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手帳の買い換え

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2016年4月5日 (火) 手帳の買い換え

  

 

 例年、手帳は、前年暮れに入手して、新年の1月1日から使っており、今年も同様で、手帳に、今年の干支の「申」のシールを貼るなどして、愛用し始めていたところであった。

それが、この3月初め、この手帳を、紛失してしまったのである! 

 

 都心へ出かけた帰りの地下鉄の駅を降りて、駅前のスーパーで、食糧や大きな花等の買い物をした。レジで、1万円札を出し8千円程の釣りを貰い、これを財布代わりの手帳に入れたことは良く覚えている。その証拠に、その時のレシートがチャンと残っている。

そして、この手帳を、定位置のカバンでなく、上着のポケットに入れたのが良くなかったようだ。念のためにと、ポケットのチャックも閉めたつもりだったのだが、ちゃんと閉まっていたか否か定かではないーー。

 その後、荷物を持って駅前からバスに乗って帰宅したが、マンションの玄関入り口で、家の鍵を出すため、上着のポケットや持ち物類の中を、暫し、探し廻している。

だが、この間、手帳の事はすっかり忘れていて、手帳が無いのに気づいたのは、翌朝になってからである。

 

 手帳には、所有者の氏名や連絡先も書いてある。スーパーやバス会社など、思い当たる所に落し物について問い合わせたが、該当する拾得物はなく、以降の届け出を期待したものの、何の連絡もなかった。

今回、手帳には、都合、3万円程が入っていたのだが、この現金を失ってしまったのは、かなりな痛手ではある。

現金を入れていた事で、拾得物として、届けられなかったと思われる。

 

 過去にも、財布代わりの手帳を、一時的に紛失したことはあるが、幸いにも程なくして見つかったのだが、今回は、残念ながら出てこなかった。

 手帳に関しては、これまでの紛失騒動も含めて、以下の当ブログ記事で取り上げている。

     ・来年の手帳を買いました  (2009/12/16)

     ・戻って来た手帳      (2010/7/03)

     ・手帳の新旧交代      (2011/1/04)

 

 今は、現役ではないのだが、地域や趣味の集まり、同期会、病院通いなどで、結構予定が入り、備忘のために、手帳を使っていて、簡単な日記にもなっている。ここ数10年の使い終わった手帳は、大事に保存している。 

 紛失した手帳が見つかる気配がないので、諦めて、新たな手帳を買う事とした。

3月半ば、書店や文具店を廻ると、まだ、今年の手帳は出ていたが、例年愛用してきた能率手帳が見当たらず、止むなく、他のもの(高橋式と仮称)にした。

    

                                     能率手帳(昨年用)                               高橋式新手帳

  これまでの能率手帳は、1月から12月までが対象だが、新手帳は、4月から、翌年の3月までの、年度単位にできていることが特徴だ。店頭には、この種類しか見当たらなかったので、これを買う事としたが、このような手帳があることを知ったのは、初めてである。  

  ビジネスでは、年度単位(Fiscal Year)で計画することが多いので、この手帳は、好都合かもしれない。

一方、年単位(Calender Year)で使う場合は、今年の1~3月分が無く、代わりに来年の1~3月分の約13ページが、余計についている、となり、使い辛さはある。

 

  現用の手帳を紛失してしまったことで、それまでの予定等の記録も無くなってしまった訳で、精神的な喪失感は小さくはなく、今年の2か月分程が、空白となってしまった。

でも、今年の手帳を入手する前、昨年の手帳の次年度1~3月の予定欄に、結構、メモが書き込まれて残っていることで、自分の時間の連続性が保たれたのは、幸いだった。このメモをコピーし、新手帳の頭に、1~3月分として、貼り付けている。

 

  新手帳は、凝り症も無く、財布としても利用しているのだが、紙幣のサイズについて、最近、再発見があった。

  手帳を財布として使う場合、表・裏表紙の内側のポケットを利用するのだが、旧能率手帳では、何の問題も無かったのだが、新手帳では、千円札、5千円札まではいいが、1万円札を入れると、きつくなって、湾曲して皺がよるのである。前図のように、手帳自体の大きさに違いがあり、能率手帳よりも、新手帳のポケットの丈が、やや、小さいためだが、購入する時は、そこまではチェックしていなかった。

改めて、紙幣の大きさを比べると下図のようだ。漠然とは分っていたのだが、紙幣の長さ方向のサイズに、可なりの違いがあることを、改めて知らされたことだ。

自測では、1万円札―4mm―5千円札―6mm―千円札 程の差で、正確な値をネットで調べても、同様である。(幅方向は同じ) 

    

   実用上は、出来るだけ1万円札は持ち歩かない案を考えている。 

 

  先週から今週にかけ新年度がスタートし、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」も始まった。  今後、身辺で、どの様なハプニングが起こるかは分らないが、従来のやり方を継続する一方で、状況変化にも柔軟に対処していく姿勢が大事だろうか。


ウクライナ大統領の来日

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2016年4月8日(金) ウクライナ大統領の来日 

 

  ソチ冬季オリンピックの前後に、世界の大きな話題となったウクライナだが、そのウクライナのポロシェンコ大統領が、目下来日中のようで、6日の安部総理との首脳会談の様子が、ニュースで伝えられた。

筆者にとっては、ウクライナ大統領の訪日は、やや突然のニュースであるが、日本が、今年の伊勢志摩G7サミットの議長国であることで、根回しに来られたようだ。

     

                         日ウ 首脳会談 (ネット画像より)

ウクライナ問題については、下記のように、当ブログでも取り上げて来たところだ。

         ウクライナ情勢の行方  1   (2014/5/17)

         ウクライナ情勢の行方  2   (2014/5/20)

         ウクライナ情勢の行方  3   (2014/5/30)

         ウクライナで民間航空機が撃墜 (2014/7/19)

 

◇その後、ウクライナを巡っては、ロシアの一方的なクリミア領有に反発した西側諸国は、2014年にソチで開催予定だったG8サミットを中止し、ロシアをメンバーから外して、元のG7の形で、ベルギーで開催しており、各国で、温度差はあるものの、ロシアに対して経済制裁を行うこととしている。

  ウクライナの東部地域で、政府軍と反政府勢力との間での戦闘が続いたが、これを収束させるべく、2014年9月に、隣国ベラルーシのミンスクに、仏、独、ロ、ウクライナの首脳が集まって協議し、2015の2月15日から停戦するという、ミンスク合意が出来ている。 (ミンスク合意 | ロシアNOW など)  この合意が、どの位守られているかがポイントだが、実状は定かではない。

 

  ポロシェンコ大統領との首脳会談で安部総理は、G7議長国として、ウクライナ情勢についてG7での議論をリードしていきたいと述べ、ウクライナによるミンスク合意の完全履行と国内改革の加速が重要だと伝えたようだ。

日本としては、ウクライナの国内改革を支援するため、約2000億円の経済支援を着実に実施すると表明している。

  対して、同大統領は、重火器の撤去や軍の撤退、憲法改正や地方選挙など、ミンスク合意に述べられている事を実行しており、今後は、積極的に改革努力を行っていくと応じたようだ。

両首脳は、当然の事だが、ロシアによるクリミア半島の編入については、「力による現状変更は容認できない」との立場を再確認している。(日ウクライナ首脳 東部紛争などで意見交換(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース  など)

 

  今や、国際関連の主要な懸案は、ウクライナ問題から、テロとIS(Islamic   State)の問題等に移っているだろうか。

特に、テロでは、多数の犠牲者が出ている、昨年9月に起きたパリ連続テロ事件と、この3月のブリュッセルテロ事件だ。このテロ対策が、今回のG7サミットでの、主要議題の一つであろう。 国内的には、サミットが無事終了するまでの、テロへの万全の警戒も至上命題である。

 又、中東やアフリカでの紛争が原因とも言われる、ヨーロッパへの大量の難民・移民の流入は、人道上の深刻な問題である。

 

 

◇世界には、政治的・経済的な結びつき(会議)だけでも、各種あるが、主なものは、

     G7   :2016年(#42回)は日本で開催

     G20  :2016年(#11回)は中国で開催 

     BRICS:2016年(# 8回)はインドで開催

だろうか。これらのメンバーとなっている国名は、下図左だ。

又、G7、G20のGDP(国内総生産)、人口が、世界に占める割合を示したものが、下図右である。

     

          (南アは、現在は、BRICSとして、正式メンバー)

  今後は、欧米に偏っているG7よりも、地勢的にもバランスしていて、GDPや人口でも捕捉率が極めて高いG20が、主要な会議となっていくと言えるだろ。(G20のメンバー国とシェア:『見直し屋七兵衛』の世界標準の資産形成術

 

 これらの最近の会合の様子を、下図に引用している。(ネット画像より)   

 

   

                              G7会議 2015年6月 ドイツ(エルマウ)

 

 

   

                                G20会議 2015年11月 トルコ(アンタルヤ)

 

 

   

              BRICS会議  2015年7月  ロシア(ウハ)

 

 世界は、多極化の方向にあり、課題・問題を抱えている国や地域も多く、それぞれが、自らの進むべき方向を模索している、と言えるだろうか。

国連は勿論のことだが、上述の、G7、G20、BRICSがリーダーシップを発揮して、世界の平和と安定と発展が図られることを、切に望みたいところだ。

川内原発の仮処分請求の棄却

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2016年4月13日(水)  川内原発の仮処分請求の棄却

 

 

 先月、大津地裁が、再稼働間もない高浜原発3、4号機に対して、住民の運転差し止めの仮処分請求を認めたため、関電は、稼働を停止しているところで、以下のブログ記事でも取り上げている。

      高浜原発の運転差し止め  (2016/3/16)

  そして、今度は、大震災後に唯一再稼働していた川内原発1、2号機に対する、運転差し止めの仮処分請求に対して、この4月6日に、福岡高裁(宮崎支部)の判断が示された。

その結果は、住民側の請求を棄却する、というものであった。 

 

○ 判決内容の詳細は把握していないが、報道によれば、西川裁判長は、原発の安全性について、「社会通念を基準として判断する他は無い」と指摘した上で、「住民が主張する絶対的な安全性の確保は、社会通念とはいえず、福島第一原発事故を教訓に策定された原子力規制委員会の新規制基準に、不合理な点はない」と述べたとある。 

 また、火山による危険性は、「噴火の時期や規模を的確に予測できるとの規制委の前提は不合理」としたものの、破局的噴火のリスクは極めて低く、「原発立地が不適切とは言えない」としたようだ。(川内、差し止め認めず 福岡高裁支部 稼働原発ゼロ回避 (産経新聞) - Yahoo!ニュース など)

  自然現象である地震や噴火の、生起の時期や大きさを的確に予測することは難しく、外れるリスクは伴うもので、判決にあるように、絶対的な安全性はないと言える。

ただ、福島第一原発事故の時のような巨大地震が、どの場所にでも起こる訳ではない。例えば、四国南岸では、南海トラフで想定される巨大地震が起ると、福島を越えるこれまでにない巨大な津波が押し寄せると言われるように、立地位置が極めて重要となる。

川内原発の事案では、当然ながら、周辺での地震や火山噴火のリスクを予測している。

 

 そして、これらの自然災害に対する人為的な対策については、リーゾナブルな範囲でいかに実現するかが重要で、万全を期すことは不可能で、極めて低い確率で、リスクがあるのは仕方が無いことだ。

福島事故の経験から、新規制基準では、重要施設の津波被害対策については、抜本的に見直され、SBO(施設全停電)等を想定した、防災対策と、減災対策が取り入れられていることは、これまで、幾つかの記事で触れてきたところである。 

 今回の高裁の判断は、物事を冷静に見ていると評価でき、感覚的な原発反対や、原発に対する一般的な不安を払拭する効果が期待できるだろうか。

 

 

○  しかし、原告弁護団側は、「政府の原発稼働推進政策に追随するもので到底認めることは出来ない」との姿勢だが、これを最高裁まで抗告することは、止めたと言う。

その理由は、仮処分に関する最高裁への抗告は、憲法解釈の誤りなどがある場合に限られている事で、門前払いになる可能性が高いためという。

   一方、最高裁で抗告が棄却された場合、各地の裁判官が誤った前例にしてしまう可能性もある、ということで止めたという。

元々は、川内原発の再稼働を巡っては、約2600人の地域住民が、九電を相手に、鹿児島地裁で係争中の、正式裁判があるようで、こちらの判決はまだ出ていないようだ。今回の仮処分申請は、この中の一部(12人)の住民が事を急いで提起していた案件のようだ。

<川内原発>住民側弁護団、特別抗告せず 抗告棄却決定で (毎日新聞) - Yahoo!ニュース 他)

 

 

