真菌ウイルス異常プリオン等の病原体感染により、より高等な動植物である「宿主」に生じる望まれざる反応(病気)の総称』。(感染症 - Wikipedia

 換言すれば、病原体が移動することで、人間社会に広がる伝染性の病気のことだ。

 

 感染症の分類では

    ・感染場所(身体の部位)による分類

    ・病原体の種類による分類

    ・病態(症状)による分類

    ・公衆衛生学的な分類

    ・法的な分類

などがある。

 法的な分類では、緊急性の高いものから、5つのグループに分類されているようだ。 

 以下は、感染症を、上記の、病原体の種類によって分類したもので、病原体は、おおむね、大きいものから微細なものの順に並んでいる。 病名の内、筆者が良く聞く病名は、太字にしてある。(感染症 - Wikipedia を参照) 

 

○具体的な感染症

◇「寄生虫」 目視出来る大きさの虫から、小さな原虫まで各種

寄生蠕虫感染症

 エキノコックス症日本住血吸虫症、フィラリア症、回虫症、広節裂頭条虫症など

蠕虫(ぜんちゅう)とは、「みみず」の様な形で、蠕動運動をする虫のことのようだ。

日本住血吸虫は、往時の山梨県などの地方病の原因となっていて、日本で発見、研究されたという。日本特有のものではなく、東南アジアでは今も発生しているようだが、日本では、既に撲滅されているという。(地方病 (日本住血吸虫症) - Wikipedia )

→回虫や、サナダムシ類(広節裂頭条虫など)は、日本では、終戦前後までは、ごく身近だった寄生虫で、家畜などにも寄生していたが、その後の衛生状態の急速な改善等で、現在は、見聞きした事が無い。

 少し前だが、某大学教授が、人体の免疫抵抗力を高めるために、回虫などの寄生虫と共生するライフスタイルを提唱して話題を呼んだことがある。

 

寄生性原虫感染症

 アメーバ赤痢マラリアトキソプラズマ症リーシュマニア症クリプトスポリジウムなど

→マラリアは、マラリア原虫を蚊が媒介するもので、熱帯地域で現在も発生しているようだ。 少し前に、インドネシアに行った時は、火を焚いて煙を出して蚊やりをやった。

 

◇「真菌」 かび類

真菌感染症

 アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症、白癬菌症ヒストプラズマ症、ニューモシスチス肺炎(旧名:カリニ肺炎)など

白癬菌症とは、「みずむし」のことのようで、今でも、時々、仲良くしている。

 

◇「細菌」

細菌感染症

  レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA)、表皮ブドウ球菌腸球菌リステリア髄膜炎球菌淋菌、病原性大腸菌(0157:H7など)、クレブシエラ(肺炎桿菌)、プロテウス菌百日咳菌、緑膿菌セラチア菌シトロバクターアシネトバクターエンテロバクターマイコプラズマクロストリジウムなどによる各種感染症

黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌は、食中毒事故などで、現在も、しばしば話題となっている。

 

 

  結核コレラペストジフテリア赤痢猩紅熱炭疽梅毒破傷風ハンセン病レジオネラ肺炎(在郷軍人病)、レプトスピラ症ライム病野兎病Q熱など

結核コレラペストジフテリア赤痢猩紅熱などは、往時は、伝染病として恐れられた。

 光学顕微鏡の進歩と、結核菌のコッホ、赤痢菌の志賀潔、破傷風菌の北里柴三郎等、教科書にもでてくる先哲の研究努力から、細菌類の発見や研究、治療法等で、大きな進歩があった。

 結核などは、忌避され、差別的に扱われたこともあるが、現在は、原因が特定され、治療法が確立されている。

 アルベール・カミユの小説に、「ペスト」というのがあり、アルジェリアでこの病気が発生した時の惨状が題材になっているようだ。

 少し以前までは、外国出張するときは、コレラの予防注射が義務づけられ、何度か、痛い思いをしている。

ハンセン病については、患者が差別された暗い歴史がある。

→赤痢菌の仕業といわれる「疫痢」と言うのがある。筆者が物心が付く前、これに罹って入院したと言うのを、母から聞かされたことがある。

 昨日で完となった、NHK朝ドラ 「花子とアン」だが、愛する息子 歩くん が亡くなったのは、この疫痢で、終戦直前のわが実体験と重なったことだ。

 

 

◇「リケッチア」「クラミジア」

  これら病原体の、大きさ・形状、特徴などについては、把握していない。

 

