2019年3月18日(月) 沖縄県民投票
先月の2月24日(日)、沖縄県で、県民投票が行われた。宜野湾市にある普天間基地の危険性を除去するために、普天間基地機能を、名護市の辺野古海岸に移設するための埋め立て工事が既に進められているが、この埋め立て工事の賛否に関する県民の意思を確認するという、県主管の住民投票である。
本稿では、沖縄の基地問題そのものを取り上げることは控え、今回の県民投票に絞って触れることとしたい。
通常の住民投票では、案件に対して、賛成、反対の二者択一の投票を行うが、今回の投票では、準備の途中段階から、どちらでもない という選択肢を追加し、三者択一という、ユニークなものとなった。三択にしたのは、二択では、県民投票に参加しないという、複数の自治体の意向を容れた結果のようだ。
投票用紙を下図に示す。(ネットより)
最終的な投票結果は、以下のようになったようだ。(2019年沖縄県民投票 - Wikipedia)
有権者数 1153591人
投票者数 605385人
有効票数 601883票 (99.42%)
無効票数 3497票 ( 0.58%)
投票率 52.48%
投票結果 投票者数に占める比率 有権者数に占める比率
賛成 114933票 18.99% 9、9 %
反対 434273票 71.74% 37.64%
どちらでもない 52682票 8.70% 4.56%
筆者の予想では、どちらでもない がもう少し多く、反対が、もう少し少ないと思っていた。
県民投票の結果には、法的拘束力はないが、反対票が有権者の25%を超えたということで、玉城知事から、日米両政府に、反対が多いということが通知されることとなった。日本政府に対しては、菅官房長官に通知されたが、マスコミ報道では、通知した結果は、何も変わらず、政府から、埋めて工事の継続が表明されている。
ただ、今後の拡張工事を進める地域で、地盤が弱いため補強が必要で、工事費が大幅に膨らむことが予想されており、沖縄県側との調整がどうなるのかは不明である。
住宅地が極めて近い、普天間飛行場の危険性をなくすために、他の地域に移設する話は、かなり前から論議されていて、辺野古に移設する話が具体化したのは、橋本内閣時代からだろうか。以降、一時、民主党の鳩山内閣に代わるなどの政権交代で混乱もあったが、自民党政権に戻った現在まで延々と続いている難題である。
20年前の1996年、駐留米国軍人による婦女暴行事件をきっかけに、基地の縮小と日米地位協定の見直しを求める、初の県民投票が行われている。(1996年沖縄県民投票 - Wikipedia)
住民投票、国民投票については、これまで、当ブログで、何度か取り上げてきたところだが、主なものは以下だ。
国内では、
記事タイトル 投稿期日 概要と結果
・選挙と住民投票 2 2015/5/28 大阪都構想に関するもの→否決
国際では、
・選挙と住民投票 3 2015/6/2 同成婚に関するアイルランド国民投票
→賛成
・Brexit 1 2016/7/2 イギリスのEUとの関係→離脱が決定
・カタルーニャ州の独立
騒動と住民投票 2017/12/2 スペインのカタルーニャ州→賛成
→中央政府が圧伏
(他に、スコットランド独立、ギリシアの国民投票、ウクライナの情勢、等もある)
今後、国内で憲法改正を行う時は、国民投票で決することとなっている。
次稿以降で、国民投票がきっかけで始まり、この所、ますます様子がおかしくなってきた、イギリスのEU離脱について、取り上げることとしたい。