○ 高浜原発の事案といい、川内原発の事案と言い、仮処分という、扱いやすい手段を使った案件だが、原告側には、新たな規制委員会も、原発事故以前と同じく、政府や事業者の肩をもつ、御用組織のように思われているようだ。

筆者には、課題に、まともに、冷静に向き合っていない姿勢に見えて仕方がなく、何故か、虚しい争いに思える。

  先月、3・11から、節目の5周年を迎えたのだが、未曾有の福島第一原発事故を経験しただけに、原発事故の恐ろしさは誰しも思う事で、人知では、未だに、十分にコントロール出来ておらず、安全・安心とは言い切れない原子力エネルギーを、出来れば、使いたくないのが本音だ。 

でも、我が国の置かれた環境等から、言わば必要悪として、少なくとも当面は、利用して行かねばならないだろうか。

  国内のエネルギー政策と原発の方向、原発事故処理の見通し等については、我が国の国論は定まらず、未だに、多くの問題・課題を残したまま具体化が進んでいない状況である。

 

 

 

 

桜の話題から

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2016年4月15日(金) 桜の話題から 

 

 今年も、我が国の人々の心を弾ませ、楽しませてくれた桜だが、桜前線(ソメイヨシノ)は、速足で北上中で、津軽海峡を越えた頃だろうか。この所は、少し遅れて賑やかに咲く、八重桜が話題になっている。

桜は、古来、日本人の感性には、欠かせない存在だが、今回は、桜に因む、いくつかの話題を取り上げることとしたい。

 

 ○ 今年の花見

 靖国神社境内の標本木で、都内の開花が宣言されたのは、今年は3月21日と早かったのだが、その後の気象の関係で、可なりの期間、花が散らずに長持ちし、満開になったのは、31日頃で、花吹雪が見られたのは、その後暫くしてからのことだ。

  花と言えば花見で、誰しも、いくつもの思い出がある。筆者も、50年以上前に上京して以降では、

       靖国神社 :駆け出しの頃、職場の花見の場所取り役

      上野公園  :公園内の通路を覆う程の花を見上げて乾杯 

      小金井公園:子供の散髪をしたり一緒に樹に登ったりーー

           伊豆 河津桜祭り:仲間との一泊バス旅行で、帰路に珍しく雪が舞った

等で、更にそれ以前に遡れば、

           出身地の山形東根の白水川堤防:かなり遅れて、ゴールデンウィーク頃が見頃だった

           学生時代の仙台の三神峯公園  :桜の下で思う存分楽しむ

などだ。

 

 そして、今年の花見である。

この4月1日(金)、息子の休日に合わせ、住んでいる足立区の北部にある、舎人(とねり)公園に、弁当持参で、親子3人で花見に出かけたことだ。

 この公園には、何年か前に、初めて行ったが、その時は、普通のママチャリだったので、可なり遠かったという印象なのだが、今回は、息子がプレゼントして呉れた、変速機構付き自転車でのサイクリングだったためか、1時間程で、あっと言う間に着いてしまった感じ。

以前は、余り花を付けていなかった若い桜の木々が、その後どれほど成長しているかを見るのも楽しみだった。

       愛車3台

   空模様は、花曇りの陽気と言える、まあまあの天気だろうか。

園内は、以前と比べて、桜の木々もかなり成長し、沢山の花がある見事な景観だ。

広々とした公園内には、池や子供の遊び場などもあり、自転車で廻るのに丁度いいようで、翌日から開催予定の「千本桜まつり」のために、広い自転車置き場も準備中だった。

       

               今年の園内風景 1                           今年の園内風景 2

 

 広~い園内の西の一角に、記念樹の「レーガン桜」がある。

この樹、昭和56年(1981年)に足立区が区制50周年を迎えた記念に、当時の米国のレーガン大統領夫人から寄贈されたものという。

      レー ガン桜の由来(園内掲示) 

  桜を介した日本と米国との友好親善の話は有名で、明治末、日本からアメリカに贈った桜の苗木3000本の子孫達が、首都ワシントンのポトマック河畔で、今も元気に育っていて、花の季節には、世界中から訪れる人達を楽しませているようだ。(筆者が米国出張の序に、桜の時期では無かったが、現地に寄ってみたこともある。)

この時に、日本から贈られた桜の苗木が、なんと、住んでいる足立区の、荒川土手に植えられていた各種の「五色桜」から作られたという。

 この縁(えにし)に因んで、ポトマック河畔の桜から作出された苗木3000本が、上述のように、記念に足立区に贈られた訳で、言わば、さくら二世の里帰りであり、当時の都知事と区長が、レーガン桜と命名したという。 

 

 さて、このレーガン桜の樹だが、今回行ってみると、残念なことだが、下図左のように、目下入院治療中(樹勢回復作業中)とあり、僅かに花を付けているだけの痛々しい姿であった。前に訪れた時は、結構、花をつけていたと思ったのだがーーー。 往時は、下図右のように見事であったという。  

 記念樹だけに、早期に樹勢を回復する事を、祈って止まないところだ。

  

            樹勢回復中の表示                  往時のレ―ガン桜(石碑の右側)(ネット画像)

 

これからは、毎年、舎人公園を訪れて、桜の記念樹の回復を見届け、若い樹々たちの成長を楽しむこととしよう。

  

○ 香る桜

 先日12日朝のNHK―TVで、早咲きで、強い香りを発する、「春めき」という桜の品種があることが紹介された。この桜、神奈川県の南足柄市がふるさとで、現地の篤農家が、実生の株の中から偶々発見した自然の交配種で、長い時間をかけた調査・研究の末に、品種として確立したのは15年程前という。 平成生まれの新入りの桜のようだ。

最大の特徴は、強い香りという。香りと言えば梅が定番で、桜では珍しいが、未だ、匂いを嗅いだ事が無いのは残念である。

以前は、足柄桜と呼んだようだが、最近、上述の柔らかい愛称にしたようだ。 

    

 番組では、盲学校の生徒達が、花や蕾に触ったり、花の枝を鼻に近づけて香りを確かめたりと、嬉々として楽しんでいる光景が印象的であった。 視覚を失った皆さんが、嗅覚と触角によって、それを補っているのである。

この品種、各地の盲学校等に広まっているという。 

  

春めきの並木:嗅覚が鋭いワン君達には、匂いがきつ過ぎるワン?(ネット画像より)

 

 早咲きの桜では、伊豆の「河津桜」が有名だが、二度、現地に行ったことがある。住んでいる地域の橋の袂の土手にも、この河津桜が数本植えられており、一足先の春を楽しませて貰っていることだ。

 桜と言えば、桜色した花びらの、ほのかな香りを楽しむ「桜湯」や、オオヤマザクラの葉で包んだ「桜餅」にも、捨てがたい季節感がある。

 

 ○ 被災地の桜

 先日、たまたま観ていた民放のTV番組で、原発被災地である福島県富岡町の「夜ノ森の桜」が紹介された。調べてみると、樹齢100年にもなる樹もある、見事な桜が1500本もあり、事故以前は、これを楽しむ多くの花見客で、賑わったようだが、現在は、避難区域となっていて、通常は、人が入れないと言う。 

 丁度一年前に、NHK-TVで報道された時の映像が下図であるが、桜達は、人影のない中で、静かに力強く花を付け、人々を勇気づけているようだ。(静かに咲き誇る 避難区域の桜|特集ダイジェスト|NHKニュース おはよう日本 より) 

避難している人達が、再び、心おきなく樹下で花を楽しめるのは、何時の事だろうか?

    

  立ち入り禁止!(上記 NHK―TVのネット画像より)

  

 巨大津波に襲われた岩手県の或る海岸では、50年、100年後への教訓として残すために、津波が到達した位置を線状に結んで、桜並木の植樹が行われているようだ。(当ブログ記事でも採りあげた話題だが、残念ながら、記事を特定できず。)

 これらの若い木々も、舎人公園の桜のように花を咲かせ、ポトマック河畔の桜のように、更新されながらも、歴史の証人として、代々に、メッセージを伝えていって欲しいものである。 この春は、復興支援ソング「花は咲く」を、改めて実感させられたことである。

喜寿祝い

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2016年4月18日 (月) 喜寿祝い 

 

  我が国では、古来、年齢に応じて、歳祝いを行う習わしがあり、人生の後半の長寿祝いもよく行われる。

これらは、通常、数え歳で、学年単位、年度単位で行われ、筆者も、中学時代や高校時代の同期の集まり等で、還暦、古希、喜寿祝い等を経験してきているところだ。

  これらについては、当ブログでも、

     誕生日と身辺の変化―歳祝い  (2014/7/10)

     誕生日と身辺の変化―喜寿祝い (2014/7/13) 

等で触れて来たところで、喜寿祝いについては、一昨年から、何度か行われている。

そして昨年は、NTTOB会から、喜寿祝いのお祝い品を貰うなどしていて、ひとしきり、終わったところだった。 

 

 早生まれのため、この3月に漸くにして、満年齢での77歳の喜寿を迎えたのだが、ここにきて、思いがけないプレゼントを頂いた。今回は、この話題を取り上げたい。

 

 

 筆者夫婦は、結婚後50年以上になる。学校は、全く別々なのだが、同年生まれで、しかも、誕生月も同じ3月で、揃って喜寿を迎えられたというのは、かなり稀なケースになるだろうか。

ただし、2週間だけ、夫が年上ということで、どうにか、人生の先輩としての面目を保っている格好だ。

夫婦2人が、これまで、何とか元気で過ごせて来られた幸せを、素直に喜びたい。  

 

 この3月のある日のこと、知人から、やや大きい封筒の郵便物が届けられた。何だろうと開封すると、折りたたんだ、赤い厚紙が入っている。この折りたたみを開くと、喜寿という文字が、中央に飛び出すようになっている、手の込んだ紙細工である。(下図)

  

        「喜寿」が飛び出す紙細工

 

そして、以下のような和歌形式のメッセージが貼付されている。 

        縁ありて嬉々と迎えるこの年の 二倍の喜び弥生の双喜寿  常磐今成

                             平成二十八年三月

 歌の意味は、当方夫婦が、この三月(弥生)に、双方揃って喜寿の誕生日を迎え、嬉々としている様を表しているようだ。

常磐今成とは、作者の雅号ともいうべきもので、常磐(ときわ)は、古来より、目出度いとされる常緑の常磐木で、今成(いまなり)は、知人が住んでいる地名からとっている。

 

そして、添えられていた手紙だが、こちらも、以下のような和歌形式になっている。 

         新月と満月の夜に迎えたる 喜寿の真ん中上弦の月  常磐今成  

                             平成28年3月○○日 

 この意味は、喜寿を迎えた筆者夫婦の、今年の誕生日が、旧暦での、新月と、満月の日に当たっていて、中間の真ん中に来る日が、上弦の月になる事を踏まえたものだ。旧暦について、改めて、手許の神宮暦で確かめたところ、その通りであった。

しかも、この手紙にある日付○○の日に、郵便物が配達されるように投函されているという、心くばりであった。

 いやはや、完全に、脱帽である!

 

 信じられないことだが、この知人が、当方夫婦が、この3月に、揃って喜寿の誕生日を迎えた事を知り覚えていて呉れたようだ。

 以前の事だが、当方共の還暦の年に、それを記念して、下図のような、生まれた年の十二支である二羽のウサギの図案を入れた、還暦色の赤いテレホンカードを作り、周辺の関係者に配った事がある。カードに書かれた日付は、平成11年3月吉日としてある。

その時に、この知人に、具体的な誕生日を伝えたのだろうか?      

