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世界遺産富士山の山開き

2013年7月1日(月)  世界遺産富士山の山開き

 

 

  今日、7月1日は、富士山の山開きの日である。 周知のように、先日までカンボジアのプノンペンで開催された、今年のユネスコの世界遺産委員会で、6月22日の夕刻、富士山が世界文化遺産として、無事、登録された。

 

世界文化遺産となった富士山については、当ブログでも、

 

     ?富士山を巡ってーUTMF           (2013/5/10)

     ?富士山を巡ってー世界自然遺産として      (2013/5/15)

     ?富士山を巡ってー世界文化遺産に登録へ その1 (2013/5/20)

     ?富士山を巡ってー忍野八海で寄り道       (2013/5/22)

     ?富士山を巡ってー世界文化遺産に登録へ その2 (2013/5/29)

     ?富士山を巡ってー田子の浦で一休み       (2013/5/30)

     ?富士山を巡ってー富士登山の思い出       (2013/6/07)

     ?富士山を巡ってー締めくくりに         (2013/6/13)

 

と、集中的に投稿して来た所だ。 

 

 今回は、富士山に関連する話題の中で、

     ・富士山の山開き

     ・富士曼荼羅図

     ・三保の松原

を取り上げることとしたい。

 

 

○富士山の山開き

 今日は、世界遺産登録後に初めて迎える、富士山の山開きである。山開きは、元来は、神事であるが、登山の安全を祈る日でもあり、地域としての重要なイベントでもあろう。

富士山の場合は、各浅間神社等で山開きに関連した行事が執り行われるようだが、8月末の、山仕舞い行事である、吉田の火祭りまで、老若男女が山に入り、登る事となる。

 

 山開きの行事は、全国各地の山で行われるが、富士山の他、よく知られた所では、

     日光   男体山  5月5日  

     伯耆   大山    6月2日

     木曽   御嶽山  6月15日

     加賀   白山   7月1日

     出羽   月山   7月1日

等があろうか。

 

 

  今般、世界遺産になった富士山では、今年の登山者は、大幅に増えると予想されている。

中でも、若年層に多い、夜行日帰り型の弾丸登山の危険性が指摘され、各方面で、自粛するよう呼び掛けが行われている。富士山は、独立峰で頂上が見上げられるだけに、若さにまかせて、急いで昇ろうとするようだ。 

 ?の記事でも書いたが、自分の場合、若い頃に、山小屋で一泊して登ったのだが、それでも、酸素不足から高山病気味になり、結構、つらい思いをしながら、ゆっくりゆっくり登った思い出がある。

 

 日本一の山であるだけでなく、世界遺産になった富士山だけに、一度は登りたい、とは誰しも思うことだ。我が身の健康と安全が先ず第一だが、併せて、周囲の安全への配慮(落石など)と自然環境に対する配慮(ゴミなど)が重要になる。

 マイカーの規制や、入山料の徴収など、各方面での措置が検討されている。 これらを積み上げながら、数年もかかれば、富士山を賛美し楽しむ、日本としてのマナーや文化が、定着するのだろうか。

 

 

○富士曼荼羅図

 富士宮市にある富士山本宮浅間大社には、国の重要文化財になっている、室町時代に描かれたと言う、富士曼荼羅図があり、テレビでも、何度か紹介されている。 ( 富士山本宮浅間大社:御祭神・御由緒 )

 この図に解説を加えた下図が、ネットで見つかった。これによれば、3つに分れている山頂には、3体の仏が鎮座し、山腹の途中に、右に金色の日輪、左に、白い月輪が描かれている。裾野周辺から下には、社寺仏閣が描かれ、最後に描かれているのは、駿河湾と、三保の松原という。(フジレキシ: 絹本著色富士曼荼羅図を考える

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 富士曼荼羅図 

  図では、良く分らないのだが、富士山のジグザグの登山道をつぶさに見ると、白い修行の衣装を付けた、沢山の登山者が、行列をつくって登っている様子が描かれている。 

 

○三保の松原

 富士山が、イコモスの除外勧告にも関わらず、三保の松原を含めて、登録されたことは、想定外の大変な喜びだ。

 ?の記事で触れたように、私見では、景観美は、基本的に構成資産には馴染まないと思われるとともに、富士山から遠く離れた距離等から、イコモスの指適には、尤もな所があり、今回に含めるのは無理と思っていた。 

三保の松原を含めた景観美については、次の機会に、他の方法で追加登録するしかないと想定していたのである。

 

 先日の、6月29日朝のNHKテレビ番組「週刊 ニュース深読み」に、近藤文化庁長官が出演し、現地で、事前に各委員を説得して回る御苦労などの、登録の裏話が紹介された。

 作戦として、三保の松原を含めることに強く反対している委員の中で、特にワースト1、2の2国の委員について、反対はしない、ことを、先ず取りつけたと言う。(国名は明かされなかった)

そして、3番目と、4番目に難色を示していた、ドイツとメキシコの委員に対しては、本栖湖から見た富士山が印刷されている千円札を見せたり、広重の浮世絵に描かれた三保の松原からの景観を示しながら、PRし説得して回ったようだ。

 そして、審査の当日、まず、ドイツの委員が、“三保の松原を除外するのは問題で、含めて登録すべきだ”という、日本を支持する、嬉しい意見を述べてくれたようだ。引き続いて、メキシコの委員も、同様の見解を述べてくれたようである。

 この結果、富士山を、三保の松原を含めて、世界文化遺産として登録することとなったようだ。

 ここまでの、多くの関係者の皆さんのご苦労を多としたい。それも、裏取引や物質的な接待ではなく、正攻法で、諦めずに説得に当たったようで立派だ。長官の外交官としての豊富な経験もフルに生かされたようだ。

 

 番組の最後に、長官が、「物質的なものを重視するヨーロッパ的な価値観に対して、精神的なものを大事にする日本的な価値観が認められた」、と言われたのが印象的である。

 三保の松原からの眺望を代表とする、富士山の姿の美しさは、こよなく富士を愛し賛美する、精神的な価値であり、日本人だけでない普遍的な価値として、世界文化遺産の構成資産に含めるのが妥当と認められた、と言えるだろうか。

 今回の登録を機に、ハード的な、自然物や建物や文物の他に、眺望資産、景観資産といった、ソフト的な概念が固まってくる切っ掛けができれば、嬉しい限りである。

 

 

 


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