リケッチア感染症

 発疹チフスツツガムシ病日本紅斑熱など

→ツツガムシは、幼少時、田舎の最上川流域で、刺された話をよく耳にした。川で泳いだ夜は、風呂桶の中で、恐る恐る手足を摩ったものだ。

・クラミジア感染症

 トラコーマ性器クラミジア感染症オウム病など

 

◇「ウイルス」

ウイルス感染症

 インフルエンザウイルス性肝炎ウイルス性髄膜炎後天性免疫不全症候群 (AIDS)、成人T細胞性白血病エボラ出血熱黄熱風邪症候群、狂犬病サイトメガロウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群 (SARS)、進行性多巣性白質脳症水痘帯状疱疹手足口病デング熱伝染性紅斑伝染性単核球症天然痘風疹急性灰白髄炎ポリオ)、麻疹咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱ハンタウイルス腎出血熱、ラッサ熱流行性耳下腺炎ウエストナイル熱ヘルパンギーナチクングニア熱など

 

 →エボラ出血熱、デング熱については、前前稿、前稿で触れたところだ。

天然痘急性灰白髄炎ポリオ)などは、歴史的には、大変流行して恐れられた時代もあるが、現代では、ほぼ、撲滅しているだろうか。

 AIDS、SARSなどは、近年になって表に出て来た感じだろうか。

麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、幼児期の予防注射でお馴染だが、麻疹(はしか)は、免疫の有効期間が10年と言い、必ずしも安心できないようだ。

→近年、風疹(三日はしか)が流行し、妊婦が罹ると、胎内に影響するなどと騒がれた。

 

◇「プリオン」

  病原体としてのプリオンは、どんなものか、よく知らない(癌のようなもの?)。

 

プリオン

牛海綿状脳症 (BSE)、クールークロイツフェルト・ヤコブ病致死性家族性不眠症 (FFI)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群 (GSS) など

  →BSEについては、今も牛肉の輸入上、規制が続いている。

 

 

 

 

○上記の、ウイルス、細菌、真菌(カビ)の各病原体について、その大きさと、それぞれの基本的な構造について示した下図が、ネットで見つかった。(病原体:ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い|これからの衛生管理|大幸薬品株式会社 より引用) 

     

 全体としては、以下のように言えるだろうか。

      大きさ   ウイルス<細菌<真菌<ヒト細胞

      通常の光学的顕微鏡で確認できるのは、図の細菌レベルまでで、それより、1桁半程微細なウイルスレベルは、電子顕微鏡が出 現して確認出来るようになったと言えよう。 

      構造    ウイルスは丸裸の核で、細菌は細胞膜がなく、どちらも、単独では生きられず、他の細胞内に寄生する。 

             真菌はヒト細胞と同じような構造の単細胞で、単独で生きられるようだ。 

 

 

○ 思い出す人物 2人

 医療関連で、熱帯アフリカや感染症で思い浮かぶのは、以下の2人の偉人である。

 

・野口英世博士((野口英世 - Wikipedia)(北里柴三郎・野口英世〜世界で活躍した日本人〜|歴史にドキリ|NHK for School 

 当時流行した黄熱病について、気鋭の細菌学者野口英世は、南米での調査研究で、他の病気を、黄熱病と誤認したことが、後になって、分ったようだ。当時は、光学顕微鏡しかない時代で、黄熱病は、蚊が媒介する事や、原因となる微細な濾過性病原体(ウイルス)が突き止められたのは、後の事という。

 因果な運命だろうか、博士は、最後は黄熱病に罹って亡くなったようで、この所の、エボラ出血熱の治療に当たっている医療関係者が、エボラで亡くなる状況と重なることだ。

 

・シュバイツアー博士(アルベルト・シュバイツァー - Wikipedia

 長年に亘って、アフリカで、医療活動に従事した、ドイツ系フランス人、アルベルト・シュバイツアーの事が思い出される。氏は、医者であるとともに、宗教家、音楽家、平和活動家と、多彩な側面をもつ。

 学生時代に読んだ、シュバイツアー著作集第一巻(白水社)にある、

         「水と原生林のはざまで」

の中で、幼い頃、オルガンで、いやいやながらバッハを弾かされる下り等は、今も印象に残っている。

 氏の活動拠点は、現在のガボン共和国(当時は、仏領赤道アフリカ)のランバレネのようで、1952年に受賞したノーベル平和賞の賞金で、整備されたという診療所は、現在も在って、地域の病院として活動しているというのは、嬉しい事だ。

 

 

 

 

 


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