             

 今回の贈り主の知人は、以前、筆者がNTTをリタイヤした後に、その関連で職場を共にした人で、漢詩や和歌等にも通じている、風流人である。ここ暫くは会ってはいないが、ユニークな年賀状を、毎年、欠かさず頂いている。

 取りあえず、電話で、当方夫婦から、御礼を申し上げたことだが、折りを見て、お会いしたいと思っている。

熊本地震

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2016年4月20日(水)  熊本地震

 

 

  この4月14日(木)の夜9時過ぎに、熊本地方で、大きな地震が発生し、熊本近郊の益城(ましき)町等でかなりの被害があり、大変なニュースとなった。 地域の民家等の倒壊で死者も出たことに加え、地域のシンボルである熊本城の石垣や屋根瓦が破損したことで、NHKを始め、各民放でも、緊急報道を行った。

その後、余震が続く中で、一日置いて16日の早朝1時過ぎに、熊本地方は、再び大きな地震に見舞われたのである。筆者が、夜中にトイレに起きて、偶々テレビをつけたら、大変な事態が伝えられていて驚いたことだ。

気象庁は、後の地震が「本震」で、前の地震は、「前震」と、異例の修正をしている。

 

その後、今日に至るまで、強い余震が続く中、救命救援活動が続けられている。

 

 今回は、まず、一連の地震自体について、専門的知識は無いのだが、ネット情報等を活用しながら、理解できる範囲で、取り上げることとしたい。

 

 

 今回の地震の特徴は、幾つか挙げられているようだ。

 

①当初の強烈な地震の後に、しばらく、余震が続いたが、その後に、再び強烈な地震が来ている。この結果、先行した方を、前震とし、後の方を本震と修正したわけだ。

 地震の数値としては、以下のようだ。 M:Magnitude マグニチュード

   前震  14日21:26  M6.5 最大震度7   震央深さ11km 

   本震  16日01:25  M7.3 最大震度6強  震央深さ12km

 

 このような現象は、極めて珍しく、双子地震という現象もあったようだが、専門家でも、見抜けなかったようで、どの様なメカニズムで起こったかは不明という。 今後の地震科学に、新たな課題を提起しただろうか。(双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム (京都新聞) - Yahoo!ニュース

 

 当ブログの以下の記事にあるが、地震の規模を表す尺度として、震度階級と、マグニチュードについて調べた事がある。

      やはり最も怖いのは地震 (2010/3/14)

 今回の地震では、震度5弱、震度5強、震度6弱、震度6強の地震が、頻繁に生起する事から、慣れっこになってしまったのだが、地上で体感する地震の強さを示す尺度である、震度階級について、改めて調べた結果は、以下である。(錢高組:あんしん免震:地震の基礎知識:震度階級と加速度、速度の関係 より引用)

  震度階級   加速度:単位ガル 

    3       8~25

    4        25~80

    5弱:5-  80~150

     強:5+  150~270

    6弱:6- 270~480

     強:6+ 480~850

    7       850~

  ここでの加速度とは、地震の揺れの加速度(単位時間当たりの速度変化)で、単位はガルと言い、1cm/s2 である。

 昔、高校時代の物理で、重力の加速度 g=980cm/s2 と習ったが、これをガルで表せば、980ガルとなる。地上の重力の場で、物を落下させた時の速度変化は、最大震度7を越える程の大きさになる、と言うのは驚きである。

 

 一方、マグニチュードは、地震の震源・震央での規模の大きさを示すもので、対数表示になっているので、ピンとこないところがあるが、僅かな違いが、相当な差になっている。

前記の記事で触れているので詳細は略すが、今回の本震、前震の両巨大地震のマグニチュードの差は、

    7.3-6.5=0.8

だが、これを使って、両地震のエネルギーの比を求めると、

   10^1・5×(マグニチュード差)=10^1.5×0.8 (^は指数関数表示)

   =10^1.2=15.86≒16

と、約16倍に大きくなるようだ。

 体感する震度では、やや小さかった本震だが、上記のようにエネルギーが、16倍も大きいことから、下図のように、影響が広範囲に亘っている。前震のあった地域の更なる被害だけでなく、宇土市役所庁舎の半壊や、阿蘇地域での土砂災害・阿蘇神社の倒壊等は、本震で起こっているようだ。

    本震の広がり(ネット画像)

②地震の震源の分布を見ると、九州を、北東―南西方向に走る「別府―島原地溝帯」(これは、四国・本州に伸びる、中央構造線の一部を構成している)の幾つかの活断層(日奈久断層帯、布田川断層帯等)の周辺に震源があり、前震、本震は、比較的近接して、益城町周辺だ。

 震源は、100km程の範囲で移動しているようで、八代市や大分県でも、強い地震が起こっていて、生起した地震が、他の地震を誘発しているという。(双子地震後に本震ほぼ例なく 熊本地震メカニズム (京都新聞) - Yahoo!ニュース

   

              熊本地震での主な震源と被害状況(ネット画像) 

③地震発生からの地震全体の累積回数では、下図のように、過去の内陸地震にはない、前震のあとの本震で、グラフが途中から急激に上がっていて、累積回数も最高値を記録している。(年は平成表記)

      

 マグニチュードでは、本震は、阪神大震災(兵庫県南部地震)に匹敵するようだ。 なお、図中の、岩手宮城内陸地震で観測した、加速度4022ガルは、ギネス記録になっているという。(図はネット画像より) 

④今回の地震は、断層の横ずれによって引き起こされたと言われる。下図のように、前震は日奈久断層で、本震は布田川断層で、岩盤がずれた、と説明されている。(ネット画像)

    

 

 でも、地下の動きのこのような説明は、素人には、ピンとこないのだが、以下に示す、地表面に現れた分りやすい断層の画像が見つかった。図で、写っている人の身長と比べると、地表面での断層のズレは、2~3m程度だろうか。(ネット画像)

   

熊本地震と原発

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2016年4月23日(土)  熊本地震と原発

 

 

 熊本地震に関して、先日、下記記事を投稿したところで、主に、地震自身について触れている。

     熊本地震  (2016/4/20)

 今回はその続編で、筆者を含めて多くの人達にとって気がかりな、川内原発の運転継続等についての話題としたい。

  

○鹿児島県北西部にあって、熊本県の近くに位置する、九州電力の川内原発は、東日本大震災後に停止していたのだが、昨年8月、震災後、全国で初めて再稼働している。そして今般、近隣で熊本地震があり、稼働中の原発が地震に見舞われたら?! と危惧されたところだ。

 

 周知の事だが、 原発サイトの重要設備は、活断層の上には設置しないこととなっている。 近年近縁、サイト内の活断層が問題になった原発も複数ある。

そして、川内原発の設備設計では、基準となる地震動が、水平加速度620ガル(震度6強程度)までの地震に耐えられるように設計されているという。

 一方、原発サイトには、複数の地震感知器群が、自動的に地震を検出して運転を停止するシステムが装備されているようで、停止する設定値は、160ガル(震度5強程度)ということで、この値は、耐震限度である基準地震動の25%程度だ。

 

 前稿にあるが、震度階級と地震の加速度(水平)との関係を、改めて以下に引用する。

   震度階級   加速度:単位ガル 

     3       8~25

     4      25~80

     5弱:5-  80~150

      強:5+  150~270

     6弱:6- 270~480

      強:6+ 480~850

     7      850~

 

○熊本地震の震源(下図左 益城町)に近接した原発サイトとしては、下図左に示す3原発があり、今回の熊本地震の、前震、本震時の各地の震度は下図右のようだ。 

   

     3原発                       前震                      本震

 上図での各地の震度や、ネットで原発サイト内での加速度等を調べると、3原発の震度等は以下のようだ。後述の報道発表でも同様の数値である。

   原発  状況    地域の震度    サイトでの加速度

                前震・本震       前震・本震

   川内  再稼働中   震度3      8.6ガル(震度3)  

   伊方  準備中     震度3      10  ガル(震度3)  

   玄海  停止中    震度3      20.3ガル(震度3)

 

 これらから見る限り、結果として、川内原発では、地震は検出しても、自動的に停止するには至らなかったということだ。モニタリングポストでの放射線量も変化が無かったという。

又、稼働中の川内原発を、人為的に、強制的に停止する必要性もなかった、と言える。

 でも、これらは、機器類等が正常に機能していた、と言う事が基本前提だ。往々にして、頼みの安全装置が働かず、事故が起ることもある訳で、地震感知器や運転停止システムの定期点検等は十分だったのだろうか、と疑ってかかればキリはないのだがーー。

 

 大地震発生後、川内原発を稼働させるのは、危険ではないか、停止すべきだ、との意見も多く出たのだが、関係する閣僚(塩川担当相)から、安全性は確保されていて、停止する必要はない、との発言もあった。

 そして、4月18日、地震後初めて、原子力規制委員会の各委員が集まる臨時会議が開催され、会議後、田中委員長から、川内原発は稼働していても安全である、との発表と記者会見が行われている。

田中委員長は、原発の番人として、はっきりと安全であることを公言し、さらに、「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」とも述べた、とある。

 安全性の適合性審査を行って、合格させたという組織の責任と矜持とともに、科学に対する揺るぎない信念が窺えるところだ。

でも、タイミングとしては、極めて遅きに失した感があり、国民の、漠とした大きな不安に対して、地震発生後、速やかに答えるべきであった、と言える。

 

  ○2014年に合格した、川内原発の安全性適合審査時には、サイトの地理的条件に合わせて、周辺の断層の分布や、過去の歴史上の地震・火山噴火等から見た、自然災害(津波、地震等)のリスクを、科学的に評価している。当ブログでも、何度も取り上げて来ているので、詳細は略したい。

上記の評価対象としては、今回の熊本地震の震源となった、布田川・日奈久断層も含まれている。 そして、今回具体的に知ったことだが、これらの断層で、M8.1の地震が生起し、この地震動が川内原発サイトでは、150ガル(震度5)程度と想定したようだ。

原子力規制委:「川内原発を現状では停止させず」方針決定 - 毎日新聞【熊本地震】原子力規制委が臨時会合 川内など4原発は安全 田中委員長「情報発信十分でなく反省」 - 産経ニュース など)

 

 今回の熊本地震の状況を精査することで、自然災害の脅威のリスクに対する、原発の安全性の評価・規制基準を見直す必要が出て来るかも知れない。その場合は、基準自体を変更し、以降はそれで進めればよく、この、客観的な経験データの蓄積が進歩となる。

 客観的に、科学的に実状を把握せず、ただ漠然と、原発の安全性を心配するだけでは、先進国であり、科学技術立国を国是とする国の国民としては、情けないことだ。

 

 東日本大震災での、原発の安全性については、どうしても、大津波被害の調査とそれへの対策が主となってしまい、事故原発サイトでの地震による被害が、マスクされてしまったきらいがある。

筆者もこれまでは、原発サイトでは、地震感知器や稼働停止システムがどの様に組み込まれ、設定値がどうなっているのか、については、あまり調べておらず、殆ど知識もなかったことだ。

 今回の熊本地震は、或る意味では、地震に対する原発の安全性をPRし、認識を深めて貰う、いい機会になったと言えようか。

一方で、原発だけでなく、住宅や建造物全般からみて、立地している土地の断層群が怖いもので、しかも身近にあることを知らしめたとも言えよう。

 

 

 

 

パリ協定の署名式

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2016年4月27日(水)  パリ協定の署名式

 

 

 昨年12月、パリで開催された、国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議 (COP21)で、「パリ協定」(Paris Agreement)が採択された。

これに関しては、当ブログの下記記事、 

      地球温暖化防止対策―COP21  (2015/12/29) 

で、地球温暖化の危機的状況を踏まえた、協定の意義や、具体的な内容、今後の取り組み等について、可なり詳しく取り上げている。

 

 本稿では、パリ協定の署名式など、地球温暖化防止を巡る、最近の動きを取り上げる。

     環境省のロゴマーク(2011年制定)

 

 ○署名式

 パリ協定は、196カ国が参加して、粘り強い交渉の末に採択されたが、今般、ニューヨークの国連本部で、4月22日から1年間に亘って行われる署名受付の初日に、パリ協定の署名式なるイベントが開催されたようだ。今回の署名式には、175もの国の首脳・閣僚等が参加していて、関心の高さが覗える。 

この署名式は、採択された条約の内容を各国が公式に確認するとともに、今後の批准、発効に向けて、国際的な気運を盛り上げる、お祭り的な行事でもある、と言えるだろうか。

 昨年採択されたパリ協定が、各国の批准を経た後に、発効する条件は、

    「55カ国以上が批准し、批准国の温暖化ガスの排出量が、地球全体の排出量の55%以上であること」

となっている。

 今回の署名式に際して、島嶼等の15カ国は、いち早く、批准書を提出したようだ。これら諸国は、水没の危機等を迎えている、被害を受ける側の小さな国々だろうか。

 

 

○主な国の動き

・米国

 米国は、世界全体の排出量の16%に当たり第2位である。米国は、これまでの京都議定書体制では、後ろ向きだったが、COP21では、全員参加を目指し、その姿勢を前向きに転じ、同様にはっきりしなかった中国と共に、主導的に動いたと自己PRしている。

 現オバマ政権は、当初から前向きだったものの、在任期間が短くなり、目下、次期大統領選の候補者選びが進行中で、今や、レイムダック化している面もある。大統領選の本選が終了する今秋11月までは、確たる約束は出来ない状況だろうか。

民主党で本命とされる、H.クリントン候補は、地球環境への取り組みには積極的とも言われるが、批判的な事項もあるようだ。

 一方、共和党では候補者選びは混迷しているが、言動が過激で不安定な暴言王 D.トランプ候補の人気が高く、“環境問題は金星を調べれば分る”、“地球温暖化問題は米国の製造業に対する中国の陰謀”、などと言っているとの報道もある。

