2022年5月10日(火) ウクライナのこと その11
ウクライナ情勢については、相変わらず緊迫したニュースが続いており、昨4月9日の戦勝記念日の行事が一つの山場と言われており、日本時間の午後に行われた、プーチン大統領の演説が注目されている。この、記念日の状況については、次稿で触れることとし、本稿は、主として、ロシアの国内体制について取り上げることとしたい。
〇ロシアは独裁国家?
前稿の下記記事
ウクライナのこと その10 (2022/5/1)
では、ロシアは以下のように位置づけられている。
・池上彰氏 ⇒資本主義で独裁
・Wikipwdia 独裁政治 ⇒市民専制主義
(Civilian dictatorship)
・スエーデン研究機関 ⇒選挙による独裁
(Electoral autocracy)
いずれも、独裁である。
ロシアのプーチン政権の独裁について、以下のサイトが見つかり、引用させてもらった。
(「ロシアは事実上の独裁国家」といってるひとがいたんですが、そう... - Yahoo!知恵袋.html)
〇ロシアの憲法改正の背景
2年前の記事だが、NHKの、以下のニュース解説記事がある。これによれば、2020年に行われた憲法改正で、プーチン政権の基盤は、固められたようだ。
(「プーチン長期政権の行方は? ロシア改正憲法承認」(時論公論) _ 時論公論 _ 解説アーカイブス _ NHK 解説委員室_files )
*2020年の憲法改正のポイント
下図にあるように、憲法改正のポイントは、以下の2点のようだ。
・政治システムの改革
・ロシアの国家像―保守伝統主義
*全国投票の結果
憲法改正に関して、実施された全国投票の結果は下図の様で、賛成多数で採択されたよ
うだ。
*大統領の任期―オブヌレーニエ
政治システムの改革の中で、大統領の任期を、通算2期までとし、これには、現憲法下での任期は含めず、ゼロにする(ロシア語で、オブヌレーニエというようだ)という条項を付け加えたようだ。
これにより、現職の任期が切れる、2024年に再選されれば、新たに2期12年が保証されることで、2036年まで続投可能になる。
上記に関連した、以下のTETROのビジネス短信記事もある。
(ロシア憲法裁、プーチン大統領の任期を2036年まで延長可能 JETRO とする憲法改正案を承認(ロシア) _ ビジネス短信 - ジェトロ.html )
*プーチン思想の基盤にあるもの
プーチン政権の考え方の基盤になっているのは、パトルシェフ安保会議書記官が発表した、「ロシアに普遍的価値は必要か」という、下図に示す論文のようだ。
図にあるように、いわゆる“普遍的価値”は、欧米の、“新自由主義的価値観”の押し付けであると、これを拒否し、ロシア独自の価値観を主張し、ロシアは、欧米と異なる保守主義の国という宣言をして、憲法に保守的な価値観を明記しているようだ。
図にあるロシア独自の価値観では、伝統的家族、婚姻は男女の契約、歴史の尊重、多民族国家ロシアの文化遺産、はどれも、至極尤もなことで、最後の多民族国家が、特徴的だろうか。
筆者を含めて、世界は、何とかして、早く、ロシアの軍事侵攻を止めて欲しいと願っているが、その見通しが立っていないことに、もどかしさと不安を感じている。