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日本スペイン交流400周年  2

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2013年6月29日(土) 日本スペイン交流400周年  2 

 

 

 江戸初期に、スペインとローマに慶長遣欧使節が派遣されて、今年が、丁度400年の記年の年に当たると言うことで、前稿の 

         日本スペイン交流400周年  1 (2013/6/26)

では、この使節に関連する話題を取り上げたところである。

 

 スペインという国については、筆者には、系統的でない断片的な知識や印象が多いのだが、今回は、前回の続編として、まず、この国のこれまでの歴史について、やや俄仕込みだが、大まかに整理して見た。

 

 

□ユーラシア大陸の最西端に位置するイベリア半島にある、スペインとポルトガルだが、この半島を舞台にした、征服、被征服、奪還などの、色んな変遷の歴史があるようだ。ローマ時代を経て、西ゴート時代は、トレドがスペインの首都だったようだ。

 その後、最も大きく変化したのは、711年に、北アフリカ経由で、海峡を渡ってイスラムが侵入し、半島内のカソリック国家を制圧して、最後の1492年まで、800年もの長い間に亘って、支配した事だろうか。

 この間、イスラムの当初のウマイヤ王朝は、半島南部をアル・アンダルスと称し、コルドバを首都とし、その後、首都をグラナダに移し、そこにアルハンブラ宮殿が建設されている。文物が、イスラム風になった。

 

 このイスラムに奪われた地域を、再び取り返す戦いが、キリスト国家では、レコンキスタ(Reconquista 再征服による奪還 国土回復運動)と言われ、長い歴史があるようだ。この各地での動きを、下図に引用した。(図はネット画像より)

 レコンキスタが完了する少し前の、1474年当時のイベリア半島の状況は、その次の図のようで、カスティーリャ王国―アラゴン王国が連合した、スペイン王国ができて、1492年、イスラムの最後の砦、グラナダを陥落させ、その支配を脱したという。この前後から、中心がマドリードとなり、現在に至っているようだ。(レコンキスタ - Wikipedia

    

  レコンキスタの戦いの長い歴史(718〜1492年)

                   

   1475年当時のイベリア半島  

 

□この1492年は、何と、コロンブスのアメリカ大陸発見の年でもある。レコンキスタという国内の争いが終わったタイミングで、いよいよ、国外に出て行く合図のように、スペイン、ポルトガルを中心にした、大航海時代が始まるようだ。

 

 大航海時代は、以下のように、地球を西へ向かったスペインが先行し、アメリカ大陸の発見などがあり、やや遅れたポルトガルが、東へ向かってインド航路を発見・開拓した。当時は、スエズ運河は無いので、東方面はアフリカ廻りである。

     1492年 アメリカ大陸の発見(コロンブス)  スペインが支援   

     1498年 インド航路の発見(ガマ) ポルトガルが支援

     1500年 ブラジル発見(カブラル) ポルトガルが支援

     1522年 世界一周(マゼラン隊) スペインが支援

 スペインとポルトガルの、地球規模での版図争いが繰り広げられる中、双方の利害を調整し、縄張りを決める必要があり、当初、1493年 ローマ教皇が裁定を出したようだ。

 でも、ポルトガルがこれを不服とし、それを手直しして、両国で、1494年、トルデシリャス(Tordesillas)条約を締結している。(トルデシリャス条約 - Wikipedia

  この条約の境界線は、教皇の線からは、かなり西に移動していて、ポルトガルの範囲が広くなっている。往時の海洋大国スペインとポルトガルで、世界地図上に線引きし、世界を二分して、山分けしたのだ。

この条約の線は、現在で言えば、西経46度30分近辺の子午線になるという。当時の天文学や航海術を駆使して、地球をどのように測定・把握し、子午線を設定したのか、興味のある所である。

 

  スペインは、西回り航路で、この方向で進んでアメリカ大陸発見後、メキシコや中米、南米一帯に進出して手に入れ、世界一周も実現した。

  一方、ポルトガルは、東廻り航路で、インド・アジア方面に進出し、南米のブラジルを発見(アジアに行く積りがここに漂着!)し、アフリカ沿岸、南アジア沿岸を手に入れた(下図は、ネット画像より)

 

                       トルデシリャス条約境界                                        サラゴサ条約境界  

  スペインは西へ、ポルトガルは東へ、それぞれ進出したが、丸い地球の事、両者の利害がぶつかることになり、現在の東経133度付近に境界線を作ったのが、1529年のサラゴサ条約(Zaragoza)という。