 署名式では、アメリカ代表は、“年内に批准できると期待している”、と表明したようだ。現大統領が大統領権限で批准するやり方(「単独行政協定」)もあるようだが、誰が新大統領となり、その政権が、どの様なスタンスを取るかは、見通せないようだ。(パリ協定“署名式”とは何か | NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute など)

環境問題については、アメリカには、京都議定書発効後、ころりと変わって脱退した前科もあり、今回も、当てにならないところがある。

 

・中国

 中国は、全世界の26%を占める、温暖化ガスの最大排出国だが、この所の中国経済の減速は、世界経済の大きな不安要因となっている。一方、近年の、北京などでの公害の実状は、極めて深刻なものがある。

 中国は、インド等と同じく絶対値ではなく、GNP当たりの排出量を、削減目標としているが、経済成長を図りながら環境対策も進めていくことは、並大抵のことではない。

今回、中国代表は、“9月迄には批准手続きをとる”、と明言したようだがーー。

 

・日本

 京都議定書の成立では、主導的に動いた日本だが、その後、経済の低迷や、東日本大震災と原発事故などがあって、排出量目標を自主規制に変えるなど、苦しい立場になってきており、この所の日本の排出量は、世界の3.9%(世界の第6位)を占めている。

最近では、消費税問題、TPPの承認、熊本地震の復興等、国内の優先課題が多く、パリ協定の批准の見通しが立っておらず、今回の署名式でも、明言は出来なかったようだ。

 環境問題に直結する、原発の再稼働については、今回の熊本地震で、批判的意見が増えただろうか。

 

 尚、その他の主要国の排出量は、先述の記事にもあるが、以下のように、BRICS諸国が大きいようだ。

     3位EU11%、4位インド6.2%、5位ロシア5.2%、7位ブラジル1.4% 

 

 ○今後

 パリ協定に基づいた、地球温暖化防止の新たな枠組みは、2020年の東京五輪・パラ輪の年にスタートする計画だが、パリ協定は、産業革命前と比較して、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるため、今世紀後半には世界の温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにすることを打ち出した、壮大なものだ。

 これに向けて、上述したように、当面は、55カ国以上で、しかも、全排出量の55%以上を占める国々で、批准が行われて、協定が発効する事が目標だが、排出量が大きい、中国、米国、BRICSなどの動きが焦点となろうか。

この5月、日本で開催されるG7サミットでは、テーマとして取り上げる時間的余裕があるだろうか。

 今年の11月上旬に、北アフリカのモロッコで開催予定のCOP22で、条約の発効を確認できることを、期待したいところである。

 

 

 ○「付記」

  国際的な条約等が結ばれる迄の手続きには、ネット情報では、全体として、

        署名 signature

        批准 ratification

        加入 accession

        受諾 acceptance

        承認 recognition

等があるようだ。

 日本では、国内的には、下図のようになるようだ。(外務省サイトより)

COP21で採択され、署名式まで進んだパリ協定だが、これの日本国内の手続きが、下図のどのルートになるかは、今後の動きを見ないと分らない。

       


電力事業を巡ってー小売の自由化

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2016年5月2日(月)  電力事業を巡ってー小売の自由化  

 

 長期間、地域独占的に運営されて来た我が国の電力事業に、徐々に自由化の風穴が空けられ、この4月1日から、一般向けの小売の自由化がスタートして、ほぼ1カ月が経過している。

 電力の供給網は、下図のようになっている。(電力供給の仕組み|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁  より)

   

  電力の自由化には、上のブロック図で、

     ①発電の自由化 

     ②送配電の自由化

     ③小売の自由化

があるが、①の発電の自由化は、既に行われていて、太陽光発電等で、多くの事業会社が参入しているが、これらについては、次稿で取り上げる予定だ。

 

 今回実施されたのは、③の小売に関する自由化だが、図に注記されているように、特別高圧・高圧の大口の消費者向けは、既に自由化されていて、今回は、一般消費者向けの、身近な、低圧電力の自由化である。これで、小売が全面自由化されることとなる。

  一方、②の送配電については、新規に発電、小売に参入する事業者は、さしむきは、電力事業者の既設の送配電ネットワークを使えるようになっている。そして、2020年4月までに、現在の電力会社の組織を、発送電を分離する形に編成変えするのに合わせて、送配電の自由化を行う計画のようだ。

 

 

○参入する事業者

◇小売に参入する事業者としては、既存の電力会社は当然として、新規に参入している事業者は多様で、この4月18日現在で、登録事業者数は、286事業者に上るという。(新電力会社(PPS)とは|新電力PPSポータルサイト

地域別の事業会社数とプラン数、代表的な会社など、主な状況は、下表の様だ。(ネット情報 より)

      

 新規参入の小売事業者の元の事業分野は、多様だが、上表にある中では、以下のようだ。

     再エネ発電から :イーレックス

    エネルギ系から :東京ガス 北海道ガス 東邦ガス 大阪ガス 西部ガス 

                ENEOSでんき 昭和シェル石油

    通信系から   :auでんき ソフトバンクでんき J:COM eoでんき 

    商社系等から  :丸紅新電力 スマ電 ナンワエナジー

    サービス系から  :HTBエナジー   

 

◇卸と小売

 通常の商品では、製造から小売に至る流通経路の中間に、「卸(おろし)」のステップがあるのが一般的だ(近年の、ネット販売等では、変化しているがーー)。

「電力」という、目に見えない商品にも、このステップがあり得るようで、発電会社から、大口で電力を仕入れ、小分けして小売りする事業形態で、上述の事業会社の多くが、これに該当するだろうか。

 これらの事業者が、どの様な自前の設備(変電設備、発電設備、配電設備 等)を保有しているのかは、未調査であるが、特定送配電事業者も16社含まれているようだ。

 

 

○メリットとデメリット

 一般利用者からみた、小売の自由化のメリット・デメリットは、通常、以下の様に言われている。(価格.com - 電力自由化のメリット・デメリット|電気料金比較 より)

 

*メリット

メリット1:電力会社が選べる

           自由化の原点。これで競争原理が働き、既存事業者も安閑とは出来ない。

メリット2:セット割引などプランの選択肢が増える

           消費者の利用形態に対応した選択肢から、電気を購入する魅力が増える。

メリット3:環境に優しい電気など、電気の特性からも選べる

           太陽光発電など再エネ系の電気を支援する など。

 

*デメリット

デメリット1:電力の安定供給への不安

            停電の頻度、故障時の対応等が大丈夫か? 

            既存事業者は、この不安を理由に、自由化に抵抗して来たがーー。 

            安定供給が出来るよう、既存電力会社が支援することとなっている。          

デメリット2:電気料金の値上がりの可能性

             自由化が先行している欧州等では、安くなるどころか、値上がりしている事例も多いようだ。 

 

*筆者の場合

  筆者の場合、自家の月々の電気代は、結構な額になっているのだが、自由化になっても、目に見える程、安くなるとは思えず、暫く、様子見である。 

 また、集合住宅のため、マンション一括という選択もあり、個別の選択はやや難しいかもーー。

風呂場ギャラリー  春の花

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2016年5月2日(月)  風呂場ギャラリー 春の花

 

  いい季節になり、初夏を思わせるような陽気もあって、我が家の屋上庭園は、緑と花で賑わっている。 ワイフKが、この中から、クレマチスとシランを切り取ってきて、風呂場ギャラリーに飾ってくれた。

      

  

 

 クレマチスは、初夏の花だが、今年は、例年より、少し早まっているようだ。

長年、愛好し育てている草花で、品種は、爽やかな青色がラザースターン、濃い赤紫色が、ビルドリオンである。

近隣の垣根で、クレマチスの、大輪の紫色のプレジデントが、沢山開花しているのを見かけると、嬉しくなる。

クレマチスは、和名では、鉄線(花)とも言い、茶花にもなっている。         

 

               クレマチス   (ビルドリオン                      ラザースターン)

 

 シラン(紫ラン)は、花の薄紫と葉の緑とのコントラストがいい。ここ10年以上にもなる付き合いだが、毎年、春になると、しっかりした根塊から元気な芽が出て来て、花をつける。

     

 

春本番である。

 

マイナンバー制度が始まった!

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2016年5月5日(木)  マイナンバー制度が始まった!

  

 マイナンバー制度が話題になって可なりになるが、昨年10月の予定から遅れた11月末に、下図のような、家族分のマイナンバー(個人番号)の通知カードが、簡易書留で届けられて、個々人に付与された、12桁の新たな番号が明確となった。そして、この2016年1月から、いよいよ新制度がスタートしたのだがーー。

    

通知カ-ドには、併せて、下図の、個人番号カード(マイナンバーカード)の交付申請書(兼 電子証明書発行申請書)も付いている。

      

 

◇住基カードとマイナンバーカード

 国内の各自治体に、鳴り物入りで、住民基本台帳システムの導入が始まったのは、大分前の事だ。自治体によっては、導入しない地域もあって、必ずしも円滑ではなかった。

どんなものかという興味もあって、筆者は希望して、有料で顔写真入りの住民基本台帳カード(住基カード)を作って貰い、2013年に更新している。(下図) 

        

 住基カードを、実際に使って役に立ったのは、

     ・他区役所からの住民票の取得

     ・シルバー割引等の身分証明書

     ・所得税の確定申告

位だ。

   間接的には、数年前だが、住基システムと連携することで、

       ・公的年金での毎年の現況届の提出

が、不要になっている。

 

 この中の、所得税の確定申告については、ここ数年は、住基カードとネットを使った、e-Taxで行ってきている。最初の年は、税金が5000円、安くなる「おまけ」も付いた。

マイナンバー制度が始まっても、従来の住基カードも、有効期限内は使えるし、所得税の確定申告も行えるということで、住基カードの電子証明も有効期間内は有効で、e-Tax用の暗証番号もそのままで良いことから、今年の確定申告も、従来通り、e―Taxを使って行うこととした。 かくして、3月初旬にネットでの申告を終了している。

 

 この辺の様子は、下記記事に述べている。

     今年のe-Taxでの確定申告  (2016/3/26)

そして、先月の4/20には、予定通り、銀行口座から、要納税額の引き落としが行われ、一連の作業は完了した。

 こんなことで、急いでマイナンバーカードを申し込む必要はなかったのである。

 

 全国的には、住基カードの発行件数は、昨年3月末時点で、たったの710万枚(5.6%)という、想定以下の低調ぶりで、殆ど浸透していなかった、と言える。 (http://マイナンバーの疑問.com/juukinetto-889  参照)

  マイナンバーカードは、住基カードを継承するもので、申請し発行されると自動的に切り変わって住基カードは使えなくなるが、e―Taxで必要となる電子証明は、最初から付いているようだ(住基カードでは、改めて区役所で申し込んで取得)。 

 その内、家族分について、身分証明書でもあることから、住基カードから、マイナンバーカードに切り替えて発行して貰う積りである。 

 

 ◇ マイナンバーの届け出が必要に

 先月の4月末に、S生保会社から、筆者のマイナンバーを知らせて欲しいとの、思いがけない連絡が届いた。現在、この生保会社から、以前加入していた生命保険の、確定年金を受け取っているのだが、会社から税務署へ提出する報告書で、被支給者のマイナンバーが必要なのだという。 早速、マイナンバーが書かれている、上述の通知カードをコピーして、返送したところである。

通常の会社では、税金や社会福祉関係で、従業員が、マイナンバーを会社に届け出るのは必須なのだが、年金生活者には、縁遠い話と思っていたところだったがーー。 

 年金と言えば、筆者は、他の公的年金を受給しているが、この年金には、基礎年金番号が付与されているが、マイナンバーとどう関係するのだろうか。

受給している公的年金も、新しく始まったマイナンバーも、どちらも国が関係している事業なので、改めてマイナンバーを通知する必要はない、のだろうと推測している。 でも、後学のため、年金の事務局に、近日中に問い合わせてみるつもりだ。 

 

◇ カード発行のトラブル頻発

 この1月からスタートした筈の、マイナンバー制度だが、システムの障害が頻発し、肝心のマイナンバーカードの発行が、大幅に滞っているようで、発行できたのは、年度末時点で、申請者の約2割程度だったという。 先月のある集まりでも、コンピュータに関係しているメンバーがいて、このことが話題となった。(http://マイナンバーの疑問.com/juukinetto-889マイナンバーカード発行遅延のトラブル、責任の所在は? - マイナンバー制度を考える

 

 今回の問題について、4/27に記者発表があり、マイナンバーカードシステムの責任者である、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の西尾理事長は、漸く、原因が突き止められたので、今後、改善していく、と述べたようだ。

4/25時点の集計では、999万枚のカード申請書が出ているのに、実際に発行されたカードは、331万枚(約33%)という。(マイナンバーカード、発行遅延に関するトラブル、解消のようです - マイナンバー制度を考える

