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ウクライナ情勢の行方  1

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2014年5月17日(土)  ウクライナ情勢の行方 1 

 

 

 先の冬季五輪・パラ輪の頃から、盛んに報道されたウクライナの騒乱だが、最近は、ニュースとしては少なくなったものの、事態は変わっていないようだ。 

 筆者は、ウクライナは、まだ、行ったことは無いものの、名前は勿論だが、地図上の場所も、このあたりと、凡そ、言える国だ。以前から、ウクライナは、ヨーロッパの穀倉地帯と言われ、名だたる観光地は多くは無いようだが、原発事故のあったチェルノブイリは、現在のウクライナにある。

 又、ウクライナ南部の黒海に突き出たクリミヤ半島は、往時、ナイチンゲールが活躍したというクリミヤ戦争の場であり、第二次世界大戦後の方向を決めた、米英ソ首脳による、有名なヤルタ会談が行われた場所とも記憶している。

 

 ウクライナを巡る情勢と今後の行方について、2回に分けて取り上げて見たい。

 

 

◎ウクライナの最近の状況

 めまぐるしく変化していて、よく見えないのだが、自分なりに簡単に整理すると、以下のようになるだろうか。

・2013年〜2014年 ウクライナ経済の低迷

 親ロシアか、新西欧かを巡って、国内に対立

・2014年2月22日 親露派のヤヌコーヴィチ政権が倒れる

 その後、親西欧派の暫定政権が誕生 

    トゥルチノフ大統領代行 ヤツェニュク首相 

 国内の親ロシアの反政府勢力が、クリミアや東部等で反発。ロシアがこれを援護。 

・2014年3月16日 クリミヤ自治州で親ロシア勢力が住民投票実施 

 賛成多数として独立宣言→ロシアが編入。欧米は不承認

  セバストポリ軍港のロシア艦隊が圧力

・2014年5月9日 第二次世界大戦戦勝記念日 

 セバストポリ軍港でパレード:プーチン大統領が出向き演説

   (クリミアのロシア編入を既成事実化)

・2014年5月11日  

 親ロシアの反政府勢力が、東部2州(ドネツク、ルガンスク)で住民投票を強行

 国家としての自立を問う(自治権拡大/独立/ロシア編入?) 

   投票率は80%?  賛成が90%?

   杜撰な選挙管理

     名簿不在(パスポートで) 投票の不正? 

      (本記事の最後に、投票用氏のトピックス)

 2州の反政府勢力は、勝利したとして、2州の国家からの独立を宣言 

   (9割近く「自立」選択と選管 ウクライナ東部住民投票  :日本経済新聞

 ロシアのプーチン大統領が、予め、この住民投票の延期を要請

  無視された形だがーーー見え透いたポーズか

・2014年5月27日  大統領選挙予定 

 現政府の暫定政権が全国で実施予定(今回の、クリミアと2州を含め?)

 先の2州での住民投票は大統領選の妨害が目的とも

 予定通り実施されるか否か?(2014年ウクライナ大統領選挙 - Wikipedia

・2014年8月24日 ウクライナ独立記念日 何か起こりそう?!

 

 

◎ ウクライナの概要(ウクライナ - Wikipedia) 

 [国名]    ウクライナ語  Україна(ukrajina)                

              ロシア語   Oкраина(辺境の意もある?) 

      英語       Ukraine(ukrein)

 [地勢]

         国土の広さ 約60万km2(日本の約1.6倍)

         山地は西部とクリミア半島

         中央部、東部、南部の大半は、肥沃な平原、草原(ステップ)、高原地帯

       中央をドニエプル川等が流れ、黒海へ(一部アゾフ海へ)

      

[住民]

    人口    約4500万人 (日本の約1/3)

    民族    ウクライナ人  約80%  西部に多い

                  ロシア人    約20%  クリミア・東部に多い

                 他に少数民族 

    言語        ウクライナ語        1700万人

                 ロシア語           1600万人

         ウクライナ語・ロシア語 1200万人

  ウクライナでは、下図のように、西部はウクライナ系、東部はロシア系住民が多く、それぞれ、ウクライナ語とロシア語を母語としている。 

両言語の違いだが、キリル文字はほぼ同じで、標準語と方言の違い程度? 

