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あんパン

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2019年6月4日(火)  あんパン

 

 あんパンが大好きである。

以前、整形外科病院へ通う路の途中に、巨大なあんパンを売る店があり、よく買ったものだ。最近では、近くのスーパー等に行った時に、通常の食パン類の他に、さくらあんパンや、小さなあんパン5個入りの袋を買ってきて、おやつとして食べることが多い。

  この春、家族で、銀座4丁目に出かける機会があり、久しぶりに、中央通りに面したパンの木村家に入り、色んなパンを手に入れたことだ。もちろん、かの有名な「あんパン」もである。

        

     木村家入り口(木村屋の看板は右から)(木村屋總本店 - Wikipedia より) 

 ●創業150年

 木村家は、創業者が、明治2年(西暦1869年)にパン業を初めて、今年は、ちょうど、150周年という節目に当たるようで、大々的なキャンペーンを行っていた。    

 言うまでもなく、江戸時代までは、我が国では米食が基本であり、うどん、など小麦の食品も普段に食べてはいたが、パン食は無かったと言える。

 それが、明治が始まってすぐの明治2年に、文明開化の波に乗って、創業者の木村安兵衛がパン屋を始めたというのは、“これからは、ハイカラなパンが流行る”と読んだ、大変な見識とも言えようか。が、一方で、新しい食文化の先が見えない、大きなリスクも、覚悟していたと思われる。

 

 木村家についてネットで検索していたら、木村屋総本店のWikipediaなどの他に、以下の、面白い記事が見つかった。

 木村 美貴子×高嶋 ちさ子  GINZA OFFICIAL – 銀座公式ウェブサイト   木村屋.mht
これは、バイオリニストの高嶋ちさ子さんが、銀座周辺の面白い店を訪ねるインタビュー記事のようで、今回は、銀座木村家社長の木村美貴子さんとの対談記事である。 この対談記事から、今回、多くの情報を借用させて頂いている。

 

 創業者は、長崎の出島に来ていたオランダのパン職人から、製法を教わったという。

開業当初、どんなパンを、どのようにして焼いたのかは不明だが、「あんパン」は、開業数年後の明治7年には開発され、時の天皇に献上したところ好評だったことで、大変な人気を得たという。

 小豆をもとに作る餡の製法には、日本には、長い伝統があり、この餡を、パン生地に包み込んで焼く、あんパンが発明されたという。

    

        酒種あんパン(ネットより) 

●パンの製法

 いうまでもなく、パンは、長い歴史と伝統がある西欧の文化である。 現代は、パンの製造には酵母菌のイーストを使うのが普通だが、明治初期には、イーストが日本では手に入らなかったようだ。あれこれ試行錯誤を重ねて、昔からあった酒饅頭の製法からアイデアを得て、天然酵母の一種である、酒種(さかだね)酵母からパンを作る製法を編み出したという。木村家では、現在もこの製法が続けられているようだ。この酒種を管理・調整する、種師(たねし)という職人のもとで、毎朝米を研ぐ作業が行われているという。

  

 醸造は、人類にとっての超巨大な分野で、日本では、伝統的に、酒、味噌、醤油、酢、納豆など、お馴染みである。近代では、ビール、ワインなども行われ、裾野は広大だ。これらは、酵母菌という微生物の成せる技である。

 パンに関連する天然酵母には、世界には、以下のようなものがあるという(パン辞典 パンの原材料 酵母|コガネパン.url

  

 国     天然酵母    用途  食品 等

 ドイツ   ライサワー種  ライ麦パン

 イタリア  パネトーネ種  パンドーロ コロンバ

 日本    酒麹種     甘い菓子パン(あんパン)

 イギリス  ホップ種    ホップの苦み 抗菌作用

 中国    老麺種     蒸し饅頭 脂っぽい餡とマッチ

 

 最近は、天然酵母という言い方は禁止されて、パネトーネ種などと、種類名で呼ぶようだ。酒種酵母でつくるパンには、日本人にとっては、自然なおいしさや、懐かしい味があるだろうか。

 

●グループの体制

 木村屋総本店は、有明に本社があり、創業者から7代目にあたる木村光伯氏が社長のようだ。大型店(デパート スーパー コンビニなど)が主な納入先という。

 一方、銀座にある銀座木村家は、総本店とは別会社で、あの場所が本社で、守備範囲は、銀座店のみという。現社長の木村美貴子氏は、総本店の社長とは、姉と弟の関係になるという。 グループ内の2社の社名が、木村屋と木村家と別なのは、やや紛らわしい。       

 パンの製造は、グループでは、関東周辺の工場で行っているようだが、対談記事で、現在の銀座のピルの7~8階のフロアでも、長年製造を行っている、というのは驚きである。

 記事では、冗談に、あの場所の地価を考慮して値段をはじくと、あんパン一個が、5000円にもなるとある!

 でも、パンという小型の製品を、同じビル内で製造販売をやることは、コストが安くなるメリットも大きい訳で、パンならではのことだろうか。近隣には、パンの製造も行っているパン屋は多いことだ。

 

●銀座での商い 

 少し前の、あるテレビの番組で、銀座の3人の女社長の紹介があった。 本稿の木村美貴子氏に加え、美容室と、呉服屋のオーナー社長だったと記憶する。 今にして思えば、あの人達は、対談記事にある、銀実会のメンバーと思われる。

 これらの店は、伝統に加えた新たなセンスで、天下の銀座でチャレンジしている訳だが、若い人達や外国人観光客に人気という。令和の時代、大いに活躍してほしいものだ。

 

 

 現在、我が家では、朝は、パンとコーヒーが定番であるが、パン食が、我が国の食文化にどのように浸透してきたのか興味のあるところである。

 また最近は、世界各地のユニークなパンを、居ながらにして味わえるのも楽しみである。

これらについて、機会があれば、取り上げてみたいと思っている。

 


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