 

 システムに不具合があったのは、各自治体からの情報の暗号を解いたり保管したりする装置(サーバー)だったというが、詳細は分らない。

この、4台あるという暗号サーバーの処理能力は、当面の6万枚/日から向上させ、いずれ、11.5万枚/日になるという。

 積滞している未処理の申請書件数と、暗号サーバーの処理能力から、所要期間を単純計算してみると、

     (999-331)/11.5~(993-331)/6=58~111日

となり、今後、新たなトラブルが無ければ、約2~4カ月で積滞が解消されることとなる。これに、今後の新規申し込み分も考慮に入れると、正常に戻るには、これから、半年程度はかかるだろうか。

 

 もともと、今回のマイナンバー用システムは、以前の、住基カードシステムを流用しているようだ。新システムでも主導権を保持したいという、総務省の思惑ともいう。

  中身を正しく理解せずに、天下り先で如何に保身するか、表面の恰好だけを見て仕事をしている役人習性ばかりが目立つことだ。

これまで、度重なって表面化した、旧社保庁の年金管理の杜撰さの問題や、住基カードシステムの中途半端な導入や、国のシステムでの個人情報漏洩事件の頻発などからみても、マイナンバーカードシステムも、先行きが危ぶまれるところで、一部の役人達と、コンピュータ関係事業者だけに貢献する危険性をはらんでいるかもしれない。

マイナンバーカードの交付遅れ問題の責任を市町村に押し付ける高市総務相 ― どこまで行っても無責任な安倍政権: 自治体情報政策研究所のブログ

 

 国民のためのシステムとして、真に定着する日は、果たして来るのだろうか。

 

憲法に関する世論  1

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2016年5月9日(月)  憲法に関する世論  1 

 

 

 今年のゴールデンウィークも、昨8日の母の日で終了し、本格的な新緑の季節である。

 この3日の憲法記念日に当たっては、改憲、護憲の行事が催されるとともに、憲法に関する各社の世論調査が行われ、テレビ等で報道された。

本稿では、公表された世論調査結果について、取り上げることとしたい。

  

 我が国の安全保障を巡っては、論議が続けられてきた後、昨年9月には、国会が大いに荒れた末に、関連法案が、強行採決されて成立した。

この状況について、当ブログの以下の記事で、筆者なりに論じている。

      日本の安全保障 1~5  (2015/9/14~2015/11/20)

この関連法案が、この3月29日に施行日を迎えて有効となって、兎にも角にも、今後の国の行動を規制することとなる。

施行後は、幸か不幸か、新安保体制に関わるような事案や、事態は、まだ起っていない。

 

 

◎各社の調査結果

◇NHKの調査 

  憲法改正に関して、NHKが行った世論調査の結果は、この連休中に、テレビで報道された。調査結果の主な状況は、以下のようだ。この調査方法は:4.15~4/17、電話法(DDS)、18歳以上の全国男女2425人(回答率 62.8%)、とある。 (調査・研究成果|NHK放送文化研究所 を参照)

 

・憲法改正の要否については、

     必要ある       27%

     必要ない       31%

     どちらともいえない  38%

となっている。

 以下の図は、ネットに出ている、TV画面を写したものを引用している。(NHK世論調査。憲法改正「必要ない」が「必要ある」を上回り、9条改正「必要ない」が「必要ある」の2倍に!

   

必要ある、必要ないが、ほぼ拮抗しているが、ここ数年間の変化では、必要ない、の比率が、今回が最も高かったという。

 

・必要ない、と答えた人にその理由を聞いた結果は、以下のようだ。

        憲法9条を守りたい          70%

        すでに国民に定着           11%

        解釈・運用に幅を持たせればよい  10%

        国際関係を損なうから         4%

 

・憲法9条について、改正する必要があると思うかという質問に対する回答

       改正する必要があると思う  22%

       改正する必要はないと思う  40%

       どちらともいえない       33%

で、必要がないと思う人が過半数を越えている。

・近代憲法の基本中の基本である「立憲主義」について、「政府の権力を制限して国民の人権を保護する」という立憲主義を知っていたかどうか尋ねたところ、

        知っていた         16%

        ある程度知っていた   37%

        あまり知らなかった    30%

        まったく知らなかった   11%

という。 立憲主義について、「知っていた」人と「ある程度知っていた」人を合わせると、なんと53%で過半数になっている。 (【感涙!】NHK世論調査。「立憲主義を知っていた」が過半数!「立憲主義を重視すべきだ」が7割!

 

◇毎日新聞の調査  4/16~17 電話RDS法 サンプル数1009(回答率60%)

世論調査:憲法9条、改正反対52% 「憲法改正」は拮抗 - 毎日新聞

 ・憲法9条について

       改正すべきだと思う       27%       

       改正すべきだとは思わない  52%

 ・憲法を改正すべきだと思うか  

       思う                 42%

       思わない              42%

       (内閣支持層では、想定通り、改正賛成が多く、内閣不支持層では、逆に、改正反対が多い。)

 ・夏の参院選で、改正賛成勢力が2/3以上の議席を占める事について

       期待する      34%

       期待しない     47%

 

◇東京新聞 

日本世論調査会 2/27~28 面接方式 サンプル数1744人(回答率58%)

東京新聞:9条維持、過半数 改憲2/3議席「望まぬ」が上回る 憲法世論調査:政治(TOKYO Web)

・9条改憲の必要性

      必要がある  38%

      必要はない  57%

・改憲に賛成の人の理由

      憲法の条文や内容が時代に合わなくなっているから   61%

      あらたな権利や義務などを盛り込む必要があるから   次位

・改憲で議論すべき対象(二つまで回答)

      憲法9条と自衛隊          52%

      知る権利・プライバシー保護    23%

・9条改憲の必要があると答えた人が重視する点

      現在の自衛隊の存在を名記すべきだ      42%

・改憲に反対の人の理由

      戦争放棄を掲げ平和が保たれているから   40%

      改正すれば軍備拡張に繋がる恐れがあるから 28%

・夏の参院選で、改憲に賛成の議員の議席数いついて

      2/3に達しない方が良い        47%

      2/3以上を占めた方が良い      44%

 

 

○読売新聞の調査  (郵送方式  憲法「改正する方がよい」51%…読売調査 : 世論調査 : 読売詳報_緊急特集グループ : 調査時期は2015/2016? )

・憲法9条について

   これまで通り、解釈や運用で対応する              40%

     解釈や運用で対応するのは限界なので、9条を改正         35%

   9条を厳密に守り解釈や運用では対応              20%

 

今回の調査結果について、次稿で、筆者の2、3のコメントを述べることとしたい。

 

 

憲法に関する世論   2

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2016年5月11日(水)  憲法に関する世論  2 

 

 

  先日、憲法に関するマスコミ各社の世論調査結果について、下記記事を投稿した。

                憲法に関する世論  1  (2016/5/9)

本稿は、その続編である。

  戦後日本の、これまでの歴史の中で、現憲法の制定、自衛隊(旧警察予備隊)の設置から、日米安保条約の締結、海外へのPKO活動への自衛隊の派遣等まで、安全保障を巡る国際情勢が変化し、内外の活動が多様化して来た中で、憲法条文の解釈・運用を繰り返してきたわけだ。

今回の各社の世論調査結果は、ほぼ、筆者の想定通りと言えるが、全体の印象は、国の安全保障や、憲法9条を巡るスタンスには、人それぞれに違いがあり、色んな思いが存在していると言うことで、国論が定まっていない、と言える。

 

 調査結果について、幾つかの側面から、筆者としての所感を述べることとしたい。

 

○平和主義(戦争放棄)の条文と自衛権

  現憲法では、平和主義を掲げ、世界に例を見ないことだが、戦争放棄を謳い、不戦の誓いを公言しているが、このことは、大いに評価されている、と言える。

 そして、戦争放棄と言っても、交戦権は認めないものの、自衛権まで放棄したとは言っていない、と言うのが一般的な理解のようだ。 ここまでは、国連憲章でも保障されている、各国固有の自衛権であり、国連憲章が、憲法で明言されていない事項を補足しているという、解釈、運用の範囲内、と言う意見が、多いだろうか。

 

 戦争を放棄する平和主義と軍隊の保有は、矛盾するようにも見えるが、当ブログの

      日本の安全保障  4  (2015/10/28)

でも触れたように、丸腰平和主義は現実の世界ではありえず、少なくとも、専守防衛までは認められる、というのが筆者の見解でもある。

でも、誤解を招かぬよう、国としての固有の自衛権があることは、憲法で明文化すべき事項と考える。

 

○憲法9条の条文と軍隊の関係

 憲法9条の条文の2項では、以下のように記されている。


“2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。” 

  陸海空軍その他の戦力は保持しない、としているのに、自衛隊という軍隊が実在し、条文と実体が大きく乖離している現実がある。 自衛隊は、戦力ではないと言うのは、屁理屈であろう。

 

  憲法9条を、日本語として素直に読めば、小中学生にもわかることだが、自衛隊は戦力であり、その存在は、紛れもなく憲法違反なのである。

ところが、今回の調査結果では、この点についても、解釈・運用で対応できている、と言う理解になっているようで、筆者には不思議でもある。

  これは、筆者に言わせれば、解釈・運用以前の問題であり、日本語が余りに可哀そうで、戦後最大の詭弁と言えるだろう。小学校や中学校の授業で、先生達は、この事を、どの様に教えているのだろうか。

  調査でも、改憲賛成派が、ポイントとしてこの点を挙げているのが多いのも頷けることで、軍隊(自衛隊)を保有することを、憲法上で明記すべきと考える。

 

○軍備の位置づけと安全保障の範囲 

  これまでは、現憲法下でも、個別的自衛権は認められる、と言う憲法解釈が、歴代政権の立場だったのだが、集団的自衛権の範囲まで、合憲範囲を拡大解釈して、米国との連携を中心として、昨年、強行成立させたのが、安保関連法案である。

憲法の文言は、何一つ変えずに、ここまでで来られたのは、その筋には、手柄話だろうし、数の力を背景とした、手品のように言葉を操る離れ技でもあろうか。

  国の安全保障や、他国との集団安全保障や、国連を中心とした諸活動として、今後、必要なものは何か、如何にあるべきか、などについては、筆者としても、大いに意見のあるところで、これらの新たな枠組みの必要性を否定するものではない。

  一方、それと並行して、憲法を含めて、法制上、どの様に整備すべきか、どの様な環境を準備すべきかも、極めて重要な事項だ。

最も肝心で入口となる、憲法上の位置づけで、施行後も、憲法違反と叫ばれている新安保体制は、こじつけの固まりの砂上の楼閣とも言え、極めて不安定である。 

 

○ 改憲への不安

*立憲主義

 国家存立の基盤として、憲法を尊重し、法による支配を実現する事は、立憲主義の基本中の基本で、調査でも、そのような認識が多いようだ。だが、上述のよ うに、憲法9条という戦後最大の矛盾を包含したままで、69年間、憲法の文言を一言も変えずに、事ここに至っていることについては、どう思っているのかは、調査では不明で、これは立憲主義では無い、と筆者には思える。 敢えて極言すれば、日本は法治国家とは言えないのではないか、と思う。

*戦前の軍備拡大の歴史への不安

  我が国には、組織としても、個人としても、軍拡に走り、侵略戦争を繰り返して来た、明治から戦前までの、忌まわしい記憶がある。

  戦後制定された平和憲法を改憲して、軍隊の保有を合憲と明記することは、旧憲法体制へ回帰してしまい、歯止めが無くなって暴走するのでは、という、大きな不安・懸念がある。この事は、誰しも思う事なのだが、流れに任せ、長いものに巻かれてきた長年の消極姿勢の表れであり、憲法9条があればなんとか歯止めになる、という国民的な自信喪失症状とも言えようか。

 この点に関しては、下記記事

     日本の安全保障  5  (2015/11/20)

で述べたが、改憲しても、戦後、国内で培われてきた、言論の自由、報道の自由などの民主主義の土台が、かなりしっかり出来ているので、その心配は無い、と筆者は考える。

 自立した国と国民である限り、憲法も含めた法制を、国や社会の道具立てとして、状況変化に合わせて改めていく努力が必要で、憲法を、不可侵の聖域のように思う必要はない。

*現憲法9条温存の選択肢

 これまで、国の行動を規制する歯止めにもなって来た現憲法9条を、そのまま残したい、という願望はあろう。

 上記の記事 5 で、触れたのだが、改正した憲法で、平和主義は掲げながら自衛用の軍隊は保有する中で、現憲法9条の掲げる丸腰平和主義を理想論として示し、国際社会で今後も生きていく、という選択肢があるかもしれない。

これは、妥協論というより、現実を見ながらも理想を追求していく、という姿勢である。

 