ウクライナ紛争を「言語」という観点から考えてみる

 

  宗教 カソリック(ウクライナ正教会) 国内の宗教的な対立は小さいようだ。 

 

 [政治史]

 この地域は、帝政ロシアの支配下に入った後、「赤い」社会主義革命の流れの中で、ソビエト連邦の構成国となる(1920年)。

1991年のソ連の崩壊後、独立国となり、その後は、CISの一構成員となっている。

 

 [行政]

    首都 キエフ

    24の州と1自治共和国(クリミア)、2特別市(首都キエフ、セバストポリ) 

 

[産業・経済] 

   ヨーロッパの穀倉地帯

   豊富な天然資源

   重化学工業の立地

   輸出/輸入での、ロシアとの比重が大

   ロシアから欧州へのガスパイプライン

   現在のキエフ州北部で起こったチェルノブイリ原発事故 (旧ソ連時代の1986年)

 

[周囲]

     ・ウクライナに近接する、ロシアのソチで、今年、冬季五輪・パラ輪開催 

    ・ロシアの南部の隣国 カザフスタン(旧ソ連)の、バイコヌール宇宙基地近くの広大な草原地帯に、ロシアの宇宙船ソユーズが、現地時間5/14日早朝に無事帰還(若田船長)   ウクライナ騒乱の中だが、米ロの協調が印象的  

 

⇒ど素人の想定だが、ウクライナには、通常見られる、人種・言語・宗教の違いや富の配分をめぐる対立があるというよりも、長年の支配・被支配から来る、ロシア的な文化や習慣を巡っての対立があるように思える。

 

 

◎騒乱の今後の方向 

○クリミア自治共和国の今後の方向のシナリオ

   (1991年のソ連崩壊時、クリミアを巡って、ウクライナ/ロシア間等で帰属争いあり。今回の編入前から、クリミアは、ロシアが実効支配していた?)

   1 ウクライナに戻す

   2 ロシア編入の現状のまま(ロシア国内での位置づけは?)

   3 ロシア内で自治権拡大(自治共和国)

 

○ドネツク・ルガンスク2州の方向のシナリオ(【ウクライナ情勢】東部、3つのシナリオ 自治権拡大要求からロシアへの編入まで - MSN産経ニュース)  

   1 ウクライナに残留するも、自治権拡大(従来のクリミアのように?)

   2 ウクライナに残留するも、独立国並み(現グルジアのアブハジア、南オセチア共和国のようにーー次稿)

   3 ロシアに編入(今回のクリミアのように)   

 

 2州の住民投票後も、武力衝突は起こっているようで、次の大統領選を巡って、国内対立は、激化するのだろうか。

 ウクライナ暫定政権と、反政府勢力との争いは、それぞれ、後楯である、EU・米と、ロシアとの間の、代理戦争の様な様相もあり、冷戦の復活にもなるのだろうか? 

 OSCE(欧州安全保障協力機構)やNATOなど、安全保障をめぐっての、欧米とロシアとの、勢力争いでもあろうか。 

 

 

◎ロシアの行方 

 この所は、G8のメンバーになる等、世界秩序の構築・維持に前向きと思われて来たロシアだが、ロシアが議長国で今年に予定されていたG8会議の開催は、現状では、ほぼ、不可能な状況で、G8は、ロシアが外れて、以前のG7に戻るのだろうか。 

 ロシアは、片や、BRICSの一国として発展途上国とも言われるが、一方、広大な国土とその中に多くの共和国や州を抱えつつ、豊富な資源も持ち、国連の常任理事国でもある大国として、世界と関わっている。

我が国との間でも、戦後の日露関係の改善等、期待が持てる雰囲気もあったのだが、今回で、何処かに、吹っ飛んでしまったようだ。

 ロシアには、やはり、通常のコミュニケーションが通じない、不可解な側面があるのは否めず、国内には、独裁的な強い政治を望む空気もあるだろうか。

  

 

◎ 余談:キリル文字 再び

 今回の住民投票で使われた投票用紙を見ると下図のようだ。(ネット画像より)

先だって、当ブログの下記記事で触れた、あのキリル文字である。

       ソチ 五輪パラ輪  おまけ編  (2014/5/1) 

 生噛りのロシア語とキリル文字の知識を頼りに投票用紙を見ると、全体が、ロシア語とウクライナ語の二通りで書かれているようで、賛否を問う質問文は理解出来ないが、肝心な賛否を記入する、□部分の表示は、以下のようだ。 

    左 賛成 ロシア語 ДА(da)          右 反対 ロシア語 НЕТ(nijet)

         /ウクライナ語 ТАК(tak)           /ウクライナ語 НІ(nie)

 

 今回、住民投票を行った2州の現地名は、

  ドネツク州   :ウクライナ語Донецьк  ロシア語Донецк     

 ルガンスク州 :ウクライナ語Луганськ ロシア語

となるようで、中にある文字からすると、この投票用紙はドネツク州で使われたものとみられる。


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