2014年2月8日(土) n人のジャンケン
当ブログでは、昨年の指文字の話題のシリーズから発展し、ジャンケンの確率の話題へ進んで、深みに嵌ってしまったのだが、乗りかかった船である確率の検討も、漸く、人数をn人に一般化する大詰の段階になっている。
ジャンケンする人数をn人に拡大し、n人同時に1回ジャンケンした場合に、勝負がつく確率は、ネット情報では、
(2n−2)/3n−1
となるとあり、アイコになるのは、その余事象で
1−(2n−2)/3n−1
となるという。(じゃんけん - Wikipedia)(じゃんけんを考える)
ここでの、勝負がつく確率と言うのは、n人同時にジャンケンした場合に、n人の中で、1人、2人、又は、(n−1)人の、いずれかが勝つ確率、別の言い方では、アイコにならない確率のことである。
ネットで、この公式を初めて見た時は、筆者には、とても手に追えないものに思えた。でも、人数を、2人の場合から始まって、1人づつ増やしていく過程で、次第に、規則性が見えてきたことで、n人による勝負での確率を求めるこの一般式を、どの様にして導き出すのか、次第に、興味が湧いて来たのである。
ただ、ネット情報では、「勝負がつく確率を求めるプローチ」を行って、その余事象として、アイコとなる確率を求めている。でも、自分としては、遠廻りでも、敢えて、「アイコとなる確率を求めるアプローチ」を行って、トライすることとした。
その途中では、何度か行き詰り、先に進めなくなったが、その都度、ネットの公式の助けを借りて検証しながら、進めてきたところだ。
当ブログの、以下の諸記事は、「アイコとなる確率を求めるアプローチ」で、ジャンケンの人数を、増やしていった場合について、具体的に検討したものである。
ジャンケンの実際―3人、4人、5人のジャンケン (2014/1/30、1/31、2/7)
本稿は、これらの集大成になるだろうか。
○前稿にあるように、n人の場合の、アイコとなる確率Pnは、
Pn=*Pn+#Pn
(*Pn:同じ手アイコ*の確率、#Pn:三すくみアイコ#の確率)
で、
*Pn=3×3/3n=1/3n−1
は、ほぼ自明である。
一方、#Pnは、人数が増える毎に追加される確率の総和で、以下となる。
#Pn=#P3+#PA4+#PA5+――――+#PAn−1+#PAn
=2C1/32+(3C1+3C2)/33+(4C1+4C2+4C3)/34+―――+{nC1+nC2+ ―――+nC(n−1)}/3n−1――――?
最後の項にあるように、一般化したn人の場合に、(n−1)人から追加される、#アイコの追加組み合わせ数とその確率は
#PAn={nC1+nC2+nC3+――――+nC(n−1)}×3/3n
={nC1+nC2+nC3+――――+nC(n−1)}/3n−1――?
となる。
○ここで、今回初めて知ったが、二項定理から導かれた、「パスカルの三角形」という、以下の綺麗な公式があるようだ。(パスカルの三角形)
nC0+nC1+nC2+nC3+――――+nC(n−1)+nCn=2n――?
左辺の、nC0、nCnは、ともに、=1なので、これを右辺に移動すると、?は、
nC1+nC2+nC3+――――+nC(n−1)=2n−2―――?b
となる。
この?bを使えば、?は、
#PAn={nC1+nC2+nC3+――――+nC(n−1)}/3n−1
=(2n−2)/3n−1 ―――――?b
となる。
従って、?にある、n人の場合の#の確率#Pnの各項に、?bを適用すると、以下の?となる。
#Pn=(22−2)/32+(23−2)/33+(24−2)/34+――――
+(2n−1−2)/3n−1――――?
この?の各項を、2つに分けて整理すると
=(2/3)2{1+2/3+(2/3)2+(2/3)3+―――+(2/3)n−3 }
−2/32{1+1/3+(1/3)2+(1/3)3+―――+(1/3)n−3 }
となり、それぞれ、等比が、2/3、1/3の、等比級数の和ができるので、これを計算すると、
=(2/3)2 {1−(2/3)n−2}/{1−2/3}
−2/32{1−(1/3)n−2}/{1−1/3}
=(2/3)2 ×3×{1−(2/3)n−2}
−2/32×3/2×{1−(1/3)n−2}
=22/3×{1−(2/3)n−2}
−1/3{1−(1/3)n−2}
=22/3−2n/3n−1
−1/3+1/3n−1
=1−(2n−1)/3n−1
∴ #Pn=1−(2n−1)/3n−1―――――?
○以上より、n人の場合のアイコ全体の確率Pn は
Pn=*Pn+#Pn
=1/3n−1+(1−(2n−1)/3n−1)
=1−(2n−2)/3n−1―――――?
となる。
この?式は、ネットにある、アイコの公式と一致する。
勿論、この余事象、
1−Pn=(2n−2)/3n−1
は、n人の場合に、勝負がつく確率である。
ジャンケンの確率に関しては、今回で、自分なりに納得できたところで一区切りとし、次稿で、関連する話題で締めくくることとしたい。