*改憲手続き

  18歳~20歳未満の国民に、初めて参政権が付与される、夏の参院選(7/24投開票?)については、国会発議に必要な、改憲賛成派の議員が、2/3以上になる事を望まないという意見が、多かったようだ。 参院選挙の争点の一つとして、憲法改正が取り上げられるのは、難しいという。 

 報道の自由と知る権利、プライバシーの保護、家族関係での人権尊重などの、基本的人権に関わる事項については改憲が必要としながらも、憲法9条については、改憲反対の意見が多いようだ。上述のように、これは、自身(●●)に対して、自信(●●)を無くして、避けている姿に見える。

 安部総理の改憲に賭ける意欲は強いようで、任期中に成し遂げたい、としているが、改憲を狙う政治姿勢には、はっきりしないところも感じられる。

 筆者は、現政権を支持している訳ではないが、今度の参院選は、与党だけでなく、野党も含めて、戦後の枠組みを抜本的に改める、又とない機会に思えるがーー。

 

菖蒲湯と母の日

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2016年5月13日(金)  菖蒲湯と母の日

 

 今年のゴールデンウィークも過ぎ、新緑が鮮やかな季節となり、世は通常モードに戻って動いているが、この時期に因んだ、我が家の恒例行事について、簡単に取り上げる。 

  

 5月5日の子供の日を前にした先日、近隣のスーパーに買い物に出たら、入口に、食欲をそそられる、懐かしい柏餅が並んでいた。 

店内には、数本が束になった、ショウブ(菖蒲)が沢山出ていたので、促されるように買い求めた。古来、身体に良いとされ、端午の節句の頃に、薬湯等として楽しむのが習わしとなってきたのが、このショウブである。

 

 ショウブは、植物分類上は、サトイモ科に属し、細長い葉の形は、花を愛でるアヤメ科にそっくりだが、株元が赤紫色をしていて、独特の香りがあるのが特徴だ。

最大の違いは花で、ショウブは、下図のように、がまの穂に似た細長い黄緑色の、目立たない花をつける。(ネット画像より)

生まれ育った、田舎の川べり等で、野生のショウブの葉や花を、よく見かけたものだ。

          

            ショウブの花                                   ハナショウブの花

 アヤメ科には、園芸品種の、アヤメ、ハナショウブ、カキツバタなどの、鮮やかな花々があるが、以前、これらを、ショウブと呼んだり、菖蒲と書いてアヤメと読む等もあって、呼称が混乱している。都内の堀切菖蒲園の主役は、ハナショウブである。

混乱を避けるために、5月節句の本家のショウブを、匂い菖蒲と区別して呼ぶこともあるようだ。 

 

 我が家では、程なくして、そのスーパーの店頭で、ピンク色の大輪のユリの花が出ているのを見つけ、8日の母の日のプレゼントとして、同居している息子が、買い求めてくれた。

これが、早速、風呂場ギャラリーに飾られたが、菖蒲湯との二本建てとなり、下図のように、風呂場が、俄に活気づいた。

         菖蒲湯と風呂場ギャラリー

 

 ユリと言えば、大輪で堂々たる白い花の、カサブランカが有名だが、最近人気のある、今回のユリの品種は、ソルボンヌと言うそうな。 同名の大学がパリにあるので(正確には、パリ大学の通称とか)、てっきり、フランス生まれと思いきや、東洋系のユリという。

品のある華やかなピンク色の大輪の花で、匂いもかなり強い。ショウブの香りはとても太刀打ちできず、こちらは存在感が薄れてしまい、早々と退散となった。

ユリの蕾は最後まで咲くと言われるが、短い期間に、今や、殆ど全てが開花している。

  

    ソルボンヌ

 

  ユリと共に、母の日を象徴する、定番の、赤紫色と、桃色の斑入りのカーネーションも一緒である。 

   カーネーション

 

 

  初夏も過ぎたような、今日の外の日射しには、今年は、早々と暑くなるような予感がある。

プリンタインクの互換品   

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2016年5月18日(水)  プリンタインクの互換品 

 

 

 過日、下記記事

       プリンタインクの話題  1~3 (2016/2/26、3/10、3/18)

 

を投稿したところで、その3では、一部のインクを、純正品から互換品に取り替える所まで触れており、本稿は、その後の経過報告である。

 

 

 互換品では、経済性とともに、大きな関心事は、残量表示がどうなるか、である。少し以前だが、互換品を使う一方で、純正品の使用済みカートリッジに孔をあけて、インクの詰め替えまでやったことがある。

これらでは、インクの残量は全く表示されず、手探りのプリントアウトを経験している。

 

 前稿にもあるが、純正品では、インクの残量に応じて、下図のように表示される。

 

   意味          PC画面上       プリンタ装着

   残量が十分ある  棒グラフ表示  □   装着ランプが明灯

   取り替え準備    びっくりマーク !   装着ランプの遅い点滅

   取り替え指示    警告マーク   ×   装着ランプの早い点滅 

最近の互換品では、残量表示が行われる、というのが謳い文句だが、果たして、実際はどうなのか、見極めることとしている。

 

○互換品での残量表示

  最近、自家のプリンタの純正品のMの表示が、!から、取り替え指示の警告マーク×となったのだが、OKボタンの操作で騙しながら、暫時、期間を延長して使って来た。

 

  一方、これまで、Y、Cの2色で互換品を使って来たが、互換品としての違いを見るため、Cは一体型を、Yは分離型を使って来た。分離型は、カートリッジの初期コストは、やや大きいが、継続して使用する場合は、インクタンクの取り替えだけで済むという。

暫くして、Y、C相前後して、PC画面上の残量表示が、取り替え準備!になったのである。

 

 このタイミングで、これからは、互換品をもう少し使ってみようということで、先日、量販店に行き、準備のため、M、Y、Cの三種の互換インクを手に入れた。Yは、インクタンクだけを購入し、M、Cは、今後の経済性を期待して、新規に分離型カートリッジを購入した。 

 

そして程なくして、互換品であるY、Cの、PC画面上の残量表示が、!から×になった。

 このように、残量表示に関しては、互換品でも、取り替え準備!、取り替え指示警告×とも、チャンと行われることが確認出来た訳で、これは、一頃に比べれば、大きな進歩である。

  

○取り替え時の問題

 先ず、これまで、×表示になっている純正品のMを、互換品に取り替えた。

 続いて、×表示になったY、Cも、新たに購入した互換品に取り替えたのだが、この時に、問題を経験した。

Yは、インクタンクだけの取り替えになるのだが、カートリッジから旧インクタンクを外し、新インクタンクをセットする時、インクが周辺に漏れ出ていて、ティッシュで拭きとったものの、可なり手が黄色に汚れてしまった。

一方、Cは分離型のカートリッジの新品だったのだが、装着時にインクが出口から漏れて、手が可なり青く染まってしまった。純正品では無かったことだ。

プリンタへの装着表示では、互換品では、純正品のように、残量の!、×に応じた、ランプ表示の、遅い、早い点滅はない。

 

 かくして、3種が互換品となったプリンタでのインクの装着状況は、現在、下図のようになっていて、正常に動作している。

  Y左3、C右2、M右1が互換品 これらの装着表示は暗灯

 

○互換品の経済性等と今後

 プリンタインクの互換品は、以前に比べて、残量表示や装着表示が、格段に向上したことが、今回、分った。(以前は、互換品を装着しても、ランプ表示は無かった)

でも、その分、コストアップし、価格がそれ程安くは無くなって、純正品に対する最大の魅力が、少なくなったようでもある。

 純正品に比較して、互換品の一体型は、やや安い程度だろうか。一方、分離型でも、初期のカートリッジの場合は、やや安い程度だが、インクタンクだけだと、かなり安くなる。

残量を検出するヘッドの部分のコストが支配的なようで、これを持たない以前の互換品が、安価だった理由だろうか。

 

 又、ヘッドを残して再利用する分離型は、コスト的には魅力はあるものの、上述のように、インクタンクを取り替える時は、注意しても、かなり手が汚れてしまった。

更に、分離型でカートリッジを繰り返し利用した時の、ヘッドの残量表示機能は大丈夫だろうか、気になるところでもある。

 

 所詮、模造品は模造品でしか無い、と言う事なのだろうか。

今後は、現用の互換品を使い切った後は、やはり、純正品に戻したいと思っている。この場合、ランニングコスト削減のため、量販店の利用だけでなく、ネット通販の活用、多色セットでの購入などを進める一方、印刷頻度そのものを、極力減らす工夫も、重要だろうか。

 

 


地震大国  日本

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2016年5月23日(月) 地震大国  日本

 

 熊本地震から、1ヶ月以上が経過したが、現地での復旧、復興への道のりは遠いようだ。

本稿では、地震自体に関して、その後の経過や、地球規模での地震の状況について、とりあげることとしたい。

 

 

○ 熊本地震の時間経過 

 素人目には、熊本・大分地域での地震活動は、可なり治まって来ているように見える。

震度1以上の地震の総回数は、漸減傾向だが、下図にあるように、強さ(震度)別の地震の発生回数では、かなりの減少傾向が見える。(熊本地震から1ヶ月…今後も最大で震度6弱程度の余震恐れも - NAVER まとめ )

 当初は、強い地震(赤~橙~黄色)も多かったが、次第に弱くなり、これらの回数も減少して来ている様子がうかがえ、5月の第2週頃からは、震度4以上が無く、震度3以下(青色)の地震だけになっているようだ。

震度4以上の強い地震の回数は、震度7が2回、震度6が5回(6+が2、6-が3)、震度5が11回(5+が4、5-が7)、震度4が88回等となっている。

    

           強さ別の経過と総回数(5/13現在)           総回数(5/2現在)

 

 でも、先日14日の気象庁の発表・会見では、余震はやや治まって来ているものの、震度6弱~5強程度の地震に、今後2カ月程度は注意するように、とのことである。

公共の地震担当機関としては、上述のように、震度6から5弱も起り得る、と、極めて安全サイドで言うしかないのだろうが、 地中の状況は、よく見えないこととは言え、歯がゆい思いも感じることだ。

 

○ エクアドル地震

 熊本地震とほぼ同時期の5月16日に、地球の反対側のエクアドルで、九州をうわまわる、マグニチュード(M)7.8の大地震があったようで、コレア大統領は23日、死者が646人に達したことを明らかにした。行方不明者は130人、負傷者は1万2492人に上り、2万6091人が避難生活を余儀なくされている、という(地震の死者646人に=エクアドル (時事通信) - Yahoo!ニュース)。

 地球規模で見た、同時期の地震発生分布は下図のようで、九州、エクアドル以外の、環太平洋の各地で、震度4.5以上の地震が、呼応するかのように、多発しているという。地球の内部は、どの様に、互いに関係しているのだろうか。 (日本とエクアドルの巨大地震は、環太平洋火山帯の地震活動が活発化している結果かもしれない | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

   

 ○ プレートテクトニクス

 地球規模の地震現象のメカニズムについては、プレートテクトニクス理論があり、地球を覆っている主要なプレートの境界で、地震が発生する、と言われている。(逆に、地震や火山活動等の調査・分析から、この理論が編み出された、と言うべきだろうか)

下図は、地球上での地震の発生状況と、主要プレート境界を示したものだが、太平洋を取り巻く、環太平洋地震帯が著名である。(気象庁 | 地震発生のしくみ より)

   

各国での批准が今後進められる、TPP協定(環太平洋経済連携協定)に参加する12か国は、ほぼ、このレッドゾーンに位置している。

 

 日本の国土は、正に、この地震帯の真上にあるという、宿命的な立地で、世界に冠たる地震大国・火山大国と言える。

下図は、日本周辺の、4つの各プレートのせめぎ合いの状況を示した拡大図だが、今回の熊本地震が起った地域は、中央構造線という地溝帯になっている。(≪天災≫に於ける人間〈二一〉-<東日本大震災>〈6〉氷河-  より)

   

  以前、当ブログの下記記事、

     御嶽山の噴火 7 地球の火山 (2014/11/15) 

で、火山活動との関連で、プレートテクトニクスをとりあげたことがある。

女子バレー リオ五輪最終予選 

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2016年5月26日(木)  女子バレー リオ五輪最終予選  

 

  国内の代々木体育館での開催とあって、身近に感じられ、TVのライブ中継も見やすかった、女子バレーのリオ五輪最終予選だったが、辛うじて、日本が出場権を手にすることができて終了した。4年前のロンドン五輪で、久々にメダル(銅)を獲得した日本チームだが、この夏の、リオでの活躍が楽しみである。

この28日からは、男子の最終予選が始まる。 

  本稿では、前代未聞のレッドカード騒動で、運命が大きく分れた、日本とタイの対戦を中心に取り上げたい。 

 

