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「いもがら」と納豆汁

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2023年9月5日(火) 「いもがら」と納豆汁

 

 

〇先月、出かけた帰路に立ち寄った、北千住駅前のスーパーで、里芋の芋茎(ずいき)が、珍しく生のまま店先に並んでいるのを見つけた。

品物の表示は、赤茶色の方は「紅ずいき」、緑色の方は、「ハスいも」とあった。

これを見て、とっさに、納豆汁でよく食べた、いもがらを思い出し、買い求めた。

 

帰宅後、指先で探しながら、茎の表面の皮を引き出して、根気の要る皮剥き作業を終わると、幅広の茎は、縦長に細く割いて、数日、天日に干した。かくして、水分が抜け、しなしなになって軟らかい、いもがらが、出来上がった。

手持のデジカメが使えないので、自家製いもがらが撮れず残念だが、以下に、ネットに出ている、市販の、いもがらの図を引用する。

 

 

〇納豆汁

納豆汁は、出身地山形の郷土料理の一つである。子供の頃、おふくろが作ってくれたものを、よく食べたことだ。

通常の味噌汁を作り、具として、いもがらが入るのがポイントだが、他に、豆腐、油揚げ、山菜、こんにゃく、きのこなどが入る。

この味噌汁に、最後に、すりつぶした納豆を入れて、納豆汁が完成である。

汁の薬味として、刻んだネギやセリを添えると風味が増す。

すり潰した納豆の独特の香りと、いもがらの、いがらっぽさが、不思議に合うのだ。

 

今般、自家製のいもがらを使って、納豆汁を作ってみた。いもがらが手に入り難いため、納豆汁を作る機会は少ないのだが、なつかしい風味を堪能したのは、久しぶりである。

自家製のいもがらは、まだ半量程残っているので、近いうちに、もう一度、納豆汁を楽しめるのが嬉しい。

 

 

ネットにある、農水省の下記サイトには、山形県の郷土料理の納豆汁が紹介されている。参照;納豆汁 山形県 _ うちの郷土料理:農林水産省.html

このサイトでは、いもがらを作るのは、からとり芋と出ていて、山形県の庄内地方の呼称のようだ。

 

下図は、このサイトから引用している。

   

 

〇納豆汁の忘れられない思い出

可なり以前のことだが、ある時、会社の同僚や、友人知人を自宅に招き、料理の一つとして、自慢の納豆汁を振舞うこととした。

後に、某メーカーの重役も務めた友人が、擂鉢(すりばち)を使って、納豆を潰す作業で、擂粉木(すりこぎ)に力が入りすぎて、擂鉢を壊してしまったのである!

その後の経過については、はっきりした記憶はなく、なんとか対処して、納豆汁を作ったと思われるが、今も、語り草となっていることだ。

 

この苦い経験を反省し、納豆の潰し方を工夫した。

粒のまま擂鉢で潰そうとすると、つるつると逃げてしまい、ついつい、力が入ってしまうのだ。このため、納豆を擂鉢で潰す前に、まな板の上に広げて、包丁を使って、縦横に刻んでいき、また、寄せて山を作って、刻んでいき、これを、繰り返すのである。

そして、細かくなったところで、納豆を擂鉢に移して、仕上げとして、擂粉木で細かく潰していく方法である。

強い力も不要で、滑らかな潰し納豆が出来るようになった。

市販の納豆には、細かに砕いた物も売っているが、香りが全然違うのだ。

先日も、この方法で、納豆汁を作っていることだ。

 

〇二つの郷土料理

山形の郷土料理には、納豆汁の外、芋煮があり、時々、作っては、楽しんでいるが、こちらで使うのは、里芋だ。

里芋の芋茎を干したものが、先述した、納豆汁に使う、いもがらである。

 

大好きな二つの郷土料理が、ともに里芋に由来しているとは、なんと、素晴らしいことだろうか!


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