でも、トルデシリャス条約の適用を、大西洋地域に限定し、東方面はポルトガルが領有するとしたのが、このサラゴサ条約とも言われる。

  当時の主たる争いは、モルッカ諸島(現在のインドネシア)周辺だったようだが、ポルトガルの縄張りが増えることに反発して、線引きに反しながら、スペインが、近隣のフィリピンに進出して領有したのかもしれない。 両条約の名称は、イスパニアの地名から付けられているようだ。

 

  この境界線を北に延長すると、何と、日本の上を通るのだが、黄金の国ジパングを山分けすると言うことだったのだろうか?! その後程なくして、日本の種子島をポルトガル人が、長崎を、スペイン人宣教師のザビエルが訪れることとなる。

これらを契機に、日本との間で、南蛮貿易や、キリスト教の布教が盛んになるが、当時の日本は、織田信長の頃で、植民地にされなかったのは、幸いであった。

  世界を2分する話は知ってはいたが、井の中の蛙だった日本の知らない所で、この様な取り決めに基づいて世界が動いていた、とは、筆者にとって、改めて驚きである。

 

 

□このようにして、世界に進出していった両国は、植民地を増やし、イスパニア帝国、ポルトガル帝国を築いていった訳だ。

  世界で日の沈むところが無い、とも言われた広大なイスパニア帝国だ。でもその後、イスパニアは、無敵艦隊がイギリスに破られるなど、世界の覇権争いに失敗し、植民地が独立を達成して行くなどで、次第に衰退の道を辿ることとなる。 これらについては、ここでは省略したい。

現在のスペインには、本国以外、旧植民地の残骸の様に、一部の島嶼と、北アフリカのモロッコに飛び地(2自治都市)が残っているだけである。又、逆に、スペインの南端のジブラルタルが、現在も英領である。これらには、どのような歴史があるのだろうか。 

  一方、ポルトガルについては、帝国的に、一時、勢力を伸ばし、ブラジルと、アフリカの諸国(特に、アンゴラ、モザンビーク)を支配したが、こちらも、植民地が独立する等で、次第に衰退していった。 最近のマカオの返還や東チモールの独立で、植民地はすっかり無くなっている。

 

  ブラジルは、今や、BRICSとして、成長著しい国の一つだが、1994年は、先述のトルデシリャス条約が締結されて、500周年だったと言う。この条約の裏付けもあって、ポルトガルは南米でブラジルを支配した訳だが、この500周年を記念する以下の様な切手が、ブラジル政府から発行された様だ(ネット画像より)

  トルデシリャス条約 500周年記念切手 

  ポルトガルが、どの様に植民地のブラジルを支配したのかはよく知らないが、何とも不思議な記念事業だ。この記念切手 征服者の感覚だけで発行されている、としたら、頂けない。

 現在のブラジルには、征服者の末裔だけしかいないのなら兎も角、被征服者である、当時の原住民の子孫なども、多く居るだろうにーー。

 

 

 

□日西交流史

  スペインは、以前、発音に似せて、漢字で、西班牙(サイハンガ?)と表記したことから、英国、仏国のように、西と略して、西国、西和辞典、などと言うことがある。(哲学する日記: 国名の漢字表記の謎:英吉利、葡萄牙、西班牙

 今回の記念事業に関するネットのサイトには、日西交流史という項目があるので、覗いて見た。(日本スペイン交流400周年公式サイト) 400年の間、色んな交流の歴史があると思いきや、書かれているのは、前稿の慶長使節団関連が主なもので、それ以前には

     ・フランシスコザビエルの来日

     ・天正遣欧使節の派遣

が出ているだけで、一方、以降では

     ・修好通商友好条約

が出ているだけなのである。

 日西間には、400年間で、これだけの関係しか無かったのだろうか、と思ってしまう。

 

  スペインについて、改めて思うと、芸術やスポーツの分野等で、幾つかの強烈な印象はあるものの、全般的には、具体的な話題が少ない国で、それだけ、自分にとっても、未知数の多い国でもあるのだろうか?

ネットには、これを裏付けるかのように、以下の記述があった。

  “明治初年1868年の修好通商航海条約で日本とスペインは国交を回復するが、明治以降の日本とスペインは、スペイン内戦第二次世界大戦にかけての一時期を除き、政治・外交上の懸案も少ない代わりに関係や関心も希薄という状況が続き、現在に至っている。” (日西関係史 - Wikipedia) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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