○ リオ5輪出場チームの概況

 リオ五輪には、全部で12チームが出場するが、既に、昨年のワールドカップや各大陸予選で優勝するなど、7カ国の出場が決まっている。

    開催国            :ブラジル

    ワールドカップ 1・2位  :中国 セルビア

    各大陸予選   1位   :アメリカ(北中米)  カメルーン(アフリカ) 

                                        ロシア(ヨーロッパ) アルゼンチン(南米)

 残る5つの枠を巡って、日本とプエルトリコの2か所で最終予選が行われた。日本大会は、アジア大陸の予選も兼ねていて、4つの椅子を巡って、以下の、8カ国のチームが争う事となった。いずれも、各大陸での強豪揃いだ。

      ペルー  ドミニカ  イタリア   オランダ

      日本   韓国    カザフスタン タイ  

  予選は、8チームの総当たり戦である。この中から、対戦結果による順位づけで、アジア代表1枠と、残り3枠のチームが決まる。

順位は、基本は、勝敗数で決まるが、これが同じ場合は、セット率(勝セット数/負セット数)、更には、勝ち点(3-0で3、2-1で2、1-2で1、0-3で0点)で決められることとなっている。

 尚、プエルトリコ大会では、1枠が、プエルトリコに決まったようだ。

 

○ 日本の活躍

 日本は、緒戦のペルー戦、第2戦のカザフスタン戦とも、3-0で、順調に勝ち進んだが、第3戦は同じアジアの宿敵韓国との対戦で、1-3で敗れてしまい、先行きが暗くなった。

 第4戦はタイとの対戦である。タイは、この所、腕を挙げていて、ロンドン5輪の予選では、日本に惜しくも敗れて出場を逃している。 今大会での日本の対戦状況は、以下のように、冒頭の1セット目を失い、第2~4セットは、交互に取るシーソーゲームが続き、第5セットにもつれ込んだ。

        セット  勝敗  得点 失点

     第1セット ●    20-25

     第2セット ○    25-23

     第3セット  ●     23-25 

     第4セット ○    25-23 

 運命の第5セットは、タイの優勢裡で進められたが、途中、審判の判定を巡って、双方から、何度かチャレンジが行われた。

 そして、スコアが8-12と、日本が大ピンチの状況で、タイチームの監督がチャレンジしたことに対して、主審から、何と、レッドカードが提示され、日本に、1点加点されたのである。

 TVのLIVEでは、何が何だかよく分らなかったのだが、後で判明した事は、タイ側でタブレット端末を使って、選手交代を要求したが伝わらなかったようで、その事で、監督が審判に聞きに行ったところ、レッドカードを提示されたと言う。

 この直後だったろうか、日本のセッター宮下が、サービスエースを決めている。

この連続得点で、10-12となって、日本チームのムードが一気に高まったのは否めない。

 

 そして、日本が追い上げ、追いついて、13-12と逆転した時、タイベンチからチャレンジがあったようだ。これも、後の話では、日本のバックアタックの時に、ラインを踏んだのではないかとのクレームだったようだ。試合中でもチャレンジはできるが、ただし、5秒以内ということだ。タイからの要求は、時間を過ぎていたために無効となったが、タイベンチは、タイムアウトを要求したが、それが、遅延行為とみなされ、再び、タイチームにレッドカードが出されたようだ。 

日本は、労せずして、たなぼた式に加点し、14-12と、マッチポイントとなった。最後は、迫田が決めて、このファイナルセットを物にした。

     第5セット ○  15-13  

 

これで、セットカウント3-2で、日本の勝ちとなった。

         勝ち点     日本2 タイ1

         得点(失点) 日本108  タイ109 

この結果、第4戦までで、日本は3勝1敗となり、リオへの望みが繋がったのである。

 

 第5戦は、3-0でドミニカに圧勝したが、次の第6戦のイタリアには、残念ながら、接戦の末に、セットカウント2-3で敗れたのだが、2セット取った事で、最終戦の結果に関わらず、日本は、念願の、リオオリピックへの出場権を確定した。

 最終のオランダ戦は、見応えのある試合で、3-2で接戦を制したのは立派である。体格・体力的に上回る相手に対して、日本チームは、真鍋監督の下、メンバーそれぞれの技を生かし、皆の団結力をもって戦ったと言えるだろうか。

 

 我らが日本チームの、愛すべき14名のメンバーは、下図である。経験豊富なベテランと、若手とがバランスしているだろうか。

筆者は、最近まではバレーボールのTV中継を、偶にしか見なかったので、顔と名前が一致するのは、木村、荒木、長岡の各選手だけと、ごく一部だったのだが、本大会のTV観戦で、ほぼ全員の名前が、言えるようになったのは不思議な位だ。 ママさん選手も居ることは嬉しいことである。(大会概要 | 2016リオデジャネイロオリンピックバレーボール世界最終予選

   

 

 

 ○ 全体のランキング

  今大会の最終結果は下図である。(ランキング | 2016リオデジャネイロオリンピックバレーボール世界最終予選 )

  

 表にあるように、勝敗数と、セット率から

     イタリア、オランダ、日本(アジア1位)、韓国

が、リオ五輪への出場権を獲得した。タイは5位で、今回も惜しい所で出場出来なかった。

  

○ ビデオ判定

 最近のスポーツでは、審判の判定を巡って不服がある時は、ビデオ判定を求められることが、ごく、普通になって来ている。 

*身近なところでは、大相撲の物言い、プロ野球でのクレームがある。 

*テニスでは、錦織選手が活躍するATP大会等で、「チャレンジ」はお馴染みだが、セットで3回迄と制限はあるが、成功する限り何度でも出来るようだ。 チャレンジの結果、専門に監視している線審のコールが、ビデオ判定で覆ることが結構あるのは、興味深い事で、人間の目と機械の目との、鬩ぎ合いにもみえる。

テニスコートによっては、チャレンジに対して、機械判定を使わず、審判がわざわざ、ボールの落下点まで足を運んで、地面に残っているボールの跡を確認する情景がみられ、どこか、微笑ましさを覚えることだ。

 *バレーボールで、ビデオ判定を求めるチャレンジシステムが、試行期間を経て、国際大会に正式に導入されたのは、2014年の世界バレーからのようだ。タブレット端末で、ベンチからチャレンジをリクエストできるようだ(1セットで2回まで可)。一方、選手の交代や、タイムアウトの要求も、このタブレット端末を使う事となっているようだ。未確認だが、タブレット端末の導入は、今大会からとの情報もある。

 

○ レッドカード

 格闘技に近い、サッカーやラグビーでは、レッドカードはお馴染で、悪質な危険行為をした当該選手は、退場となり、終了まで、1名少ない人数で戦うこととなる。

 バレーでは、ネットを介した対戦であることから、選手の危険行為は考えられない。 従って、バレーでのレッドカードは、頻度は少なく、試合の進行を意図的に妨害する、遅延行為が主になるのだろうか。そして、レッドカードで、相手側に加点されると言う、変わったルールであることも、今回、初めて知ったことだ。

 今回のハプニングを見る限り、ベンチ、審判を含め、タブレット端末を使ったチャレンジシステム全体としては、まだ、習熟度が低く、十分には定着していないように見える。

 チャレンジを濫用して、時間稼ぎをしたり、相手のペースを狂わす、といった、やや悪質な使い道もあり得ることだが、今回、主審が、遅延行為と見做し、レッドカードを提示したたことは、かなり性急にみえる。 導入して余り間が無いシステムへの習熟の一環として、性善説に立って、タイの監督のクレームを聞き、丁寧に対応しても良かったと思う。(少なくとも1回目は)

タイの監督やチームメンバーとしては、憤懣やる方なし、ということだろう。

今回のチャレンジ騒動は、観客から見れば、様子が分らずイライラさせられた、という印象が強い。 

 

 日本―タイの対戦の後、国際バレーボール連盟(FIVB)は以下の様な声明を出しているようだが、あくまでも、タイ側の責任とするスタンスだ。(バレーのビデオ判定要求「端末操作の習熟を」 国際連盟 (朝日新聞デジタル)) 

“国際バレーボール連盟(FIVB)は21日、記者会見を開き、今大会で実施しているビデオ判定を求める「チャレンジシステム」について、参加国がチャレンジを要求する際に使うタブレット端末の操作に習熟するよう求めた。”

 

○ レッドカード提示が無かったら?

 ここで、あくまでも仮定の話だが、若し、日本―タイ戦の第5セットで、レッドカード提示は無く、主審等が丁寧に対応し、日本が、例えば、10-15で負けていたとしたら、結果は如何なっただろうか、見てみたい。

先述の順位表で、第5戦以降の、日本、タイ、韓国の成績はそのままと仮定すると、

   タイは、5勝2敗で3位で出場権    アジア1位

   日本は、4勝3敗で4位で出場権  アジア1位を除く全体3位

   韓国は、4勝3敗で5位で敗退     勝敗数では日本と同じだが、セット率で5位

となる。

 でも、日本の士気は更に下がったと考えると、日本のセット率が、韓国より悪くなって、出場権が得られなかったかも知れない!

 

 殆ど諦めかけていたタイ戦の最終セットの土壇場で、2枚のレッドカードで加点されたことが、日本チームの雰囲気を変え、勝利に大きく繋がった要因、と筆者はみている。 

でも、大方のマスコミ等では、この事で勝てたとは殆ど言わず、あくまでも、選手達の力と頑張り、としているのだがーー。

 

 ただ、日本チームとして、又、開催国として、タイの監督が非難しているような、やましい不正は、何らしていないのは事実であろう。

主審は、メキシコ人だったようで、公正に判断したと思われるが、やや杓子定規に、レッドカードの規定に従った、と言う事かもしれない。

 

プリンタインク  その後

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2016年5月31日(火) プリンタインク その後

 

 

 先日、自家用プリンタのインクについて、一部を純正品から、互換品に替えた事について、下記記事、

     プリンタインクの互換品 (2016/5/18)

 

を、投稿したところだ。

 最近の互換品には、ヘッド機能が付いていて、残量表示が出来るようになったのはいいのだが、それと引き換えに、コストアップし、価格的には、純正品よりもやや安い程度と、魅力が薄れている事も述べている。

 

 本稿は、その後の使用経過についての報告である。

 

 

◇ インクのセット状況

 互換品には、筆者の仮称だが、

     一体型:ヘッド付きのカートリッジと、インクタンクが一体となっているもの

     分離型:ヘッド付きのカートリッジと、インクタンクが分離していて、タンクだけを取り替えが出来るもの

の、2つの型があり、前稿で述べたように、2色について、現プリンタでは初めて、

     Y(イエロー): 分離型

     C(シアン) :   一体型

の2形式の互換品を、入手した。

 

 そして、程なくして、Yの純正品がインク切れとなったので、上記の互換品に取り替え、それとほぼ並行的に、Cもインク切れとなったので、上記の互換品をセットした。

暫くの後、Yの残量が無くなって来たので、カートリッジは残して、予め購入していた、インクタンクに取り替えた。

 前稿では、ここまでの状況について述べたが、インクのセット状況は、下のようになる。

              BK GY  Y   PBGK  C      M 

   純正品       ○  ○        ○                     ○

   互換品(分離型)      タンク        

   (一体型)                      カートリッジ

 

 そして、暫くして、純正品の、M(マゼンタ)の残量表示が×になったので、新たに入手している互換品(分離型 カートリッジ)に取り替えた。

更に、Cも、互換品(一体型)の残量が無くなった(×)ので、新たに入手している、分離型のカートリッジに取り替えている。

 このようにしたのは、Y、C、Mの三色とも、全て互換品(分離型)に統一して、後は、カートリッジを残して、タンクの取り替えだけで、極力、安くできるとの思惑だ。 

 

此処までの、インクのセット状況は、下のようになる。

             BK GY  Y   PBGK  C       M 

   純正品      ○   ○        ○

   互換品(分離型)      タンク       カートリッジ カートリッジ

        (一体型)                 

この状況で、暫し、使ってみたのである。

 

◇ M色が出ない!

 所が、通常のカラー印刷を行ったある日のこと、原因不明ながら、突然に、印刷された地図文書が、黄色っぽくなり、M色抜きになってしまったのである。(下図 下段)  

     

            上段 正常な地図   下段  M色抜きの地図

  Mは、パソコン上の残量表示では、まだ十分残っているのに、 ユーティリティ機能を使って、「ノズルチェックパターン」を印刷してみると、M色が抜けて、空白になる。(下図 左)

 然らばと、インクの出口が詰まっているのかもと思い、インクの出を良くするために、ユーティリティの「クリーニング」を行ったが、変化は無かった。更に、「強力クリーニング」を行ったところ、チェックパターンに、M色のパターンが現れた。(下図 右)

 しかし、このように印刷が正常になるのは一時的で、暫くすると、再度、M色抜きの印刷となる。

 また、或る時は、チェックパターンのM色が、殆ど、茶色になった事もある。

 

          チェックパターン(M色抜け)                          チェックパターン(正常)

 

 このような、不安定な状況が続き、強力クリーニングとパターン印刷等を何度も繰り返す内に、各インクの残量が、急速に少なくなって行った。

 

◇ 純正品に戻す! 

 なにはともあれ、安定しないMを、残量はあったのだが諦めて、純正品に戻した。その結果、幸いに、インクホルダーとプリンタ本体との間の、最も肝心なインターフェース部分は正常だったようで、正常ななカラー印刷に戻った。

互換品を使ってトラぶったことの後遺症は、無かったようで、ほっとした。 最悪の場合は、純正品に戻しても、Mについては印刷不良となり、カラープリンタとして使いものにならなくなることも覚悟したのだがーーー。

 

 Mの不良の原因は、全く不明であり、同じメーカーの他の、Y、Cも、何時、不良になるか不安も残る。こんなことから、セットしている他の互換品(分離型のY、C)についても、残量表示が、×になった時点で、プリンタのOKボタンで騙して使用するのは止めて、早目に、純正品に戻した。

 この結果、現在は、プリンタ購入時と同じく、全ての色が純正品になって、正常に動作している。プリンタ本体とインクカートリッジのインターフェースが、無事だったことは幸いであった。

 

 前稿の最後でも予期していた事だが、結局、純正品に戻すこととなった訳だ。 互換品によるコストダウンの思惑は、外れてしまった格好である。

以前、インクの詰め替えもやる等、互換品等で、かなり、プリンタを苛めた事があり、因果関係ははっきりしないものの、プリンタを駄目にしたことがある。

 今回のトラブルで、インクの互換品(模造品)に対する信頼が無くなり、経済的な魅力もほぼ消えうせた。麻薬ではないが、漸くにして、誘惑から解放された、と言えるだろうか。

 

 今後は、純正品を使いながらの、ランニングコストの削減が重要となるが、量販店の利用に加え、ネット通販への拡大や、多色セットでの購入なども、活用する方向となろうか。

 

 

「余談」

 近隣と都心にある、同じ系列下の量販店で、同じと思っていた、割引のポイント数が、以下のように、かなり違う事が、最近、判明した。

    近隣のK量販店  1%

    都心のB量販店 10%程度

純正品のカラーインクの値段は、

    標準容量   800円

    大容量   1200円

位だが、仮に、大容量インクを2本買うとすると、ポイントは

       片や  24円、片や  240円

と、可なりの違いとなるのである!

 都心に出るのには交通費が掛かるが、他の用事の序に、買い物をすればよいことだ。

 

 

 

 

 

風呂場ギャラリー  初夏

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2016年6月1日(水)  風呂場ギャラリー 初夏

  

  5月も昨日で終わり、今日からは6月と、季節の進行に澱みは無いようだ。我が家の屋上庭園やベランダは、緑と花で賑わっているが、ワイフKが、この中から、初夏に相応しい草花を切ってきて、いつもながら、風呂場ギャラリーに飾ってくれた。

    初夏の風呂場風景

 

 ○ 釣鐘状の特徴的な花をつけるホタルブクロ(蛍袋)。花は、愛らしく下向きに咲くが、横向きに咲く、洋種のカンパニュラは、別物だ。花の色は、濃紫の他、白や、薄紫や、青色等の株もある。 

子供がホタルを入れて遊んだという説もある、素敵な名前で、好きな野草の一つだが、過保護気味に大事にされているせいか、我が家の庭の、あちこちに、各種、自生している。    

  ホタルブクロ 

 

○ アジサイは、この季節を代表する花だが、この品種は、ダンスパーティという愛称で、最近人気が高いようで、薄いピンクがいい。父の日の記念にと、スーパ-で手に入れてくれたものだ。 花びらが白い、スミダノハナビ(墨田の花火)と同じ、ガクアジサイ系である。

   アジサイ(ダンスパーティ) 

 

○ 下図左は、ムシトリソウ。 濃い桜色の五弁花が集合した姿と、緑の葉色とのコントラストが可愛いい。花枝の根元に、粘々したものが出ていることから、この名があるとか。雑草に近く、毎年、こぼれた種から、自生している。

 ○ 下図右は、花ではなく、葉ボタンの実で、やや、異様な雰囲気である。 正月飾りに使った葉ボタンを、普通はもっと早期に撤去するのだが、そのまま植えておいたら、春先に「トウ」が立って開花し、結実したもの。 アブラナ科である特性が体現されたようだ。

  

 

野球での二刀流   1

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2016年6月10日(金) 野球での二刀流  1 

 

 この所、プロ野球での二刀流が、一寸した話題である。話題の主は、プロ野球 日本ハムファイターズの、大谷翔平選手だ。

往時の剣術の世界では、剣を片手だけに持つ、一刀流が主流である。 これに対して、両の手それぞれに刀を持つ、二刀流もあり、かの剣豪、宮本武蔵がその使い手であったことは、周知の事だ。下図は、ネットから引用した宮本武蔵像である。 

      

 このように、二刀流と言えば、剣の世界での、流儀の一つだが、プロ野球の大谷選手が、投手であり、かつ野手であるという二役をこなすことから、彼のスタイルを、比喩的に、二刀流と称しているのである。 

今まで、殆ど無かった、野球でのこのようなスタイルは、筆者には魅力的なのだが、果たして、今後、他の選手やチームに、広がっていくのだろうか。

 

 今般、この話題を、2回に分けて取り上げるが、先ず、二刀流の現況についてである。

  

○ 野球での役割分担

 チームで戦うスポーツの中、ローテーションで、全員に、ほぼ同じ役割が回ってくるものや、役割が、特定の選手に限定されているものなど、様々だ。

  前者の例では バスケットボール、バレーボール、ラグビー、アメフトなどがある。

  後者の例では、ゴールキーパー(GK)の役が特殊な、サッカー、アイスホッケー、ハンドボールや、投手役が要る野球、などがある。

 

 野球での投手の役割は、他の野手に比べてかなり特殊なため、投手になるか、野手になるかは、可なり早い段階から、方向づけされるのが一般的だ。

でも、高校野球の段階では、投手と野手がかなり自由で、エースの投手が、途中で野手に廻ったり、打者としても、クリーンアップを打つことも多い。これが、プロ野球になると、投手と野手は、出場機会は別コースで、トレーニングも、別メニューになっているのが普通で、投手と野手の分業化が進んでいると言える。

 稀に、途中で、投手から野手へ転向するケースもあり、著名な王貞治氏は、高校では投手だったが、巨人に入団後、野手に転向し、打者として大成し、大記録を打ち立てているのは言う迄もない。

 

 このように、プロ野球の世界では、投手と野手の分業が行われている。投手は、投げる専門職と言えるのだが、でも、形式的に打者となる場合もあり、制度的には、投手が、打席に立つやり方と、打席に立たないやり方、が行われている。

  日本のプロ野球NPBでは、

     セ・リーグ  投手が打席に立つ  :非DH制(本稿での便宜的呼称)

     パ・リーグ  投手は打席に立たない:DH制

             厳密には、投手は打ってもよいが、打たずに、代わりに打つ専門の指名打者(DH)を置くことが出来る。

             DHは、Designated(指名された)Hitter(打者)の略

と、両リーグで、制度は定着していると言えるだろう。

 

 日本が見倣った、野球の本家であるアメリカのプロ野球MLBでは、以下のようになっている。

      ナショナル・リーグ :非DH制

      アメリカン・リーグ :DH制

 野球は、非DH制で始まったものだが、アメリカでDH制が導入されたのは、1973年からのようで、低迷していたア・リーグの人気を盛り上げるためだったようだ。 日本のNPBでは、少し遅れて、1975年から導入されている。(指名打者 - Wikipedia

この流れで、NPBでは、現在、交流戦や日本シリーズ等では、セの主催試合は、非DH制、パの主催試合は、DH制とすると決められているが、詳細は省略する。

 広島から移籍して、MLBナ・リーグのドジャースに入団した前田健太投手が、この春のデビュー戦で、非DH制のため、打席に立って、ホームランを打ったことが、かなりの話題となったことだ。(前田健太、デビュー戦で初ホームラン 米国で「祭り」状態に

 

○ 投手と打者の実際

 大谷翔平選手は、2012年に、花巻東高校から日本ハムファイターズに入団したが、栗山監督は、彼の、並外れた能力を見て、当初から、彼を、投手であり、打者でもある、二刀流の選手として育てると言明し、大谷本人も意欲をもって取り組んで来ているところだ。

 投手が、DHとしても打席に立ち、或いは、野手として守備に就くことは、NPBのパ・リーグでは、これまで殆ど無かった事だ。

 ◇準二刀流

 公式戦に、試合単位に、投手として、或いは、DHとして、あるいは、野手として、出場する、このやり方を、本稿では、仮に、準二刀流と呼ぶことにする。

大谷選手は、この準二刀流で、2013年から、2014、2015と活躍して来て、この2016年で、4年目となる。

  昨年までの、公式戦に登場した、大まかな成績は、以下のようだ。(大谷翔平 - Wikipedia より)

           登板(先発) 勝利 敗戦 勝率   防御率   

  投手 2013  13      3   0        4.23 

      2014  24     11   4        2.61 

      2015  22     15   5  .75   2.24

 投手としては、パ・リーグで、通常の一刀流の投手に伍して、二桁勝利もし、2015年には、赤字で示すように、何と、最多勝利、最優秀防御率、最多勝率の、投手部門の三冠を獲得している。 

 一方、打者としては、以下のようで、打席数も少なく、いまいちの成績だが、2014年の、本塁打数10は立派である。

           試合 打席  打数  安打 本塁打   打率

  打者 2013  77 204 189   45   3      .238

      2014  86 234 212   58  10      .274

      2015  69 118 109   22   5      .202

     

◇ リアル二刀流

 今年2016年のファイターズの開幕戦は、大谷選手が、準二刀流で投げ、打ったが、敗戦を喫し、その後も、準二刀流で出場したものの、投手としては、勝ち星には余り恵まれなかった。

通常のDH制下でも、同じ試合で、投手として、さらには、打者(DH)、野手として出場することが可能(DHの放棄)のようで、これを、マスコミでは、リアル二刀流(真二刀流)と呼んでいる。

そして、この5/29、仙台コボスタジアムでの、パ・リーグ公式戦である、

     日本ハムファイターズ ーー 楽天イーグルス 

戦で、NPBでは初めて、リアル二刀流が実現したのである! (まさかの「6番・投手」!『大谷翔平』の“リアル二刀流”が凄かった。 - NAVER まとめ

 

 この試合で大谷選手は、投手で先発し、7回まで投げ、8回以降は交代したが、打順は6番で打っている。 勿論、DHは置かれなかった。 結果は、12―3で、ファイターズが大勝し、これで、大谷投手は3勝となっている。

この試合での、大谷選手の成績は、以下のようだ。

       投手  1~7回  被安打4 失点1  

       打者  3安打1打点  猛打賞

 

 そして先日、6/5の、東京ドームでのセ・パ交流戦、

     日本ハムファイターズ ーー 読売ジャイアンツ

で、大谷選手が、投手として先発し、5番で打席もこなすという、2度目のリアル二刀流に挑戦した。(大谷、圧巻の完投劇!これぞ“真二刀流”プロ野球新記録163キロも

 巨人がホームの試合で、セのルールの非DH制のため、元々、大谷にはDHは置かれず、打席に立っている。チームは、6-2で勝利し、大谷投手は4勝となっている。

 大谷選手の成績: 

          投手 9回完投  6安打2失点 10奪三振

          打者 1安打  1打点(犠牲フライ)

 この試合で、投手として、自己の持つNPB最速記録162km/sを更新する、163km/sの剛速球を出している。

 

 この試合は、筆者は、最初から最後まで、ワクワクしながら、TV観戦したことである。

 

 

今季2016年の大谷選手の、これまでの成績は、、

        投手 :4勝4敗  防御率 2.63

        打者 :打率.343 (規定打数以下) 本塁打9本  連続試合安打が17でストップ

と、打者として好調のようだ。(プロ野球 - 北海道日本ハムファイターズ - 大谷 翔平

 大谷選手は今後、この12日の、阪神とのホームでの交流戦に、19日には、中日とのビジターでの交流戦に、それぞれ、リアル二刀流で出場予定のようで、楽しみにしたい。

 

 次稿では、非DH制とDH制の比較、二刀流の評価尺度等に加え、スポーツで、異質の種目を複合したマルチ競技等について、触れることとしたい。

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